JPS6242365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はガス検知装置に関する。

都市ガスの漏れ、冷房機の冷媒ガスの漏れ、そ
の他諸ガスの発生があつた場合、それらのガスを
定量的に検知するガス警報装置には諸形式のもの
があり、既に市販されている。これらのガス警報
装置は測定位置でガス濃度が所定のレベルに達す
ると警報を発するものであるが、ガスを定量的に
測定する関係上所定のレベルに達しない微少なガ
スは測定範囲外のものとして無視するか測定不可
能なものとして取扱われているのが現状である。

しかし、ガスパイプのジヨインのようなところ
から数ppm乃至数十ppmのオーダの微少なガス
でもガス漏れがないかどうかを検知する必要性が
しばしばある。このような場合、ガスを定量的に
測定しようとするならば測定位置の雰囲気の影響
を受け、現実にはガス漏れがないのにガスを検知
しているような表示を与えたり、その逆に微少な
ガスがあるにもかゝわらず検知できない事態が生
ずる。

かゝる問題を解決するために本出願人は本出願
と同日付けの他の出願でガス検出場所の雰囲気の
条件に追随してガス検出の基準点となるゼロレベ
ルを浮動させ微少なガスの存在を検知するガス検
知装置を提案している。かゝるガス検知装置を用
いるとガス検出場所の雰囲気の条件に影響を受け
ず微少なガスを検知することができるが、この装
置を用いて短時間のうち繰返しガスの検出を行う
場合、現存の測定結果が前回の測定結果に重畳さ
れ、結果として基準点となるゼロレベルが上昇す
る場合がある。例えば含弗素炭化水素ガスのよう
な脱着され難いガスがその一例である。このゼロ
レベルが上昇したことにより同一ガス濃度に対す
るセンサ出力が相対的に低下するため検知レベル
を安定に保つことが困難となる。

従つて、本考案はガス検出場所の雰囲気の条件
に追随してガス検出の基準点となるゼロレベルを
浮動させ微少なガスの存在を検知すると共にガス
が検出されるとガスセンサへのガスの吸脱着を早
やめてガスに対する感度を安定化させ応答特性を
改善したガス検知装置を提供しようとするもので
ある。

以下本考案を図面に示した一実施例について説
明する。

第１図は本考案に係るガス検知装置の一実施例
をブロツク図で示す。ガス検知装置は半導体ガス
センサのようなガスセンサ１０を含み、このガス
センサには定電圧回路１１を通して電源電池１２
より電力が供給される。

ガスセンサ１０は、周知のようにまた第２図に
関連して述べる如く、ガスが接触すると、センサ
抵抗が減少し、その出力電圧が上昇する。従つ
て、ガスセンサの出力電圧はガス濃度の関数であ
り、その上昇電圧は微分回路１３に与えられる。
微分回路１３は上昇電圧の変化分を検出し、これ
を出力信号として電圧増幅器１４に与えて電圧増
幅する。増幅された出力信号は電圧比較器１５に
印加される。

電圧比較器１５には定電圧回路１１から定電圧
が供給されており、この定電圧から基準電圧を発
生して、その基準電圧と、電圧増幅器１４から入
力された電圧信号とを比較する。そして、電圧信
号が基準電圧と等しいかそれを越える場合には、
電圧比較器１５より出力を発生しこれを表示器１
６に印加する。

表示器１６は電圧比較器１５からの信号に応動
してガスセンサがガスを検知したことを表示す
る。表示器１６はいかなる形式の表示装置でもよ
い。実施例では表示器を複数のLED素子により
構成し、視覚表示を与えるようになつているが、
これについては第２図に関連して説明する。

第１図に示すように、表示器１６には電源電池
１２より電圧が供給され、その間に電池電圧低下
警報回路１７が挿入されている。この警報回路は
電源電池１２が消耗してその出力電圧が所定のレ
ベル以下になつたときに表示器１６に指令を与え
るようになつている。指令の一例として表示器を
点滅する方法をとつているが、警報の指令を与え
ること自体本考案には必須のことではないのでこ
れ以上の説明は差控える。

