JPS6235215B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は特に、筒状ハウジングの両端キヤツ
プ間に直接接続された波状ヒユーズワイアを有す
る筒型ヒユーズに関するものである。ヒユーズは
一般に、低度の過電流が継続した場合には所定時
間後に、あるいは、短絡や高エネルギーアーク発
生などによる所定値以上の過電流があつた場合に
は直ちに、電気回路を遮断するように設計されて
いる。

本発明は、このようなヒユーズ内部に発生する
ヒユーズを破断させるようなアークを消化する手
段に係るもので、これにより高定格電流用ヒユー
ズのコストの低減と小型化を可能とするものであ
る。これまで、波状ヒユーズワイアを用いたヒユ
ーズにおいては、ヒユーズを破断させるアークの
拡散、波及が重大な問題となつていた。

［発明の概要］ ヒユーズ１２は、内外壁面を有しヒユーズハウ
ジング１４を画成する筒体と、この筒体の両端２
０，２２に固着された１対の導電性ヒユーズ端子
２４，２６と、ヒユーズハウジングの両端間に亘
つて設けられ各ヒユーズ端子に接続されたヒユー
ズエレメントから成り、ヒユーズハウジングのな
るべく一端だけに、限られた軸方向長さだけ、常
温で固体のアーク消化剤３２の充填物を設け、こ
の充填物がヒユーズ溶断条件下で蒸発し、ハウジ
ング内にアーク消化剤の気体が充満する。

［従来の技術］ 電気回路保護用筒型ヒユーズはよく知られ、一
般に、例えばガラス製の円筒状絶縁性ハウジング
を含んでいる。円筒状ハウジングの両端は椀状の
端キヤツプで封止されている。端キヤツプをハウ
ジングに固着するに当つては、この端キヤツプに
少量の溶融したはんだを注入してハウジングにか
ぶせ、はんだの冷却、固化とともに、ハウジング
の両端部分の外壁面に端キヤツプを固着するよう
にしている。固化したはんだは同時に、ハウジン
グ内にその軸方向に亘つて設けられるヒユーズワ
イアを併せて支持するようになつており、更に、
ヒユーズワイアを端キヤツプに電気的に接続し、
保護すべき電気回路の接続を行うようになつてい
る。

低度の過電流が所定時間継続したとき、あるい
は高い過電流が急激に流れたとき、ヒユーズワイ
アがそのいずれかの部分で溶断し、保護すべき電
気回路の電力供給を永久的に遮断する。しかしこ
こで、高エネルギーのアークがヒユーズワイアの
溶断部分で拡散すると、供給されるAC電圧の各
サイクル中、再び点火することがある。このよう
にアークが継続すると、ヒユーズの両端方向に波
及し、ヒユーズワイヤをどんどん蒸発させて行
き、ヒユーズハウジング内の圧力及び温度が増大
し、ついにはヒユーズハウジングで破裂させるこ
とになるので、何らかの方法で、アークを消火す
るとともに、増大した圧力を速やかに現象させる
ことが必要である。ヒユーズを溶断する過電流が
低度である場合や、短絡が生じた場合（この場
合、低定格電流ヒユーズにはよくあるように、短
絡のために回路の導電体にかなりの電圧降下が生
じるでので、これら回路の導電体の抵抗によりね
高エネルギーアークの発生が抑制される）には、
このような圧力の増加はあまり問題ではない。し
かしながら、高定格電流用ヒユーズの場合、回路
導電体抵抗が低く、電圧降下が小さいので、短絡
時にヒユーズにおける電圧が増大する。その結
果、極めて高いエネルギーの短絡によるアークが
発生し、従来の方法ではこれを鎮静、消火するこ
とが困難であつた。このように継続する高エネル
ギーアークによつて生ずる圧力及び温度の上昇は
ヒユーズの破裂を招き、危険であつた。

