JPS6236847Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は、加熱炉の天井仕切壁の構造に関する
ものである。

（従来技術） 鋼片を加熱する加熱炉において、炉長方向の各
燃焼ゾーンの燃焼制御を容易にするため、第１図
に示すように、天井に１個又は複数個の仕切壁１
を設けることが、一般的に広く行われている。

この天井仕切壁は、1000〜1400℃の高温に長期
間されされるために、高耐熱性とともに、炉温の
制御性をよりよく良くするために、蓄熱量の低い
ことが要求されている。また加熱炉においては、
炉内の耐火材や機器等を、定期的にあるいは突発
的に修理を行わなければならないことがあるが、
この際天井仕切壁に作業者や、修理用機器等が接
触して、大きな衝撃力を与えることがしばしばあ
るので、これによつて破損しないような構造が必
要である。

このため、従来の天井仕切壁の構造は、第２図
及び第３図に示す如く、その壁体を、耐熱性の高
い例えば耐火プラスチツク材２で築造し、これ
を、耐火プラスチツク材２を貫通する水又は空気
によつて冷却された金属製パイプ３によつて支持
する方法が一般的に行われていた。

以上述べたような従来の天井仕切壁は、耐熱性
が高く、かつ衝撃力に対して強いと云う利点を有
しているが、金属製パイプ３が冷却されているた
め、この冷却による熱損失が非常に大きいと云う
大きな欠点を有している。

またその密度が2000〜3000Kg／m³と大きく、従
つて蓄熱量の大きい耐火プラスチツクで築造さ
れ、かつ冷却されていることと相俟つて、炉温の
制御性の妨げとなるなどの欠点を有している。

以上述べた従来の天井仕切壁の欠点を解消する
ために、例えば第４図に示す実開昭52−89757号
公報の如く、波状耐熱鋼４と繊維状断熱材５で構
成された炉内断熱仕切壁を、加熱炉の天井仕切壁
に適用することも考えられるが、当該仕切壁は繊
維状断熱材を金属で支持する構造となつているた
めに、この支持用金属が加熱炉においては、1000
〜1400℃の高温にさらされるので、酸化損耗して
使用に耐えないと云う致命的な欠陥を有してい
る。

（考案の目的） 本考案は、以上の述べた従来の耐火プラスチツ
ク材と冷却パイプで構成された天井仕切壁や、繊
維質断熱材と波状耐熱鋼で構成された実開昭52−
89757号公報による炉内断熱仕切壁の欠陥を排除
せんとするもので、耐熱性が高く、かつ蓄熱量の
小さいセラミツクフアイバーで、天井仕切壁の壁
体を構成し、これを耐熱性と高温における強度が
大きいセラミツク質支持具で、懸垂支持すること
によつて、冷却による熱損失が全くなく、1000〜
1400℃以上の高温においても長期間使用でき、か
つ蓄熱量の小さい天井仕切壁構造を提供しようと
するものである。

（考案の構成、作用） 本考案の実施例を図面にもとずいて説明する。

本考案にかかわる天井仕切壁は、仕切壁の壁体
をなすセラミツクフアイバーと、これを懸垂支持
するセラミツク質支持具と、当該仕切壁を保持す
る仕切壁保持装置からなつている。仕切壁の壁体
をなすセラミツクフアイバーは、第５図に示す如
く、任意の大きさの板状セラミツクフアイバー６
であり、支持具の貫通口７が予めあけられてい
る。

天井の開口部８と接する部位には、当該開口部
の巾９より、その巾１０が大きい巾広板状セラミ
ツクフアイバー６′を使用し、天井開口部のシー
ルを完全に行う。

次に壁体を支持するセラミツクス質支持具につ
いて説明する。本支持具は、第６図及び第７図に
示す如く、水平支持具１１と、壁体を懸垂支持す
る垂直支持具１２により構成されている。水平支
持具１１は、炉巾方向に任意の長さに分割されて
おり、次に述べる垂直支持具１２によつて保持さ
れている。

垂直支持具１２は、炉高方向に複数個に分割さ
れており、かつそれぞれの支持具は、第８図及び
第９図に例を示すように、嵌め込み式１８やピン
止め式１７で接合されており、当該支持具１２に
炉長方向の衝撃力１３が加わつても、接合部を起
点にして容易に動くような構造となつている。

仕切壁保持装置１３は、第６図及び第７図に示
す如く、その下部に、例えばジヤツキのような高
さ調整装置１４と、垂直支持具１０をピン１５で
保持する機構を有している。

