JPS6242311Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ハンドルライザにリムを組立自在
にした洋弓のリム連結構造に関し、ハンドルライ
ザに差込まれるリムの支持部における差込み角度
範囲の調整位置を改良することにより、上下リム
のバランス調整を簡便にしかつリムの差込み端面
部及びハンドルライザの差込口双方の耐久性の向
上を図るとともに、ハンドルライザ自体の設計上
の自由度を高めるようにしたものである。

一般に、この種の組立式洋弓においては、ハン
ドルライザの上下両端部にリム用差込口を形成
し、該差込口に高弾性材料からなる上下一対のリ
ムを差込み、張弦時、該リムの差込み端面部を前
記差込口の的側底部内壁面部分と弦側開口端部壁
面部分とで２点支持することにより組立ててなる
構成を有するものが周知である。

ところが、従来、上記リムを製作するにあたつ
ては、カーボン繊維またはガラス繊維、あるいは
それらの混合繊維などを補強繊維とした強化プラ
スチツクス（FRP）からなる高弾性素材を適宜
の芯材と共に成形型内に配置し、熱圧硬化処理を
施すことにより、所望のリム形状に曲成加工して
上下一対のリムを１本毎別々に成形していること
から、リムの曲線形状、あるいは厚さ等に成形誤
差が生じ易く、同一形状のリム成形が困難なため
に、ハンドルライザに組付けた際に上下のリムが
非対称的になり、このままの状態で張弦すると、
ドローイングからリリースに至るリムの復元力が
上下アンバランスとなつて弦による矢の押出し方
向に狂いが生じ、的中率を低下させるばかりでな
く、長期使用においてこのようなリムのアンバラ
ンスな組付けが引金となつて鈍化を招き易く、耐
久性に悪影響を及ぼす結果になる。

そこで、従来の組立式洋弓にあつては、第１図
及び第２図に例示するように、ハンドルライザ１
上下両端部に形成したリム用差込口２の第１の支
点部となる的側底部内壁面２ａにねじ孔３を貫通
させ、該ねじ孔３に調整ねじ４を螺合するととも
に、第２の支点部となる弦側開口端部壁面２ｂに
挿通孔５を貫設して該挿通孔５に固定ボルト６を
挿入し、前記差込口２に差込まれるリム７の差込
み端部７ａの的側端面７１を前記調整ねじ４の先
端部４ａで支持する一方、その弦側端面７２を固
定ナツト８を介して前記固定ボルト６で締付け固
定することにより２点支持し、かつリム７の差込
み角度範囲θの調整を前記調整ねじ４で行ない得
るようにした構成を有するものがある。

しかしながら、このような従来構造のもので
は、リム７の差込み角度範囲θの調整を通常軸径
が５〜６mmと細い調整ねじ４で行なつていること
から、リム７の的側端面７１に対する調整ねじ４
による支持が点接触になるため、局部的に応力が
集中し、リム割れ等の破損の原因になり、耐久性
の低下が避けられなかつた。

また従来、上記した欠点を補う手段として、第
３図に例示するように、調整ねじ４の先端部に幅
広の当板部材９を設けて、リム７の的側端面７１
に対する接触面積を拡大化し、リムへの応力集中
を防止するような構成を有するものにあつては、
当板部材９の幅に応じて調整ねじ４の軸部、つま
りリムへの作用点ａが、リム端末部の近接位置か
ら差込口２の開口端部側に移行し、このため第２
図に示すスパンの長さl₁が短かくなり（l₁＞l₂）、
差込口部分にはより大きな力が掛ることから、差
込口の肉厚などを大きくして強度的な補強を図る
必要があり、ハンドルライザ自体の重量が増大す
る。このため、上記したスパンの長さを確保する
には（l₁＝l₂）、差込口２の奥行きを深くすること
が考えられるが、これによつて差込口の強度が低
下し、補強を要する。

さらに、この種の組立式洋弓は、特にハンドル
ライザのデザインの改良が商品価値を高めるポイ
ントとなつているもので、通常押点を中心とする
矢方向の圧縮応力あるいは引張り応力などの強度
分布を力学的に数値計算し、種々の形状にデザイ
ンを施しているものであるが、このようなハンド
ルライザの設計にあたつては、リムの差込み端部
と差込口の底部との突合点、つまりリムの差込み
端部を２点支持する的側底部内壁面での一方の支
点部と、押点と結ぶ線における強度を基準にして
全体の強度分布が計算される関係上、的側底部内
壁面の支点部に調整具を設けると、支点の位置が
変化し、設計が非常に複雑で困難になるなどの不
具合が生じていた。

