JPS625056Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はダムに設けた取水口に設けて貯水池
の水面に浮遊する塵芥が取水口内に流入すること
を防止する除塵機に関するものである。

このような除塵機として、従来の固定式のもの
は水面上から水底に達する取水口の全面にスクリ
ーンを設けて貯水池の水面が変化しても塵芥が取
水口に吸い込まれないようにしている。

また、取水口の両側にガイドレールを設け、ス
クリーンがこのガイドレールに沿つて昇降するよ
うにし、かつスクリーンにフロートを設けて、ス
クリーンがフロートとともに水面の変化に追従す
るようにした浮動式除塵機もある。

このような除塵機において、下流に設けた水力
発電用の水車を塵芥、木片などから保護するため
にはスクリーンバーのピツチを細かくすればよい
が、細かくするとすぐに目詰りを起して下層水を
吸に込んだり、スクリーンバーに水圧がかかり、
破壊し易くなる。これを防止するため、スクリー
ンバーのピツチを粗くすると、大きな塵芥や木片
がスクリーンを通過して水車に悪影響をおよぼす
などの問題が生ずる。

この考案は上記のような従来の除塵機の問題を
解消することを目的とするものである。

すなわち、この考案は左右のフロート間に横軸
の回りに回動するスクリーンを取付け、前記昇降
スクリーンはフロートと別体にして塵芥のみを水
面上に引上げ得るように構成するとともに、昇降
スクリーンの下部に塵芥かき上げ部を設け、昇降
スクリーンを下降させてフロートと結合させたと
き、この昇降スクリーン自重により前記回動スク
リーンを押して後方へ回動するガイド部材を昇降
スクリーンの下部に設け、同昇降スクリーンを上
昇させたとき回動スクリーンが昇降スクリーンに
かわつて除塵位置に回動するように回動スクリー
ンの重心を設定したものである。

この考案の除塵機は上記の構成であるから、昇
降スクリーンを下降させてフロートと結合させた
状態では昇降スクリーンがフロートとともに水面
の昇降に追従して昇降し、水面上の塵芥等を集塵
して取水口へ塵芥等が流入することを防止する。

また、このとき回動スクリーンは昇降スクリー
ンにより不作用位置に回されているが、昇降スク
リーンを水上へ引上げてフロートから分離する
と、回動スクリーンが自然に回動して除塵位置と
なるから、昇降スクリーンが上昇したあとのフロ
ート間から塵芥が取水口に流入するおそれはな
い。

また、上記のように昇降スクリーンを引上げる
さい、その下端のかき上げ部がスクリーンの前面
の塵芥等をかき上げていくので塵芥の除去が容易
であり、昇降スクリーンを下げたとき、回動スク
リーンの前部の塵芥が昇降スクリーンの前面に回
るので塵芥の取り残しがない。

従つて適宜に昇降スクリーンを引上げることに
より塵芥や木片を簡単に除去できるので昇降スク
リーンや回動スクリーンの網目やスクリーンバー
のピツチを細かくしても塵芥や木片でスクリーン
が目詰りする前に塵芥などが簡単に除去できると
いう特有の効果がある。

以下にこの考案の詳細を添付図面に示す一実施
例に基づいて説明する。

図において、１は貯水池を構成するダムで、２
はダム１の貯水池側に設けた左右の側壁でその間
が取水口３となつている。この取水口には昇降自
在の水門扉あるいはシリンダゲートを設けてその
下端の下流管路へ水を排出するようになつている
が図示は省略してある。

左右の側壁２の前面にはそれぞれ垂直のガイド
レール４を固定する。このガイドレール４は第６
図のようぬに内向きコ字形であり、昇降枠６の後
部両側上下のブラケツト７に取付けたローラ８
が、ガイドレール４内に入り、ローラ８の軸と直
交する軸に取付けたローラ９がガイドレール４の
外側に接触することにより、昇降枠６の離脱を防
止している。また、この枠６はワイヤロープ１０
により吊下げられ、ダム１の上方に設けた操作室
（図示省略）内の巻上機によつてロープ１０を操
作することにより昇降枠を昇降させる。

１２は左右一対の中空円筒状のフロートで、そ
の下端端は連結杆１１により一体に連結され、そ
の後部上下には前記の昇降枠６に取付けたローラ
８，９と同様のローラをガイドレール４に係合さ
せてある。

１３は昇降スクリーンで前記昇降枠６の下端に
固定したものである。この昇降スクリーン１３は
枠に細目のエキスパンドメタル１４を張つたもの
で、その下端は前上方へ屈曲して塵芥のかき上げ
部１５となつている。この昇降スクリーン１３は
左右のフロート１２の間に僅かの間隙を存して入
る巾であり、前記昇降枠６はスクリーン１３より
広い巾で、下降時にその両端がフロート１２の上
端に載るようになつている。