叙上のような構成によると、ガスセンサ１０で
ガスを検出すると出力電圧を発生し、その出力電
圧は微分回路１３で時間に関して微分される。従
つて、出力信号は直流電圧成分を含んでおらず、
常に直流電圧ゼロレベルからの応答が得られる。
このことはガス検出位置の雰囲気が時間的に変化
しても、その変化が急激でない限り、雰囲気の条
件に応じてガス検出の基準となるゼロレベルがシ
フトし、常に検出雰囲気の条件に追随したガスの
検知が行えることを意味する。そのためガス漏れ
が発生している個所に検知装置を近づけたときは
ガス濃度が微少でも変化が急激になりゼロレベル
とは明確に区別でき安定してガス検知が行える。

本考案によると、第１図に示すように、電圧比
較器１５の出力から定電圧回路１１に接続がなさ
れている。この回路によつて、電圧比較器１５の
出力に所定の信号が生ずると定電圧回路１１の出
力電圧を昇圧し、従つて昇圧した電圧がガスセン
サ１０に供給される。ガスセンサに供給される電
圧が昇圧するとガスセンサがどのように動作する
かは第２図に関連して詳述する。

第１図に示した本考案の装置の実施例を一部回
路化したものを第２図に示す。第２図の構成部分
が第１図のものと同一の場合には同一符号を用い
て示されている。

第１図に関して述べた如く、電源電池１２から
定電圧回路１１を通して定電圧がガスセンサ１０
に供給される。定電圧回路１１は周知の回路を用
いることができ、ガスセンサ１０の両端子に定電
圧を加えている。

定電圧回路１１は電圧の変動を検出する電圧検
出部としてポテンシオメータＰ、調整抵抗R₁₀、
トランジスタT₁の温度補償用ダイオードD₁₀を直
列に接続した回路を有し、ポテンシオメータＰの
中間タツプに電圧比較用のトランジスタT₁のベ
ースが接続されている。トランジスタT₁のエミ
ツタには基準電圧電源を構成するツエナーダイオ
ードＺ_Dが接続され、比較用の基準電圧を設定し
ている。トランジスタT₁のコレクタには制御用
のトランジスタT₂が接続され、そのコレクタ電
流によつてトランジスタT₂のエミツタ−コレク
タに流れる電流を制御し、コンデンサC₁₀の両端
子間の電圧を安定化している。

定電圧回路１１の定電圧出力はガスセンサ１０
に供給される。

ガスセンサ１０は酸化物半導体ガスセンサより
なるものとして図示されており、これはガスの吸
脱着に従い抵抗が変化する半導体素子Ｓと、この
半導体素子を加熱するヒータＨからなつている。
そして、ヒータＨには定電圧回路１１から定電圧
が印加されており、ヒータが一定に加熱するよう
になつている。また、半導体素子Ｓには定電圧回
路１１からバイアス電圧が与えられている。

いま、ガスセンサ１０の半導体素子Ｓがガスが
接触すると、その抵抗が減少して、半導体素子に
接続された負荷抵抗Ｒ_Lの電圧が上昇する。この
上昇電圧は第１図に関して説明した如く微分回路
１３により時間に関して微分される。

微分回路１３はコンデンサＣ_Tと抵抗Ｒ_Tよりな
り、これらに逆流阻止用のダイオードD₁とD₂が
結合されている。かゝる微分回路で負荷抵抗Ｒ_L
の上昇電圧を微分することによつて上昇電圧の変
化分を検出することになる。この微分出力はボル
テージホロワを構成する演算増幅器A₁に加えら
れる。

