JPS628030Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (a) 考案の目的 この考案は、立体的な光のパターンを作り出す
反射箱と、この影象を写しとる撮影装置との組合
せに係るもので、三次元的な無限反射が作り出す
特殊な映像を写真という形で容易に鑑賞できるよ
うにすることを目的としている。

(b) 従来技術の説明 従来より、万華鏡として、透明な着色プラスチ
ツク片等を封入した三角柱状の反射箱が知られて
いた。

この反射箱は、三角柱状の側面内側のみを鏡と
したものであり、採光部、及び観察部を構成する
三角柱の両端部は、反射には無関係であるため、
仮に撮影の必要が生じても通常のレンズを用いた
カメラを使用してそれが作り出す映像を写すこと
が可能であつた。

また、この場合、従来の万華鏡装置の作り出す
パターンは、平面的なモザイク模様状のものにす
ぎなかつたために、被写界深度の深さが問題とな
るような事もなかつた。

(c) 考案の構成 本願考案の構成要件となつている反射箱は、す
でに本願考案者により実願昭55−000211号として
出願されたものであるが、その構成は、すべての
内壁面を鏡面とした多面体の壁面に、該壁面の実
質的な反射を損わない大きさの、のぞき穴と光源
とを設けた反射箱であることを特徴としている。

この反射箱は、かかる構成をとることにより、
小さな光源４から導入された光の、箱内でのあら
ゆる方向への反射を可能とし、きわめて遠近感の
ある三次元的なパターンを作り出す点で従来公知
の万華鏡装置とはまつたく異なつたものである
が、鏡面３の一部を削除して光源４及びのぞき穴
を構成するものであるために、これらの削除面積
をできるだけ小さくしなくてはならず、これがパ
ターンの撮影を困難とする一因となつていた。

また、その被写界深度についても、数センチか
ら無限遠までをカバーするパンフオーカス性が要
求され、通常のレンズを用いたカメラを使用する
ことができなかつた。

そこで、本願考案者は、かかる特殊な反射箱内
に生ずる立体的な映像を撮影すべく鋭意研究の結
果、のぞき穴自体をピンホールで置き換え、これ
を通して得られた映像を、暗箱２内に位置させた
フイルム７の面に直接投射するようにして本願考
案に至つたものである。

(d) 考案の効果 本願考案は、のぞき穴を徴小なピンホール５と
したために、反射箱１内の反射がのぞき穴によつ
てさまたげられることがまつたくないものである
とともに、ピンホールカメラの特徴とする超広角
レンズに匹敵するきわめて奥深い被写界深度を持
つために、光学的に至近距離に生じるパターンか
ら無限遠に生じるパターンまでをぼかすことなく
写しとることができるすぐれた特徴を持つ。

また、本願考案のものは、複雑な光学系を一切
用いる必要がないために、きわめて安価にこの特
殊な像を撮影する手段を提供できるという効果も
有する。

(e) 実施例 実施例により、本願考案をより詳しく説明す
る。

内面を鏡面３とした多面体６を作り、ここに光
源４とピンホール５とを適当位置に設ける。

光源４は、小さな発光体を鏡面３に設けても良
いし、鏡面の一部を削除して採光部とし、外部の
光を箱内に導き入れるようにしても良い。

また、光源４を設けた壁３７を反射箱１に着脱
自在となし、これを交換することにより各種のパ
ターンを撮影できるようにすると好ましい。

ピンホール５は、反射箱１の面、辺または頂点
の適当位置に設けるが、位置により非常に異なつ
たパターンを得ることができる。

ピンホール自在は徴小であるため殆んど反射を
損うことがないので、ピンホール５を反射箱にい
つくか設け、使用しないものを遮光テープ８等で
ふさぎ、それらを交換して使うようにすると、異
なつたパターンを撮影するうえで役立つ。

