JPS6241365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えばオーデイオ用磁気ヘツドに使用
して好適な磁気ヘツドに関し、特にコアをセンダ
スト合金等の高飽和磁束密度で高硬度の金属磁性
材料より形成されテープ摺動面を有する前部コア
部とフエライトにより形成されコイルが巻回され
る後部コア部分との複合構造とし、耐摩耗性を有
すると共にコア損失を少くすることによつて周波
数特性の向上を図つた複合磁気ヘツドに関するも
のである。

従来この種の複合磁気ヘツドは第１図に示す如
く、前部コア部分２と後部コア部分３とを枠状コ
ア押え４内において段重ねし、その段重ね部をコ
ア押え板５を介して、コア押え４の外面側からね
じ孔６を通してねじ込まれる押しねじ７によつて
押圧し、両コア部分２，３を圧接固定してコア１
を複合形成していたが、コア押え４に設けられる
押しねじ７をねじ込むねじ孔６はコア押え４の外
側から内側方向に穿設するので、コア押え４の内
側にバリが生じ、このバリのためコア押え板５が
コア１とコア押え４の内壁との間に挿入し難くな
り、磁気ヘツドの組立の作業性が悪く、またバリ
が大きく生じたときはコア押え板５の挿入が不可
能となるので、そのためバリ取りを行わなければ
ならず組立作業が煩雑になる欠点がある。

そこで本考案は上述の欠点を除去するためにな
されたものである。

以下第２図乃至第６図を用いて本考案による磁
気ヘツドの一例をコンパクトカセツトステレオ用
磁気ヘツドに適用した場合につき説明する。

本例においては第１チヤンネル及び第２チヤン
ネルに対応する磁気コア１１Ａ及び１１Ｂを、夫
夫高飽和磁束密度で高硬度の金属磁性材料よりな
り、所要の作動空隙ｇを有し、磁気テープ摺動面
を構成するチツプ状の前部コア部１２〔１２ａ及
び１２ｂ〕と、この前部コア部１２と磁気的に接
合するフエライトよりなる後部コア部１３〔１３
ａ及び１３ｂ〕とから構成する。この前部コア部
１２と後部コア部１３とはコア押え１４内におい
て、所謂段重ねしてコア押え板１５を介してコア
押え１４の外面側からねじ孔１６を通してねじ込
まれる押しねじ１７により締付けて接合する。

本例におけるコア押え１４は前面に前部コア部
１２ａ，１２ｂの磁気テープ摺動面が表出される
窓孔１８が設けられ、この窓孔１８を挾む上下内
壁には後部コア部１３ａ，１３ｂの前端面が当接
し位置決めされる位置決め面１９ａ，１９ｂが形
成されており、上面内壁にはコア押え板１５の当
接面２０が形成され、この当接面２０の中央部に
凹段面２１を設け、この凹段面２１に位置して押
しねじ１７のねじ孔１６が穿設されている。ま
た、このコア押え１４の両側面は後方に延長され
ており、前面外壁の両側部には窓孔１８に連通す
る段状溝２２が形成され、この両段状溝２２に連
通して両側面外壁に後述する非磁性マスク用樹脂
材の注入溝２３を後端縁まで連続して形成してあ
り、この注入溝２３の後部には注入溝２３より巾
広で一段深い凹部２４が形成されて、注入溝２３
に注入する樹脂材を一旦貯留させるようにしてあ
り、更にコア押え１４の両側面の後縁上下部には
突子２５が穿設されている。

このように構成されるコア押え１４による磁気
コア１１Ａ及び１１Ｂの保持状態を説明する。前
部コア部１２ａ，１２ｂは２個のチツプコア半体
を例えばSiO₂蒸着膜によるギヤツプスペーサを
介して銀ろう等の無機接着剤により高温（例えば
700℃）で接着することにより作動空隙ｇが形成
されており、この前部コア部１２ａと１２ｂとを
その間の前半部に両面に非磁性板２６を接着した
第１のシールド板２７を、後半部に両面に非磁性
板２６′を接着した第２のシールド板２７′を夫々
介在して両前部コア部１２ａ，１２ｂ間を磁気的
に遮蔽して接合し、２チヤンネル前部コア部１２
を形成する。この前部コア部１２をコア押え１４
の前部内に、その磁気テープ摺動面が窓孔１８か
ら表出するように配する。一方後部コア部１３
ａ，１３ｂは夫々端子ピン２８ａ，２８ｂが導出
された端子台２９ａ，２９ｂに嵌着固定し、夫々
の両側片にコイル３０ａ，３０ｂを巻回したボビ
ン３１ａ，３１ｂを嵌合し、コイル３０ａ，３０
ｂの端末を端子ピン２８ａ，２８ｂに接続する。
この状態で後部コア部１３ａ，１３ｂをコア押え
１４に挿入して前端面を位置決め面１９ａ，１９
ｂに当接し、前後方向の位置決めを行うと共に前
部即ちボビン３１ａ，３１ｂからの突出部を前部
コア部１２ａ，１２ｂに段重ね状に当接し、コア
押え板１５を一方の後部コア部１３ａの突出部と
コア押え１４の上面内壁の当接面２０との間に挿
入し、ねじ孔１６より押しねじ１７をねじ込みコ
ア押え板１５に突き当て締付けることにより前後
部コア部１２ａと１３ａ，１２ｂと１３ｂとを圧
接させて磁気的に接合し、磁気コア１１Ａ，１１
Ｂを構成する。またコア押え１４の前面には窓孔
１８の上方に位置して高透磁率で前部コア部１２
と同程度の硬度を有するマスクコア３２を前部コ
ア部１２の磁気テープ摺接面と同曲率で同一面上
に接着する。