演算増幅器A₁の出力は電圧増幅器（第１図の
１４）に加えられる。この電圧増幅器は演算増幅
器A₂を含み、その非反転入力端子に入力抵抗R₅
を介して微分回路１３の出力信号が与えられる。
一方、定電圧回路１１より供給された電圧をゼロ
電圧調整用可変抵抗VR₁で分圧し、抵抗R₁と抵抗
R₂の抵抗比によつて得られるゼロ補償電圧を演
算増幅器A₂の反転入力端子に供給する。かゝる
構成によつて演算増幅器A₁のオフセツト電圧と
バイアス電流による抵抗Ｒ_Tの電圧降下分を補償
している。

また、演算増幅器A₂の出力電圧を抵抗R₇と抵
抗R₆で分圧し、その電圧を抵抗R₄を介して反転
入力端子に負帰還する。このようにすると、出力
電圧は常に演算増幅器A₂のオフセツト電圧のみ
でゼロ補償することが、従つて電圧増幅器では微
分信号電圧のみ増幅することができる。

電圧増幅器１４の出力電圧信号は電圧比較器１
５に入力される。一方、この電圧比較器１５には
電源電池１２より電源電圧が供給され、更に定電
圧回路１１より抵抗R₈，R₉を通して安定化した
電圧が供給される。電圧比較器１５ではこの安定
化電圧を複数のステツプ、図示の実施例では９ス
テツプにステツプ化して９の基準電圧を発生して
いる。これらのステツプ化した各基準電圧と、電
圧増幅器１４から入力された電圧信号とが比較さ
れ、入力電圧信号が各基準電圧以上であると、そ
れらの基準電圧のレベルに対応する出力端子１〜
９に出力信号を生ずる。そして、それらの出力信
号は表示器１６の対応した入力端子１〜９に印加
される。

表示器１６は、図示されていないけれども実施
例では10個の発光ダイオードLEDを縦列に配置
し、各LEDが入力端子１〜９に夫々接続され、
LEDによるレベルメータの形式をとつている。
例えば、電圧比較器１５の出力端子１〜６に出力
信号が生ずると、表示器１６の入力端子１〜６に
接続された６個のLEDが発光し、相応のガスが
検出されたことを表示する。勿論、ガスセンサ１
０が濃度の高いガスを検出すると、表示器１６の
全LEDが発光するから、その場合ガス濃度を正
確に知ることは出来ないが、本考案の装置はガス
を定量的に測定するというよりも微少なガス漏れ
の存在を検知することにあるからその目的は能く
達成できるものである。

表示器１６の最左端の入力端子０は電池電圧低
下警報回路１７に接続され、通常はその入力端子
に接続されたLEDを発光して電源が正常に動作
していることを表示する。ところが、電源電池１
２の電圧が許容範囲を越えて低下すると電池電圧
低下警報回路１７が働き、表示器１６の入力端子
０に接続されたLEDを点滅して電源電圧の低下
を警報する。

本考案によると、第１図に関連して述べた如
く、電圧比較器１５から定電圧回路１１に接続が
なされ、指令信号により定電圧回路の出力電圧を
昇圧するようになつている。詳述すると、電圧比
較器１５の出力、図示実施例では第５番目の出力
端子５から定電圧回路１１に接続路が設けられ、
トランジスタTr₃のベースに接続されている。こ
のトランジスタTr₃のコレクタとエミツタは調整
抵抗R₁₀の両端に接続されている。

今、ガスセンサ１０がガスを検出して電圧比較
器１５の出力端子５に出力信号を生ずると、この
出力信号は表示器１６の入力端子５に送られ関連
したLEDを発光する一方、定電圧回路のトラン
ジスタTr₃のベースに印加される。その結果、今
までオフ状態にあつたトランジスタTr₃はオンし
調整抵抗R₁₀の両端を短絡する。従つて、トラン
ジスタTr₁のベースに大きな電流が流れる結果、
制御用トランジスタTr₂を深くバイアスしそのエ
ミツタ−コレクタに流れる電流が大きくなり定電
圧回路の出力電圧を昇圧する。

