JPS6261730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は土質調査をするときに、土の試料を採
取するために、地盤に貫入するサンプラーに関す
るものである。

土質調査の為の土サンプラーには種々のものが
実用に供されている。先ず、地層の硬軟の度合を
定量的にあらわすＮ値を求める標準貫入試験法に
おいて、該試験法用の特定サンプラーで土の試料
も採取され、土の各種特性値が測定される。しか
しながら、このサンプラーでは、サンプラーの打
込によつて土の試料の組織が破壊されているの
で、一般に土の力学的性質を調べる土質試験には
適さない。自然状態のままの土の乱さない試料を
採取する為のサンプラーも種々のものが実用に供
されている。デニソン型サンプラーは、内管と外
管を有し、内管に押圧力を加えて地盤に貫入させ
て内管内に土の試料を進入させると共に、外管に
押圧力と回転を与え、外管にて内管の周囲の地盤
を掘削し、内管の地盤への貫入を容易とするもの
である。デニソン型サンプラーは硬質地盤からも
土の試料を比較的自然状態のままで採取すること
ができる。しかしながら、サンプリング時には内
管先端のシユーエツジによつて地盤にせん断力が
加えられるので、地盤が粘着性のない砂で構成さ
れている場合は地盤内の土粒子の配列状態が大な
り小なり乱だされることになる。その結果、砂地
盤が締つている場合は体積が膨張し密度が小さく
なる。この現象をダイレタンシーというが、この
ダイレタンシーによつて内管内に採取されたサン
プルの密度は実際の地盤の密度よりも若干小さく
なつているのである。

本発明の目的は、サンプリング時に地盤を緩め
ることなく、殆んど自然状態のままの密度を保持
する乱されないサンプルを採取することができる
デニソン型の土サンプラーを提供するにある。

本発明による土サンプラーは、 (a) 回転するボーリングロツドの先端に連結され
る外管用ヘツド、 (b) 外管用ヘツドに螺合され、先端にビツトを取
付けた外管、 (c) 外管内で、回転する外管用ヘツドにベアリン
グを介して静止可能に保持される中空の内管用
ロツド、 (d) 内管用ロツドの先端に連結される内管用ヘツ
ド、 (e) 内管用ヘツドに螺合され、シユーを取付けた
先端が外管の先端より僅かに延伸し、外管との
間隔が僅かな内管、及び (f) 内管に内接収容されるサンプル収納管、を有
するデニソン型サンプラーの改良に関するもの
である。しかして、本発明の土サンプラーは、
上記デニソン型サンプラーにおいて、 (イ) 内管内に、同一内周面のサンプル収納管及
びシユーに摺動するピストンを収容し、 (ロ) 該ピストンの中心に取付けたロツドを内管
用ヘツドを貫通して内管用ロツド内に進出せ
しめ、 (ハ) ピストンにて閉塞される内管内に水を充填
し、 (ニ) 内管用ヘツドに内管内より外管内に連通す
る水圧調整弁を有する水抜き孔を設け、 (ホ) 外管用ヘツドに内管用ロツド内の空気を外
管用ヘツド外に逃去させる逆止弁付空気抜き
孔を設けて、 あることを特徴とする土サンプラーである。

以下、本発明による土サンプラーを実施例の図
面の第１図に基づいて詳述する。

先ず、このサンプラーの従来一般のデニソン型
サンプラーと共通の構成部分について述べる。即
ち、このサンプラーにおける外管用ヘツド２、外
管４、内管用ロツド６、内管用ヘツド９、内管１
０及びサンプル収納管１２は従来のデニソン型サ
ンプラーの構成要素をなし、このサンプラーにお
けると共通の機能を有している。

このサンプラーでは、ボーリングロツド１をサ
ンプリングする地盤に向けて押圧して回転し、外
管４の先端のビツト５で地盤を掘削し、内管１０
は回転せしめられず地盤に押圧せしめられ、内管
１０の先端のシユー１１が地盤に進入し、土サン
プルが内管１０内に採取される。

外管用ヘツド２は中空のボーリングロツド１の
先端に連結されている。外管用ヘツド２内には流
通孔３が設けられ、ボーリングロツド１内の空洞
部と外管４内の空洞部を連通している。流通孔３
は一般は掘削するビツト５の冷却及び排土の為の
水の通路をなす。

