JPS6239014B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、脳せきずい液などの体液を試料と
して、細胞の遠心分離を行う細胞遠心分離機の改
良に関する。

このような細胞遠心分離機は、病院、研究所に
おいて診断、検査のために用いられており、前記
のような体液中の細胞その他の分子と液体を分離
し、分離した細胞その他の分子をスライドに付着
して顕微鏡で検査する。

このような細胞遠心分離機は、遠心分離操作が
手早く行え、つぎの操作も手順よく行えるものが
望まれており、また、同時に殺菌、消毒処理が簡
単に行えるものがよい。

そこで、この発明は、前記要望に応えることが
できる細胞遠心分離機を提供することを目的とす
るもので、開閉可能の密閉容器内に電動モータの
駆動によつて高速度で回転する支持板を着脱自由
に設置し、この支持板に複数個の試料ホルダーを
取り付け、試料ホルダーにより試料受けユニツト
を保持させて試料の遠心分離を行うようにしたも
のである。

つぎに、この発明を図示の実施例により詳細に
説明する。

図示の実施例において示されている細胞遠心分
離機は、平面方形の形状であり、基体１の内部に
内側収容室３と外側収容室４とが二重構造の状態
で図示のように設けられており、外側収容室４の
中央に電動モータ５が設置されていて、このモー
タ５は、基体１内の歯車機構６により制御される
ようになつている。そして、歯車機構６には、タ
イマー、停止機構などが組込まれており、操作パ
ネル２に設けた操作ボタンなどの操作部材により
歯車機構６、電動モータ５の制御を行うようにな
つている。内側収容室３の周側縁に設けたフラン
ジには、溝が円周方向に設けられており、ヒンジ
８１により軸支された蓋８のＤ状リング７が着座
して密封作用を行うようになつている。

電動モータ５の駆動軸には、ハブ１０に嵌合す
る駒９が取り付けてあり、ハブ１０はボウル１１
を支持している。そして、ハブ１０は駒９に対し
着脱自在であり、ハブ１０を駒９から抜くとボウ
ル１１も取り外せるようになつている。

ボウル１１には、カバー１２が着脱自在に施蓋
されており、ハブ１０に取り付けた支持板１３に
より試料ホルダー１４が保持されていて、ボウル
１１内に納められている。

ボウル１１は、その中央開口部の周側縁がハブ
１０にねじ止め１５されてリングシール１６によ
りハブ１０に密着している。ボウル１１の外側周
壁の上部側には、溝１７が外方へ突出しており、
遠心分離操作の際、試料ホルダー１４から放散さ
れる液体溜めとして作用し、ボウル１１の内側フ
ランジ１８へ液体が流れるのを阻止する作用を行
うようになつている。

ボウル１１の周側フランジ１８には、カバー１
２のフランジ２０がシール１９を介して着座す
る。

第２図に示すように、シール１９は座部１９ａ
と突起１９ｂとを備えており、前記両フランジ１
８，１９間にあつて、密封作用を営む。そして、
座部１９ａから一体に延長した可撓性の耳片１９
ｃがボウル１１とカバー２０の内側面にぴつたり
密着し、遠心分離操作中ボウル１１とカバー１２
との合わせ目から液体が外部へ漏れるのを完全に
防ぐようになつている。カバー１２の内側には、
せき１２ａが一体に設けてあり、これにシール１
９の耳片１９ｃがその内側に入り、水密シール作
用が完全となるように構成されている。

第１図の左側に示した態様は、カバー１２をボ
ウル１１に施蓋して、完全密封状態となつた状態
を示し、第１図の右側に示した態様は、カバー１
２を開いた状態を示す。

カバー１２の上面中央には、つまみ２１が外側
に取り付けられており、内側には、フランジ２３
を有するボス２２が取り付けてある。そして、ボ
ス２２は、フランジ２３を介してカバー１２に取
り付けられ、カバー１２の閉蓋時には、フランジ
２３がハブ１０の頂部に設けられたＶ形リングシ
ール２４を押圧する。

つまみ２１とボス２２中央には、上下方向に可
動のプランジヤ２５が挿通してある。プランジヤ
２５の中間には、つば２６が突出しており、この
つば２６がプランジヤ２５の上下方向の摺動に際
し、つまみ２１の下面とボス２２の内側フランジ
２７それぞれに当り、これによつてプランジヤの
上下ストロークが規制される。

ボス２２には、その側面に設けた小孔にボール
２８（複数個）が嵌めこんであり、プランジヤ２
５と当接するようになつている。そして、第１図
右側に示すように、プランジヤ２５の先端部２９
は、プランジヤ２５を上方へ引き上げると、ボー
ル２８の上方へ外れ、この結果、ボール２８は内
側へ引込んで、ボール２８の外側面とボス２２の
外側面とが面一になり、ボス２２をハブ１０の開
口部から上方へ引き抜くことができるようにな
り、したがつてプランジヤ２５を上方へ引き、つ
いで、つまみ２１をつまんでカバー１２を上方へ
持ち上げれば、カバー１２をボウル１１から取り
外すことができ、ボウル１１は開放状態となる。
なお、この際は、蓋８も開放されている。