昇圧された電圧は半導体ガスセンサのヒータＨ
の加熱電流を増大するため、半導体素子Ｓの抵抗
値が減少するためガス信号と同一方向に出力電圧
が変化すると共にガスの吸脱着を促進する。従つ
て、負荷抵抗Ｒ_Lに大きな電圧を生じる結果、微
分回路１３の出力電圧も高くなり、これに伴い表
示器１６の各LEDは全て発光することになる。

これとは逆に、ガスセンサの検出ガスがなくな
るか所定レベル以下になると電圧比較器１５の出
力信号はなくなり、従つて定電圧回路１１のトラ
ンジスタTr₃をオフにする。その結果、定電圧回
路１１の出力電圧は低下するためガスセンサのヒ
ータＨに流れる電流が減少する。そのためガスセ
ンサの半導体素子Ｓの抵抗値は増大しガス信号と
逆方向に出力信号が変化し、表示器１６は電源用
のLED（入力端子０に関連したLED）を除き全
て発光を停止すると共に次のガス検知に備える。

従つて本考案によると、ガス検出場所の雰囲気
の条件に追随して検出基準点となるゼロレベルが
浮動的に設定されることになり、ガス検出の不安
定要素を除去することができ、雰囲気の条件が変
動しても常にゼロレベルからの応答が得られ、更
にガスセンサのガスの吸脱着を急激に促進してガ
スの応答特性を良好なものとすることができる。
また、ガスの検出を短時間に繰返し行つてもガス
感度を安定に保つて所期の目的が達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のガス検知装置の一実施例を示
すブロツク図、第２図は第１図の実施例を具体化
した要部回路図である。 主要部分の符号の説明、ガスセンサ……１０、
微分回路……１３、電圧比較器……１５、表示器
……１６、定電圧回路……１１、スイツチ素子…
…Tr₃。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ガスが接触すると抵抗が変化する半導体ガス
   センサと、該ガスセンサに定電圧を供給する定
   電圧回路と、該半導体ガスセンサの抵抗変化に
   より発生する電圧を微分する微分回路と、該微
   分回路の微分出力を増幅する電圧増幅器と、該
   電圧増幅器の出力電圧を基準電圧と比較する電
   圧比較器と、該電圧比較器の出力信号によつて
   ガスが検出されたことを表示する表示器と、か
   らなり、前記電圧比較器の出力信号が所定のレ
   ベルに達したときに前記定電圧回路に指令信号
   を送ることによつて定電圧回路の出力電圧を上
   昇することを特徴とするガス検知装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の装置に
   おいて、 電圧比較器は電圧増幅器の出力電圧を所定の
   電圧ステツプにステツプ化した複数の基準電圧
   と比較して電圧増幅器の出力電圧が基準電圧以
   上となる各基準電圧に関連した出力端子に出力
   信号を発生することを特徴とするガス検知装
   置。 (3) 実用新案登録請求の範囲第(2)項記載の装置に
   おいて、表示器は複数の発光素子を一列に配列
   してなり、電圧比較器の出力端子に生じた出力
   信号に応じて対応する発光素子をレベルメータ
   形式で発光させることを特徴とするガス検知装
   置。 (4) 実用新案登録請求の範囲第(2)項又は第(3)項記
   載の装置において、 電圧比較器の特定の出力端子を定電圧回路の
   電圧検出部に接続し、特定の出力端子に出力信
   号が発生したときに定電圧回路の出力電圧を上
   昇せしめることを特徴とするガス検知装置。 (5) 実用新案登録請求の範囲第(4)項記載の装置に
   おいて、 定電圧回路の電圧検出部に調整抵抗を設け、
   該調整抵抗にまたがつてスイツチ素子を接続
   し、該スイツチ素子を電圧比較器の特定の出力
   端子からの出力信号によつて導通制御すること
   を特徴とするガス検知装置。 (6) 実用新案登録請求の範囲第１項又は第３項記
   載の装置において、 表示器を構成する複数の表示素子の少なくと
   も１つは残りの表示素子とは異なる機能をもつ
   ていることを特徴とするガス検知装置。