JPS6236724B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、例えば油が混入している水から油を
分離するというような、互いに比重の異なる２液
の混合液の分離器に関するものである。

かかる分離器の実例は、アメリカ特許3847813
および3957656に記載されている。この分離の基
本は、相互にほぼ平行に配置された複数枚の波板
分離体に存することは、明白である。前記板は、
その断面視において、波型か、あるいは波型にほ
ぼ類似する形状である。これら従来技術にあつて
は、油と水との混合液は、平行する波板間に流入
され（それら平行板は、アメリカ特許3957656で
は水平方向に、またアメリカ特許3847813ではや
や傾斜する方向に、それぞれ配設されている）、
波型通路の効果によつて、加速されたり減速され
たりする。波板表面に対して接線方向あるいは垂
直方向に生ずる流体速度の変動は、大きさの異な
る油滴慣性効果と相まつて、油滴同志を互いに合
流させる。この合流された油滴は、波板の山部に
形成された排出孔を経て、適宜排出される。

この装置の効果は、油と水との混合液が分離器
の長さ方向にそつて流れるのにつれて、油分が優
先的に容器の頂部に向つて集まる点にある。油分
は、平行する板を通過して、その通路の末端で、
前記容器の頂部から排出され、清浄化された水分
は、前記容器の底部から抜き取られる。

この種の分離器にあつては、波板を正しい間隔
に配設することが問題となる。すなわち、波板の
間隔が正しく保持されないと、混合液の流れ方向
に直交する波板の間隔が流れ方向に沿つて変化し
て問題を生ずるから、この間隔は、極めて重要で
ある。平行する波板間の間隔保持手段は、前記両
アメリカ特許に記載され、また図示されている。
さらに本出願人が現在利用している手段は、添付
図面の第１図および第２図を参照して以下に詳し
く説明するが、これら先行技術の手段では、完全
に満足し得るものとはいえない。すなわち、間隔
保持具の影響で、混合液に乱流が生じ、例えば油
と水のような、比重の異なる２液の分離が良好に
行われないのである。

このような欠点を除去せんとするのが本発明で
あつて、そのため、近接する波板を分離するため
の間隔保持具が、通過する混合液をほぼ層流にす
るような平滑な形状に構成されるとともに、通過
する混合液を分流するのに適した案内縁を有する
ことを特徴とする。この特徴故に、混合液の乱流
発生が極力防止され、比重の異なる２液の分離が
確実に行われるのである。

本発明の実施態様として、間隔保持具を波板と
一体的に形成したものがあり、これによれば、分
離器そのものを極めて容易に製造し得るという付
随的利点が生ずる。

その他の目的および利点は、以下の記載から明
らかとなるのであろう。

次に本発明の実施の態様を添付図面にもとづい
て説明するが、まず本発明の完成に先立つて、本
発明者が製造した先行技術につき、第１図および
第２図にもとづいて説明する。

これら両図においては、波板１と２は、単に二
枚しか示されていないが、むしろアメリカ特許
3957656の第１図のように、本装置を通る液体流
の流れ方向にほぼ交わる方向に、山と谷をなして
波型になつて、概ね水平方向に複数枚配設されて
いるものとする。

山と谷での波板１と波板２との間の定常的なへ
だたりは、ほぼ６mmの度合になつており、別々の
間隔保持スタツドは、第１図および第２図の３と
４で示しているように、各々の山部に沿つて適当
な位置で前記波板１，２に一体成形されている。
排出孔５も、山に沿つて配置され、合体した油滴
が本装置の頂部に移動するようにしてある。隣接
波板上の対応スタツドの先端が入り込むように
各々のスタツドには凹部６が設けてある。このよ
うにして、波板２のスタツド４の先端７は波板１
のスタツド３の凹部６に受け入れられる。

第１図および第２図で記述されかつ図示されて
いる構造のもので、実際の液流状態のもとで、液
流面積の約10％の範囲で渦流を発生する傾向を有
する。平行な波板式の分離器においては、最良の
結果をうるために、前記液流が波板間の通路にお
いて滑らかに加速されかつ減速さされねばならぬ
ので、上述の渦流は不利となる。渦流が発生する
傾向ある場所は、第１図および第２図の斜線で示
されている部分である。前記渦流は、既に合体が
生じている油滴を破壊しようとする。

次に本発明に係る分離器を示した第３図および
第４図を参照すると、これまたある程度の略図と
なるが、複数の波板のうち、二枚の波板８，９だ
けが図示されている。これら波板８，９は、ほぼ
水平方向に配置されたり、あるいは、アメリカ特
許3847813の第６図に示されたように、幾分かた
むいて配置される。

前述の第１図および第２図の構造のものと同様
に、波板間の好適なへだたりは６mmである。各波
板８，９は、近接する下部の波板と離す為に一体
成形した複数枚の間隔保持具１０（二枚だけが図
示されている）を有している。

前記間隔保持具１０は、平滑に成形され、前記
波型に概ね交わる方向に設けられていて、通過す
る液流をほぼ層流にするように構成されている。
図示のように、間隔保持具１０は、前記波型の山
部に設けてあるが、前記間隔保持具１０は、選択
的に（または補足的に）波型の谷部に設けること
もできる。各間隔保持具１０は、液流がほぼ層流
で通過しうるように、前記山部への前記流入液流
を分流するのに役立つ案内縁１１を有し、この案
内縁１１は、前記山部に位置し、かつ、概ね下部
波板９の山部の接線方向に沿つて延びている。排
出孔１３は、それぞれの山部に沿つて一定区間の
長さで設けられている。類似の排出孔が、谷部に
も設けられている。