これと逆に、カバー１２をボウル１１へ施蓋す
るには、プランジヤ２５を下方へ押し込むと、プ
ランジヤ２５の先端部２９によりボール２８は外
方へ押圧され、ハブ１０の内側面に当接し、これ
によつてボス２２はハブ１０から引き抜けないよ
うにロツクされ、第１図左側に示す状態でカバー
１２はボウル１１へ施蓋される。

ボウル１１は、アルミニウムその他の軽合金板
材から成形されており、カバー１２は、透視可能
なプラスチツクスから成形されている。

支持板１３は、その中央開口部を介してハブ１
０に嵌めこまれ、ハブ１０の下側フランジにより
支持されている。そして、支持板１３はハブ１０
と共軸回転するようにハブ１０に取り付けられて
いるもので、前記中央開口部とハブ１０とは適当
な手段で着脱自由に連結され、支持板１３に対し
ハブ１０が空転しないようになつている。

支持板１３は、ハブ１０から取り外してオート
クレーブなどにより殺菌処理が施されるようにな
つている。

支持板１３は、円板状のもので、複数個の挿入
孔が対称に設けてあり、支持板に設けた、これら
挿入孔各々に試料ホルダー１４が挿入され、保持
されるようになつている。各挿入孔の口縁には、
補強フランジが形成されている。

試料ホルダー１４は、第２〜４図に示すよう
に、ステンレススチール板から成形した断面Ｍ状
のチヤンネル部材３０を有している。チヤンネル
部材３０の中央部３１の左右側縁には、後面（外
面）側へ彎曲突出した彎曲縁３３がそれぞれ形成
され、これら彎曲縁３３，３３から前面方向へ側
壁３２，３２が張り出している（第４図）。彎曲
縁３３は中央部３１の補強作用を行うと共に、切
欠部を備え、これら切欠部に回転支軸３４が通し
てある。回軸支軸３４は、チヤンネル部材３０の
後面と左右側面の三方を囲むクランプ部材３５の
左右側板３６，３６にわたしてあり、クランプ部
材３５は回転支軸３４を回転軸としてチヤンネル
部材３０側へ揺動するようになつている。

チヤンネル部材３０の中央部３１の下端には、
前方へＬ状に突出した爪片３７が設けてあり、顕
微鏡のスライド３８、フイルターカード３９およ
び試料受けの方形端板４０の各下端が前記爪片３
７で支持されている。管状の試料受け４１の一端
は、端板４０からフイルター３９側へ突出し、こ
の突出端４２は、フイルター３９に嵌合、密着し
ている。試料受け４１の他端上面には、流入孔４
４が開設してあり、この流入孔４４には、上方か
ら漏斗４３が接続している。漏斗４３と試料受け
４１とは、端板４０の前面中央から直角に突出し
ている支持体４５と一体になつている。これら端
板４０、試料受け４１（管状）、漏斗４３、支持
体４５はプラスチツクス素材により一体成形され
ている。

試料受けユニツト（試料受け４１などが一体に
なつたもの）、フイルター３９、スライド３８
は、クランプ部材３５により試料ホルダーのチヤ
ンネル部材に支持されている。このため、クラン
プ部材３５の両側板３６には、折曲縁４６が設け
てあり、試料受けユニツトの端板４０の下端がチ
ヤンネル部材３７の爪片３７に当接すると、端板
４０に折曲縁４６，４６が当接し、試料受けユニ
ツト、フイルター３９、スライド３８は互いに重
ね合わされた状態でチヤンネル部材の中央部３１
側へ引き寄せられて保持される。

回転支軸３４には、ヘアピンスプリング４７が
巻装されており、このスプリングはチヤンネル部
材３０の中央部３１とクランプ部材３５の前面
（内側）とに係合しており、クランプ部材３５を
チヤンネル部材側へ回転支軸３４を軸として付勢
回動させ、折曲縁４６が試料受けユニツトの端板
４０をチヤンネル部材３０の中央部３１へ押圧
し、試料受け４１の開口端面とスライド３８とが
フイルター３９に押されて完全に密着されるよう
になつている。

図示の実施例において、スプリング４７による
折曲縁４６の対端板４０の弾圧力は、約6.35Kgの
力になつている。

回転支軸３４は彎曲縁３３の切欠部または凹部
を通ると共に、チヤンネル部材３０の中央部３１
から突出した舌片４８の孔に挿通され、彎曲縁３
３とクリツプ４９を介して連結されている。