一方、溶融したはんだをヒユーズハウジングの
ガラス壁に密接に且つ一様に接着しにくいので、
はんだが固化してもハウジングの端部が密封され
ないのが普通である。このハウジングに密封部材
を付加しない場合、継続的な低度の過電流に対し
ては、不完全な密封はかえつて適度の圧力排出に
役立ち、ヒユーズ溶断時の圧力増大による破裂を
防止することができる。しかしながら、高定格電
流用ヒユーズにおいて短絡その他の高い過電流が
あつたときは、高エネルギーアークにより増大し
た圧力を前述したようなハウジングとはんだとの
間の隙間から十分に排出できない。

そこで従来は、高電流用ヒユーズの場合、急激
且つ大きな過電流に備え、ハウジング壁を強度の
ある材料で厚く形成することにより、この問題に
対処していたので、ヒユーズの製造コストが増大
していた。

また、従来の筒型ヒユーズの一例として、ヒユ
ーズハウジングの両端におけるはんだ接合部の内
側に、剛性の密封体、またはアーク消火剤その他
の材料を充填したものがある。このような充填物
や密封体は通常、本願におけるのと同様の対称的
筒型ヒユーズの両端に設けられている。しかし、
1964年８月11日付のバウムバツハ（Baumbach）
の米国特許第3144534号は、ヒユーズハウジング
の少なくとも半分を占めるエレメント部とその反
対側の端キヤツプとの間にヒユーズワイヤを設け
た、非対称的ヒユーズを開示している。この端キ
ヤツプに隣接して、シリコーン、プラスチゾル、
その他のアーク消火剤製の永久固定充填物がハウ
ジングをわずかな軸長分だけ横断するように設け
られ、これにより、機密性、アーク消火用絶縁障
壁を形成し、アーク通路を縮小することによつて
アークを物理的に消火するようにしている。

上記バウムバツハのヒユーズのエレメント部は
ヒータコイルに囲繞された、比較的体積が大きい
熱溜め部材を含んでいる。これらの構成部材はシ
リコーン充填物がアークを消火する前に、アーク
の大部分がハウジングの反対側の端部に波及する
のを防止する。そのために、バウムバツハのヒユ
ーズでは、ヒユーズハウジングの両端にシリコー
ンを充填する必要が無く、単に、非対称的ヒユー
ズに単一のアーク消火性充填物を用いることとし
ている。しかし、対称型ヒユーズでは拡散するア
ークがヒユーズハウジングのいずれの端部にまず
到達するか予測できないため、シリコーン充填物
をハウジングの両端に用いた方がよいので、バウ
ムバツハの技術は対称型ヒユーズには適しない。

このようなアーク消火性充填物をヒユーズハウ
ジングの両端に配設すると、この部分の上述した
ような僅かな隙間を塞いでしまい、充填物が無け
れば排出されると思われる程度のハウジング内の
圧力や温度さえも封じ込められてしまうことにな
る。

また、ヒユーズハウジングの両軸端における非
常に少量のはんだの内側に、ヒユーズハウジング
の極く限られた長さだけワツクスを充填し、密封
するようにした日本製の低電流用対称型筒状ヒユ
ーズがある。このヒユーズでは、ワツクスがヒユ
ーズの端キヤツプの保持に役立ち、従つてはんだ
の使用量は少なくてよいと考えられる。すなわ
ち、はんだは端キヤツプを固着、保持する必要が
無く、単に端キヤツプとヒユーズワイアとの電気
的接続を確保できる量だけ用いればよい。しかし
ながら、低電流用ヒユーズでは通常、上述のよう
にアーク消火の問題が生じないので、ヒユーズハ
ウジングに対して端キヤツプを固着、保持するた
めに用いられた上記ワツクスがアーク消火効果を
有するとは考えられない。

