JPS6255006B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、改良されたドリルねじに関する。

ドリルねじ、特にそのドリルチツプの形状は、
これまで様々なものが開発された。しかし、或る
ドリルねじが或る材料には良好に穿孔するのに、
なぜ他の材料では良好な穿孔が行えないのかよく
わかつていない。例えば、簡単な形状の釘の尖端
でも、充分な速度で回転すれば、乾燥壁を貫通す
るが、一方、今までに案出された如何なるドリル
ねじでも、高硬度低合金鋼を満足に穿孔し得なか
つた。

ドリルねじの性能を判定する２つの基本的な基
準は、(1)穿孔するためにねじを押込む端部荷重の
大きさと、(2)穿孔すべき特定の材料をねじが貫通
するために必要とする秒オーダの時間である。作
業者が一時間の中に多数のねじを装着する組立て
ラインでは、所要の端部荷重及び穿孔時間を共に
低減することは個々の作業者にとつても、また経
営陣にとつても有益である。

従つて、本発明の目的は、低い端部荷重でも穿
孔可能なドリルねじを提供することである。

他の目的は、端部荷重が低減し、しかも短時間
で穿孔可能なドリルねじを提供することである。

更に、本発明の目的は、高硬度低合金鋼でも穿
孔可能なドリルねじを提供することである。

本発明の目的は、シヤンクの一端のドリルチツ
プにある直径方向に対向し、且つ該ねじの軸心に
対して互いに反対方向に等しい角度で傾いて延び
る一対の溝が、前記シヤンクの外周から互いに平
行に内方へ延びて切刃を形成する平面と、前記シ
ヤンクの外周から内方へ延びて上記平面に連な
り、逃げ面を形成する曲面とからなり、該曲面は
溝の長手方向と直交した断面でほぼ均等な曲率半
径を有するようにすることにより達成できる。

本発明のドリルねじは、通常の溝削り、尖端形
成用鋸ではなく、好ましくは曲率半径を持つフラ
イスカツタを使用して製造する。カツタによつて
溝は容易に形成でき、再現性も良い。即ち、カツ
タの摩耗による品質の変動が少ないからである。
堅固さに付加される別の利点は、カツタの歯が撓
むことの少ない丈夫な形状を有することである。

本発明のドリルねじの製造の際、溝削り用カツ
タは、ほぼ平行ではあるが喰違つた軸心に沿いね
じブランクのシヤンクに同時に切込む。二つのカ
ツタの回転面は、カツタが平行移動するなら、ブ
ランクの軸心に対し等しいが、反対の鋭角をもつ
て傾いている。この結果、各溝の断面形状はカツ
タの移動方向ないし側面に対応した平面と、カツ
タ歯の輪郭の曲率半径に対応した曲率を有する曲
面とからなるものとなる。

このドリルねじの尖端斜面がなす刃先角は、通
常の90゜や105゜でもよい。又、歯が凹形のカツ
タで尖端斜面を形成し、各尖端斜面が凸形に僅か
に膨らんだ均等な曲率を有する様にしたり、或い
は各尖端斜面を172.5゜の鈍角で交わる内外二つ
の平面で形成し、内側の面の交叉で形成される刃
先角は105゜、外側の面がなす角度は90゜にする
などしてもよい。

本発明のドリルねじは、硬い材料を穿孔する際
に破損する傾向が少ない丈夫な切刃を有してい
る。同時に、チゼルを比較的狭くすることができ
るので、穿孔を行うのに必要な端部荷重は小さく
てもよい。

以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説
明する。

第１〜３図において、１０は本発明の一実施例
のドリルねじ、即ち穿孔機能とねじ立て機能を持
つねじで、１２はそのドリルチツプ、１４はタツ
ピング様のねじ立て部で、ねじ立て部のねじ山は
任意の形状でよい。

ドリルチツプ１２は、米国特許第3933075号に
示されている通常の鋸ではなく、溝削り、尖端形
成共、半径を持つ回転フライスカツタを使用して
形成する。溝削りカツタ（図示せず）はねじ材
（ブランク）の両側に位置し、夫々ねじ材の軸心
に対し反対方向から等しい角度（通常15゜のオー
ダ）で回転面を臨ませる。均等な半径の溝１６，
１８を形成するために、カツタがねじブランクに
切込む前記米国特許第3933075号に示された技法
とは異なり、本発明ではカツタは側面が溝１６，
１８の平面２０，２２（第８図参照）を形成する
ようにブランクに切込む。従つて、各溝１６，１
８は平面２０，２２と、曲率半径を持つ曲面２
４，２６とを有する複合形状である。上記平面１
６，１８は尖端に切刃２８，３０を有し、曲面２
４，２６は逃げ面３２，３４を有する。第３図に
示した様に切刃２８，３０と平行で、ドリルチツ
プの軸心を通る仮想直線Ｌを想定すると、ドリル
ねじの矢印で示した回転方向に対して切刃２８，
３０は仮想直線Ｌよりも進み側にあるので、この
場合を進み型とする。

