JPS625108Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は洗浄剤、殺菌剤、芳香剤等の薬剤を含
有する水洗トイレ用液体の分配容器に関する。更
に詳しくは、浄水タンクを利用する水洗トイレに
おいて、浄水タンク内の浄水の排水時に上記水洗
トイレ用液体を定量的に吐出することが出来、且
つ溶液洩れのない容器に関する。 近年、水洗トイレの普及は著しく、便器及び排
水管の洗浄、芳香等を目的とした各種商品が市販
されている。その一つとして、例えば、常温固体
のポリエチレングリコールに、界面活性剤、香
料、及び清潔感を付与する為の色素等を配合した
ものが挙げられる。しかしながら、この固型タイ
プのものは、タンク内の洗浄水に浸漬した場合、
該洗浄水への溶解量が、トイレの使用間隔により
左右される。即ち、頻繁にトイレを使用する場合
には溶解量が少なく、他方、使用間隔が長くなる
と溶解量が極端に大きくなつて着色が激しく却つ
て不快感を与えるなどの欠点がある。 この為、最近、かかる目的で液体を定量的に吐
出する容器が提案されている。その例として、特
開昭49−98050号公報が開示する、液体の界面張
力と圧力差を利用するものや、特開昭54−69236
号公報が開示する、浄水の上下により可動するピ
ストン状部品を利用するものが挙げられる。 しかしながら、前者は容器内の液体の減少とと
もに吐出量が変化する欠点を有し、後者は取付け
た状態で放置すると液体が洩れるという欠点があ
る。このほか、液体タイプの容器が各種提案され
ているが、いずれも上記の吐出量の変化（又はバ
ラツキ）又は／及び洩れという欠点を有する。 本考案者は上記欠点のない液体分配容器を得る
べく鋭意研究した結果、本考案を完成したもので
ある。 即ち、本考案は、水洗トイレ用の浄水タンク内
に配され、水洗トイレの使用による該浄水タンク
内の浄水の水面の上下動を利用して、洗浄剤、殺
菌剤、芳香剤等の薬剤を含有する水洗トイレ用液
体を上記浄水に定量的に吐出する水洗トイレ用液
体の分配容器であつて、水洗トイレ用液体貯液
室、該貯液室と液降下管により連通し且つ空気孔
により外気と通じている液溜め室、及び該液溜め
室と逆Ｕ字吐出管により連通する浄水昇降部から
なり、上記液降下管の先端を上記液溜め室におけ
る上記逆Ｕ字吐出管の先端の位置に等しいかもし
くは前記位置より上部に位置させ、且つ上記液溜
め室の上記液降下管と上記逆Ｕ字吐出管との間
に、水洗トイレ用液体を通過可能で且つ上記逆Ｕ
字吐出管から上記液溜め室の水洗トイレ用液体が
吐出された場合に上記逆Ｕ字吐出管側の上記液溜
め室内における液面の降下速度よりも上記液降下
管側の上記液溜め室内における液面の降下速度を
遅延させる仕切板を設けた水洗トイレ用液体の分
配容器を提供するものである。 以下、本考案の水洗トイレ用液体の分配容器
を、図面に示す一実施例について説明する。 第１図は本考案の水洗トイレ用液体の分配容器
一実施例の縦断面図であり、同図において１は水
洗トイレ用液体貯液室、２はその下方の液溜め
室、３は更にその下方に下方を開口させて設けた
浄水昇降部であつて、液溜め室２及び浄水昇降部
３はこの場合吐水部として一体に形成され、液溜
め室２の上縁開口部を貯液室１の下縁開口部に脱
着自在又は脱着不能に水密固定してある。又４は
貯液室１と液溜め室２とを連通する液降下管、５
は液溜め室２と浄水昇降部３を連通する逆Ｕ字吐
出管、６は液溜め室２の側壁上部に開穿した空気
孔である。又９は、液溜め室２の液降下管４と逆
Ｕ字吐出管５との間をを仕切る仕切板で、水洗ト
イレ用液体を通過可能で且つ逆Ｕ字吐出管５から
