JPS623727Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電気泳動装置における信号処理装置に
関する。

帯電した粒子例えば生体の細胞の浮遊液に電界
を作用させると荷電粒子は電気力を受けて泳動す
る。このときの荷電粒子の易動度は荷電粒子の種
類によつて略定まつているので易動度の測定によ
つて荷電粒子を弁別することができる。易動度の
測定には荷電粒子の泳動速度を測定すればよい。
本考案は電気泳動を行つている荷電粒子の泳動速
度を測定する装置を対象としている。

電気泳動を行つている荷電粒子の泳動速度を測
定する方法として次のような方法が提案されてい
る。即ち荷電粒子の浮遊液を充たした管に電極を
挿入して浮遊液に電界をかけ荷電粒子に電気泳動
を行わせ、管外から上記液を強く照明すると照明
光は浮遊粒子によつて散乱される。この散乱光を
レンズで集め格子面上に荷電粒子の像が形成され
るようにする。荷電粒子の像は輝いた点として形
成される。この像は荷電粒子の電気泳動によつて
格子面上を移動し格子線を横切る。そこで格子の
背後に受光素子を置いて格子を通過した荷電粒子
像の光を受光すると像が格子線を横切る度に受光
量が減るから受光素子の出力は脈動する。浮遊液
中に種々な荷電粒子があり、それらが異なる易動
度を持つていて、しかも各種の荷電粒子の易動度
が粒子の種毎に或る易動度の分布を持つている場
合、格子面上に多数の粒子の像が形成されている
と受光素子の出力は単一な周期の脈動出力とはな
らず種々な周波数の脈動波形が重畳されたものと
なるから複雑な波形を示す。このためそのような
波形をフーリエ変換して成分波のスペクトル分布
を求める。このスペクトルにおける各ピークが種
別毎の荷電粒子を表わしている。この方法は試料
が多種の荷電粒子を含んでおりかつ粒子濃度が高
いときに各種の荷電粒子を弁別する分析手段とし
て有効であるが、フーリエ変換の操作が必要なの
で信号処理回路の構成が複雑となる。

荷電粒子浮遊液の粒子濃度が低く上述した格子
面上に一時に一粒子像が形成される程度である
と、受光素子の出力から直流分を除いた信号は連
続的な不規則波形ではなく第１図に示すようなバ
ースト状の波形となる。このような場合上述した
フーリエ変換を用いる方法は回路構成が複雑であ
るだけで各荷電粒子の正確な移動速度を求めるこ
とは困難である。本考案はこのような場合に有効
な電気泳動粒子の流動速度測定装置を得ることを
目的としたものである。

本考案は上述した受光素子の出力から直流分を
除去した信号がＯレベルをよぎる時間間隔を測定
してその時間間隔の分布図を求めるようにした装
置に係る。以下実施例によつて本考案を説明す
る。

第２図は本考案の一実施例装置の光学的部分の
斜視図及び電気的部分の構成を示すブロツク図で
ある。１は電気泳動管で透明なガラス管であり試
料の荷電粒子を浮遊させた液が充たされている。
２，３は上記液に電界を与えるための電極で管１
内に挿入されている。４は管１の上方に配置され
たレーザー光源で、この光源から発せられる光ビ
ームは円筒レンズ５で管１内の適所において管１
の軸と平行に延びた線状ｌに集光されその部分を
照明している。６は光源４の発する光ビーム及び
管１と直交する方向の光軸を有する拡大投影用レ
ンズであつて上記光の集中線ｌにおいて照明され
た粒子の像を格子７上に結像するようになつてい
る。格子７は管１の管軸と直角の方向を持ち管軸
方向に並んだ不透明格子線を有する。格子Ｇは円
板の周辺に放射状に設けて回転させてもよい。８
は格子７の背後に配置された受光素子である。荷
電粒子が電界の作用で図矢印ａ方向に泳動すると
き、レンズ６による荷電粒子像は格子７上で矢印
ｂ方向に移動する。粒子像は粒子がレーザー光で
照明されているので輝いた点であり、この像が受
光素子８から見るとき格子線によつて見え隠れす
るので受光素子の出力から直流成分を除いたもの
は第１図のようなバースト状になる。

Ｆは受光素子８の出力から直流成分を除去する
フイルタ、Ａは増幅器である。増幅器Ａの出力は
ゼロクロス検出回路Ｚに印加される。ゼロクロス
検出回路は増幅器Ａの出力がＯレベルをよぎると
き出力が反転する。ダイオードブリツジを介して
負帰還される演算増幅器でダイオードが順方向で
も両端電圧が１個当り0.6Vまではきわめて高抵
抗であるから、入力がＯレベルをよぎる付近での
増幅率がきわめて大であり、従つて入力Ｏを境に
出力が反転するものでシユミツト回路と異なりヒ
ステリシスがないから入力信号がＯレベルをよぎ
る間隔を正確に検知することができるものであ
る。前段の増幅器Ａの増幅率が充分大であるとき
はＺはシユミツト回路でもよい。Ｇはゼロクロス
検出器Ｚの正の出力によつて開かれるゲートであ
り同ゲートを通してパルス発振器Ｐの出力パルス
がカウンタＫに送られて計数される。カウンタＫ
の出力はＯレベル検出器Ｚの出力の立下りにより
トリガされるワンシヨツト回路Ｂ出力パルスの立
上りで演算回路Ｃに読込まれ、同パルスの立下り
でカウンタＫがリセツトされる。演算回路Ｃはカ
ウンタＫの計数値の逆数を算出する。この逆数は
第１図にＴで示した時間幅に反比例した数値で荷
電粒子の泳動速度に比例している。従つてこの数
値をメモリＭに記憶させておき後で読出して各数
値の出現頻度曲線を作ると、それは試料の荷電粒
子の電気泳動速度の分布を示すものとなる。頻度
曲線を作るには演算回路Ｃの出力数値を区分し
（逆数演算を適当桁で打切る）各区分に対しメモ
リ上に一つのアドレスを定めておき、或る区分に
属する数値が算出されたときはメモリにおけるそ
の区分に対応したアドレスの記憶に１を加算する
ようにし、一定時間電気泳動を行つた後でメモリ
を読出し、アドレスを横軸に各アドレスの記憶数
を縦軸にしてグラフに画けばよい。

フーリエ変換は要するに周波数分析であるから
電気回路によつてこれを行うには多数のフイルタ
を要し回路構成が複雑になるのであるが、本考案
によれば第１図における時間幅Ｔを直接測定して
その逆数の値の分布を求めるのでデイジタル化が
容易であり従つて測定精度を上げるのも容易であ
り回路構成も簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電気泳動装置における受光素子の出力
を示すグラフ、第２図は本考案の一実施例装置の
光学的部分の斜視図及び電気的部分のブロツク図
である。 １……電気泳動管、２，３……電極、４……光
源、６……投影用レンズ、７……格子、８……受
光素子、Ｆ……直流分を除去するフイルタ、Ａ…
…増幅器、Ｚ……Ｏレベル検出器、Ｇ……ゲー
ト、Ｐ……パルス発振器、Ｋ……カウンタ、Ｃ…
…演算回路、Ｍ……メモリ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電気泳動管中において電気泳動を行つている照
   明された荷電粒子の像を格子上に結像させる構成
   を有し、上記格子の背後に配置された受光素子の
   出力から直流成分を除去し、この直流成分を除去
   された信号がＯレベルを切る時点間の時間を計測
   し、その計測値の逆数を算出する手段を備えた電
   気泳動装置。