JPS6238463B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は電子柄出し丸編機、電子柄出し靴下編
機等に於ける電磁選針装置に関するもので、特に
編機の選針要素であるジヤツクが多段式であり、
且すくい上げ方式のほか、プレス式のものにも、
適応され、その目的とするところは選針作用の高
速化、安定化を計り、構造の簡素化により部品加
工、組工、組立を容易にし、非常に安価に製造で
き、更にユニツトとして従来のメカニカル機にも
採用可能なることを特徴とした電子柄出し丸編機
に於ける改良された電磁選針装置を提供するもの
である。

(ロ) 従来技術 従来、電子柄出し丸編機、電子柄出し靴下編機
等に於ては、各種の電磁選針装置が開発されてい
るが、その選針要素であるジヤツクは単段式と多
段式があり、又選針方式にはプレス式とすくい上
げ方式とがあり、ジヤツク単段はプレス式のみ
で、針１本づつを電磁器で選針させるため、選針
速度には限界があり、針１本の通過時間が1.2ms
を限度とし、此れ以上の高速化は得られていな
い。一方多段式は、プレス方式、すくい上げ方式
のものがあるが、何れも構造の複雑さによる部品
加工、組立加工の困難さと、高度の精度維持を必
要とする調整上の困難さによりコストが莫大に
かゝることと更に大きな欠点は、選針速度に問題
があり、その要因とするところは、選針レバーの
動作時間の短縮が要求されているのに、これに満
足できるものが得られなかつたことにある。

即ち、ジヤツクのバツトが多段であり、プレス
方式、すくい上げ方式の何れも選針レバーがジヤ
ツクのバツトを作用する時間は決められ、選針速
度を早めるための方法としてはジヤツクのバツト
段数を多くするか、選針レバーの動作速度を早く
するかの何れかになる。この場合ジヤツクのバツ
ト段数を多くするのは、ジヤツクの長さを長くし
なければならない欠点のみならず、編機シリンダ
ーの長さ、テーブル支柱の長さ等も長くせねばな
らず、又選針用電磁器の段数も増え、それだけコ
スト高になるという欠点を有するものであつた。

(ハ) 発明の目的 本発明は電子柄出し丸編機、電子柄出し靴下編
機に於ける従来技術の欠点を解決するためにジヤ
ツクは多段式で、選針方式がすくい上げとプレス
方式で、選針レバーの動作時間を極端に短かくし
て選針速度を高速化し、作動時の安定化を計り、
尚且、構造の簡素化によつて、部品加工、組立て
を容易にして非常に高性能で、しかも安価に製造
しうる電子柄出し丸編機、電子柄出し靴下編機の
改良された電磁選針装置を提供することを目的と
する。

(ニ) 発明の構成 以下本発明の実施例を図面により詳細に説明す
る。前述の如く本電磁選針装置は、電子柄出し丸
編機、電子柄出し丸靴下編機に於て、編機の選針
要素であるジヤツクが多段式、且すくい上げ方式
又はプレス方式の何れの編機にも適応する構成を
有するものである。

第１図に於て、編機シリンダ１は軸心（図示し
ない）を中心として矢印の方向に回転する。シリ
ンダ１の外周には、編成要素である針、ジヤツク
用の溝２が円周上に設けられ、此の溝２内に針、
ジヤツク（図示ではジヤツク３のみ）がシリンダ
１の上下方向に摺動自在に配設されている。ジヤ
ツク３は多段式なる故、そのバツト３―１はある
間隔を以つてシリンダ１の外周に突出して配列さ
れる。

本発明による電磁選針装置は、第１図、第２図
に示す如く、選針レバー８の取付台４と電磁石の
取付体１８により構成される。選針レバーの取付
台４は、Ｌ型を呈しており、水平部分４―１は、
編機のテーブル５にネジ６を以つて固定されてい
る。選針レバー８の取付台４の垂直部４―２に
は、横方向の溝４―３を等間隔で複数列設け、又
垂直部４―２のやゝ中央部に縦溝４―４を１個所
設ける。此の縦溝４―４には小径の硬質ピン７を
挿入せしめ、押へ金１０とネジ９を以つて固定す
る。選針レバー８は、平面Ｌ型を呈しており、先
端はジヤツク３のバツド３―１を作用させる傾斜
部８―１を有し、中央部は前記小径のピン孔８―
２を有し、基端は３個の永久磁石を保持するため
の後端基部８―３を有している。