外管４は外管用ヘツド２に螺合され、先端に掘
削の為のビツト５を取付けてある。

内管用ロツド６は中空であり、外管４内で、外
管４と同心に、外管用ヘツド２にボールベアリン
グ７を介して保持されている。従つて、ボーリン
グロツド１の回転により外管用ヘツド２及び外管
４は回転するが、内管用ロツド６は、その先端に
内管用ヘツド９を介して取付けられ内管１０が地
盤に当接することにより、静止状態に保たれる。
外管用ヘツド２と内管用ロツド６の間にはボール
ベアリング７と共にパツキン８が介在せしめら
れ、内管用ロツド６内（厳密には後述の空気抜き
孔１４内）と外管４内との間を封止している。

内管用ヘツド９は内管用ロツド６の先端に連結
されている。

内管１０は、外管４内に外管４と同心をなし外
管４との間隔を僅かとして、内管用ヘツド９に螺
合してある。内管１０の先端には、内管１０の地
盤への進入を容易とし、且つサンプルを乱さない
ようにするシユー１１が取付けてある。シユー１
１の内側面は内管１０に収容されるサンプル収納
管１２の内側面と一致せしめられ、外側面のみ傾
斜をつけ先端を鋭くしてある。シユー１１の先端
は外管４のビツト５より僅かに進出していて、内
管１０内に取込まれる土サンプルが乱されなく、
掘削による泥水がサンプル中に進入しないように
してある。

サンプル収納管１２は内管１０に内接させて収
納され、シユー１１と内側面を一致させてある。

従来のデニソン型サンプラーにおいても第１図
に示すと同様に、中空の内管用ロツド６の外管用
ヘツド２との結合部における開口部に、ボールバ
ルブ１３等の逆止弁を設け、外管用ヘツド２に空
気抜き孔１４が設けられ、内管用ロツド６内と外
管用ヘツド２外とをボールバルブ１３を介して連
通させてある。しかしながら、従来のサンプラー
においては、第１図に示すこのサンプラーと異な
り、内管用ヘツド９に、内管用ロツド６と内管１
０内の空洞部の連通孔が設けられているに過ぎな
く、ボールバルブ１３付空気抜き孔１４は内管１
０（サンプル収納管１２）内へのサンプルの進入
に伴う内管１０内の空気又は水を逃げ去らせるも
のである。

以上は従来一般のデニソン型サンプラーと共通
の構成部分である。以下、このサンプラーの特徴
とする従来と異なる構成部分について述べる。

先ず、このサンプラーでは、内管１０に、同一
内周面のサンプル収納管１２及びシユー１１に摺
動するピストン１５が収容されている。ピストン
１５の摺動面には封止の為のパツキン８が取付け
てある。

ピストン１５の中心には内管１０の奥側に向け
てピストンロツド１６が取付けてあり、内管用ヘ
ツド９の中心には、ピストンロツド１６を挿通す
る孔が設けてある。ピストンロツド１６は内管用
ヘツド９を貫通し、内管用ロツド６内に延伸して
いる。ピストンロツド１６の延伸部端にはストツ
パー１７が設けられ、ピストン１５が内管１０の
開口部に進出すると、ストツパー１７が内管用ヘ
ツド９に当接し、ピストン１５面がシユー１１の
先端位置に停止せしめられるようにしてある。ピ
ストンロツド１６と内管用ヘツド９との間には封
止用のパツキン８及びボールコーンクランプ１８
が設けられてある。ボールコーンクランプ１８は
ピストンロツド１６の内管用ロツド６内への進出
（図面での上方への移動）を許容し、反対方向
（下方）への移動を阻止する。従つて、内管１０
の奥まで押込まれたピストン１５を内管１０の開
口部まで進出せしめるには、このサンプラーの上
下を逆にする等によりボールコーンクランプ１８
の機能を停止せしめて行う。

このサンプラーの内管用ヘツド９には内管１０
内と外管４内を連通する注水孔１９及び水抜き孔
２１が穿設されてあり、注水孔１９及び水抜き孔
２１にはそれぞれプラグ２０及び水圧調整弁２２
が取付けてある。

このサンプラーのピストン１５で閉塞された内
管１０内には水が充填される。即ち、このサンプ
ラーの外管４を外管用ヘツド２より外し、ピスト
ン１５をシユー１１の位置まで進出させて注水孔
１９より注水する。内管１０内の空気は水抜き孔
２１から追出される。内管１０内への水の充填が
終ると、注水孔１９をプラグ２０で閉鎖し、水抜
き孔２１に適当な圧力に調整された水圧調整弁２
２を取付けた後、外管４を外管用ヘツド２に、ビ
ツト５を外管４に取付けることにより、このサン
プラーの使用態勢が完了する。