アーク消火のための手段を開示する従来技術と
しては、1975年10月15日に公開されたパスターズ
（Pastors）等の英国特許第1410443号がある。こ
の特許発明は、密封されたケーシングと、ヒユー
ズの一部に充填されたアーク消火用液状充填剤
と、少なくとも一部が液状充填剤中に浸漬するよ
うにケーシング内に設けられた毛管多孔物質製造
材とから成るヒユーズに関するもので、ヒユーズ
溶断電流が流れて可融性エレメントが溶融したと
きに、これによつて生じるアークが毛管多孔性部
材によつて消火されるようになつている。

その他の従来技術としては、絶縁性筒体内にア
ーク消火剤を充填したヒユーズを開示している、
1980年７月25日付特開昭55−28175号がある。

1977年２月16日付特開昭52−5699号は、融点が
低い金／シリコン合金エレメントで筒体を覆い、
この筒体でヒユーズワイアを覆うようにしたヒユ
ーズを開示している。これによれば、ヒユーズが
溶断するとアーク消火ガスが発生する。筒体は共
重合体で形成され、ヒユーズワイアの中間位置に
配設されている。

米国特許第4283700号は、内側筒体と、端部が
この内側筒体と一体である外側筒体とを有するヒ
ユーズに係るもので、ヒユーズ溶断電流が流れて
可融性エレメントに電気アークが発生すると、エ
レメントが溶融し、内側筒体内に金属蒸気が発生
するようになつている。内側筒体は、その内部の
蒸発金属と熱により、破砕される。内側筒体が破
砕してしまうと、電気アークと蒸発金属は内側筒
体の破損片間の隙間に侵入し、蒸気が冷却され
る。外側筒体は耐熱性材質で形成され、従つて、
前述のような状況下でも破損することなく、破損
した内側筒体を内部に保持するようになつてい
る。

米国特許第4417226号は、樹脂製本体と、樹脂
製キヤツプと、本体内を通つてキヤツプ内で可融
性導電体によつて連結された２本の導電線とから
なるハウジングを有する小型ヒユーズを開示して
いる。ヒユーズハウジング内面は、セラミツクを
主体としたライニングで被覆され、これにより、
本体とキヤツプの樹脂材の熱分解が防止されると
ともに、ヒユーズ溶断時に気化する可融性導電体
の縮合を促進させることより、ハウジング内の圧
力を低減させ、キヤツプの本体からの剥離や導電
線の露出を防止している。ライニングに適した材
料としては、紙、繊維箔、あるいは、酸化アルミ
ニウム（）、二酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、などのセラミツク粉をバインダーで固着した
ものが提案されている。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は上述した事情に鑑みて、特に波状ヒユ
ーズワイアを用いたヒユーズにおいて、ヒユーズ
を破砕させるアークを敏速且つ効果的に消火して
ヒユーズハウジングの破裂を防止でき、しかも、
安価に製造できるできるヒユーズを提供しようと
するものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明の最も効果的な態様によれば、対称型筒
状ヒユーズにおいて、ヒユーズハウジングのなる
べく一方の端部のみに、固体状、揮発性のアーク
消火物質製部材を部分的に充填し、少なくとも高
い過電流によるヒユーズ溶断時には、このアーク
消火部材が気化し、高エネルギーアークの波及を
速やかに鎮静し、高エネルギーアークによるヒユ
ーズハウジングの破裂を防止する。アーク消火部
材はなるべく、ハウジングの一方端にのみ設け、
他端の圧力排出機能を損なわないようにするとよ
い。アーク消火部材が気化すると、その気体がハ
ウジング内に充満し、直ちにアークを消火する。
この揮発性アーク消火剤として、ヒユーズワイア
の金属蒸気と結合してハウジング壁上に凝縮する
ものを用いれば、ハウジング壁の抵抗を増大する
ことができ、ヒユーズは溶断したときにより高い
絶縁抵抗を有するようになる。また、本発明で
は、10キロアンペアの電流の２乗平均平方根値
RMS value）を有する電流波形をも確実に遮断
できる小型の高電流用ヒユーズが得られた。