選針レバー８は取付台４の垂直部４―２の複数
の横溝４―３に複数個挿入し、選針レバー８の支
点孔８―２に前述の小径硬質ピン７を貫通せし
め、選針レバー８は此の小径硬質ピン７を支点と
して揺動可能の如く配設せしめる。該選針レバー
８の取付台４の垂直部４―２後方には選針レバー
８を挾さんで両側にストツパー１１，１２をネジ
１３，１４にて夫々固定する。各ストツパー１
１，１２の先端１１―１，１２―１は各選針レバ
ー８の揺動ストロークを制御するために所定の間
隔を以つて配設する。さらに該選針レバー８の後
端は半円弧形状の基部８―３を有しており、此の
後端基部８―３に３個の永久磁石１５，１６，１
７を二液性接着剤（第３図、第４図で特にナシ地
断面とした部分）により極性を交互に（本実施態
様では中央にＳ極を両側にＮ極を表面に配置し）
所定の間隔を以つて固着せしめる。

永久磁石の形状は角型と丸型のもの何れも用い
ることができるが、後記する保持力の効果を出す
ためには角型のものが望ましく、又、永久磁石１
５，１６，１７夫々の間隔は選針レバーの揺動ス
トロークに関係するが、本実施態様では、永久磁
石の外径に対して3/8の比率をとることが、実験
の結果良好であることを確かめることができた。

次に第１図、第２図に示す如く、選針レバー取
付台４の水平部４―１の後方に電磁石２０の取付
体１８をネジ１９にて取付ける電磁石取付体１８
は非磁性体（本実施態様ではアルミニユーム材を
使用）として後述の各電磁石２０の磁気回路を遮
断する構成をとつている。

電磁石取付体１８の垂直部１８―１には選針レ
バー８の永久磁石面に対向して縦列に複数の溝１
８―２を等間隔で設けてあり、此の溝１８―２は
前述の選針レバー取付台４の垂直部４―２に設け
た横溝４―３と同じピツチでとつている。電磁石
２０はヨーク２１、右電磁コイル２２、左電磁コ
イル２３、右コア２４、左コア２５、ナツト２
６，２７により構成されており、此の電磁石２０
はそのヨーク２１部が前記の電磁石取付体１８の
垂直部１８―１に縦列に設けられた複数の溝１８
―２に選針レバー８の数と同数個をネジ２８によ
り固定する。

電磁石２０は、右電磁コイル２２、右コア２４
と左電磁コイル２３、左コアの２個を並列に１対
として組込まれ、第３図、第４図に示す如く、右
コア２４、左コア２５のネジ部２４―２，２５―
２は夫々ヨーク２１のザグリ部２１―１，２１―
２内でナツト２６，２７によつて固定される。右
コア２４と左コア２５の先端２４―１，２５―１
は互に向い合う如く曲げられて所定の間隔を以つ
て配設せしめる、又此の右コア２４、左コア２５
の先端２４―１，２５―１の前面は前記選針レバ
ー８の基部平面頭部８―３に固着されている３個
の永久磁石１５，１６，１７の作用面に対向して
所定の間隔を以つて配置される。

右電磁コイル２２と左電磁コイル２３は直列に
結線され、そのリード線２９，３０は図示を省略
した編機の電子柄出し制御装置に接続されてい
る。

第１図、第２図に於ける上プレート３１は選針
レバー取付台４の上部と電磁石取付体１８の上部
との間隔を保持するためのものでネジ３２により
固定される。第１図に於ける逃しレバー３３、支
柱３４は、選針レバー８を編機がガーメント製品
を編立中にメカニカル的に休止させるためのもの
で、本願の要旨とは関係ないのでこれに関する説
明は省略する。

(ホ) 作用 以下本発明による電磁選針器の作用に就き説明
する。

先づ第３図，第４図に於て、図示を省略した編
機の電子柄出し制御装置から、リード線２９，３
０を介して両電磁コイル２２，２３に対し柄に応
じた交番励磁信号が送られる。

