JPS6242292Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱交換器用サイクロン分離器に関し、
特にサイクロン分離器内での粉粒体と気体との熱
交換の機能を維持しつつ、粉粒体の分離効率を向
上させた熱交換器用サイクロン分離器に関するも
のである。

一般に粉粒体の乾燥及び加熱、セメント原料粉
末又は水酸化アルミニウム粉末等の予熱及び仮
焼、或いは焼成アルミナ等の冷却に際して、これ
らの粉粒体を上昇する気体中へ投入し、気体に随
伴させながら熱交換して粉粒体の加熱或いは冷却
を行うことが多い。ところで気流中に投入した粉
粒体は熱交換の過程で気体から分離しなければな
らないが、その分離手段として一般にサイクロン
分離器が利用されている。第１図はこのような粉
粒体と気体との熱交換手段の基本構成を例示する
もので、ここに白矢印は粉粒体の流れを、また黒
矢印は気体の流れを示す。熱交換器１は導入ダク
ト２、サイクロン分離器３、気体排出ダクト４及
び粉粒体排出シユート５により構成される。導入
ダクト２はほぼ垂直状の立上り部２ａとほぼ水平
状の導入部２ｂからなる逆Ｌ字形で、立上り部２
ａには粉粒体供給口２ｃが開口し、粉粒体供給シ
ユート６が接続される。サイクロン分離器３は、
第２図（一部破断平面図）及び第３図（第２図に
おける−矢視方向断面図）に示すように、頂
部を天井板９で覆つた円筒部７と、当該円筒部７
の下部へ一体的に連結した逆円錐体状部８とから
なり、円筒部７の上部には開口１０が設けられ、
該開口１０には導入ダクト２の導入部２ｂが円筒
部７の外周の接線方向又は円周方向に接続されて
いると共に、円筒部７の天井板９には円筒部７内
に伸びた気体排出ダクト４が接続され、また逆円
錐体状部８の下部には粉粒体排出口８ａが開口
し、仕切弁１１を備えた粉粒体排出シユート５
（第１図示）が連結されている。

このような構成になる熱交換器１の導入ダクト
２へ図示しない送風機又は排風機等の通風設備に
より導入された気体は、導入ダクト２から順にサ
イクロン分離器３及び気体排出ダクト４へと流れ
て気体通風系を形成する。一方、粉粒体供給シユ
ート６から供給口２ｃを通して導入ダクト２の立
上り部２ａ内に供給された粉粒体は該ダクト２内
を上昇する気流に乗り、粉粒体と気体との間に熱
交換を行いながら導入部２ｂを通して開口１０か
らサイクロン分離器３内に導入される。サイクロ
ン分離器３の円筒部７において、粉粒体を随伴し
た気体は円筒部７と気体排出ダクト４とに挾まれ
た環状の空間内に旋回気流A₁を形成した後、逆
円錐体状部８内に旋回気流A₂を維持しながら螺
旋状に下降するが、その途中で粉粒体は遠心力に
よつて気流から分離され、円筒部７及び逆円錐体
状部８の内周壁に到達し、集合状態となつて該内
周壁を螺旋状に下降した後、下部の粉粒体排出口
８ａから粉粒体排出シユート５へ排出される。そ
して粉粒体の大部分を分離後の気流は逆円錐体状
部８の下端８ｂ近くで反転し、サイクロン分離器
３の中心部に旋回気流A₃を形成して上昇し、続
いて旋回気流A₄を維持しつつ気体排出ダクト４
へ排出される。尚セメント原料粉末の予熱等に使
用される熱交換装置は第１図に示すような熱交換
器を上下方向に複数段連結することにより構成
し、熱交換効率の向上を図つている。

これらの熱交換器１におけるサイクロン分離器
３の性能としては、サイクロン分離器３での熱交
換機能を維持しつつ当該分離器３から気体排出ダ
クト４を通して気体と共に逸散する粉粒体を出来
るだけ少なく抑えること、即ち分離効率ができる
だけ高いことが要求される。