クランプ部材３５に設けたスプリング３７の作
用で、試料受けユニツト、スライド、フイルター
は試料ホルダーに取付けられるが、これらを試料
ホルダーから取り外す手段として、クランプ部材
３５に解除ねじ５０がナツト５１を介して螺合し
てある。そして、解除ねじ５０をねじこむと、そ
の先端がチヤンネル部材３０の中央部３１の後面
側を押し、その結果、クランプ部材３５はスプリ
ング４７に抗しながら、回転支軸３４を軸として
反時計方向に回動し、折曲縁４６，４６は試料受
けユニツトの端板４０から離れ、押圧力が解除さ
れ、試料受けユニツト、スライド、フイルターは
試料ホルダーから取り外せる。

スライド３８を試料受け４１に接するには、フ
イルター３９に試料受け４１の外法寸法に合う孔
を貫設し端板４０とフイルター３９とが爪片３７
に当接、支持されたとき、前記孔が試料受け４１
の一方の開口端部と合致し、この開口端部を前記
孔に嵌合させればよい。

図示の実施例におけるスライド３８とフイルタ
ー３９とは同一寸法のもので、一般に市販されて
いるものが使用される。フイルター３９には、上
下方向に二個の孔が対称位置に設けられており、
フイルター３９の上下逆に設置しても試料受け４
１の開口端部に対し、いずれか一方の孔が合うよ
うになつている。そして、フイルターが試料受け
４１と正合し易くするため端板４０に前記フイル
ターの一対の孔の不使用の孔と合致する突起を設
けてもよい。

試料受け４１の容積は適宜定められるものであ
るが、図示の実施例では、0.5ml容積の寸法にな
つており、試料受け４１を例えば約13゜の傾斜角
（水平軸に対し）で傾斜させると、試料は試料受
け４１の下面よりも下側に集まるような寸法構造
のものになつていることが好ましい。

試料受けユニツトを保持する試料ホルダー１４
の各々は、支持板３１の挿入孔に挿入、支持され
る。支持板３１の挿入孔には、第３図に示すよう
に、口縁５２が下方に垂下しており、回転支軸３
４が口縁５２の孔または切込みにわたされて、試
料ホルダー１４は支持板３１の挿入孔に支持され
る。そして、挿入孔の口径は試料ホルダー１４よ
りも一回り大きく、したがつて、挿入孔に支持さ
れた試料ホルダー１４は、重心が偏つているの
で、回転支軸３４を軸として支持体４５の側縁が
挿入孔の口縁５２に当るまで傾き、第１，２図に
一点鎖線で示すような傾斜状態（傾斜角は約13
゜）となる。斯くして、遠心分離操作が行われる
と、試料受け４１内の試料はスライド３８の表面
に均一かつ対称的に接触し、試料の液中に懸濁し
ている細胞その他の固体分子は均一かつ対称的に
スライド表面に付着される。そして、試料の液体
は、試料受け４１の開口端部とスライド３８の表
面との間に位置するフイルターの孔の口縁から均
一かつ対称的にフイルターへと流れる。

以上述べたように、この発明によれば、試料と
フイルターおよびスライドとは遠心分離操作が開
始されるまでは接触せず、該操作開始後、試料の
均一な付着、対称的な過作用が行われる。ま
た、試料は完全に密閉した状態で遠心分離され、
また、完全密閉構造を開放する操作も手早く行わ
れる。