上述したように、本発明は特に、ヒユーズワイ
アが波状に屈曲し、屈曲部でアークが発生しやす
いヒユーズに用いると効果が大きい。

波状フイラメントを有するヒユーズでは、ヒユ
ーズワイアの屈曲部における断面積が一定でな
い。また、屈曲部のいくつかは直線部よりも断面
積が小さく、抵抗が大きい。そして、ヒユーズワ
イアの溶断はこれら小断面積部分に発生する。と
ころが、屈曲部のうち、いずれが小断面積を有
し、いずれの端に近い方からアークが発生するも
のか、確認しにくいので、アークが両端の金属の
いずれにも達しないようにするためには、両端に
アーク消火剤を設けなければならないことにな
る。しかしながら、本発明ではアークの熱により
直ちに気化するアーク消化剤を用い、アークの発
生位置如何にかかわらず、アークが筒体のいずれ
の端部にも到達しないうちに、アークを消火する
ようにしている。従つて、アーク消火剤は筒体の
一端にのみ設ければよい。

ウラニ（Urani）の米国特許第3348007号は、
両端にキヤツプを有するガラス製円筒状ハウジン
グ内に、開口部を有する絶縁片を配設し、その両
端部に金属コーテイングをして端子とし、これら
の端子を揮発性アーク消火剤で覆うようにしたヒ
ユーズを開示している。両絶縁片端子の内端間に
は細いヒユーズワイアが接続されている。しかし
ながら、この特許は本発明ヒユーズとは異なつて
いる。すなわち、本発明ではヒユーズワイアが端
キヤツプに直接に支持されているからである。こ
の米国特許は単に、ヒユーズワイアの両端部分に
極めて薄いアーク消火剤コーテイングを施したこ
とを教示しているにすぎない。このようなコーテ
イングを本発明が用いるような端キヤツプまたは
細いヒユーズワイアの両端部に用いても、効果は
得られない。従つて、この特許は、ヒユーズの両
端あるいは一端にこのような材料の揮発性充填物
を用いることについて、何ら示唆していない。

更に、この米国特許には、本発明におけるよう
に、耐アーク剤でガラス製ハウジングをコーテイ
ングし、ここに堆積したヒユーズワイアの金属粒
子を破壊し、もつて溶断したヒユーズの絶縁抵抗
を増大させることについて、何ら記載がない。

本発明では、前述したような日本製ヒユーズの
ように、ヒユーズの両端にワツクスを設けてヒユ
ーズキヤツプを固着、保持するようにして、はん
だの使用量を少なくする、ということは不可決で
はないが、ヒユーズハウジングの各端に通常の量
のはんだを設け、これにより端キヤツプの固着、
保持と電気的接続を行うように構成することが、
より望ましい。

上述したように、従来はヒユーズを破裂させな
いためにはハウジングの材料として通常のガラス
よりも高価な厚手のものを用いる必要があると考
えられていたのに対して、本発明では、このよう
な特別な材料を用いずに、極めて高い電流があつ
ても決して破裂しないヒユーズを提供するもので
ある。

［発明の実施例］ 以下、図面に示した実施例に基ずいて、本発明
を詳述する。

第１−４図はヒユーズ１２の斜視図及び断面図
である。ヒユーズ１２はガラスなどの絶縁性材料
で形成され、図示例では円筒形状を有する筒体１
４を含み、この筒体１４は内壁面１６、外壁面１
８、及び両開口端２０，２２を有している。これ
らの両開口端には、導電性材料で形成された椀状
のキヤツプ２４，２６が固着され、１対のヒユー
ズ端子を構成している。

