JPS6242275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は温水加熱装置等の燃焼室のバツフル板
構造に係り、特にバツフル板相互間に流れる燃焼
ガスの流れを偏らせることなく一様にし、もつて
燃焼室の伝熱面たる内側壁を有効に利用すると共
に熱交換率を可及的に向上させることができる燃
焼室のバツフル板構造に関する。

一般に、温水加熱装置等の燃焼室内には燃焼ガ
スと給水との熱交換率を高めるためにバツフル板
が設けられている。

これを具体的に説明すると、まず、第１図乃至
第２図に示すごとく１は温水加熱装置であり、こ
の中には保温材２及び断熱レンガ３で囲繞された
ボイラ４が設けられている。

このボイラ４内には燃焼室５が形成されてお
り、この燃焼室５の伝熱面たる内側壁６の下方に
は燃焼室５内へ臨ませた燃焼バーナ７を組み込ん
だドラフトチユーブ８が設けられている。

そして、この燃焼室５の最上部には騒音の発生
を防止するための吸音機９が設けられると共にこ
の吸音機９の下方には燃焼ガスを内側壁６に沿つ
て上昇させるために所定の間隙を隔てて配置され
たバツフル板１０…が支持棒１１でもつて取付け
られている。このバツフル板１０…には燃焼ガス
を上方へ移送するために複数の切り起こし部１２
…が形成されており、燃焼バーナ７から上昇して
くる燃焼ガスを伝熱面たる内側壁６に沿つて上昇
させると共に上記切り起こし部１２を通過した一
部の燃焼ガスをバツフル板１０…相互間へ流すよ
うに構成してある。また、これらバツフル板１０
…の中心部には打ち抜き穴１６が形成されてい
る。なお、図中１３は安全ダンパ、１４は送風フ
アンモータである。

ところで、上記したごときバツフル板構造にあ
つては、燃焼室５内を上昇してくる燃焼ガスは主
に３つの流れになることが実験の結果判明した。

すなわち、燃焼ガスの一部は矢印１５ａで示す
ように燃焼バーナ７とは反対側に位置するバツフ
ル板１０及び内側壁６に沿つて上昇してゆき、ま
た、他の一部は矢印１５ｂで示すようにバツフル
板１０の切り起こし部１２或いは打ち抜き穴１６
を介してこれらの相互間に流れてゆく。しかしな
がら、大部分の燃焼ガスは矢印１５ｃで示すごと
く燃焼室５内の下方で旋回流れを生じ充分に上方
へ拡散してゆくことがない。

そのために、バツフル板１０…相互間に燃焼ガ
スの停滞部１７ａ，１７ｂが発生して、バツフル
板１０近傍のガス流が一様でなくなり、従つて伝
熱面たる内側壁６と燃焼ガスとの熱交換が充分に
行なわれずに、温水効率を低下させるという不都
合があつた。

上記したごとき問題点を解決するために、燃焼
ガスの停滞部１７ｂのバツフル板１０を撤去する
ことも考えられるが、この場合にあつては燃焼ガ
スの上昇流がつつ抜けになり、従つてこの場合に
も同様に、燃焼ガスと内側壁６との間で充分な熱
交換がなされず、温水効率を低下させるという問
題が生じ、実施化には至つていない。

このため、上記したごとき燃焼ガスの上昇流の
つつ抜けを発生させることなく、しかもバツフル
板近傍に一様な且つ有効な燃焼ガスの流れを生ぜ
しめるようなバツフル板構造がながらく望まれて
いた。

以上のような問題点に着目して、本考案は創案
されたものであり、その目的とするところは燃焼
ガスの最上流側（燃焼室内の下方）に位置するバ
ツフル板に、これより下流側（燃焼室内の上方）
に位置するバツフル板へ直接燃焼ガスを案内する
ための切欠部を形成することにより、バツフル板
相互間における燃焼ガスの流れを偏らせることな
く一様にしもつて燃焼室の伝熱面たる内側壁を有
効に利用すると共に熱交換率を可及的に高めるこ
とができる燃焼室のバツフル板構造を提供するに
ある。

