JPS6245825Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、被溶接物を溶接した後に、これを次
の工程に搬送するために、複数の搬送装置へ交互
に振り分けて送り込む溶接機用エジエクタ装置に
関する。

たとえば、自動車のガソリンタンクやラジエタ
などは、タンクの胴周辺に平面的に形成されたフ
ランジ部を、スポツト溶接にて仮付けをした後、
これをシーム溶接機に送り込んでフランジ部全周
を自動的に倣いながらシーム溶接して製造するの
が一般的な製法である。

従来、この作業を全自動で行なう場合は、ライ
ン上空にトランスフア装置を走らせ、仮付け工程
から本溶接工程まで、ワークの搬入、搬出は、ラ
イン上空からトランスフア装置で行なつてきた。

しかし、従来の場合は、実用上、大がかりな設
備となり、経済的負担や工場内の専有床面積など
多くの問題を派生し、今日のように省力、自動
化、省スペースといつた合理化システムに対応す
るためにはまだ改善すべき多くの問題を有してい
た。

本考案は、自動車のガソリンタンクなどを連続
的作業によつて大量生産する場合に一段と実用的
かつ経済的設備の実現を目的とするものである。

すなわち、本考案は、溶接機に特殊なエジエク
ト機構を組込むことによつて、従来のような大が
かりなトランスフア装置や高価な産業用ロボツト
などを使わずに、複数の製造ラインへ、溶接後の
ワークを交互に振り分け供給することができる溶
接機用エジエクタを提供する。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は、本考案装置をガソリンタンクの二連
の製造ラインに応用した場合のライン構成を示す
平面図である。第２図は、その正面図である。第
３図及び第４図は本考案にかかるエジエクタ装置
の具体的な構造を示すものである。

符号１は溶接機のテーブル本体で、キヤスタ２
によつて自在に動くようになつている。３はエジ
エクタ装置である。４は上板で、被溶接物Ｗを受
け支えるものである。５は昇降用シリンダで、こ
れは上板４を上下動させるためのもので、本体１
の上部に垂直に固定されている。６は昇降用シリ
ンダ５のピストンロツド５ａに固定された支持
板、７はガイドロツドで、支持板６の下面に垂直
に固定され、かつ本体１に固定の円筒脚体８の中
を貫通して案内される。９は、振り分け用のシリ
ンダで、支持板６の上面に取付けられている。１
０は固定軸で、昇降用シリンダ５の中心軸線イ−
イと同一線上において固定されている。１１は円
筒回転体で、固定軸１０を中心に回転するよう
に、振り分け用シリンダ９のピストンロツド９ａ
と上板４とに連結されていて、タンクＷを水平方
向に所定の回転角度（θ）で廻すことができるよ
うになつている。１２は円筒回転体１１に固定さ
れた支持杆で、その先端は上板４の前部に遊着さ
れている。１３は昇降用ミニシリンダで、これは
上板４を上昇させた後、水平面に対し前方を低く
なるように傾斜させて、タンクを上板から自重で
すべり落とすためのもので、このシリンダ本体は
円筒回転体１１に固定されたブラケツト１４によ
つて支持されていて、ピストンロツド１３ａは上
板４の後部に遊着されている。１５はスポツト溶
接ガンで、タンクのフランジ部を仮付け溶接する
ためのもので、本体１のテーブルに必要台数配置
されている。１６は上板４の上にセツトしたタン
クＷを動かないように固定するためのクランプ装
置である。

１７，１８は案内コロ１７ａを多数配列させ、
かつ両側にガイドローラ１７ｂを多数配列させた
搬送装置で、タンクの自重を利用して送り出すた
めに前方を低く傾斜させたもので、上下調節自在
の脚体１７ｃによつて支持されている。１９はシ
ーム溶接機で、アイアンマンなどの溶接線倣い治
具２０を備えたもので、搬送装置１７から送られ
てくるタンクのフランジ部全周をシーム溶接す
る。なお、図面上省略したが上記の治具２０内に
もエジエクタ装置３が配置されている。

