JPS627361Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として工場において発生する各種の
排水中から油分を回収再利用する一方、排水中の
油分を除去する事により河川の汚濁を防止するた
めの、油水分離器に関するものである。

従来、油水分離器についての発明、考案は数多
いが概して装置の内部構造が複雑で、装置自体や
占有面積が大きくなる傾向がある、またエマルジ
ヨン化した油分を化学的に塩析して、その疎水性
微粒子を泡に付着させ浮上分離させるなど比較的
保守管理が煩雑な方法であつたり、製作、維持等
のコストが大きいなどの欠点があつた。

本考案は叙上の如き欠点を改善するため、鋭意
考案の結果、占有面積が小さく、取扱いが容易
で、比較的簡単な構造を有し、製作費も安価な、
能率の良い油水分離器を考案するに到つた。

すなわち、本考案は上部側方に排水管を有する
垂直方向に長い有底外筒とこの外筒と平行して、
上部に含油排水導入槽を有し、下部は外筒底部よ
り短かくなした内筒と、該内筒の下部開口部に対
向する如く逆円錐形あるいは半球形の含油排水流
衝突板を設け、内筒と外筒の間に下部が衝突板よ
り低く且つ外筒底部より高くなした中間筒を設
け、該中間筒上部には外筒の外部へ開口した排油
管を設け、該排油管の排油レベルを外筒に設けら
れた排水管の排水レベルより高いレベルに位置す
る様に排油管を設ける事を特徴とする油水分離器
を提供せんとするものである。

次に本考案による実施例について説明する。第
１図はこの考案装置の全体の縦断面を模型的に示
した説明図である。第２図は第１図の要部を拡大
して示した説明図である。第３図は含油排水の衝
突板附近における水流を示す為に、第２図の一部
をさらに拡大したものである。第１図、第２図及
び第３図において、１は含油排水導入槽であり、
２は内筒であり、３は衝突板であり、４は中間筒
であり、５は排油管であり、６は外筒であり、７
は排水管であり、８は衝突板の支持腕である。本
装置の使用法について記す。含油排水は導入槽１
に導入されると同時に内筒２（内径12.7ｍ／ｍ
φ）へ入り、比較的ゆるやかな流れで内筒を通
り、衝突板３（15ｍ／ｍφ）によつて堰止められ
側方へ流れを変える。該衝突板の作用は含油排水
中の油分が分離されないまゝ中間筒４（内径38.1
ｍ／ｍφ）の下端を通り、外筒の排水管方向へ流
出する事を防ぐものである。もし油の一部が衝突
板より下方へ流入しても再浮上した油を衝突板の
下側へ集合させ油滴を大きく成長させて排水管５
（内径12.7ｍ／ｍφ）方向へ浮上させる役割も果
している。第３図はこの状態を示す模式図で丸印
（○）は油滴をしめしたもの、矢印（→）は水流
を表わしている。衝突板の形状はＶ字状もしくは
半球状で内部にくぼみを有し、含油排水を排油管
方向へ向わしめる形状が好ましく、この逆の場
合、すなわち平板よりも逆Ｖ字の状態では機能的
に好ましくない。またこの衝突板の径は内筒の径
より大きい方が好ましいが、大きすぎてもよくな
い。該衝突板の外周が位置するに好ましい所は内
筒の延長線を横切り、中間筒へ到るその距離の３
分の１以内迄が好ましい。これより径の大きい衝
突板では排水の流れや、油滴の上昇などを妨げる
ことになる。また該衝突板の設置箇所は内筒の延
長線上において、内筒２の内径に等しい距離乃至
内径の２分の１の距離だけ内筒下端から離れた箇
所が好ましい。これより内管へ近づくと含油排水
の流れが悪くなり、逆にこれより離れると衝突効
果を充分発揮しなくなり、油滴が排水管方向へ流
出するおそれがある。該衝突板から外筒底部まで
の距離は、油滴の一部が、排水と共に下向きに流
れた場合において、油滴の上昇を期待できる長さ
を有することが望ましく、通常内筒の内径の５乃
至15倍程度の距離（例えば130ｍ／ｍ、内筒の内
径12.7ｍ／ｍφ）が必要である。内筒と外筒の中
間には、浮上した油を排出する側管を持つた中間
筒４が設けられる。該中間筒の下端は排水が流出
する様、外筒底部との間に隙間を有し、その大き
さは内筒の内径と略等しいか又はそれ以上の距離
（例えば20ｍ／ｍ）があれば充分である。中間筒
の上部排油管５は外筒の外部へ開口している。該
排油管５は排水が混入せぬうちに排油レベルを排
水管７の排水レベルより高く設置する必要があ
る。外筒６（内径76.2ｍ／ｍφ）は中間筒４から
流入してくる排水を外筒上部の排水管７（内径
12.7ｍ／ｍφ）へ送るための管であつて、排水管
の排水レベルは排油管５の排油レベルより低くな
し、排油管へ排水が混入せぬ様に配慮しなければ
ならない。またこの油水分離器を直列に複数個接
続することも可能である。なお本考案装置によつ
ては極めて少量、たとえば数百グラム程度の含油
排水でも処理が可能である。

以上の様に本考案になる油水分離器は簡単な構
造と、細長い形状で廉価に製造でき、占有面積も
少なく工場内各所に設置し、含油排水から能率よ
く油分を回収し、排水する事が可能であり、公害
防止上極めて好適なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の全体の縦断面説明図、第２図
は第１図の要部を拡大図示した説明図、第３図は
含油排水流が、内筒から中間筒へ流出する模様を
拡大図示した説明図で丸印（○）は油滴、矢印
（→）は水流を示す。 １：含油排水導入槽、２：内筒、３：衝突板、
４：中間筒、５：排油管、６：外筒、７：排水
管、８：衝突板の支持腕。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部側方に排水管を有する垂直方向に長い有底
   外筒とこの外筒と平行して、上部に含油排水導入
   槽を有し、下部は外筒底部より短かくなした内筒
   と、該内筒の下部開口部に対向する如く逆円錐形
   あるいは半球形の含油排水流衝突板を設け、内筒
   と外筒の間に下部が衝突板より低く且つ外筒底部
   より高くなした中間筒を設け、該中間筒上部には
   外筒の外部へ開口した排油管を設け、該排油管の
   排油レベルを外筒に設けられた排水管の排水レベ
   ルより高いレベルに位置する様に排油管を設ける
   事を特徴とする油水分離器。