チゼル３６は尖端斜面３８，４０の交差で形成
され、夫々、切刃２８，３０に関して第３図に示
すごとく30゜のオーダの鋭角をなしている。第２
図、第３図のような切刃２８，３０及び逃げ面３
２，３４の形状は、溝１６，１８の形状と、尖端
斜面３８，４０の形状との合成によつて形成され
る。

溝の実際の形状を示すため、第８図は溝１６の
長手方向に垂直な面である第７図の面８−８に沿
う断面を示す。平面２０は、２つの切刃２８，３
０に平行な前記仮想線Ｌを含む面よりも進み側に
ある。これはねじの軸心に対して溝１６，１８が
傾いているからである。曲面は２４は、これを形
成するフライスカツタの切削面の輪郭の半径に対
応した均等な曲率半径を持つている。線８−８に
沿う面は、溝１８の長手方向に対して垂直であ
り、ドリルねじの軸心に対しては30゜傾斜してい
る。

溝の形状の他の特徴は第６図に示される。シヤ
ンクの円筒形周面に対して二つのフライスカツタ
が交差するため、溝１６，１８には彎曲した穿孔
端縁４２，４４ができる。これは、フライスカツ
タが円形状であることに関連して夫々切刃２８，
３０の近くにスコツプ状の形状を作る。このスコ
ツプ形状はドリルねじが穿孔する孔内にそれ自体
を引込むのに役立ち、これは、このドリルねじの
有利な穿孔性能を示すことになる。

好適実施例として前述のごとく進み型を示した
が、二つのフライスカツタの、第３図で左右から
の突込み深さを減らし、且つ第３図の上下方向へ
該二つのカツタを移動させることにより、遅れ型
も一致型も製造できる。これらの他の実施例を第
９図、第１０図に夫々示す。

第９図は直線の二つの切刃２８，３０が前述の
仮想直線Ｌよりも回転方向に対して遅れた遅れ
型、第１０図は二つの切刃２８，３０が仮想直線
Ｌ上に重なつた一致型である。これらの実施例で
は、溝の曲面３２，３４は切刃２８，３０の一部
を含み、切刃は複合形状をしている。これらの実
施例では穿孔を始めるのに端部荷重で良いよう
に、チゼルの長さを比較的短くすることに重きを
おいている。

第１１図〜第１３図は本発明の更に他の一実施
例を示す。この実施例では、フライス加工した各
溝１６，１８内に浅い凹み１６，４８を溝の長手
方向に設けてある。この凹み４６，４８は切屑を
破砕する特性をドリルねじに持たせる。

従来、ドリルねじに切屑破砕特性を持たせるに
はドリルねじを鋳造するしかないと考えられてい
たが、この実施例のようにすることでフライス加
工で作るドリルねじにも切屑破砕機能を持たせる
ことができるのである。

それには、カツタとして第１３図に５０で示す
ように、外周に有する複数、好ましくは20枚又は
32枚の歯５２の溝１６や１８を加工するための均
等な曲率半径の弧面５４上に、それよりも小さい
半径の弧状断面のリブ５６を設け、これによつて
溝１６，１８と同時に凹み４６，４８を形成すれ
ばよい。そして、溝１６，１８のどの位置に、溝
の長手方向の凹み４６，４８を形成するかに応
じ、カツタの弧面５４上の位置にリブ５６を設け
ればよい。

この実施例のドリルねじは、第１〜３図のもの
と同様な進み型であるが、この切屑破砕用の凹み
は第９図の遅れ型や第１０図の一致型のドリルね
じに設けてもよい。

上述のごとく、ドリルねじ１０の端面形状（第
３図、第９図、第１０図に示されるような）と、
ドリルねじ１０の性能は、ブランクに付加される
特定の尖端に依存して変化する。従つて、或る尖
端は或る材料では他の尖端よりも性能がよいけれ
ど別の材料では劣ることがあり得る。しかしなが
ら、試験の結果、第１〜８図の実施例と、この第
１４Ｃ図に示したようなほぼ凸形の尖端を組合わ
せたものとが、他のものよりも確実に性能が優れ
ていることがわかつた。このほぼ凸形の尖端を形
成するには、溝削り後に凹形の歯を有する第一カ
ツタ（図示せず）で尖端斜面４０を形成するべく
ブランクのほぼ三角形の部分を削り取り、次に、
凹形の歯６０を有する第二カツタ５８で尖端斜面
３８と、チゼル３６とを形成する。従つて、この
場合の尖端斜面は凸状に僅かに膨らむ。

他のほぼ凸形の尖端形状は、第１４Ｄ図に示し
た。この実施例では尖端斜面の各々は鈍角で交わ
る一対の内外の平面６２，６４から成つている。
この実施例のほぼ凸形の尖端は、これもまた上記
鈍角で交わる二つの部分７０，７２を持つ歯６８
を備えた一対のカツタ（その１つを６６で示し
た）で形成する。これらの鈍角は172.5゜である
ことが好ましい。内側の平面６２同志で形成され
る尖端は、外側の平面６４同志がなす角度例えば
90゜よりも15゜大きく、105゜の刃先角を有す
る。勿論90゜（第１４Ａ図）と、105°（第１４
Ｂ図）のような通常の単一の刃先角のドリル尖端
を、このねじに同様に使用してもよく、特定の用
途に対してはそれなりに利点を示す。