この考案は、上記した従来の種々の欠点を解消
することを目的としたもので、第４図以下に示す
実施例に基づいて説明する。

第４図から第６図に示すように、図中１０はこ
の考案に係る組立式洋弓で、ハンドルライザ１１
の上下両端部には、リム用差込口１２が盲穴状に
開口形成されている。該差込口１２の奥行側底面
部には、係合突起１３が突設されているととも
に、その弦側内壁面１２ａには、案内溝１４がリ
ム差込み方向に沿つて切設され、かつ該案内溝１
４には、奥行側に向つて円弧状に彎曲形成した頂
部に係止突起１５ａを有する板バネからなる抑止
片１５が弾性復帰自在に配置されている。

さらに、図中１６は、上記ハンドルライザ１１
の差込口１２に差込まれたリムで、FRP等の高
弾性材料からなるとともに、その差込み端面部に
は、上記係合突起１３と凹凸係合する凹部１７が
形成されている。そして、該リム１６の弦側差込
み端面部１６ａには、前記差込口１２の弦側内壁
面１２ａの開口端部側に対応する位置に基台部１
８ａが略リム幅寸法と等しい径からなる円柱状の
固定部材１８が固定され、該固定部材１８の外周
側面には螺合部１９が形成されているとともに、
その先端面には前記差込口１２の案内溝１４に係
合する突出部２０が突設されている。該固定部材
１８の螺合部１９には、環状の可動部材２１が回
転自在に螺合され、該可動部材２１の外周端の一
部を前記差込口１２の開口端から外部に露出する
ように配置されている。すなわち、これら固定部
材１８及び可動部材２１は、前記差込口１２内に
２点支持される一方の支点部をなすとともに、該
可動部材２１の回動調整により、前記差込口１２
の弦側内壁面１２ａへの当接高さｔを変化させて
リム１６の差込み角度範囲θを適宜調整する調整
具を構成している。

また、図中２２は上記調整具より奥行側のリム
弦側端面部に設けた係止部材で、その外周側端縁
部２２ａをテーパ面に切設し、リム差込み時、上
記差込口１２の案内溝１４に設置した抑止片１５
の突起１５ａに前記外周側端縁部２２ａを当接さ
せることにより、リム引抜き方向の揺動を抑止し
てなるものである。

なお、図中２３は当板で、上記ハンドルライザ
１１の差込口１２の的側底部内壁面１２ｂに当接
するリム１６の的側差込み端面部１６ｂの他方の
支点部に貼設されている。

したがつて、上記したこの考案に係る構成によ
れば、ハンドルライザ１１の差込口１２にリム１
６の端部を差込み、かつ該リム１６の的側及び弦
側端面部を差込口１２の内壁面で２点支持するに
おいて、該差込口１２の弦側開口端部壁面１２ａ
側で支持されるリム１６の弦側端面の支点部に調
整具を設け、調整具の可動調整により、リムの差
込み角度範囲θを適宜調整するようにしたことか
ら、両支点間（スパン）の長さを一定に保つこと
ができるとともに、ハンドルライザ側には従来構
造のような孔明け加工を施す必要がないため、ハ
ンドルライザの差込口の強度を確実に維持するこ
とができ、またリムの支持も線または面接触とな
るために、リムへの応力の集中を防止できる。さ
らに、リムの差込み角度範囲を調整する調整具を
ハンドルライザの差込口の弦側開口端部内壁面側
の一方の支点部に設けたことから、差込口の奥行
底部に突合されるリムの的側端面部における他方
の支点位置が変化しないため、ハンドルライザの
設計段階における強度基準線を固定化でき、設計
の自由度も大きくなるなど、実用性にすぐれた効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の組立式洋弓の一例を示す説明
図、第２図は第１図Ａ部における要部拡大断面
図、第３図は従来の他の例を示す要部拡大断面
図、第４図はこの考案に係る組立式洋弓の一実施
例を示す要部拡大断面図、第５図は第４図Ｖ−Ｖ
線における断面図、第６図は要部分解斜視図であ
る。 １０……洋弓、１１……ハンドルライザ、１２
……差込口、１２ａ……弦側内壁面、１２ｂ……
的側内壁面、１６……リム、１６ａ……弦側端
面、１６ｂ……的側端面、１８……固定部材、１
９……螺合部、２１……可動部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドルライザの上下両端部に形成したリム用
   差込口に、上下一対のリムを差込み、かつ該リム
   の差込み端面部を前記差込口の的側底部内壁面と
   弦側開口端部内壁面とで２点支持してなる組立式
   洋弓において、該リムの差込み端面部の弦側開口
   端部側の支点部に、角度調整具を設け、この角度
   調整具を、前記リムの支点位置に固定される固定
   部材と、この固定部材に螺合された前記ハンドル
   ライザのリム用差込口の弦側内壁面に衝合する可
   動部材とで構成するとともに、前記固定部材の弦
   側面に突出部を形成し、この突出部を、前記ハン
   ドルライザのリム用差込口に設けた案内溝に係合
   させたことを特徴とする洋弓。