さらに、試料ホルダー、支持板なども簡単に着
脱でき、これらの洗浄、殺菌、減菌処理も簡単に
行え、また、試料ホルダー、試料受けユニツト、
支持板などを交換して遠心分離操作を連続的に行
うこともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例を示す断面図、
第２図は、要部拡大断面図、第３図は、支持板と
試料受けユニツトの試料ホルダーとの構造を示す
背面図、第４図は、試料受けユニツトと試料ホル
ダーの平面図である。 １……基体、５……電動モータ、９……駒、１
０……ハブ、１１……ボウル、１２……カバー、
１３……支持板、１４……試料ホルダー、３０…
…試料受けユニツトのチヤンネル部材、３４……
回転支軸、３５……クランプ部材、４１……試料
受け、３８……スライド、３９……フイルター。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転自在な支持板１３と、複数の試料受け４
   １を保持する手段とを有し、各試料受け４１がフ
   イルタ３９と重なる受け面を有するスライド３８
   と並置される細胞遠心分離機において、 複数の試料ホルダー１４が各々、管状の試料受
   け４１の一端においてスライド３８とフイルター
   ３９と対応形の端板４０とを収容するチヤンネル
   部材３０を有し、端板４０がスライドとフイルタ
   ３９に重なつており、 試料ホルダー１４が更に、チヤンネル部材３０
   の中央部３１に向つて試料受け４１の端板４０を
   押すように端板４０に係合するクランプ部材３５
   を有し、 これにより、試料受け４１とフイルター３９と
   スライド３８の組立体を適所に固定すると共に、
   試料ホルダー１４と該組立体が一体になつて支持
   板１３から取外せるようにした細胞遠心分離機。 ２ チヤンネル部材３０が一端に爪片３７を有
   し、構成部品を相互におよび試料ホルダー１４に
   対して必要な関係に配置し、チヤンネル部材の他
   端が開いていて、クランプ部材３５が解放状態の
   とき構成部品がチヤンネル部材からすべり出るよ
   うになつている特許請求の範囲第１項に記載の細
   胞遠心分離機。 ３ クランプ部材３５が、チヤンネル部材３０に
   枢着されてチヤンネル部材のフランジ３２上を伸
   びる折曲線４６を有する揺動自由の部材からな
   り、該折曲縁４６が試料受けの端板４０に係合
   し、クランプ部材３５は、折曲縁４６がチヤンネ
   ル部材の中央部３１に向つて移動するように、必
   要な方向へ揺動できるようにばね荷重を受けてお
   り、かくして試料受けの端板４０にクランプ力を
   かけるようにした特許請求の範囲第１項または第
   ２項に記載の細胞遠心分離機。 ４ クランプ部材３５が解除ねじ５０を有し、該
   解除ねじ５０が、チヤンネル部材中央部３１の外
   面に係合し、次にクランプの解除方向にクランプ
   部材３５を強制的にクランプすると共に、試料受
   け、フイルター、スライドの組立ておよび解体を
   容易にするためにクランプ解放位置へクランプ部
   材を保持するようになつている特許請求の範囲第
   ３項に記載の細胞遠心分離機。 ５ チヤンネル部材３０が、断面Ｍ形になつてい
   て、後側または外側の面に沿つて横方向剛性縁３
   ３となり、該縁３３が凹んで回転支軸３４を受け
   入れる場所となり、回転支軸３４は縁３３および
   中央部３１から突出する後向きの舌片４８を横断
   し、回転支軸はクランプ部材の側板３６を貫通し
   てスプリング４７を有し、スプリング４７は試料
   ホルダーの中央部３１の後面と、クランプ部材３
   ５に作用して回転支軸３４のまわりをクランプ部
   材３５が回転するようにした特許請求の範囲第３
   項または第４項に記載の細胞遠心分離機。 ６ クランプ部材３５の折曲縁４６が試料受けの
   端板４０とその直径近くで係合するように配置さ
   れ、試料受け４１の軸に対してほぼ対称にクラン
   プ力を生じるようになつている特許請求の範囲第
   ３項、第４項または第５項に記載の細胞遠心分離
   機。 ７ 試料受け４１が、一端に方形の端板４０を一
   体に形成し、他端に横方向に流入孔４４を有する
   特許請求の範囲第１〜６項のいずれかに記載の細
   胞遠心分離機。 ８ 流入孔４４が漏斗４３と連通し、試料を流入
   孔に導入しやすくした特許請求の範囲第７項に記
   載の細胞遠心分離機。 ９ 漏斗４３に試料受け４１と支持体４５が一体
   に形成され、支持体４５が端板の縦方向中心線に
   沿つて試料受けの端板４０と接合するように伸び
   ている特許請求の範囲第８項に記載の細胞遠心分
   離機。 １０ 試料ホルダー１４が、支持板１３の休止時
   には、試料受け４１とスライド２８とフイルター
   ３９の組立体と共に支持体１３の下方向および内
   方向へ試料受け４１の軸を傾けるような位置を採
   り、支持板の回転により生じる遠心力の下では、
   ホルダー１４が回転軸に水平且つ垂直に試料受け
   の軸を配置するように傾むくように、試料ホルダ
   ーが重力および遠心力に応じて水平軸を中心とし
   て傾くように、試料ホルダー１４が支持板１３に
   よつて支持されている特許請求の範囲第１〜９項
   のいずれかに記載の細胞遠心分離機。 １１ 支持板１３が板状で、適当数の試料受けを
   収容する孔と、支持板を必要に応じて洗浄殺菌を
   行うため取外せるハブ１０をはめ込める中央孔を
   有している特許請求の範囲第１〜１０項のいずれ
   かに記載の細胞遠心分離機。 １２ ハブ１０が収納ボウル１１と取外し可能な
   カバー１２を有し、ボウルとカバーが一体に取外
   し可能な密封ヘツド組立体を構成し、収納区域で
   処理できるようになつている特許請求の範囲第１
   １項に記載の細胞遠心分離機。 １３ ハブ１０には、電動モータの駆動軸の駒９
   と合う内側のテーパ付き駆動表面が形成されてい
   る特許請求の範囲第１１項または第１２項に記載
   の細胞遠心分離機。