上述の開示によつて種々の変更、変形および他
の実施例が当業者であれば容易に行える。例え
ば、第１４Ｃ図のほぼ凸形の尖端は、ブランクの
軸心に対しカツタ５８の軸心を変位することでよ
り小さいか、またはより大きい刃先角とし得る。
更に、本発明のドリルねじは、鋳造で成形しても
よい。従つて、本発明は特許請求の範囲に記載の
技術思想の枠内で設計を種々に変更して実施する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例のドリルねじの側面
図、第２図は第１図の２−２線方向から見た端面
図、第３図は第２図のドリル尖端の拡大図、第４
図は第３図を４−４線方向から見たドリルチツプ
の側面図、第５図は第３図を５−５線方向から見
たドリルチツプの側面図、第６図は第３図を６−
６線方向から見たドリルチツプの側面図、第７図
は第３図を７−７線方向から見たドリルチツプの
側面図、第８図は第７図の８−８線に沿う面での
断面図、第９図は本発明の第２実施例のドリル尖
端の端面図、第１０図は本発明の第３実施例のド
リル尖端の端面図、第１１図は本発明の更に他の
一実施例のドリル尖端の端面図、第１２図は第１
１図を１２−１２線方向から見たドリルチツプの
側面図、第１３図は溝削りフライスカツタをも示
す第１２図の１３−１３線に沿う面での断面図、
第１４Ａ図、第１４Ｂ図、第１４Ｃ図、第１４Ｄ
図は溝を省略した本発明のドリルねじに採用でき
るドリルチツプの種々な尖端斜面による刃先角
と、その加工用カツタを示す側面図で、図中、１
０はドリルねじ、１２はドリルチツプ、１６，１
８は溝、２０，２２は平面、２４，２６は曲面、
２８，３０は切刃、３２，３４は逃げ面、３６は
チゼル、３８，４０は尖端斜面である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ねじのシヤンクの一端にドリルチツプを備
   え、該チツプが、直径方向に対向し、且つ該ねじ
   の軸心に対して互いに反対方向に等しい角度で傾
   いて延びる一対の溝と、先端に一対の尖端斜面と
   を備え、該一対の尖端斜面が交わつてチゼルを形
   成するドリルねじにおいて、 前記各溝が、前記シヤンクの外周から互いに平
   行に内方へ延びて切刃を形成する平面と、前記シ
   ヤンクの外周から内方へ延びて上記平面に連な
   り、逃げ面を形成する曲面とからなり、該曲面は
   溝の長手方向と直交した断面でほぼ均等な曲率半
   径を有することを特徴とするドリルねじ。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のドリルねじにお
   いて、曲面が、前記切刃の一部となつているドリ
   ルねじ。 ３ 特許請求の範囲第１項記載のドリルねじにお
   いて、二つの切刃が、上記両切刃と平行で、且つ
   ねじ軸心を通る直線に沿つて延びているドリルね
   じ。 ４ 特許請求の範囲第１項記載のドリルねじにお
   いて、二つの切刃が、上記両切刃と平行で、且つ
   ねじ軸心を通る直線に対し、ねじの回転方向に見
   て遅れた側にあるドリルねじ。 ５ 特許請求の範囲第１項記載のドリルねじにお
   いて、二つの切刃が、上記両切刃と平行で、且つ
   ねじ軸心を通る直線に対し、ねじの回転方向に見
   て進んだ側にあるドリルねじ。 ６ 特許請求の範囲第３項から第５項のどれか一
   項記載のドリルねじにおいて、二つの尖端斜面の
   なす刃先角が90゜であるドリルねじ。 ７ 特許請求の範囲第３項から第５項のどれか一
   項記載のドリルねじにおいて、二つの尖端斜面の
   なす刃先角が105゜であるドリルねじ。 ８ 特許請求の範囲第３項から第５項のどれか一
   項記載のドリルねじにおいて、二つの尖端斜面の
   夫々が、一対の交わつた内外の面を有するドリル
   ねじ。 ９ 特許請求の範囲第８項記載のドリルねじにお
   いて、チゼルに隣接する内側の平面が105゜の刃
   先角を有し、一方、外側の平面がなす角度は90゜
   であるドリルねじ。 １０ 特許請求の範囲第３項から第５項のどれか
   一項記載のドリルねじにおいて、交差する各尖端
   斜面が凸形に膨らんでいるドリルねじ。 １１ 特許請求の範囲第３項から第５項のどれか
   一項記載のドリルねじにおいて、各溝には溝の長
   手方向に平行で、且つ溝の全長にわたつて延びる
   浅い凹みを有するドリルねじ。