JPS6246853Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本件考案はデイーゼルエンジンの燃料噴射ポン
プ、燃料噴射弁に関する考案である。

従来は燃料噴射弁と燃料噴射ポンプが別体で離
れた位置にあり、燃料噴射ポンプで高圧化された
燃料油は高圧管を介して燃料噴射弁に送られてい
た。

しかし高圧管の破裂や継手部の不良、高圧管が
長いことによる噴射時期の遅れ等があり、燃料噴
射ポンプと燃料噴射弁の一体化が望まれていたの
である。

又、最近は特公昭54−26651号公報の如く、燃
料噴射弁に一体的に油圧ポンプ、油圧制御弁、電
磁弁を備えて、燃料噴射弁と燃料噴射ポンプを一
体形に構成したものが公開されているが、この場
合には油圧ポンプを動かす為の高圧油を別のポン
プにて発生し、一体形の燃料噴射弁、燃料噴射ポ
ンプに送付してやる必要があり、従来の装置とは
大して変わらず、油圧プランジヤポンプ、油圧制
御弁、電磁弁が途中に介装されているので噴射量
の電気的制御をすることができるが、製造コスト
は高くついていたのである。

本件考案では油圧制御弁や、プランジヤーポン
プを作動する為のソレノイドは用いずに一体形に
した燃料噴射弁を従来通りカムで駆動し、燃料噴
射弁に直接に高圧燃料を供給すると共に、燃料噴
射時期、噴射量の調節機構をプランジヤーに外嵌
した環状弁に設置して、エンジンの状況に応じた
燃料噴射時期、燃料噴射弁の制御を電気的に容易
に行えるような構成としたものである。

本件考案の目的は以上の通りであり、添付の図
面に示した実施例の構成に基づいて本件考案の構
成を説明すると。

第１図は本件考案の燃料噴射ポンプ一体形燃料
噴射弁とその燃料噴射自動制御系統を示す図面 第２図は燃料噴射ポンプ一体形燃料噴射弁の外
形図 第３図は第２図のＣ−Ｃ断面矢視図 第４図は燃料噴射時期調整作用の説明書 第５図は第４図による燃料噴射時期の説明図で
ある。

燃料噴射ポンプ一体形燃料噴射弁は外側を形成
する部分としてタペツト２とタペツト２が内嵌さ
れたポンプケース５、該ポンプケース５に外嵌螺
装したノズルケース６及びノズルケース６に締付
固定されたノズル７等より成り、燃料油は燃料供
給管１９より、ポンプ室５ａ内に入り、過剰油、
戻り油は燃料戻油管１８より燃料タンクへ戻る。
プランジヤー１はタペツト２の内面に固定板４に
て押し付けられ、スプリング２１が固定板４を押
し付ける役目を果たしている。このタペツト２の
外面に第２図に示すカム３４が接当し、該カム３
４の突出部によつてタペツト２を押し突出部以外
のカム面が接当している場合は、スプリング２１
の力によりタペツト２は突出する。

プランジヤー１は摺動ガイド３に内嵌され、摺
動姿勢を一定する為に、摺動ガイドピン１１がプ
ランジヤー１の溝１ａ内に嵌入されている。次に
摺動ガイド３の回転を阻止する為にポンプケース
５と摺動ガイド３との間に固定ピン３６が挿入さ
れている。これらのストツパーピンにより、プラ
ンジヤーは回転することなく常に同じ姿勢で摺動
する。これはプランジヤーに開口された吸油孔１
ｂを常に同じ位置で摺動させる為である。吸油孔
１ｂは油路１ｃによりバレル１４内の圧油管１４
ａに連通している。

プランジヤー１の連動によつて吐出される高圧
燃料油は、圧力調節ケース１５の肉厚内に穿設さ
れた油飲１５ａを通つてノズル７に至る。ノズル
スプリング１７に抗してバルブを開かせシリンダ
ーヘツド内へ噴射される。ノズルバルブのすき間
より洩れた燃料油は圧力調節室１５ｃから、肉厚
内に穿設された油路１５ｂ、ポンプケース内油路
１５ｄを通つて、燃料戻油管１８よりタンクへ戻
る。