次に当該天井仕切壁の築造法について述べる。

まず板状セラミツクフアイバー６を、その垂直
支持具の貫通口７を垂直支持具１２が貫通するよ
うにして、水平支持具１１の上に、所定の高さ寸
法になるまで積層する。なお天井開口部８に接す
る上部には、開口部の巾９より、巾の大きいセラ
ミツクフアイバー７′を積層する。

板状セラミツクフアイバー６を所定の高さ寸法
に積層後、天井開口部８に通して吊り上げ、垂直
支持具１２を仕切壁保持装置１３にピン１７を介
して固定する。しかる後に、高さ調整装置１４に
て仕切壁全体を持ち上げ、天井１５に密着させ
る。最後に、天井開口部８の空間部には、断熱材
１６（第６図及び第７図の斜線部）を充填する。

以上に述べた本考案による天井仕切壁は、次に
述べるような優れた利点を有する。

まず、天井仕切壁の壁体と、その支持具が耐熱
性の高いセラミツクフアイバーと、セラミツクス
で構成されているため、全く冷却を必要とせず、
従つて冷却による熱損失が零となり、燃料費が節
減される。また冷却設備例えばポンプ、冷却パイ
プ等が不要となり、設備費が削減できる。

また壁体の大部分が、蓄熱量の小さいセラミツ
クフアイバーで構成され、かつ無冷却であるの
で、炉温の制御性が向上する。さらに壁体を支持
する垂直支持具が、複数個に分割され、かつ各々
の接合点を起点にして、炉長方向に動くことがで
きることによつて、次に述べるような利点を有す
る。

すなわち、セラミツクスは、一般的には静止荷
重に対しては非常に強いが、衝撃力には比較的弱
い欠点を有しているが、本考案による垂直支持具
は前述の如く、仕切壁に炉長方向の衝撃力が加わ
つても、容易に変形するような構造となつている
ため、衝撃力を吸収し、破損を防ぐことができる
ので、炉内修理時の作業性が良くなる。なお壁体
を構成しているセラミツクフアイバーは、柔軟性
を有しているので、垂直支持具の変形の妨げとな
るものではない。

またセラミツクスは大きくなるほど、製造上の
制約も多くなり、また熱応力等により割れ易くな
るが、複数個に分割することによつて、このよう
な欠点を排除できる。その他に仕切壁保持装置に
高さ調整装置がついていることによつて、壁体を
構成しているセラミツクフアイバーが、長期間高
温にさらされることによつて収縮し、天井との間
に隙間が生ずるようなことが万一起つた場合で
も、高さ調整装置によつて、仕切壁の壁体を持ち
上げることによつて、常に天井との密着性を保つ
ことができ、天井開口部のシール性を確保できる
利点を有する。

（考案の効果） 以上述べたように本考案によれば、従来加熱炉
の天井仕切壁で行われていた冷却を、全く行う必
要がなく、燃料費、設備費の大巾な削減ととも
に、炉温の制御性の向上及び炉内における作業性
の向上が可能となり、その効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は加熱炉の断面図、第２図〜第４図は従
来技術の仕切壁を示すものであり、第２図及び第
３図は冷却式天井仕切壁の説明図、第４図は炉内
断熱仕切壁の説明図、第５図〜第９図は本考案に
かかわるもので、第５図は板状セラミツクフアイ
バーの斜視図、第６図及び第７図は天井仕切壁の
組立説明図、第８図及び第９図は垂直支持具の接
合の説明図である。 １……加熱炉の天井仕切壁、２……耐火プラス
チツク材、３……冷却された金属製パイプ、４…
…波状耐熱鋼、５……繊維状断熱材、６……板状
セラミツクフアイバー、６′……巾広板状セラミ
ツクフアイバー、７……支持具の貫通口、８……
天井開口部、９……天井開口部の巾、１０……板
状セラミツクフアイバーの巾、１１……水平支持
具、１２……垂直支持具、１３……仕切壁保持装
置、１４……高さ調整装置、１５……天井、１６
……断熱材、１７……ピン止め、１８……嵌め込
み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状のセラミツクフアイバーを垂直方向に積層
   し、仕切壁を形成し、該仕切壁にセラミツク質の
   棒状物を、複数個接続して形成した支持具を貫通
   させて、仕切壁を支持すると共に前記支持具を高
   さ調整装置を介して、加熱炉天井部に配設した仕
   切壁保持装置により支持してなる加熱炉天井部の
   仕切壁。