第３図等の１８は回動スクリーンで、角形の枠
の前面（ａ）と側面（ｂ）には第８図のように多
数のスクリーンバー１９を一定のピツチで固定し
たものである。このスクリーン１８は前記昇降ス
クリーン１３と同じ巾となつており、両フロート
１２間に入り、このスクリーン１８とフロート１
２を横軸２１により回動自在に連結している。

この回動スクリーン１８はその前部両端に小型
のフロート２２を有し、両端上部に重錘２３を設
けて、前面（ａ）を前向きにし、水面WLが前面
（ａ）の中間部附近になつた状態で浮ぶようにし
てある。

また、前記昇降スクリーン１３が下降した状態
では回動スクリーン１８は昇降スクリーン１３に
より押し回されて前面（ａ）が下向きとなるよう
に構成するが、昇降スクリーン１３のかき上げ部
１５の下側には昇降時に回動スクリーン１８の上
側に接触する複数のガイド部材２４を設ける。

この考案の除塵機は上記の構成であり、第１図
ないし第３図は昇降スクリーン１３を下げた状態
であつて、このとき、回動スクリーン１８は第３
図合につに昇降スクリーン１３で押されて、その
前面（ａ）が下向きとなつた不作用位置であるか
ら、昇降スクリーン１３が水面WL上の塵芥を補
集する位置となる。

いま、第３図の状態からロープ１０を巻上げて
昇降スクリーン１３を上昇させると、その下端の
かき上げ部１５がスクリーン１３の前面に集まつ
ている塵芥をかき上げて第４図の位置からさらさ
らに上昇する。従つて図示省略してあるダム１の
上方に適宜のデツキを設けてかき上げ部５をこの
デツキ附近まで引き上げ、デツキ上の作業員によ
りかき上げ部１５上の塵芥を回収する。

上記のように昇降スクリーン１３が上昇する
と、このスクリーン１３の押圧により下向きとな
つていた回動スクリーン１８が自由になつて第４
図、第７図、第８図のように前面（ａ）が前向き
にとなる。このときフロート１２に加わる荷重が
軽減されて、フロート１２が若干上昇し、水面
WLが前面（ａ）の中間部となるから、塵芥は前
面（ａ）のスクリーンバー１９により補集され
る。また、スクリーン１８の前面が左右のフロー
ト１２の側面より突出しているが、両側面（ｂ）
のスクリーンバー１９が両側からの塵芥の流入を
防止する。

上昇した昇降スクリーン１３を下降させると、
その下端のガイド部材２４が第５図のように回動
スクリーン１８の前部を押し下げて、これを横軸
２１を中心に回動させながら下降し、第３図の状
態に戻る。このとき回動スクリーン１８の前面
（ａ）に溜つていた塵芥は下降したかき上げ部１
５の上側に回り、かき上げ部１５で水中へ押し込
まれるようなことはない。

そのためには、昇降スクリーン１３が上昇した
位置で、回動スクリーン１８の前面（ａ）がかき
上げ部１５の前縁よりも前に出るようにする必要
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の除塵機の一実施例を示す正
面図、第２図は同上の一部切欠横断平面図、第３
図ないし第５図は各状態の縦断側面図、第６図は
ガイドレール附近の拡大横断平面図、第７図は昇
降スクリーンを上昇させた状態の正面図、第８図
は同上の要部を示す斜視図である。 ３……取水口、１２……フロート、１３……昇
降スクリーン、１５……塵芥かき上げ部、１８…
…回動スクリーン、２４……ガイド部材、ａ……
前面、ｂ……側面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 取水口の前部にフロートによつて水面に追従し
   て昇降する昇降スクリーンを設けた浮動式除塵機
   において、左右のフロート間に横軸の回りに回動
   する回動スクリーンを取付け、前記昇降スクリー
   ンはフロートと別体にして昇降スクリーンのみを
   水面上に引き上げ得るように構成するとともに、
   昇降スクリーンの下部に塵芥かき上げ部を設け、
   昇降スクリーンを降下させてフロートと結合させ
   たとき、この昇降スクリーンの自重により前記回
   動スクリーンを押して後方へ回動するガイド部材
   を昇降スクリーンの下部に設け、同昇降スクリー
   ンを上昇させたとき回動スクリーンが昇降スクリ
   ーンにかわつて除塵位置に回動するように回動ス
   クリーンの重心を設定した回動スクリーン付浮動
   式除塵機。