暗箱２は、反射箱１のピンホール５のある位置
を囲むようにしてその開口部２１をすきまなく密
着させ、反射箱１に対して固定または着脱自在に
取付ける。

暗箱２の、ピンホール５と対向する面にフイル
ム７を置き、ピンホール５からの光により露光さ
せるようにする。

この時、フイルム７への露光量の調節は、フイ
ルム面の前に引蓋２２を設けてシヤツターとする
か、光源である採光部に覆い２３を設けると良
い。

フイルム７は、フイルムホルダー７１により一
枚ずつ暗箱内に挿入するか、または暗箱２にフイ
ルムバツク７２を取付け、ロールフイルムを巻揚
げて使用するようにしても良い。

ピンホール５は、小径のドリルで壁を切削して
製作しても良いが、精密なものとするために、フ
イルムピンホール５１を使用することが好まし
い。

これは、黒い円を撮影したネガテイブフイルム
を順次反転縮小して得られるもので、黒色の遮光
性フイルム面に微小な円形透明部分５２を有する
ものである。

この円形透明部分を、ケラしを防ぐため円錐状
にあけた微小な穴５３の頂部に若干の黒い周辺部
とともに取付け、ピンホールとして使用する。

これにより、ピンホールベースは約20ミクロン
の薄さとなり、周辺のエツジによる解像力の低下
が防がれるとともに、ピンホールの口径がきわめ
て正確となり、Ｆ値の算出が容易となる。

500Wフラツドの写真用電球を用い、照度を
5000Luxとした実施例では、口径0.18ｍ／ｍのフ
イルムピンホールとASA100の６×７フイルムを
用いて40秒間の露光を行なうことにより、きわめ
て鮮明な画像を得ることができたが、これは直接
口径10ｍ／ｍののぞき穴より反射箱内を見た時に
得られる画像に比べ、反射の損われる部分のまつ
たくない、きわめてすぐれたものであつた。

このように、ピンホールを用いることは、この
反射箱内に生じる映像を取出すための理想的な手
段となる。

反射箱１に用いる鏡は、プラステイツク板に金
属蒸着をほどこしたものが加工性にすぐれている
ので、これを使用するのが好ましい。

鏡面は、通常の、透明ベース３１の後部に反射
層３３及び保護層３４を形成したものでも、ベー
ス３２の前部に反射層３３を形成した表面鏡３５
でもいずれでも良いが、透明板表面による反射の
影響による像のダブリを防ぐため表面鏡を用いる
のが好ましい。

光源４は、穴４１により鏡面を削除して採光部
を形成するか、発光体を用いる場合であれば、発
光ダイオード４２、豆電球４３、放射性同位元素
入りの公知の夜光塗料４４等を用いることができ
るが、いずれの場合も光源は鏡面の実質的な反射
能力を損わないような大きさとしなくてはならな
い。

反射箱１の形状は、多面体、すなわち複数の平
面で囲まれた凸閉多面体であれば、どのようなも
のでもさしつかえないが、得られるパターンの美
しさから見て正多面体のような単純な形状のもの
が好ましい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例の一部切欠き及
び展開をした斜視図、第２図は、別の実施例の同
様な斜視図、第６図は、さらに別の実施例の同様
な斜視図を示す。第３図は、第１図のＡ−Ａ線に
そつた断面図、第４図は、第３図におけるピンホ
ール部分の断面拡大図、第５図ａ〜ｅは、それぞ
れ光源部の壁面断面図を示す。 １……反射箱、２……暗箱、２１……開口部、
２２……引蓋、２３……覆い、３……鏡面、３１
……透明ベース、３２……ベース、３３……反射
層、３４……保護層、３５……表面鏡、４……光
源、４１……穴、４２……発光ダイオード、４３
……豆電球、４４……夜光塗料、４５……接着
剤、５……ピンホール、５１……フイルムピンホ
ール、５２……円形透明部分、５３……円錐状の
微小な穴、６……多面体、７……フイルム、７１
……フイルムホルダー、７２……フイルムバツ
ク、８……遮光テープ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フイルムを収容した暗箱の前面に、すべての内
   壁面を鏡面とした多面体の反射箱を取付け、壁面
   の微小光源より該反射箱内に入射した光が、該反
   射箱に設けられたピンホールを通り該暗箱内に導
   かれ、フイルムを露光するようにしたことを特徴
   とするカメラ。