JPS6256081B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属水素化物反応容器に関する。

ある種の金属や合金が発熱的に水素を吸蔵して
金属水素化物を形成し、また、この金属水素化物
が可逆的に吸熱的に水素を放出することが知られ
ており、近年、このような金属水素化物の特性を
利用した水素の貯蔵若しくは供給装置、ヒートポ
ンプ等、種々の金属水素化物装置が提案されてい
る。

このような金属水素化物装置において、金属水
素化物を充填するために、従来、種々の反応容器
が提案されている。しかし、従来の反応容器は、
例えば、特開昭56−101497号に開示されいるよう
に、水素出入口を備えた耐圧容器内に水素透過性
の金属水素化物容器を収容し、この容器内に金属
水素化物を充填収容すると共に、容器内に金属水
素化物を加熱冷却するためのパイプを配設して構
成されているために、反応容器が複雑化大型化せ
ざるを得ず、小型の反応容器として使用するには
不適であると共に、容器内の金属水素化物充填層
における水素の拡散性と金属水素化物の充填性に
劣る問題があつた。

本発明は上記した問題を解決するためになされ
たものであつて、容器内に金属水素化物を加熱冷
却するためのパイプ等の配設を要せずして、小型
の水素貯蔵若しくは供給装置として好適に使用す
ることができると共に、容器内の熱伝導性にすぐ
れ、従つて、金属水素化物を円滑迅速に反応させ
ることができる金属水素化物反応容器を提供する
ことを目的とする。

本発明の金属水素化物反応容器は、一端に水素
出入口を有する外側耐圧容器と、少なくとも一端
に開口端を有し、この開口端に水素は透過する
が、金属水素化物は透過しないフイルターが取付
けられ、上記外側容器の器壁との間に空隙を有す
るように外側容器内に収容されている内側容器
と、上記空隙に充填されている緩衝材とからなる
ことを特徴とするものである。

以下に実施例を示す図面に基づいて本発明を説
明する。

第１図は本発明の金属水素化物反応容器の一実
施例を示し、第２図は第１図においてＡ−Ａ線に
沿う断面図である。管状の外側耐圧容器１は、耐
水素脆性を有すれば特に制限されないが、普通、
銅やステンレス鋼、アルミニウム等からなり、そ
の一端に水素出入口として開閉自在の接続器２が
取付けられている。この外側容器内に内側容器３
が容器壁間に空隙を有するように同軸的に収容さ
れており、この内側容器も外側容器と同じく、耐
水素脆性を有する材料から構成されている。内側
容器は少なくとも一端に開口端４を有し、この開
口端には、水素は透過するが、金属水素化物は透
過しないように、数μ程度の濾過性能を有する焼
結金属や樹脂多孔質体等からなるフイルター５が
取付けられている。金属水素化物は内側容器にフ
イルター内に充填されるが、水素の吸蔵放出を繰
返す間に粒径が数μ程度に微粉化して、水素を放
出する際に容器外に飛散するのを防止するためで
ある。図示した実施例においては、内側容器は両
端に開口端を有し、いずれの開口端にもフイルタ
ーが取付けられている。

本発明の反応容器においては、上記した外側容
器と内側容器の容器壁間の空隙に緩衝材６が充填
されている。緩衝材としては、ガラス繊維、炭素
繊維、セラミツク繊維、金属繊維等のほか、ポリ
アミド等の有機繊維が好適に用いられ、これらの
繊維状緩衝材は、通常、綿状で、又は糸束やロー
プ等の繊維束状に外側容器の軸方向に沿つて、内
側容器を取り巻いて装入されるが、しかし、繊維
状緩衝材の形態や充填態様はこれらに限定される
ものではない。この緩衝材は、外側容器内に内側
容器を所定位置に保持すると共に、特に金属繊維
や炭素繊維等のように熱伝導性の高い緩衝材を充
填することにより、内側容器と外側容器との熱伝
導性を高めて、内側容器内の金属水素化物に円滑
迅速に反応を行なわせることができる。また、緩
衝材は発泡体のようなものでもよく、内側容器の
膨張を吸収する弾力性を有すればよい。

一般に金属水素化物は水素を吸蔵する際に体積
が膨張するが、本発明の反応容器によれば、金属
水素化物を充填した内側容器と外側容器との間に
空隙が形成され、更にこの空隙に上記緩衝材が充
填されているので、耐圧外側容器には直接、金属
水素化物の体積変化は伝わらず、しかも、緩衝材
がこの体積変化を吸収緩和するので、耐圧容器に
加わる応力が軽減される。