上記液溜め室２の水洗トイレ用液体が吐出された
場合に逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内における
液面の降下速度よりも液降下管４側の液溜め室２
内における液面の降下速度を遅延させるようにな
してある。 実施例について更に詳述すると、上記液降下管
４の先端８と上記逆Ｕ字吐出管５の一方の先端７
は、上記液溜め室２の略中央よりも若干低い高さ
で上記液溜め室２内にそれぞれ位置させてあり、
本考案においては、上記先端８を上記先端７の位
置に等しいかもしくは上記位置よりも上部に位置
させることが必要で、その差ｂは０〜10mmとする
ことが好ましい。もしこの差ｂが10mm以上ある
と、後述のように逆Ｕ字吐出管５を介して上記液
溜め室２内の水洗トイレ用液体が上記浄水昇降部
３へ吐水される際、上記液溜め室２内の液高が逆
Ｕ字吐出管５の先端７の位置まで下降する前に、
上記水洗トイレ用液体の表面張力にも拘らず、上
記水洗トイレ用液体の液面と上記液降下管４の先
端８との間に空隙が生じ易くなるため、上記貯液
室１から上記液溜め室２内に水洗トイレ用液体が
連続的に供給され、従つて上記逆Ｕ字吐出管５を
介して上記水洗トイレ用液体の連続吐水が行なわ
れる場合があり、好ましくない。そして、この連
続吐出の惧れは、上記水洗トイレ用液体の粘度を
高くした場合でも、上記貯液室１内の上記水洗ト
イレ用液体の残量が少ない場合に生じ易い。一
方、逆に上記先端８を上記先端７よりも低くた場
合は、上記貯液室１から上記液溜め室２への上記
水洗トイレ用液体の供給を、上記逆Ｕ字吐出管５
の先端７から後記浄水の上昇に伴い吐出される気
泡を上記先端８より上記貯液室に導入しその見返
として行なう必要があり、上記気泡を上記先端８
に導入するために上記先端７と上記先端８とを横
方向において気泡を導入可能な範囲に近接させ、
且つそれらの上下方向の差を通常１mm以内としな
ければならず実用に供し得る範囲が非常に狭いこ
と、及び上記気泡の導入にバラツキが生じ易いた
め上記水洗トイレ用液体の吐水量にバラツキが生
じ易いこと等から、このように上記先端８を上記
先端７よりも低く位置させることは好ましくな
い。 又、上記仕切板９は、上記液溜め室２と浄水昇
降部３との間の隔壁に立設してあり、図面中にお
いては逆Ｕ字吐出管の内径よりも小さな穴１０を
その下端部に設けてあるが、要するに、水洗トイ
レ用液体を通過可能で且つ逆Ｕ字吐出管５から上
記液溜め室２の水洗トイレ用液体が吐出された場
合に逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内における液
面の降下速度よりも液降下管４側の液溜め室２内
における液面の降下速度を遅延させるようになし
てあれば良く浸透膜を使用することもできる。 尚、空気孔６は、液溜め室２の側壁の上部に上
記液降下管の先端８よりも高く位置させて開穿し
てあり、本考案の容器を水洗トイレの浄水タンク
に取付ける場合、この位置が上記浄水タンク内の
浄水に没入しない場合には図示の如く直接外気に
開口させて良いが、この位置が上記浄水に没入す
るような場合には、図示してはないが、上記空気
孔６をその外方において上部及び外側部を覆うス
カート部を設け、上記浄水が上記空気孔６を介し
て上記液溜め室２に浸水するのを阻止するように
するのが好ましい。又、上記液降下管４の下端を
斜めに切断すれば、その内径を小さくしても水洗
トイレ用液体を降下させることができる。又同様
に、浄水昇降部３内における逆Ｕ字吐出管５の下
端も斜めに切断することができる。 次に上記構成よりなる水洗トイレ用液体分配容