以下に、本考案の好適一実施例を添付図面に基
づいて詳述する。

先ず、第３図に示すように１８は温水加熱装置
内に組み込まれる円筒状のボイラであり、この上
端はバツフルトツプ１９で区画されると共にこの
ボイラ１８内には燃焼室２０が形成されている。
この燃焼室２０の内側壁２１とボイラ１８の外壁
２２との間には給水と加熱された内側壁２１とを
熱交換させるための通水部３１が形成されてい
る。また、燃焼室２０の内側壁２１の下方には燃
焼室２０へ臨ませた燃焼バーナ２３を備えている
ドラフトチユーブ２４が設けられている。

そして、この燃焼室２０の上部にはこの燃焼室
２０内で発生した騒音を吸収するための円筒状吸
音機２５が、その周囲をバツフルトツプ１９から
垂下された支持棒２６に固定させて設けられてい
る。この吸音機２５の下部には、上昇してくる燃
焼ガスを規制して、これを内側壁２１に沿つて上
昇させるための円板状バツフル板２７が、その周
囲を上記支持棒２６に固定させて、上下方向に所
定の間隙を隔てて多段（実施例にあつては２段）
に形成されている。これらバツフル板２７，２７
の中央部には上下方向に連なる円形の打ち抜き穴
２８が形成されると共にその周縁部には燃焼ガス
を燃焼室２０の上方へ移送するための複数の切り
起こし部２９…が形成されている。

そして、上記バツフル板２７の下方即ち燃焼ガ
スの最上流側には所定の間隙を隔てて更に本考案
の特徴とするバツフル板２７ａが配置されてい
る。このバツフル板２７ａは第４図にも示すごと
くその周縁部に沿つて適宜設けられた取付け金具
３０を、上記支持棒２６の先端部に固定させるこ
とによつて取付けられている。このバツフル板２
７ａであつて、上記燃焼バーナ２３が取付けられ
ている位置の反対側に位置する部分、すなわち燃
焼バーナ２３からの燃焼ガスが多量に上昇してく
る部分には上昇ガスを上方（ガス流の下流側）に
位置するバツフル板２７，２７へ直接案内し、導
入するための切欠部３２が形成されている。この
切欠部３２はバツフル板２７ａの中心部から燃焼
バーナ２３の取付位置とは反対側へ拡開して扇形
状に形成されており、上昇してきた大部分の燃焼
ガスを、更に上方に位置するバツフル板２７，２
７側へ効果的に案内し、導入し得るようになつて
いる。なお、上記拡開角度θは最大180度までと
するのがよい。

また、このバツフル板２７ａの周縁部には他の
バツフル板２７，２７に形成された切り起こし部
２９…より僅かに大きく形成された複数の切り起
こし部２９ａが形成されており、この近傍に燃焼
ガスの停滞を生ぜしめないように構成されてい
る。

なお、上記実施例においては、全部で３段のバ
ツフル板構造としたが、燃焼室２０内の大きさに
対応させて適宜増減し得ることは勿論である。

また、熱交換率を向上させるべく、バツフル板
２７，２７ａ近傍の内側壁２１を平面から蛇腹状
にして、伝熱面積を大きく取るようにしてもよ
い。

以上のように構成された本考案の作用について
述べる。先ず、燃焼室２０の下方に設けられた燃
焼バーナ２３を点火することにより、これより水
平方向へ燃焼ガスが噴射される。この燃焼ガスの
多くは燃焼バーナ２３の取付け位置とは反対側の
燃焼室２０内を矢印ｆで示すごとく上昇すると共
に最上流側（燃焼室２０の下方）に位置するバツ
フル板２７ａに到達する。この燃焼ガスはバツフ
ル板２７ａに形成された切欠部３２を通過すると
共に、これの下流側（燃焼室２０の上方）に位置
する他のバツフル板２７側へ直接案内導入され
る。