筒体１４内にはその軸方向に沿つてヒユーズエ
レメント２３が設けられ、その両端が両キヤツプ
２４，２６に電気的に接続されている。ヒユーズ
エレメント２３と両キヤツプ２４，２６との接続
は、キヤツプ２４，２６内に充填固着されたはん
だ２８内にヒユーズエレメント２３の両端部を埋
設することにより容易に行うことができる。はん
だの量はヒユーズエレメント２３とキヤツプ２
４，２６との電気接続に十分であればよいが、こ
の実施例では更に、キヤツプ２４，２６をチユー
ブ１４に固着できるだけの量を用い、別途、固着
手段を設ける必要がないようにしている。

このようなヒユーズを製造する一方法として
は、まず、開口端を上向きにしたキヤツプ内には
んだ片を入れ、キヤツプを加熱してはんだ片を溶
かす。その後、このキヤツプを筒体１４に冠装す
るに際して、開口端を上向きにして置いたキヤツ
プ内に筒体１４の一端を挿入するとともに、固化
しているはんだ上に熱可塑性消火剤３２を載置す
る。（従来と同様に、はんだ片としては、中心の
樹脂製芯をはんだ材料で被覆したものを用いてい
る。）更に、ヒユーズエレメントを筒体１４内に
挿入し、その一端を消火剤３２の表面に当接させ
る。そこでキヤツプを加熱すると、まずはんだが
溶け、次に消火剤が溶ける。これにより、ヒユー
ズエレメントの端部とチユーブの端部が溶融体中
に沈下し、次いでキヤツプを冷却するとはんだと
消火剤が固化し、ヒユーズエレメント及びチユー
ブの各端部を固定する。次に、すぐに固化したは
んだを内蔵するもう一方のキヤツプを同様に置
き、チユーブの他端をキヤツプ内に挿入した後、
キヤツプを加熱、冷却し、ヒユーズエレメント及
び筒体の端部を沈下させ、固定する。筒体の一端
は、一旦溶融して固化した消火剤３２によつてほ
ぼ密封されているが、他端は消火剤を有せず、密
封されていない。従つて、低度の過負荷状態が長
時間継続したときに増大する圧力を排出させ、こ
のような状態でヒユーズが切れてもハウジングが
損壊しないようになつている。

消火剤には、アメリカ合衆国ミネソタ州セント
ポウルのスリーエム社製、商品番号3779及びXG
−3793の接着剤として市販されているような、熱
可塑性ポリアミド系ポリマーや脂肪酸とシリケー
トとの重合剤を加えるとよい。また、自動着火温
度を超える温度で揮発するものを負荷するのもよ
い。本実施例によるヒユーズにおいて、ポリマー
の軟化温度は約325〓、発炎温度は約550〓、自動
着火温度は900〓位が適当である。このような消
火混合剤は所定温度を超えるとヒユーズハウジン
グ内に絶縁性有機ガスを発生し、このガスがアー
クの抵抗を増大させ、速やかにアークを消火す
る。

次に、特に第３，４図を参照して、ヒユーズの
作用を説明する。前述したように、本発明におけ
るヒユーズエレメント２３は波状に形成され、第
３図の図示例では中央部の18箇所で屈曲されてい
る。ヒユーズエレメント２３はこれらの屈曲部３
４で断面積が最小となり、ヒユーズ溶断時には、
まず始めに、何れかの屈曲部３４からアークが発
生することになる。

過電流によるヒユーズ溶断時には、本実施例に
おけるヒユーズエレメントの溶融は高エネルギー
のアークが発生する中央部のいずれかの屈曲部３
４から開始し、その他の部分に波及する。アーク
はヒユーズハウジング内の温度を急激に上昇さ
せ、その結果、そのヒユーズに適した蒸発温度を
有する消火剤がその蒸発温度に達し、蒸発する。
この消火剤の固体から気体への変化は極く短時間
のうちに行われ、消火剤の気体はアークがヒユー
ズエレメントの端部２０，２２に到達する前にハ
ウジング内に充満する。蒸発したヒユーズエレメ
ント及び消火剤の気体は比較的低度のハウジング
内壁面１６に接すると凝縮して固化し、内壁面１
６に沿つて薄膜を形成する。この薄膜は第２，４
図に示すように赤茶色を呈し、ヒユーズが切れた
ことを外側から容易に確認できるようになつてい
る。尚、この薄膜のうち、凝縮した消火剤成分は
ヒユーズメタル成分をところどころで分断し絶縁
性の高い抵抗となる。