器の使用態様を第２図及び第３図に基き説明す
る。尚かかる容器の使用に際しては、かかる容器
を、図示してはないが水洗トイレの浄水タンク
（フラツシユタンク）の上縁等にハンガー部品
（図示せず）により吊り下げ、その下端の前記吐
水部を、満水時の浄水水面下に、第２図に示す如
く、少なくとも空気孔６を没入させずに、没入さ
せておくのが好ましい。 第２図は上記浄水タンクの満水時における状態
を示すもので、図面上符号Ａで示す浄水の液面は
浄水昇降部３の略中間に存する。そしてこの状態
において、洗剤、消毒剤、あるいは芳香を有する
液等からなる水洗トイレ用液体は、貯液室１、液
降下管４、液溜め室２、及び毛細管現象により逆
Ｕ字吐出管５の先端７にそれぞれ存する。尚、液
溜め室２内における水洗トイレ用液体の液面は逆
Ｕ字吐出管５の先端７よりも高く位置している。 第２図の状態において浄水の使用（排水）が開
始すると、浄水昇降部３内における浄水液面Ａが
急激に降下し、それに伴い浄水昇降部３内が急激
に減圧されるから、空気孔６の存在及び図示の如
き仕切板９の上端部の連通孔の存在により液溜め
室２内が逆Ｕ字吐出管５側及液降下管４側の何れ
の側においても大気圧下に保たれたまま（上記連
通孔が存しない場合には液溜め室２の逆Ｕ字吐出
管５側にも空気孔を設ければこのようになる）、
逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内の水洗トイレ用
液体が第３図に示す如く逆Ｕ字吐出管５を介して
浄水昇降部３内に極めて迅速に吸引され吐水され
る。この吐水は、サイフオン現象により行われる
のではなく、上述の如き浄水昇降部３内の急激な
減圧による急激な吸引作用により行われるもので
あるから、逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内の水
洗トイレ用液体の液面が第３図に示す如く逆Ｕ字
吐出管５の先端７と一致した時には、終了せず、
先端７よりそ若干低くなつた時、即ち上記吸引作
用が働かなくなつた時に終了し、浄水タンク内の
浄水が浄水昇降部３の下端部よりも降下すると斯
る吸引作用自体も発生しなくなる。そして、この
吐水の際、逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内の水
洗トイレ用液体の液面の降下に伴つて、穴１０を
介し、液降下管４側の液溜め室２内の水洗トイレ
用液体が逆Ｕ字吐出管５側の液溜め室２内に流入
するが、逆Ｕ字吐出管５を介しての液溜め室２内
からの水洗トイレ用液体の吐水は上述の如く極め
て急激に行われ、しかも穴１０は逆Ｕ字吐出管の
内径よりも小さいから、液降下管４側から逆Ｕ字
吐出管５側への斯る水洗トイレ用液体の流入量は
少なく、逆Ｕ字吐出管５の上記の如き吐水の終了
は妨げられない。従つて、逆Ｕ字吐出管５から
は、上記吸引効果による逆Ｕ字吐出管５側の液溜
め室２内の液面降下分だけ実質的に水洗トイレ用
液体が吐水される。又、この吐水に際して、液降
下管４側から逆Ｕ字吐出管５側への水洗トイレ用
液体の流入量は上述の如く少ないから、直ちに液
降下管４の先端８が空気にさらされることがな
く、従つて、貯液室１内の水洗トイレ用液体が液
溜め室２内に直ちに流入することがない。 次いで、液降下管４側の液溜め室２内の水洗ト
イレ用液体が穴１０を介して逆Ｕ字吐出管５側の
液溜め室２内に流入すると、この流入に伴つて、
液降下管４側の液溜め室２内の水洗トイレ用液体
の液面が降下し、上記液降下管４の先端８が空気
にさらされるため、空気孔６を介して該先端８よ