次に、本考案の動作を説明する。

まずエジエクタ装置３をラインＡに向けた状態
で下降させ、上板４の上にタンクＷを乗せ、これ
をクランプ装置１６でクランプ保持する。次いで
昇降用シリンダ５を作動し、わずかに上板４を上
昇させてタンクのフランジ部を溶接位置に合わせ
る。そして溶接ガン１５を動作し、フランジ部の
仮付け溶接を行なう。

タンクの仮付け溶接が終り、溶接ガン１５及び
クランプ装置１６が開放すると、上板４はさらに
昇降用シリンダ５によつて一段高く押し上げられ
る。こうして、水平状態に押し上げられたタンク
は、第２図及び第４図の二点鎖線で示すように、
次の昇降用ミニシリンダ１３の動作により上板４
の後部が押し上げられ、上板４の傾斜面から自重
ですべり落ち、搬送装置１７の案内コロ１７ａの
上に送られる。そして搬送装置１７の上シーム溶
接機１９の溶接線倣い治具２０へ自動的に送り込
まれると、自動的に溶接が開始する。

この間、エジエクタ装置３は再び次の操作に入
るため、上板４を元に戻して次のタンクのセツト
を待つ、そして上記の作業順序で仮付けを終えた
タンクは別のラインＢへ振り分けられるが、この
振り分け動作は、振り分け用のシリンダ９を作動
して円筒回転体１１を所定の回転角度（θ）まで
回転すれば、上板４が一緒に回転し、タンクは別
のラインＢ方向に振り向く。そして上記と同じよ
うに上板４を傾斜させてタンクを搬送装置１７に
送り込み、次の工程で同じようにシーム溶接が行
なわれる。シーム溶接が完了すると、タンクはエ
ジエクタ装置によつて次の搬送装置へ送り込まれ
る。

このように、タンクの仮付け溶接を行ないなが
ら、次々と明いている搬送装置へ振り分けて送り
込むことができるので、全自動化ライン設備を合
理化することができることになる。

なお、本実施例では、二方向へのラインへ振り
分ける場合のエジエクタ装置について述べたがこ
れに限定されず、振り分け用シリンダのストロー
ク操作によつて二以上の方向へ任意に振り分ける
ことができる。

以上、説明したように、本考案によれば、たと
えば自動車のガソリンタンクのような量産ものを
連続作業によつて製造する場合に、タンクを仮付
け溶接した後、これをエジエクタ装置によつて複
数のラインへ自動放出したいときに、溶接機のテ
ーブル本体にエジエクタ装置を組み込み、該エジ
エクタ装置のタンクを受け支える上板は、垂直方
向に昇降運動を与えられるように、上記本体に固
定された昇降手段を有し、かつ前方に向かつて低
くなるように傾斜させるための、上記昇降手段と
は別の昇降手段を備えており、しかも上記の上板
を必要回転角度をもつて旋回可能に構成したか
ら、従来のような大がかりなトランスフア装置を
使用せずに、被溶接物を複数の製造ライン方向へ
交互に送り込むことができるので、稼動率を上げ
ると共に、省力、自動化にも実用的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案にかかる装置を自動車用ガソ
リンタンクの製造ラインに応用した場合の実施例
を示す平面図、第２図は同じく正面図、第３図は
本考案にかかるエジエクタ装置の具体的な構造を
示す平面図、第４図は同じく動作を含む正面図で
ある。 符号の説明、１……溶接機本体、３……エジエ
クタ装置、４……上板、５……昇降用シリンダ、
９……振り分け用シリンダ、１０……固定軸、１
１……円筒回転体、１３……昇降用ミニシリン
ダ、Ｗ……タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被溶接物を溶接した後、これをエジエクタ装置
   によつて自動的に放出する溶接機であつて、該溶
   接機のテーブル本体と、該本体の上で被溶接物を
   受け支える上板とを有し、上記の上板は垂直方向
   に昇降運動を与えられるように、上記本体に固定
   された昇降手段を有し、かつ前方に向かつて低く
   なるように傾斜させるための、上記昇降手段とは
   別の昇降手段を持つエジエクタ装置において、さ
   らに上記の上板を水平面内で旋回可能に構成した
   ことを特徴とする溶接機用エジエクタ装置。