このようなサイクロン分離器として第４図に示
すように円筒部７及び逆円錐体状部８の内周面に
適当数の粉粒体案内溝１２を配設することにより
分離効率を高めたサイクロン分離器３ａが挙げら
れる。このような案内溝付きサイクロン分離器３
ａと第３図に示す一般的なサイクロン分離器３と
の相違点について説明すれば、サイクロン分離器
３ａの内周面には円筒部７及び逆円錐体状部８の
全高に及び、且つ下端が粉粒体排出口８ａに到る
１又は複数条の粉粒体案内溝１２が配設されてい
る。そしてサイクロン分離器３ａ内において旋回
気流から与えられる遠心力により気体から分離さ
れ、円筒部７及び逆円錐体状部８の内周壁に到達
して集合した粉粒体は、該内周壁に沿つて螺旋状
に下降する過程において、旋回気流から与えられ
る遠心力と粉粒体案内溝１２内に形成される渦流
の作用を受けて当該案内溝１２内に捕捉され、案
内溝１２内を重力によりほぼ垂直下方に案内され
て粉粒体排出口８ａへ排出されるようになつてお
り、第３図に示すような一般的なサイクロン分離
器３において内周壁に到達した粉粒体の一部が旋
回気流中に再び飛散する、所謂再飛散現象が軽減
される為、高い分離効率を達成することができ
る。

しかし、このような従来の案内溝付きサイクロ
ン分離器３ａを集塵器として使用する場合には高
い捕集効率を達成することができても、熱交換器
の構成要素として使用する場合には、サイクロン
分離器３ａ内における粉粒体と気体との間の熱交
換効率が低下するという問題がある。即ち、一般
的なサイクロン分離器３を使用した熱交換器内に
おける粉粒体の滞留時間は、導入ダクト２内での
滞留時間とサイクロン分離器３内での滞留時間と
からなるが、一般的には後者が過半を占め、サイ
クロン分離器３の内周壁に集合した粉粒体は当該
内周壁を気体と共に螺旋状に旋回下降する間にお
いても、気体との間に継続して熱交換が行われ、
特に熱交換器内での粉粒体の反応を伴う熱処理操
作を行う場合には、サイクロン分離器内での粉粒
体の滞留時間を長くとることは熱交換及び反応を
促進するのに効果的である。

これに対して、第４図に示した従来の案内溝付
きサイクロン分離器３ａを使用する場合には、当
該サイクロン分離器３ａ内に導入された粉粒体の
大部分が円筒部７又は逆円錐体状部８の上半部で
案内溝に捕捉され、直ちに垂直下方へ案内されて
排出される為、単に滞留時間が短縮されるだけで
なく、溝内に捕捉された粉粒体は気体との接触率
も低下する為サイクロン分離器３ａ内での熱交換
が不十分となり、特に熱交換及び反応に比較的長
い時間を必要とする粗粒ほど速く溝内に捕捉され
る傾向がある為、熱交換器としての性能を少なか
らず低下させるという問題があつた。

又第５図に示すように逆円錐体状部８の内周壁
全高にわたつて粉粒体案内溝１３を設けたサイク
ロン分離器３ｂも考えられ、該サイクロン分離器
３ｂは第４図に示すサイクロン分離器３ａに比較
して円筒部７で粉粒体が粉粒体案内溝１２に捕集
されることがないので、粉粒体の滞留時間及び熱
交換効率が多少増加するが、逆円錐体状部８では
ほとんど熱交換がなされず、第４図に示すサイク
ロン分離器３ａと同様の問題が生じる。