り貯液室１内に空気が流入し、同時に貯液室１内
の水洗トイレ用液体が液溜め室２内に流入して上
記先端８が閉塞され、上記液溜め室２内における
水洗トイレ用液体の液高は第２図の状態に復帰す
る。

【表】 但し、括弧内の％表示は200ml入りの貯液室
（ボトル）１における、残留水洗トイレ用液体の
容積率である。 又、試験No.１及び３では前記吐水部、特に浄水
昇降部３を満水時の浄水に30mm水没させて本考案
容器を設置し、試験No.２及び４では85mm水没させ
て本考案容器を設置した。 又試験に用いた本考案容器の各部の寸法、即
ち、液降下管４の内径ａ、先端８と先端７との差
ｂ、逆Ｕ字吐出管５の内径ｃ、空気孔６の内径
ｄ、及び仕切板９の穴１０の内径ｅの寸法は第２
表に示す通りである。

【表】 叙上の如く、本考案の水洗トイレ用液体の分配
容器によれば、一定量の水洗トイレ用液体を浄水
の排水とともに吐水させることができるという著
しい効果が奏せられる他、取扱いが容易である、
構造が簡単なためコスト安である、浄水排水時に
のみ水洗トイレ用液体を吐水するようになしてあ
るため、水洗トイレ用液体の吐水量が、全体に水
洗トイレ用液体を分散させるタイプのものに較べ
て少なくて済み、経済的である、浄水の満水時、
排水時において容器にかかる水圧変化を利用する
ものではないため貯液室１内の水洗トイレ用液体
の液量の大小に拘らず一定量の水洗トイレ用液体
を吐水させることができる、可動部がないためト
ラブルが極めて少ない、構造上液洩れの惧れが殆
んどない、構造上水圧の影響を受けないため容器
用ハンガー部品の強度及び構造に余り配慮を要し
ない等の効果が奏せられ、その実用的価値は極め
て高いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はその縦断面図、第２図は浄水満水状態における
その縦断面図、第３図は浄水が完全に下降した浄
水排水状態におけるその縦断面図である。 １……水洗トイレ用液体貯液室、２……液溜め
室、３……浄水昇降部、４……液降下管、５……
逆Ｕ字吐出管、６……空気孔、７……逆Ｕ字吐出
管の先端、８……液降下管の先端、９……仕切
板、１０……穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 水洗トイレ用の浄水タンク内に配され、水洗
   トイレの使用による該浄水タンク内の浄水の水
   面の上下動を利用して、洗浄剤、殺菌剤、芳香
   剤等の薬剤を含有する水洗トイレ用液体を上記
   浄水に定量的に吐出する水洗トイレ用液体の分
   配容器であつて、水洗トイレ用液体貯液室、該
   貯液室と液降下管により連通し且つ空気孔によ
   り外気と通じている液溜め室、及び該液溜め室
   と逆Ｕ字吐出管により連通する浄水昇降部から
   なり、且つ上記液降下管の先端を上記液溜め室
   における上記逆Ｕ字管吐出管の先端の位置に等
   しいかもしくは前記位置より上部に位置させ、
   且つ上記液溜め室の上記液降下管と上記逆Ｕ字
   吐出管との間に、水洗トイレ用液体を通過可能
   で且つ上記逆Ｕ字吐出管から上記液溜め室の水
   洗トイレ用液体が吐出された場合に上記逆Ｕ字
   吐出管側の上記液溜め室内における液面の降下
   速度よりも上記液降下管側の上記液溜め室内に
   おける液面の降下速度を遅延させる仕切板を設
   けた、水洗トイレ用液体の分配容器。 (2) 仕切板が水洗トイレ用液体が通過できない板
   の下端部に逆Ｕ字吐出管の内径よりも小さな穴
   を設けてなる、実用新案登録請求の範囲第(1)項
   記載の水洗トイレ用液体の分配容器。