JPS6249339B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はギターなどの撥弦楽器の巻線弦の外
巻線用材料に関し、外巻線用材料に銀を添加した
黄銅線を用いたことにより、すぐれた品質を得る
ようにしたものである。

周知のように、ギターなどの撥弦楽器の低音用
弦には巻線弦が用いられている。この巻線弦はス
チール線あるいはナイロン線の芯線の周りに外巻
線となる黄銅の細線を巻回して形成されている。
この外巻線には、従来より銅８、亜鉛２の黄銅の
細線が用いられているが、この黄銅の外巻線より
なる巻線弦より得られる音は音の立上がりが不明
確であり、音色が細いという欠点があつた。ま
た、黄銅の外巻線よりなる巻線弦は空気中に放置
しておくと、酸化されて黒褐色に変色して見苦し
いという問題もあつた。

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、
音の立上りが明確で歯切れよく、太い音色が得ら
れ、さらに変色のないギターなどの撥弦楽器の巻
線弦を形成することができる外巻線用材料を提供
することを目的とし、従来より巻線弦の外巻線に
用いられている黄銅に少量の銀を添加したことを
特徴とするものである。

この発明による撥弦楽器の巻線弦の外巻線用材
料は銀0.05〜２重量％、亜鉛15〜25重量％、銅残
部からなる銅合金である。これら成分中銀は前述
の音質の向上、変色の防止に寄与するもので、そ
の添加量が0.05重量％未満であれば上記効果が発
現せず、２重量％を越えると上記効果が頭打ちと
なり、コスト高となり好ましくない。なお、前記
の音質向上効果としては、銀を前記重量％黄銅に
添加することにより得られる合金のヤング率が大
きくなり、弦として振動させたときに高倍音成分
を多く、高音圧レベルで含むようになるためと考
えられる。

次に、この発明の巻線弦の外巻線用材料につい
て実施例によつて説明する。

〔実施例〕

銅80重量％、亜鉛20重量％の黄銅（RBSP₄）に
銀0.1重量％を添加、溶融して、径15mm、長さ300
mmのインゴツトを得た。このインゴツトを焼鈍と
線引きを繰り返えして最終的に直径0.7mmの外巻
線用材料を得た。この線材をギターの第１弦位置
に張り、発音せしめ、音の立上り特性と周波数特
性を調べた。第１図Ａはこの実施例で得られた銀
含有黄銅の線材による音の立上り特性を示すグラ
フ、第１図Ｂは従来の銅80重量％、亜鉛20重量％
の黄銅の線材による音の立上り特性を示すグラフ
で、銀を0.1重量％添加したものでは最大音圧
（グラフでは、約73dB）からの減衰が急激であ
り、これより音の立上りが明確になることが理解
される。第２図Ａはこの実施例で得られた銀含有
黄銅の線材による音の周波数特性を示すグラフ、
第２図Ｂは従来の銅80重量％、亜鉛20重量％の黄
銅の線材による音の周波数特性を示すグラフで、
これより、銀を0.1重量％添加したものは、添加
しないものに比べて２倍音の音圧レベルが非常に
高く、これにより音が太くしまつて聞こえること
がわかる。なお、第２図中、は基音、は２倍
音、は３倍音、は４倍音を示したものであ
る。

また、上記の様にして得られたインゴツトよ
り、厚み５mmの円板を切り出し、表面を鏡面研摩
し、空気中に放置し、表面状態を観察したところ
何んら変化が認められなかつた。一方、銀を添加
していないものでは表面が変色し、曇り、外観が
見苦しくなつた。

以上説明したように、この発明の撥弦楽器の巻
線弦の外巻線用材料は銀0.05〜２重量％、亜鉛15
〜25重量％、銅残部よりなる組成を有しているの
で、この材料より形成された巻線弦により発音さ
れる音は音の立上りが明確になり、音が太く、し
まつて聞こえる。また、この材料よりなる巻線弦
は空気中に放置しても変色せず、いつまでも美し
い外観を保つものである。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａはこの発明の外巻線用材料よりなる単
線弦の音の立上り特性を示すグラフ、第１図Ｂは
従来の黄銅よりなる単線弦の音の立上り特性を示
すグラフ、第２図Ａはこの発明の外巻線用材料よ
りなる単線弦の音の周波数特性を示すグラフ、第
２図Ｂは従来の黄銅よりなる単線弦の音の周波数
特性を示すグラフである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ag 0.05〜２％（重量％、以下同じ） Zn 15〜25％ 残部 Cu からなる組成を有することを特徴とする撥弦楽器
   の巻線弦の外巻線用材料。