本考案はこれらの問題点を解決し、サイクロン
分離器内で熱交換に及ぼす影響を最小にとどめつ
つ、高い分離効率を達成することのできる熱交換
器用サイクロン分離器を提供することを目的とし
たものであり、その要旨とする処が、頂部を天井
板で覆つた円筒部と、該円筒部の下部へ一体的に
連結した逆円錐体状部とからなり、上記円筒部へ
気流と共に粉粒体を導入する導入ダクトを該円筒
部の接線方向又は円周方向に接続すると共に、上
記天井板には気体排出ダクトを接続し、更に上記
逆円錐体状部の下端に粉粒体排出口を設けた熱交
換器用サイクロン分離器において、上記逆円錐体
状部の内周面に上記粉粒体排出口から逆円錐体状
部の高さ方向中間部に至る１又は複数条の粉粒体
案内溝を設けた点である熱交換器用サイクロン分
離器を提供するものである。

続いて第６図以下の添付図面を参照しつつ、本
考案を具体化した実施例に付き説明し、本考案の
理解に供する。ここに第６図は本考案の一実施例
に係る熱交換器用サイクロン分離器の側断面図、
第７図は第６図における−矢視平面図、第８
図は本考案の他の実施例に係る熱交換器用サイク
ロン分離器の一部側断面図を示す。尚第２図乃至
第５図に示す従来例に使用した構成要素と共通す
る要素には同一の符号を使用して説明を省略す
る。

第６図及び第７図に示すように本考案の一実施
例になるサイクロン分離器３ｃはその逆円錐体状
部８の内周面に１又は複数条（図においては２
条）の粉粒体案内溝１４が逆円錐体状部８の母線
方向に沿つて設けられており、当該案内溝１４の
下端は逆円錐体状部８の下部に開口した粉粒体排
出口８ａに通じると共に、粉粒体案内溝１４の上
端は逆円錐体状部８の高さ方向における中間部に
始まるようになされている。即ち、逆円錐体状部
８の下部に開口した粉粒体排出口８ａを基準とし
て粉粒体案内溝１４の高さｈは常に逆円錐体状部
８の高さＨよりも小さくなつている。

このような構成になるサイクロン分離器３ｃの
入口開口１０から導入され、遠心力により気体か
ら分離されて内周壁に到達した粉粒体は、円筒部
７及び逆円錐体状部８の上部においては気体と共
に螺旋状に旋回下降し、この間に気体との間に継
続して熱交換が行われる。そして旋回下降する気
体の大部分が逆円錐体状部８の内周面近くにおい
て反転して上昇する逆円錐体状部８の下部付近に
は適当数の粉粒体案内溝１４が設けられており、
気体が反転する直前に粉粒体が案内溝１４内に捕
捉され、当該案内溝１４内を重力によりほぼ垂直
下方に案内されて、そのまま粉粒体排出口８ａへ
排出されるようになつている。

ところで、逆円錐体状部８の内周面において上
記気流が下降流から上昇流へ反転する高さ方向の
位置は、サイクロン分離器３ｃの形状にもよるが
逆円錐体状部８の高さＨの1/3程度以下の高さの
位置にあるので、粉粒体案内溝１４の高さｈを逆
円錐体状部８の高さＨの1/2以下の範囲（即ち逆
円錐体状部８の高さ方向下半部）で選定すること
が好ましいが、サイクロン分離器３ｃ内において
粉粒体に必要な滞留時間と分離効率との兼合いに
よつて、逆円錐体状部８の高さＨより小さくする
限り自由に選択することができる。

このように粉粒体案内溝１４を逆円錐体状部８
の下方部のみに設けることにより、サイクロン分
離器３ｃにおける粉粒体と気体との接触条件を一
般的なサイクロン分離器３（第２、第３図示）の
場合と同程度に維持することができるので、サイ
クロン分離器３ｃ内での熱交換に及びす影響を最
小にとどめることができる。しかも、逆円錐体状
部８の下方部において気流の下降旋回角度が小さ
くなり、次いで反転する部分での粉粒体の再飛散
現象を粉粒体案内溝１４により防止することがで
きる為、第４図及び第５図に示す案内溝付きサイ
クロン分離器３ａ及び３ｂとほとんど同程度の高
い分離効率を達成することができる。

