JPS6245685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、照明変化に対する目の網膜中の錐体
細胞の暗順応時間を測定するための暗順応時間検
査装置に関するものである。

人間の眼を或る一定の輝度の光に順応しておい
て、急にその順応光を零にすると一旦低下してい
た視覚系の感度は徐々に増加してゆく。この増加
率は個人差、疲労度等によつて異なり、或る種の
職業、例えば鉄道の運転員などではその適性を検
査する場合にこの暗順応時間の測定を必要とす
る。

従来から実施されている暗順応時間検査におい
ては、検査者、被検査者は共に完全暗室の中に入
り検査を行わなければならない。そのために特別
の設備が必要となり、実際の作業現場等における
実作業時での検査は殆ど不可能である。

本考案の目的は、上述の欠点を解消し、暗室等
の特別な設備を要することなく、通常の明るさの
部屋においても検査を可能とする暗順応時間検査
装置を提供することにあり、その要旨は、積分球
から成る球状暗箱の対向位置に覗き窓と光透過孔
とを設け、前記球状暗箱内に明順応用光源を備え
た明順応用光源部を内蔵し、前記光透過孔の後部
に暗順応用光源を備えた暗順応用光源部を配置
し、該暗順応用光源部には前記暗順応用光源から
の光量を段階的に調節する機構と光量を連続的に
調節する機構とを設け、被検者のスイツチ操作を
基に暗順応時間を自動測定する機構を設けたこと
を特徴とするものである。

本考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図は暗順応時間検査装置の一部を切り欠い
た断面図であり、基台１の上に内面に白色塗料を
塗布した積分球から成る球状暗箱２が載置されて
いる。この球状暗箱２の前側部には覗き窓３が設
けられており、この覗き窓３には接眼したときに
計測制御回路が自動的にオンされる図示しないス
イツチが設けられ、更に球状暗箱２内に外光が入
射しないように覗き窓３の周囲には遮光性クツシ
ヨン４が設けられている。また、覗き窓３の反対
側の球状暗箱２には光透過孔５が設けられてい
て、その後側部には暗順応用光源部６が配置され
ている。この光源部６に内設された暗順応用電球
７の前には、光透過孔５側から順次に回転円盤８
及び２枚の偏光フイルタ９ａ，９ｂが設けられて
おり、偏光フイルタ９ａ，９ｂの回転角の組合わ
せにより暗順応用電球７から回転円盤８に達する
光量は適当に調整できるようになつている。回転
円盤８は光をそのまま透過させるための扇型の切
込部を有すると共に、偏光フイルタ９ａ，９ｂか
らの透過光量を一定の割合で増減させる光透過率
の異なる複数個の、例えば３個のフイルタ１０
ａ，１０ｂ，１０ｃが設けられており、回転円盤
８を回転させて任意のフイルタを選択することに
より、段階的に光量を増減できるようにされてい
る。また、球状暗箱２の内部には明順応用電球１
１が設けられており、球状暗箱２の外側には握り
部１２が取付けられていて、その一部に指で押圧
する押釦スイツチ１３が付設されている。更に、
基台１の中には計測制御回路が内蔵されていて、
回転円盤８の回転制御や押釦スイツチ１３による
入力信号に従つて暗順応時間を計測するようにな
つている。

本考案に係る実施例は上述の構成を有するの
で、被検査者が覗き窓３から球状暗箱２の内部を
覗き込むと、明順応用電球１１が点灯し網膜中の
錐体細胞を明順応用させ、一定時間経過後に明順
応用電球１１を消灯し、光透過孔５を介して暗順
応用電球７を視認する時間を計測するようになつ
ている。この視認を被検査者が押釦スイツチ１３
により応答することによつて、明順応時間が計測
制御回路において測定される。この測定に際して
は、暗順応用電球７の光量を偏光フイルタ９ａ，
９ｂの回転角の組合わせにより適宜調整した上
で、回転円盤８を回転させることによりフイルタ
１０ａ，１０ｂ，１０ｃを順次選択して、段階的
に暗順応用電球７からの光量を調整しながら計測
を行うことになる。

このように本考案に係る暗順応時間検査装置
は、小型の球状暗箱を用いてこの球状暗箱に接眼
することにより暗室効果が得られ、従来のように
測定の度毎に暗室設備を備えた測定室へ出向く必
要がなくなり、日常の作業現場において暗順応時
間を測定することが可能となる。また、作業の性
格に応じて必要な暗順応光の輝度を、フイルタ或
いは偏光フイルタによつて容易に調整することが
できる。更に、暗箱として積分球から成る球状暗
箱を用いているため、視野内の明るさを均一にす
ることができ、被検眼の網膜上の光刺激が均一と
なつて正確な測定を行うことができる。また、暗
順応時間は被検者のスイツチ反応に基づいて自動
的に測定され、かつそのまま表示されるようにな
つているため、操作も著しく容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る暗順応時間検査装置の一実
施例を示し、第１図はその一部を切り欠いた断面
図、第２図は暗順応用光源部の正面図である。 符号１は基台、２は球状暗箱、３は覗き窓、５
は光透過孔、６は暗順応光源部、７は暗順応用電
球、８は回転円盤、９ａ，９ｂは偏光フイルタ、
１０ａ，１０ｂ，１０ｃはフイルタ、１１は明順
応用電球、１３は押釦スイツチである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 積分球から成る球状暗箱の対向位置に覗き窓
   と光透過孔とを設け、前記球状暗箱内に明順応
   用光源を備えた明順応用光源部を内蔵し、前記
   光透過孔の後部に暗順応用光源を備えた暗順応
   用光源部を配置し、該暗順応用光源部には前記
   暗順応用光源からの光量を段階的に調節する機
   構と光量を連続的に調節する機構とを設け、被
   検者のスイツチ操作を基に暗順応時間を自動測
   定する機構を設けたことを特徴とする暗順応時
   間検査装置。 ２ 前記光量を段階的に調節する機構は複数個の
   光透過率の異なるフイルタを有する回転円盤と
   した実用新案登録請求の範囲第１項に記載の暗
   順応時間検査装置。 ３ 前記光量を連続的に調節する機構は１組の偏
   光フイルタとした実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の暗順応時間検査装置。