JPS6237132Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、被測定流体の流れの中に挿入されて
流速に応じて回転する羽根車と、この羽根車と一
体に回転する永久磁石と、この永久磁石の回転数
に比例する電気パルスを発信するパルス発信部
と、前記電気パルスを演算処理して前記流体の流
速または流量を表わす信号を出力する演算部と、
前記パルス発信部および演算部用の電源電池を収
納する電池ケースとを備えて成る電子式流体メー
タに関するものである。

〔考案の技術的背景〕

この種の電子式流体メータ、例えば水道メータ
においては、各構成部品はケース内の限られた容
積空間内に配置される。これらの構成部品の中で
電源電池は相対的に大きな外形をしており、しか
も一般に磁性体から成る外装容器すなわち電池ケ
ースを持つている。この電源電池は部品配置上の
機械的安定性や容積率向上という要請から、一般
に横型配置となり、しかも永久磁石に近接して配
置される結果となる場合が多い。一方、永久磁石
は周方向に少なくとも一対のＮ，Ｓ極が形成され
るが、実用上は最少限の一対である場合が多い。

〔背景技術の問題点〕

周知のごとく永久磁石の作用範囲内に磁性体が
存在するとその磁性体と永久磁石との間に吸引力
が作用する。しかるに上述の流体メータの場合に
は、永久磁石の極数が少ないこと、永久磁石の近
辺に配置される電池ケースが永久磁石の中心点か
ら見て周方向に等分布配置された円形磁性体では
ないこと、の理由から永久磁石の回転位置によつ
て電源電池との間に作用する吸引力が大幅に変化
し、しかも吸引力の作用方向が真の放射方向から
或る角度ずれてしまい、その吸引力の接線方向成
分が羽根車の駆動力に対する負荷となる。大流量
ないし高流速の場合は羽根車の駆動力が大きいの
で上記吸引力の接線方向成分は大して問題になら
ないが、小流量・低流速になるにつれて上記吸引
力の接線方向成分の影響が出て来てメータの測定
誤差を大きくする原因となつていた。

このような測定誤差は、電池ケースを永久磁石
から大きく離して配置することによつても小さく
することができる。しかし、それではメータ全体
として大型化してしまい、配置上種々の制約を受
けることになり、極端な場合、配置不能になるこ
ともある。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、永久磁石とこれに近接配置さ
れる電池ケースとの間に作用する吸引力に基づく
羽根車への負荷作用による、特に小流量・低流速
域における測定精度の低下を、メータ全体の大型
化を来たすことなく、良好に防止し得る。電子式
流体メータを提供することにある。

〔考案の概要〕

この目的を達成するために本考案は、永久磁石
と電池ケースとの間に、電池ケースを被う大きさ
を有する円板形の磁気しやへい板を配置したこと
を特徴とするものである。

〔考案の実施例〕

以下、第１図および第２図に示す実施例を参照
して本考案を詳細に説明する。

第１図および第２図は本考案を電子式水道メー
タに適用した場合の実施例を示すものである。こ
の電子式水道メータは下ケース１とこれに水密か
つ気密に、しかも取外し自在に装着される上ケー
ス２とから成るケースを持つている。下ケース１
の一端は流入口３として構成され、他端は流出口
４として構成され、被側定流体すなわち被側定水
が流入口３から流入し、ストレーナ５および内部
の流路６を通つて流出口４から流出する。下ケー
ス１のほぼ中央に、流路６中に位置するように、
羽根車７が配設されている。羽根車７を取付け、
それと一体に回転し得るように流路に対して垂直
な方向に設けられた軸８の上ケース側端には永久
磁石９が取付けられている。永久磁石９には周方
向に少なくとも一対のＮ、Ｓ極が形成されてい
る。部品７〜９は上面開口のケース１０の中に収
められている。ケース１０には羽根車７の位置の
流入側に流入口１１が、また流出側に流出口１２
が設けられている。

上ケース２の中には、永久磁石９の周面に対向
するようにパルス発信部１３が設けられている。
パルス発信部１３は永久磁石９の回転を磁気的に
無接触で検出するもので、永久磁石９の回転数つ
まり羽根車７の回転数に比例する電気パルスを出
力する。この電気パルスは演算表示部１４に送ら
れて演算処理される。つまり、演算表示部１４は
予め知られている流路６中を流れる水の流量ない
し流速と羽根車７の回転数との間の関係に基づい
て上記電気パルスから流量ないし流速を演算す
る。その演算結果は、必要に応じて直接表示のた
めに用いられたり、記録のために用いられたり、
場合によつては保護装置や警報装置のために用い
られたりする。パルス発信部１３および演算表示
部１４の動作電力は上ケース２のほぼ中央に配置
された電源電池を収納する電池ケース１５から供
給される。

パルス発信部１３、演算表示部１４および電池
ケース１５は上ケース２の中に直接収納されてい
るのではなく、一たん銅合金などの非磁性材から
成る内部容器１６の中に収納して密封されてい
る。この内部容器１６は下ケース１の上部開口部
の上にそこを塞ぐように積重配置され、さらにそ
の上から下ケース１に係合する上ケース２でケー
ス１０に対して押圧され、ケース１０側の密封性
を確実にしている。

本考案の特徴は、以上のように構成されている
水道メータにおいて、内部容器１６内において永
久磁石９と電池ケース１５との間に電池ケース１
５を被うように磁気しやへい板１７を配置したこ
とにある。磁気しやへい板１７は、永久磁石９の
側から電池ケース１５の方を見て少なくとも電池
ケース１５が被い隠されるような平面面積を有
し、しかも永久磁石９の磁気作用の及ぶ範囲内で
平面方向に凹凸の無いことが必要である。第２図
の例では、このような条件を満たす磁気しやへい
板として円板形のものが示されている。

〔考案の効果〕

本考案に従つて磁気しやへい板１７を配置する
ことにより、永久磁石９と電池ケース１５とが直
接吸引し合うことがなくなり、永久磁石９と磁気
しやへい板１７とが吸引し合うことになる。しか
るに後者の吸引力は羽根車７の回転位置に関係な
くほぼ一定で正しく放射方向を向いており、羽根
車７の回転に対して負荷となるような悪影響を与
えることはない。したがつて、少流量ないし低流
速域における永久磁石の磁気吸引によるメータ誤
差を、メー全体の大型化を招いたりすることなく
除去し、小型で高精度の電子式流体メータを提供
することができる。なお、本考案は水の測定のみ
ならず、他の流体、例えば油などの測定に用いる
メータにも適用し得ることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による電子式流体メータの一実
施例を示す縦断面図、第２図は第１図における磁
気しやへい板と電池ケースとの関係を示す平面図
である。 ６……流路、７……羽根車、８……羽根車軸、
９……永久磁石、１３……パルス発生部、１４…
…演算表示部、１５……電池ケース、１７……磁
気しやへい板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 被測定流体の流れの中に挿入されて流速に応じ
   て回転する羽根車と、この羽根車と一体に回転す
   る永久磁石と、この永久磁石の回転数に比例する
   電気パルスを発信するパルス発信部と、前記電気
   パルスを演算処理して前記流体の流速または流量
   を表わす信号を出力する演算部と、前記パルス発
   信部および演算部用の電源電池を収納する電池ケ
   ースとを備えて成る電子式流体メータにおいて、 前記永久磁石と電池ケースとの間に、電池ケー
   スを被う大きさを有する円板形の磁気しやへい板
   を配置したことを特徴とする電子式流体メータ。