低度の過負荷状態が断続してヒユーズが溶断し
たときは、揮発性物質とヒユーズエレメントの大
部分は蒸発せず、従つて、ヒユーズハウジングは
ほぼ透明のままか、ヒユーズワイア成分の細かい
粒子が多少付着して少し曇る程度である。ヒユー
ズハウジング内の圧力の増加は緩やかで、しか
も、圧力の増加分は消火剤で密封されていない方
の端部に僅かに残された圧力排出隙間３０によつ
て減殺される。

本実施例によるヒユーズは250ボルトの容量ま
で使用可能であり、短絡時の10000アンペアでも
ヒユーズの破裂を防止できる。本発明のヒユーズ
は主に高定格電流用、すなわち、上述のようにヒ
ユーズの破裂を生じ得る３アンペア以上の電流の
回路に用いられる。

以上、実施例に基ずいて本発明を説明してきた
が、この他にも、本発明の範囲内で種々の変更が
可能であることは言うまでもない。また、説明中
に述べられた種々の構成上の細部は単に発明の実
施の使宜上挙げられたものであるから、最も広い
特許請求の範囲はこのような細部構成に限定され
るものではない。更に、その他の特許請求の範囲
に述べられた細部構成も、これと均等の範囲にあ
る、その他の種々の構成中の一つであるにすぎな
い。