第３図の例から説明すると、右電磁コイル２２
に対しＳ極が、左電磁コイル２３に対しＮ極が励
磁されると、右コア２４の先端２４―１にＳ極の
磁界（以下Ｓと略す）が生じ、左コア２５の先端
２５―１にＮ極（以下Ｎと略す）が生じ、右コア
２４の先端Ｓと選針レバー８の後端基部８―３に
固着された永久磁石１５Ｎとが吸引し合い、左コ
ア２５の先端Ｎと永久磁石１６Ｓとが吸引し合
い、更に左コア２５の先端Ｎと永久磁石１７Ｎと
が反撥作用を起して選針レバー８は小径硬質ピン
７を支点として図示の矢印方向へ急速に揺動す
る。そして選針レバー８は選針レバー取付台４に
取付けられたストツパー１２の先端１２―１に突
当り、揺動作用を完了する。揺動作用完了後、選
針レバー８は第３図に示す如く、ヨーク２１を介
して右コア２４Ｓと左コアＮ及び選針レバー８の
後端基部８―３を介しての永久磁石１５Ｎと永久
磁石１６Ｓとにより点線で示す如き磁気閉回路を
構成し、揺動完了後の選針レバー８の静止位置を
安定化させ、第５図に示す如く、選針レバー８の
先端傾斜部８―１により、ジヤツク３のバツト３
―１を選択作用せしめる。

次に第４図の例を以つて説明すると、第３図と
比べて、コアの極性が反対になり、従つて逆の作
用を行はしめるもので、左電磁コイル２３に対
し、Ｓ極励磁され、右電磁コイル２２に対してＮ
極が励磁されると、左コア２５の先端２５―１に
Ｓ極の磁界（以下Ｓと略す）が生じ右コア２４の
先端２４―１にＮ極の磁界（以下Ｎと略す）が生
じて、左コア２５の先端２５―１Ｓと選針レバー
８の後端基部８―３に固着された永久磁石１７Ｎ
とが吸引し合い、右コア２４の先端２４―１Ｎと
選針レバー８の永久磁石１６Ｓとが吸引し合い更
に右コア２４の先端２４―１Ｎと永久磁石１５Ｎ
とが反撥作用を起して選針レバー８は、小径硬質
ピン７を支点として第４図の矢印方向へ急速に揺
動する。そして選針レバー８は選針レバー取付台
４に取付けられたストツパー１１の先端１１―１
に突当り揺動作用を完了する。揺動作用完了後選
針レバー８は第４図に示す如く、ヨーク２１を介
して左コア２５Ｓと右コアＮ及び選針レバー８の
後端基部８―３を介しての久磁石１７Ｎと永久磁
石１６Ｓとによつて点線で示す如き磁気閉回路を
構成し、揺動完了後の選針レバー８の静止位置を
安定化させ第６図に示す如く選針レバー８の先端
傾斜部８―１はジヤツク３のバツド３―１を作用
させることなくその位置を保持する。

選針レバーの動作時間に就ては、従来技術に於
て、本出願人による特願昭56―101242及び特願昭
58―9955にては9ms〜10msが出せる限界であ
り、靴下編機の例からは、針数が240本の場合、
ジヤツク段数を16段に設定するとシリンダの回転
数は220r.p.m〜230r.p.mが限界であつたが本発
明によるものは、選針レバーの動作時間が4.5〜
5msと従来の２倍の早さとなり、針数240本でジ
ヤツク段数を16段に設定すれば、400rpm以上と
高速化し、尚且、永久磁石と電磁石のコアーによ
つて磁気回路が、選針レバーの作用時、非作用時
に確実に保持され、安定化を保ちうる事が得られ
たことにある。針数240本でシリンダ回転数を
220rpm以上とすれば、ジヤツク段数は８段とな
りジヤツク長さ、シリンダーの長さ等が短かくな
り合理的な使い方も可能となる有利性も含まれる
ことは勿論である。