この状態でコア押え１４をシールドケース３３
に嵌合して前部コア部１２及びマスクコア３２の
磁気テープ摺動面を第１及び第２の窓３４及び３
５に臨ませ、この前部コア部１２とマスクコア３
２との間にガラス、セラミツク等の非磁性マスク
３６を形成する。そして、コア押え１４の後部か
ら注入溝２３にエポキシ樹脂等の樹脂材３７を注
入してコア押え１４の側面側から前面側へ流入さ
せ段状溝２２を通して窓孔１８の内周部及びシー
ルドケース３３の窓３４，３５の内周部に充填さ
せ前部コア部１２及びマスクコア３２の周縁部の
間隙を塞ぐ。

この樹脂材は硬化後の機械的強度の高い事が要
求されるが一般に機械的強度の高い樹脂はコアに
ストレスを与え磁気特性を劣化させることにな
り、また注入時においては高温であるためコイル
の巻回部に付着するとコイルに損傷を与えること
になるので樹脂材の充填部即ちコアに接する部分
は必要最小限に留めなければならず、そのために
は樹脂材をコア押え１４の前面側に溜め内部への
注入を阻止する必要がある。これには粘度の高い
樹脂材を用いればよいが樹脂材の流れ速度が遅く
注入に時間を要することになる。

そこで本例の如くコア押え１４の注入溝２３の
注入口側に巾広で一段深い凹部２４を形成するこ
とにより注入樹脂材３７はこの凹部２４に一旦貯
溜されるので、注入溝２３には一定圧力で一定量
が流入されて窓孔１８及び窓３４，３５の周縁の
間隙部に均等に充填されることになる。

またこのようにしてコア押え１４がシールドケ
ース３３内に嵌合され樹脂材３７により固着され
た状態において、後縁の突子２５はシールドケー
ス３３の後縁より突出されるので、この突子２５
に導電塗料３８を塗布し、シールドケース３３と
導通させることにより接地抵抗の信頼性を高める
ことができる。なお図中３９はテープガイドであ
る。

以上のように本考案によれば複合構造の磁気ヘ
ツドにおいて前部コア部と後部コア部とを所謂段
重ね接合して保持するコア押えの内壁にコア押え
板の当接面を形成し、この当接面に凹段部を設け
てこの凹段部に押ねじのねじ孔を形成するのでね
じ孔の周辺はコア押え板の当接面との間に段差が
生じねじ孔の加工時にねじ孔の内縁部にバリが生
じてもコア押え板の当接面上には突出されず、従
つてコア押え板の挿入が何等の支障なく円滑に行
えて前部コア部と後部コア部との段重ね部分とね
じ孔との間に正確に位置できて押ねじによる前部
コア部と後部コア部との締付接合が堅牢に行わ
れ、磁気回路を確実に構成できて性能上のばらつ
きがほとんどなく、しかも組立においてはねじ孔
のバリ取りの必要がなく、またコア押え板を容易
に挿入できることにより作業能率が向上される等
の効果を有する。

なお上例においては本考案をコンパクトカセツ
トステレオ用磁気ヘドに適用した場合につき説明
したが本考案は他の磁気ヘツドにも適用できるこ
とは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気ヘツドの一部分解斜視図、
第２図は本考案による磁気ヘツドの一例の正面
図、第３図は第２図におけるＡ−Ａ線上の断面
図、第４図は第２図におけるＢ−Ｂ線上の断面
図、第５図は背面図、第６図は本考案による磁気
ヘツドに適用するコア押えの一例の背面側斜視図
である。 図中１２ａ，１２ｂは前部コア部、１３ａ，１
３ｂは後部コア部、１４はコア押え、１５はコア
押え板、１６はねじ孔、１７は押しねじ、２０は
当接面、２１は凹断面である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠状コア押え内で前後各コア部分を、コア押え
   板を介してコア押えに設けた押しねじにより段重
   ねに固定してなる磁気ヘツドにおいて、上記コア
   押えの内壁にはコア押え板の当接される面を有
   し、上記押しねじのねじ孔の周辺には上記コア押
   え板とコア押え内壁間に間隙が形成されるように
   凹段部が設けられて成る磁気ヘツド。