次に、このサンプラーによるサンプリング要領
を、ボーリング機で試掘されたボーリング孔底の
地盤よりサンプリングする場合について述べる。
このサンプラーをボーリングロツド１の先端に取
付け、ボーリング孔底に降した後、地上のボーリ
ング機によつて、サンプラーに回転と下向の圧力
を加える。この時外管用ヘツド２，外管４，ビツ
ト５はボーリングロツド１の回転により回転せし
められるが、内管１０はシユー１１の先端が地盤
に押付けられているので回転せず、内管１０には
下向きの力のみが加わる。

内管１０に下向きの力が加わることにより、ピ
ストン１５に上向きの力が加わり、内管１０内の
水圧が上昇する。内管１０内の水圧が水圧調整弁
２２の調整された圧力以上になると、相当分の水
が水抜き孔２１を通つて流出し、内管１０内の水
圧が一定調整値に保持されながら、内管１０は地
盤内に貫入し、ピストン１５は相対的に上昇し、
土サンプルはサンプル収納管１２内に進入するこ
とになる。サンプル収納管１２内への土サンプル
の進入中、即ちサンプリング中、サンプリングす
べき地盤及びサンプリングされた土は常に水圧調
整弁２２で調整された圧力で押えつけられてい
る。従つて、この水圧調整弁２２による調整圧力
を適当な圧力、例えばサンプリングする深さの土
被り圧力、とすることにより、殆んど体積膨張を
おこさずサンプリングをすることができる。

ピストン１５の上昇により、ピストンロツド１
６の内管用ロツド６内への進入量が多くなるの
で、これに相当する空気量がボールバルブ１３及
び空気抜き孔１４を通つて外部へ排出される。ピ
ストン１５が上昇し内管用ヘツド９に当接し、内
管１０内がサンプルで満されると、サンプラーの
回転及び押圧を停止し、一般のサンプラーと同様
にサンプラーを地上に引上げ、サンプラーよりサ
ンプル収納管１２を取出し、所要の後処理を行
う。サンプラーの引上中等、ピストン１５に対す
る上向の圧力が内管１０内の水圧より低くなつて
も、ピストンロツド１６はボールコーンクランプ
１８の作動により、ピストン１５が開口部（シユ
ー１１の側）に進出することはない。

本発明の土サンプラーは以上の如く構成され、
且つ作動する。よつて、サンプリング中にサンプ
リングされる地盤にせん断力が加えられても、常
に適切な調整された圧力、例えばサンプリングす
る深さの土被り圧力、で押え付けられているので
サンプリングされる土が体積膨張をおこすことは
ほとんどなく、自然状態のままの乱されない土の
サンプルを採取することができる。

よつて本発明の土サンプラーによりサンプリン
グしたときは、単位体積重量及び強度特性、沈下
特性等の力学的性質並びに施工上必要な透水性等
の土質試験を従来より正確に実施することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の土サンプラーの実施例の縦断
面図である。 １…ボーリングロツド、２…外管用ヘツド、４
…外管、５…ビツト、６…内管用ロツド、７…ボ
ールベアリング、９…内管用ヘツド、１０…内
管、１１…シユー、１２…サンプル収納管、１３
…ボールバルブ、１４…空気抜孔、１５…ピスト
ン、１６…ピストンロツド、２１…水抜き孔、２
２…水圧調整弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転するボーリングロツドの先端に連結され
   る外管用ヘツドと外管用ヘツドに螺合され、先端
   にビツトを取付けた外管と、外管内で、回転する
   外管用ヘツドにベアリングを介して静止可能に保
   持される中空の内管用ロツドと、内管用ロツドの
   先端に連結される内管用ヘツドと、内管用ヘツド
   に螺合され、シユーを取付けた先端が外管の先端
   より僅かに延伸し、外管との間隔が僅かな内管
   と、内管に内接収容されるサンプル収納管とを有
   するデニソン型土サンプラーにおいて、内管内
   に、同一内周面のサンプル収納管及びシユーに摺
   動するピストンを収容し、該ピストンの中心に取
   付けたロツドを内管用ヘツドを貫通して内管用ロ
   ツド内に進出せしめ、ピストンにて閉塞される内
   管内に水を充填し、内管用ヘツドに内管内より外
   管内に連通する水圧調整弁を有する水抜き孔を設
   け、外管用ヘツドに内管用ロツド内の空気を外管
   用ヘツド外に逃去させる逆止弁付空気抜き孔を設
   けてあることを特徴とする土サンプラー。