プランジヤー１による燃料油圧送は吸油孔１ｂ
が環状弁１２の内壁で密閉されて摺動する間のみ
行われる。

第１図において吸油孔１ｂが環状弁１の端部１
２ａよりも左側にある場合はカム３４がプランジ
ヤー１を押しても燃料油は吸油孔１ｂより流れ出
てしまい圧送は行われない。同様に吸油孔１ｂか
噴射量調節斜面１２ｂよりも右側に出た場合も圧
油は吸油孔１ｂより洩れてしまい圧送を行わな
い。

結局端部１２ａと噴射量調節斜面１２ｂとの距
離内にある時のみ圧送を行なうのである。

この間の距離を吸油孔１ｂの通過位置において
変化させ、燃料噴射量を調節する為に噴射量調節
斜面を持つた環状弁１２をプランジヤー１の周囲
にピニオン１２ｃとラツク１３の噛合により或る
角度だけ回転する。

第３図に示す如くラツク１３を鉄芯とするソレ
ノイド３８がソレノイド保持体３７に保持してい
る。ソレノイド３８にはマイクロコンピユーター
を内蔵したコントロールボツクス２４より電圧信
号が送られラツク１３の他端に設けたスプリング
に抗してバランスを保ち乍ら、ラツクを磁力によ
り右方へ移動させる。ソレノイド３８への電流が
遮断されるとスプリング３９の力により左端まで
移動し、燃料噴射量を０にして、エンジンを停止
させる。ラツク１３の摺動に伴つてピニオン１２
ｃが回転し、環状弁１２を回動させる。回動角度
は噴射量調節斜面１２ｂの設けられた幅だけでよ
い。

第４図には、環状弁１２とプランジヤー１の拡
大図が示されており、燃料噴射量は端部１２ａと
噴射量調節斜面１２ｂまでの距離。即ちh1→h5
からh1→h6までの間で変化し、h1→h5の時は燃
料送油を０とし、エンジンをストツプさせるべく
吸油孔１ｂの直径とh1→h5の距離と等しいか又
は吸油孔１ｂの直径の方を大にしている。ラツク
１３を摺動し、ピニオン１２ｃを回動させ、プラ
ンジヤー１の吸油孔１ｂに対して噴射量調節斜面
１２ｂをわずかずつ変化させてゆくことにより燃
料噴射量がそれに比例して変化する。

これに対して燃料噴射時期の調節は環状弁１２
の収納されているポンプケース５の環状弁室５ａ
内に設けられた進角ソレノイド９により行われ
る。ソレノイド保持体８に保持されたソレノイド
９の電圧を変化させることにより、鉄芯１０に対
する磁力が変化し、鉄芯スプリング１０ａとバラ
ンスし乍ら鉄芯が第１図の左右へ移動し、該鉄芯
１０と環状弁１２が固定ピン３５で固定されてい
るのでソレノイド９にかけられる電流の強弱によ
り環状弁を左右に摺動させることができる。環状
弁やプランジヤーにソレノイド９の磁力が影響
し、その動きを異常なものとしないようにセラミ
ツク等の非磁性材料にて構成する。

環状弁１２が１２′の位置に左右に摺動される
（第４図においては上下）と、端部１２ａの位置
が、h1からh3に移動し、噴射量調節斜面におい
て吸油孔１ｂが開孔する位置もh2からh4に移動
する。この操作により機関クランク角における噴
射初期、噴射終期がθ１→θ３へ、θ２→θ４へ
変化するのである。このように環状弁１２の回動
操作により燃料噴射量を、摺動操作により噴射時
期の調節が行われるのである。

そしてこの噴射量、噴射時期の調節をエンジン
回転数等の信号により制御することができる。

従来からもガバナー装置によりエンジン回転数
をフイードバツクして燃料噴射量の制御に連動す
ることは行われていたが、本案によればエンジン
回転数の変化により燃料噴射時期の制御も可能と
なつたのである。

即ちデイーゼルエンジンの高速運転時には燃料
油の着火遅れにより実際の燃料の燃焼がクランク
角度からみて、機関低速運転時よりも遅れる傾向
があるが、本考案のようにして、高速運転時には
燃料油の噴射時期を噴射始め、噴射終りとも早め
低速運転時には、全体的に遅らせるようにすれば
最適のタイミングにおいて燃料を燃焼させること
ができるのである。