この案内導入された燃焼ガスの一部は矢印f₁で
で示すごとくそのまま燃焼室２０の内側壁２１に
沿つて上昇して行くと共に他の燃焼ガスはこの切
欠部３２を有するバツフル板２７ａと、その下流
側（上方）に設けられたバツフル板２７との間を
通過して、反対側の内側壁２１に向かつて流れて
ゆく。このガスの一部は途中で矢印f₂で示すごと
く、バツフル板２７の中央部に設けられた打ち抜
き穴２８或いは切り起こし部２９を通過して、そ
の下流側（上方）に設けられたバツフル板２７相
互間へと徐々に上昇拡散してゆくと共に残りの大
部分の燃焼ガスは矢印f₃で示すごとくこれらバツ
フル板２７，２７ａ相互間を更に流れて反対側の
内側壁２１に案内され、そしてこの内側壁２１に
沿つて徐々に上昇してゆく。

一方、燃焼バーナ２３から略直線状に上昇して
きた燃焼ガスは矢印f₄に示すごとく最上流側に設
けられたバツフル板２７ａに当接すると共にこれ
に形成された比較的大きな切り起こし部２９ａを
通過し、そしてそのまま内側壁２１に沿つて燃焼
室２０内を上昇してゆく。

このように、燃焼ガスの最上流側（下方）に位
置するバツフル板２７ａに、その下流側（上方）
に位置するバツフル板２７側へ直接燃焼ガスを案
内導入するための切欠部３２を形成したので、燃
焼ガス流の偏り、或いはこのガスの停滞領域をな
くし、この流れを一様なものとすることができ
る。

従つて、通水部３１を流れる給水を加熱するた
めに、伝熱面たる内側壁２１を有効に利用するこ
とができ、この給水を効果的に加熱することがで
きる。

以上要するに本考案によれば次のような優れた
効果を発揮することがでる。

燃焼ガスの最上流側に位置するバツフル板
に、下流側に位置するバツフル板へ直接燃焼ガ
スを案内導入するための切欠部を形成したの
で、バツフル板近傍における燃焼ガスの流れを
一様にすることができると共に、ガス流の停滞
領域をなくすることができる。

従つて、伝熱面たる内側壁を、これと給水と
の熱交換に有効に寄与せしめることができ、給
水を効果的に加熱することができる。

伝熱面たる内側壁全体を有効に利用すること
ができるので、燃焼室全体及び温水加熱装置全
体を小型化することができる。

構造が簡単なため、従来装置に大幅な変更を
加えることなく容易に製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の温水加熱装置を示す部分断面
図、第２図は従来の温水加熱装置のボイラにおけ
る燃焼室のバツフル板構造を示す概略縦断面図、
第３図は本考案の好適一実施例に係る燃焼室のバ
ツフル板構造を示す縦断面図、第４図は本考案の
要部であるバツフル板を示す平面図である。 なお、図中２０は燃焼室、２１は内側壁（側
壁）、２３は燃焼バーナ、２７，２７ａはバツフ
ル板、３２は切欠部、θは拡開角度である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 側壁の下方にその内部に臨んで燃焼バーナを
   有すると共に、該燃焼バーナの上方にあつて燃
   焼ガスを内側壁に沿つて上昇させるべく所定の
   間隙を隔てて多段に形成されたバツフル板を有
   する燃焼室において、上記燃焼ガスの最上流側
   に位置するバツフル板に、燃焼バーナの位置と
   反対側に設けた切欠部を設けたことを特徴とす
   る燃焼室のバツフル板構造。 (2) 上記切欠部がバツフル板の中央部から上記燃
   焼バーナの位置と反対側に拡開されていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の燃焼室のバツフル板構造。 (3) 上記切欠部の拡開角度が180度以下であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   又は第２項記載の燃焼室のバツフル板構造。