尚、上記した接続器２は、特に制限されるもの
ではないが、例えば、ねじ方式により外側容器に
取付けられており、常態では閉じているが、図示
しない別の接続器に接続することにより、自動的
に開いて、接続器間に水素管路を形成する接続器
であることが好ましい。このような機能を有する
一対の雌雄型の接続器は既に知られており、市販
されている。

第３図は本発明の金属水素化物反応容器の別の
実施例を示し、第４図は第３図においてＢ−Ｂ線
に沿う断面図である。この実施例においては、外
側容器１内に収容された内側容器３は、一端にの
み開口端４を有し、この開口端にフイルター５が
取付けられている。内側容器内には、水素は透過
するが、金属水素化物を透過しない器壁を有する
多孔質管７が金属水素化物にて支持されつつ、軸
方向に延びて収容され、水素通路を構成してい
る。この多孔質管は、水素のみを透過するよう
に、40〜80％の気孔率を有して、数μの濾過性能
を有すると共に、前記したような金属水素化物の
水素吸蔵時の体積膨張を吸収し得るように、好ま
しくは弾性を備えたポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂多
孔質体より製作されている。多孔質管は図示した
ように、その両端が封止されていてもよいが、一
般に開口端を有し、この開口端がフイルターに気
密的に接続されていてもよい。この実施例におい
ても、外側容器と内側容器との間の空隙には、前
記と同様に緩衝材６が充填されている。

更に必要に応じて、図示したように、多孔質管
内にも繊維材８や金属コイルが挿入されていても
よい。この繊維材としては、前記緩衝材に用いる
繊維材と同じものを好適に用いることができる。
このような繊維材や金属コイルにより、前記した
ような金属水素化物の体積膨張によつても、多孔
質管が圧しつぶされるのを防止することができ
る。

第５図は本発明の反応容器の更に別の実施例を
示し、第６図はＣ−Ｃ線に沿う断面図であり、こ
の実施例においては、第３図に示す実施例におけ
る多孔質管の代わりに、上記したような繊維材が
容器軸方向に沿つて金属水素化物充填層内に敷設
され、水素通路を構成している。

本発明においては、図示したように、内側容器
３の内壁面から半径方向に延びるフイン１０が適
宜数配設されてもよく、これにより内側容器内の
金属水素化物相互及び金属水素化物と内側容器間
の熱伝導性が高められる。

尚、本発明においては、耐圧容器の両端に水素
出入口を設け、各出入口において上記したように
水素の流通を可能にすることができるのはいうま
でもない。

本発明の金属水素化物反応容器によれば、以上
のように、外側耐圧容器と金属水素化物を充填し
た内側容器との間の空隙に緩衝材が充填されてい
るので、金属水素化物と外側容器との間の熱伝導
性が高く、従来の反応容器のように、内側容器内
に金属水素化物を加熱冷却するためのパイプ等の
配設を要せず、従つて、小型の反応容器として使
用するのに好適であるのみならず、内側容器内に
多孔質管又は繊維材を配設して水素通路を構成す
ることにより、内側容器内における水素の通路を
確保して、水素の容器内における流通拡散を容易
にすることができ、従つて、高性能の反応容器と
することができる。

また、本発明の金属水素化物反応容器をその製
作面からみれば、予め金属水素化物を充填した内
側容器を外側耐圧容器に装入すればよく、従来の
ように、微粉状の金属水素化物を容器に充填する
のに手間を要しない。

更に、多孔質管内に繊維材又は金属コイル等を
充填すれば、金属水素化物の水素吸蔵時にも多孔
質管が圧しつぶされないので、常に水素通路を内
側容器内に確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の金属水素化物反応容器を示す
軸方向断面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線に沿う断
面図、第３図は本発明の金属水素化物反応容器の
別の実施例を示す軸方向断面図、第４図は第３図
Ｂ−Ｂ線に沿う断面図、第５図は本発明の金属水
素化物反応容器の更に別の実施例を示す軸方向断
面図、第６図は第５図Ｃ−Ｃ線に沿う断面図であ
る。 １……耐圧外側容器、２……接続器、３……内
側容器、４……開口端、５……フイルター、６…
…緩衝材、７……多孔質管、８，９……繊維材、
１０……フイン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一端に水素出入口を有する外側耐圧容器と、
   少なくとも一端に開口端を有し、この開口端に水
   素は透過するが、金属水素化物は透過しないフイ
   ルターが取付けられ、上記外側容器の器壁との間
   に空隙を有するように外側容器内に収容されてい
   る内側容器と、上記空隙に充填されている緩衝材
   とからなることを特徴とする金属水素化物反応容
   器。