第４図から次のことが理解できる。すなわち、
第４図の左側で、波板８には、排出孔１３の中心
線から、距離Ｘだけ離れて、間隔保持具１０があ
り、一方の波板９には、対応する排出孔１３の中
心線から、距離Ｙだけ離れて、間隔保持具１０の
中心線がある。第４図の右側では、この関係が、
逆になつている。

従つて、第５図で図示するように、下方の波板
９をずらすことにより、二枚の波板８，９は、間
隔保持具１０は間隔保持具１０に、またへこみ１
２はへこみ１２に重なる。その結果、重ねられた
複数枚の波板は、移動と貯蔵とを許す最小の空間
を占めることになる。

第３，第４および第５図で図示される本発明の
波板の場合は、唯一の実用的製造方法が、高価な
工具準備を伴なう射出成形だけであつた第１図お
よび第２図の先行波板に比し、射出成形のみなら
ず、減圧成形や押出し成形をも含む変化に富んだ
製造方法に適している。

現在の波板の製造にえらんだ特定工法は、選択
した材料および利用可能な器材を考慮した製造費
用の適正な評価に基づいている。我々が現在考慮
しているものは、ポリプロピレンを用いた、押出
しと加工とに対してである。

要求の寸法に対する普通の波板は、先づ押出し
を受ける。プラスチツク材が未だやわらかな間
に、波型の山部に簡単な工具を挿入して、間隔保
持具１０を一体的に形成する。ポリプロピレンに
は親油性があつて、油が波板表面に付着するおそ
れがあるが、例えば、波板表面にシリコンコーチ
ングを施すなど、波板に表面処理を加えて改善し
うる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、波板式分離器の先行技術を示す概略
側面図、第２図は、第１図中の―線に沿つた
断面図、第３〜５図は本発明の分離器を示すもの
で、第３図は、第１図にほぼ類似する側面図、第
４図は、第３図中の―線に沿つた断面図、第
５図は、第４図と同様の図であるが、各波板がど
のように積み重ねられるかを示した断面図であ
る。 ８，９……波板、１０……間隔保持具、１１…
…案内縁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 比重の異なる２液の混合液が強制流入される
   平行におかれた複数の波板からなる分離器であつ
   て、前記波板が積み重ねた状態においてこの波板
   上に設けられた間隔保持手段により互いに分離さ
   れ、前記間隔保持手段が第１及び第２設定間隔を
   形成し、これらの設定間隔が選択可能であること
   を特徴とする分離器。 ２ 積み重ね任意の二つの近接する波板間の間隔
   が、これらの内のいずれかの波板をその平面内で
   180度回転させることにより、前記第１設定間隔
   から第２設定間隔へ、あるいは、前記第２設定間
   隔から前記第１設定間隔へと変更可能であること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の分離
   器。 ３ 前記間隔保持手段が前記波板と一体形成さ
   れ、波形頂部において垂れ下がり、前記第１設定
   間隔においては下方波板上に位置する第１位置決
   め手段内に受け入れられ、前記第２設定間隔にお
   いては前記下方波板上に位置する第２位置決め手
   段内に受け入れられる上方波板の一部であること
   を特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の分離
   器。 ４ 前記間隔保持手段が前記波形頂部において上
   方に位置する波板から垂れ下がり、前記第１設定
   間隔においては下方に位置する波板の頂部に形成
   された小さなへこみ内に位置する間隔保持具であ
   り、前記間隔保持具が前記第２設定間隔において
   は下方波板の前記頂部で類似の垂れ下がり間隔保
   持具内に受け入れられることを特徴とする特許請
   求の範囲第３項に記載の分離器。 ５ 前記間隔保持手段が前記波板と一体形成さ
   れ、その波形谷部において起立し、前記第１設定
   間隔においては上方波板上に位置する第１位置決
   め手段内に受け入れられ、前記第２設定間隔にお
   いては前記上方波板上に設けられた第２位置決め
   手段内に受け入れられる下方波板の一部であるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の分
   離器。 ６ 前記間隔保持手段が波形谷部において下方波
   板から起立し、前記第１設定間隔においては上方
   波板の前記谷部に形成された小さなへこみ内に位
   置する間隔保持具であり、前記間隔保持具が前記
   第２設定間隔においては上方波板の前記谷部にお
   いて類似の起立間隔保持具内に受け入れられるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第第５項に記載の
   分離器。 ７ 前記間隔保持具が前記波形部に概ね交わる方
   向に通過する混合液をほぼ層流にするような平滑
   な形状に構成されているとともに、前記間隔保持
   具がそれぞれ通過する前記混合液を前記下方波板
   のそれぞれの頂部において分流する働きを持つ案
   内縁を有し、前記案内縁が前記頂部に対して概ね
   接線方向に延出していることを特徴とする特許請
   求の範囲第４項に記載の分離器。 ８ 前記間隔保持具が前記波形部に概ね交わる方
   向に通過する混合液をほぼ層流にするような平滑
   な形状に構成されているとともに、前記間隔保持
   具がそれぞれ通過する前記混合液を前記上方波板
   のそれぞれの谷部において分流する働きを持つ案
   内縁を有し、前記案内縁が前記谷部に対して概ね
   接線方向に延出していることを特徴とする特許請
   求の範囲第６項に記載の分離器。