すなわち、アーク消火剤をヒユーズの最も加工
し易い一端部に設けることは本発明の極めて有利
な特徴ではあるが、少なくとも高い過電流があつ
たときに気化するアーク消火剤をヒユーズの一端
に設けること、及び特殊な使用状態でヒユーズの
破裂による弊害を避けるための圧力排出が不要で
あつて、一端にのみ設けることによるコスト削減
が問題でない場合に両端に設けることはいずれも
本発明の範囲に含まれる。更に、対称的形状を有
するヒユーズの一端部のみを永久固体のアーク消
火剤で密封し、他端の圧力排出機能を確保し、密
封されていない他端にアークを決して先に到達さ
せないようにヒユーズワイアに特別の設計をする
ことも本発明の範囲に含まれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のヒユーズの一実施例を示す斜
視図、第２図は第１図に対応し、揮発性アーク消
火剤とヒユーズエレメントが蒸発した後を示すも
の、第３図は第１図のヒユーズの３−３線縦断面
図、第４図は第２図のヒユーズの４−４線縦断面
図である。 １２……ヒユーズ、１４……筒体、２３……ヒ
ユーズエレメント、２４，２６……端キヤツプ、
２８……はんだ、３２……アーク消火剤。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内外壁面を有したヒユーズハウジングを画成
   する絶縁性筒体と、この筒体の両軸端に固着され
   た１対の導電性ヒユーズ端子と、前記ヒユーズハ
   ウジング内に軸方向に設けられ、各端がはんだま
   たはその他の固定部材を介して前記各ヒユーズ端
   子に電気的に接続された溶融性ヒユーズエレメン
   トとを含み、前記はんだまたはその他の固定部材
   の少なくとも１部は前記ハウジングの両端に前記
   各端子を固定するとともに前記各ヒユーズエレメ
   ントをハウジングの前記内壁面から離隔して保持
   しているヒユーズにおいて、更に、常温で固体を
   なすアーク消火剤充填物をヒユーズワイアの溶断
   し得る個所の一側に、限られた軸長に亘つてハウ
   ジング内部を完全に横断するように設け、ヒユー
   ズ溶断時にこの消火剤を蒸発させ、ハウジング内
   にアーク消火剤ガスを充満させるようにしたこと
   を特徴とするヒユーズ。 ２ 前記はんだ等の固定部材は前記アーク消火剤
   充填物の助力無しに前記端子をハウジングに対し
   て固着するに足る量だけ用いられ、前記ヒユーズ
   エレメントの両端を前記ハウジングの内壁面から
   離隔して保持していることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のヒユーズ。 ３ 前記常温で固体をなすアーク消火剤が前記ヒ
   ユーズハウジングの一端部にのみ設けられている
   特許請求の範囲第１項記載のヒユーズ。 ４ 前記アーク消火剤が熱可塑性有機物質である
   特許請求の範囲第１項記載のヒユーズ。 ５ 前記ヒユーズエレメントがその長さ方向に波
   状に形成されて断面積が不定である複数の屈曲部
   を構成し、その屈曲部でヒユーズが溶断しアーク
   が発生するように構成された特許請求の範囲第１
   項記載のヒユーズ。 ６ 前記常温で固体のアーク消火剤が前記ヒユー
   ズハウジングの一端部にのみ、前記はんだ等の固
   定部材に接して設けられた特許請求の範囲第１項
   記載のヒユーズ。 ７ 前記各ヒユーズエレメントが、ハウジング端
   部を密封しないはんだ等によつて対応するヒユー
   ズ端子に電気的、形態的に直接に接続され、前記
   アーク消火剤充填物がハウジングの一端のみを密
   封し、ハウジングの他端は圧力軽減用に非密封状
   になつていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のヒユーズ。 ８ 前記アーク消火剤充填物がハウジングの一端
   の前記はんだ等の内側面に亘つて設けられている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第７項記載のヒ
   ユーズ。 ９ 前記アーク消火剤充填物がヒユーズの溶断す
   べき個所の一側にのみ設けられていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項または第７項記載の
   ヒユーズ。 １０ 前記ヒユーズエレメントがハウジングの両
   端間のほぼ全距離に亘つていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のヒユーズ。 １１ 前記アーク消火剤充填物がヒユーズハウジ
   ングの一端を密封することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のヒユーズ。 １２ 前記ハウジングがその内表面をヒユーズエ
   レメントの蒸発気体に直接露出させるように、い
   かなる内装部材とも密着しておらず、前記アーク
   消火剤の気体がヒユーズエレメントの蒸発気体と
   共に擬縮してハウジングの内表面のコーテイング
   となり、溶断したヒユーズの漏水抵抗を増大させ
   るようになつている特許請求の範囲第１項記載の
   ヒユーズ。 １３ 内外壁面を有し、ヒユーズハウジングを構
   成する絶縁性外殻筒体と、この筒体の両軸端に固
   着された１対の導電性ヒユーズ端子と、前記ヒユ
   ーズハウジング内に軸方向に設けられ、各端がは
   んだまたはその他の固定部材を介して前記各ヒユ
   ーズ端子に電気的に接続された溶融性ヒユーズエ
   レメントと、ヒユーズ溶断時に気化してハウジン
   グ内全体に絶縁性蒸気を発散する絶縁性充填物と
   を含み、前記ハウジングはその内表面全体がどの
   内装部材とも接することなく内部に露出し、溶断
   したヒユーズの蒸発物がその内表面に擬結して導
   電性被膜を形成すると共に、前記絶縁性蒸気がハ
   ウジング内表面の被膜となつた前記ヒユーズの蒸
   発物と擬集して、ヒユーズ溶断後の被膜の漏れ抵
   抗を増大させるように構成されたヒユーズ。 １４ 前記絶縁性充填物がヒユーズ溶断時のアー
   ク消火剤としても作用することを特徴とする特許
   請求の範囲第１３項記載のヒユーズ。