また、本発明における選針レバーの作用は、主
としてすくい上げ方式のものに実施するに便なる
如くに述べたが、設計によつて選針レバーをプレ
ス式に作動せしめる変更を行うことも容易であつ
て、この方式は、もとより本発明の技術的範囲に
入るものである。

(ヘ) 実施例 本発明の実施例としては、第１図乃至第７図
で、主として選針レバー８の先端部８―１がシリ
ンダ１の周面に突出してジヤツク３のバツト３―
１を所謂すくい上げて上昇せしめる方式の構成を
記載したが、第８図乃至第１０図に示す如き、選
針レバー８の先端部８―１が、同じ作動で、ジヤ
ツク３のバツト３―１の端面を押すことによつ
て、ジヤツク３が上げカムに乗り、同じく上昇せ
しめる所謂プレス方式、または第１１図乃至第１
３図に示した他の実施例として、選針レバー８の
後端基部８―３のN.S極の並列を縦方向に変え、
選針レバーの先端を上昇の際に、ジヤツク３のバ
ツト３―１を傾斜面に沿い摺動して押込む方式の
ものを示して居り、何れも選針レバー８の後端基
部に並列した永久磁石に対設する二個のコアとの
磁気閉回路を変換して、選針レバーをして支点を
中心として先端部８―１を作動せしめることで選
針作動を行う点において一致するものである。

(ト) 発明の効果 本発明装置は、丸編機特に電子板出し靴下編機
において、選針速度の向上とその合理化を実現す
るばかりでなく、選針作用が確実となつて製品が
安定し、装置の構成が簡単となつて製造が容易
で、しかも安価に提供できるという諸特徴を具え
ている。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の実施態様を示すもので、第１
図はすくい上げ方式の本装置を設置した丸編機要
部の平面図、第２図は同縦断側面図、第３図と第
４図は選針レバー基部の永久磁石と電磁コイル付
コアの磁極との対設を示す１部の平面図、第５図
と第６図は選針レバーの作動を示す平面図、第７
図は選針レバーとジヤツクとの１部斜面図、第８
図はプレス方式の選針レバーとジヤツクとの要部
平面図、第９図は同縦断側面図、第１０図は、同
じく１部の斜面図、第１１図乃至第１３図は、他
の実施例の同じく平面、側面および１部の斜面を
表わすものである。 符号の説明１……編成シリンダ、２……溝、３
……ジヤツク、４……取付台、５……編機テーブ
ル、６……ネジ、７……支点ピン、８……選針レ
バー、９……ネジ、１０……押金、１１，１２…
…ストツパー、１５，１６，１７……永久磁石、
１８……電磁石取付体、２０……電磁石、２１…
…ヨーク、２２，２３……電磁コイル、２４，２
５……コア、２９，３０……リード線、３３……
逃しレバー、３４……支柱、３５……上げカム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端部が、針筒に装着された選針ジヤツクの
   バツトに作用する選針レバーの基部に極性を異に
   する三個の永久磁石を並列し、該永久磁石に対向
   する２個のコアには夫々任意交番励磁を可能に電
   磁コイルを設置せしめ、コアの極性変換により、
   選針レバーの先端部を作動せしめることを特徴と
   する電子柄出し丸編機の電磁選針装置。 ２ 選針レバーの基部は平面円弧形に形成されて
   いる特許請求の範囲第１項記載の電子柄出し丸編
   機の電磁選針装置。 ３ 平面円弧形とした選針レバー基部の表面の中
   央部にＳ極、その両側にＮ極の永久磁石を設置し
   た特許請求の範囲第１項記載の電子柄出し丸編機
   の電磁選針装置。 ４ 選針レバーの先端部を、ジヤツクのバツトを
   すくい上げる傾斜面に形成してなる特許請求の範
   囲第１項記載の電子柄出し丸編機の電磁選針装
   置。 ５ 選針レバーの先端部を、ジヤツクのバツトに
   衝接してこれを押込む突出端とした特許請求の範
   囲第１項記載の電子柄出し丸編機の電磁選針装
   置。 ６ 選針レバーの先端部を、ジヤツクのバツトを
   摺動する傾斜面と、ジヤツクのバツトを押込む突
   出端とした特許請求の範囲第１項記載の電子柄出
   し丸編機の電磁選針装置。