またエンジン回転数の信号により、噴射量の調
節もソレノイド３８とラツク１３を介して行う
が、それだけではなく、デイーゼルエンジンＡの
各部からエンジン性能を示す信号をセンサーによ
り抽出し、マイクロコンピユーターにより構成さ
れたコントロールボツクス２４にて演算、判断さ
せ、先にマイクロコンピユーターにインプツトし
た最適燃焼データに基づいて、エンジンの各状態
時における最適噴射量、最適噴射位置を決めさ
せ、その信号をソレノイド３８による噴射量調節
装置と、ソレノイド９による噴射量制御装置に送
り、最適燃焼の制御を行わせるものである。

エンジン各部から集める信号のセンサーとして
は負荷トルクセンサー２５潤滑油温センサー２
６、排気エミツシヨンセンサー２７、排気濃度セ
ンサー２８回転数センサー２９等がある。

デイーゼルエンジンＡはシリンダーヘツド部３
２シリンダーブロツク３１、台板３０、フライホ
イール３３等より成りこれらの各部にセンサーが
設けられている。

以上の如く本考案は、燃料噴射ポンプと燃料噴
射弁を一体的に構成し、燃料噴射量及び燃料噴射
時期制御をプランジヤー１の周囲に嵌装した環状
弁１２の回動と上下摺動により行う構成におい
て、噴射時期制御用の進角ソレノイド９を環状弁
室５ａ内にプランジヤー１の外周を囲む円筒状に
配置し、環状弁１２と一体的に構成した鉄心１０
を進角ソレノイド９の内側位置でプランジヤー１
に嵌装して上下摺動させ、また噴射量制御用ソレ
ノイド３８を、環状弁１２の外周のピニオン１２
ｃと噛合したラツク１３の端部に設け、噴射時期
及び噴射量を電子制御できるようにしたので、次
のような効果を奏するものである。

第１に、噴射時期制御用の進角ソレノイド９を
環状弁室５ａ内にプランジヤー１の外周を囲む円
筒状に配置し、環状弁１２と一体的に構成した鉄
心１０を進角ソレノイド９の内側位置でプランジ
ヤー１に嵌装したので、ポンプケースの内部に配
置された環状弁１２の上下摺動を行う為のリンク
やアームを、外部から連動する必要がなくなり、
電気的制御用のコードのみで外部から制御するこ
とができ、燃料噴射ポンプ一体形燃料噴射弁を小
型に構成でき、ポンプケースの密閉が容易と成つ
たのである。

第２に、鉄心１０と環状弁１２を一体的に構成
したので、ポンプケースの環状弁室５ａを大きく
構成せずにすみ、小型に構成することが出来たの
である。

第３に、燃料噴射時期の制御と燃料噴射量の制
御の両方を電気的に制御することができ、センサ
ーの数を多く配置して、該センサーを時期と量の
制御の両方にフイードバツクすることができ、マ
イクロコンピユーターを使用して、比較・演算・
判断を行い、キメ細かい制御を行うことができる
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本件考案の燃料噴射ポンプ一体形燃料
噴射弁とその燃料噴射自動制御系統を示す図面第
２図は燃料噴射ポンプ一体形燃料噴射弁の外形図
第３図は第２図のＣ−Ｃ断面矢視図第４図は燃料
噴射時期調節作用の説明図第５図は第４図による
燃料噴射時期の説明図である。 Ａ……デイーゼル機関、Ｂ……燃料噴射ポンプ
一体形燃料噴射弁、１……プランジヤー、２……
タペツト、３……摺動ガイド、５……ポンプケー
ス、６……ノズルケース、７……ノズル、９……
噴射時期制御用ソレノイド、１２……環状弁、１
４……バレル、１３……ラツク、３８……噴射量
調節用ソレノイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料噴射ポンプと燃料噴射弁を一体的に構成
   し、燃料噴射量及び燃料噴射時期制御をプランジ
   ヤー１の周囲に嵌装した環状弁１２の回動と上下
   摺動により行う構成において、噴射時期制御用の
   進角ソレノイド９を環状弁室５ａ内にプランジヤ
   ー１の外周を囲む円筒状に配置し、環状弁１２と
   一体的に構成した鉄心１０を進角ソレノイド９の
   内側位置でプランジヤー１に嵌装して上下摺動さ
   せ、また噴射量制御用ソレノイド３８を、環状弁
   １２の外周のピニオン１２ｃと噛合したラツク１
   ３の端部に設け、噴射時期及び噴射量を電子制御
   できるようにしたことを特徴とする燃料噴射ポン
   プ一体形燃料噴射弁。