次に、第８図に示す本考案の他の実施例に係る
熱交換器用サイクロン分離器に付き、上記実施例
との相違点について説明する。図に示すようにサ
イクロン分離器３ｄが耐火物１６により内張りさ
れており、従つて高温処理に適しており、また逆
円錐体状部８の下方部に設けられている粉粒体案
内溝１５が前記内張り耐火物１６により形成され
ている。更に、粉粒体排出口８ａに連通して粉粒
体分離室１７が設けられているので、サイクロン
分離器の分離効率が一段と高まり、同時に粉粒体
案内溝１５の下端部構造が単純化されている。

以上の説明において、本考案はサイクロン分離
器の形状、熱交換の種類（加熱、冷却）や気体の
種類（燃焼ガス、空気等）については全く制限さ
れるものではない。また粉粒体案内溝１４及び１
５は逆円錐体状部８の内周面における気体の旋回
方向に沿つて螺旋状に配設したり、或いはサイク
ロン分離器３ｃ又は３ｄに複数条の粉粒体案内溝
１４又は１５を設けるに当り、個々の粉粒体案内
溝の高さを変える等粉粒体案内溝の形状や配置を
適宜変更することも可能である。

以上述べた通り本考案は、頂部を天井板で覆つ
た円筒部と、該円筒部の下部へ一体的に連結した
逆円錐体状部とからなり、上記円筒部へ気流と共
に粉粒体を導入する導入ダクトを該円筒部の接線
方向又は円周方向に接続すると共に、上記天井板
には気体排出ダクトを接続し、更に上記逆円錐体
状部の下端に粉粒体排出口を設けた熱交換器用サ
イクロン分離器において、上記逆円錐体状部の内
周面に上記粉粒体排出口から逆円錐体状部の高さ
方向中間部に至る１又は複数条の粉粒体案内溝を
設けたことを特徴とする熱交換器用サイクロン分
離器であるから、サイクロン分離器内での粉粒体
と気体との熱交換機能に影響を及ぼすことなく粉
粒体を気体から高い分離効率で捕集することがで
きる、又粉粒体案内溝を形成する為の工作も容易
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例に係る熱交換手段の側面図、第
２図は従来例に係る熱交換器用サイクロン分離器
の平面図、第３図は第２図における−矢視側
面図、第４図及び第５図は粉粒体案内溝が設けら
れたサイクロン分離器の側断面図、第６図は本考
案の一実施例に係る熱交換器用サイクロン分離器
の側断面図、第７図は第６図における−矢視
平面図、第８図は本考案の他の実施例に係る熱交
換器用サイクロン分離器の一部側断面図を示す。 符号の説明、２……導入ダクト、３ｃ，３ｄ…
…サイクロン分離器、４……気体排出ダクト、７
……円筒部、８……逆円錐体状部、８ａ……粉粒
体排出口、９……天井板、１２，１３，１４，１
５……粉粒体案内溝、１６……耐火物、１７……
粉粒体分離室。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 頂部を天井板で覆つた円筒部と、該円筒部の
   下部へ一体的に連結した逆円錐体状部とからな
   り、上記円筒部へ気流と共に粉粒体を導入する
   導入ダクトを該円筒部の接線方向又は円周方向
   に接続すると共に、上記天井板には気体排出ダ
   クトを接続し、更に上記逆円錐体状部の下端に
   粉粒体排出口を設けた熱交換器用サイクロン分
   離器において、上記逆円錐体状部の内周面に上
   記粉粒体排出口から逆円錐体状部の高さ方向中
   間部に至る１又は複数条の粉粒体案内溝を設け
   たことを特徴とする熱交換器用サイクロン分離
   器。 (2) 粉粒体案内溝の上端が逆円錐体状部の高さ方
   向における下半部に存在する実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載した熱交換器用サイクロン
   分離器。 (3) 粉粒体案内溝が逆円錐体状部に内張りされる
   耐火物により形成されている実用新案登録請求
   の範囲第１項若しくは第２項に記載した熱交換
   器用サイクロン分離器。