JPS6232981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコークス炉々蓋に関するものであり、
詳しくは、石炭の乾留中に発生するタール分が炉
外へ流出しないように改良されたコークス炉々蓋
に関するものである。

コークス炉々蓋は、主として、炉蓋レンガとこ
れを支持する炉蓋金物とより構成されているが、
従来公知の炉蓋は、第１図および第２図に示すよ
うな構造のものである。

すなわち、第１図は、従来公知の炉蓋の正面説
明図であり、第２図は、同炉蓋をコークス炉炭化
室へ装着した状態で示す平面説明図であるが、従
来公知の炉蓋は、炉幅方向の長さＡが高さ方向に
同一寸法である炉蓋レンガ１を炉蓋金物２に支持
した構造のものである。

しかして、コークス炉々蓋は、第３図の炭化室
窯口断面説明図に示すように、押出側窯口３及び
図示していないコークス側窯口の両側に装着され
るのであるが、従来公知の炉蓋では、タール分が
炉外へ流出するという欠点があつた。

すなわち、炭化室４内に装入された石炭５の乾
留中には相当量のコールタールが発生し、その一
部は、ナイフエツジ溝６、ナイフエツヂ７及びド
アフレーム８面に付着してコークス炉ガスの漏洩
防止にも役立つものもあれば、ナイフエツヂ７及
びドアフレーム８面の下部の隙間から炉外へ流出
するものもある。流出したタール分は、窯口下部
に配置されたタール受鉄板９に付着させられ、作
業者によつて除去される。

しかしながら、上記のタール除去作業は、 １ コークス炉の高熱を受ける作業であること、 ２ 付着タールが熱を受け、タール受鉄板に粘着
状態で付着し、除去し難い状態にあること、 ３ 除去するのに重い（例えば鉄製のヤリ）除去
治具を使用し、削り落とす重労働作業であるこ
と 等からして、従来より省力化が望まれていた作業
である。

本考案は、上記実情に鑑みなされたものであ
り、タール分の炉外への流出を軽減したコークス
炉々蓋を提供するものである。

以下、図面と共に、本考案のコークス炉々蓋に
ついて説明する。第４図は、本考案に係るコーク
ス炉々蓋の正面説明図であり、第５図は、第４図
のａ−ａ線における断面を装着状態で示す説明図
である。これらの図中において、第１図および第
２図と同一符号のものは同一意義を表わす。

本考案に係るコークス炉々蓋は、従来公知のも
のと同様に、炉蓋レンガ１とこれを支持する炉蓋
金物２とより主として構成されているが、その最
大の特徴は、炉蓋レンガ１の形状に存する。

すなわち、本考案に係るコークス炉々蓋は、炉
蓋装着時に炭化室炉壁と下部の炉蓋レンガとの間
に装入炭が充填されて生成タールを吸収する程度
充分な空間部Ｃを形成するように、該下部の炉蓋
レンガの炉幅方向の長さＢが上部の炉蓋レンガの
それＡよりも小寸法となした点にその特徴が存す
る。

しかして、炉幅方向の長さを小寸法とする炉蓋
レンガ下部の位置は、炉蓋の大きさ（炉蓋高さ４
〜7m）によつても若干相違はあるが、一般的に
は、下部から500〜2000m／ｍの範囲の任意の位
置とされる。この位置が上記範囲より低い場合
は、タール分の流出防止効果が十分発揮されず、
また、上記範囲よりも高い場合は、該範囲を超え
た部分は差程炉外へのタール分の流出がないので
小寸法にする必葉がないばかりか、むしろ小寸法
にすることによつて炉蓋金物２の熱歪みの問題が
惹起される。

また、下部炉蓋レンガを小寸法にすることによ
つて形成される炭化室炉壁と下部レンガとの間の
空間部Ｃの大きさは、約25〜55m／ｍとされる。
従来公知の炉蓋においては、この空間部は、15〜
25m／ｍ程度であり、従つて、本考案の炉蓋は、
平均的には、従来公知のものに比し約２倍の大き
さの空間部を有する。

本考案に係るコークス炉々蓋は、炉蓋装着時に
おいて、炭化室炉壁と下部炉蓋レンガとの間に、
従来の炉蓋に比して大きな空間部を形成する形状
となされているが、タール分の炉外への流出防止
は、この空間部に石炭の粉粒体が充填され、これ
がタール分を吸収することによつて達成される。
従つて、炭化室炉壁と下部炉蓋レンガとの間の空
間部は、これが大きい程、タール分の流出防止効
果も大きくなるのであるが、余りにも大きい場合
は、窯出時に未乾留の石炭によつて発生する黄煙
量が多くなる欠点がある。前記の空間部、約25〜
55m／ｍは、このような点を考慮して決定された
ものであるが、かかる範囲内の空間部であれば、
黄煙の発生は殆んどなく、しかも、タール分の流
出を有効に防止できるのである。

以上説明した本考案のコークス炉々蓋によれ
ば、タール分の炉外への流出が防止され、タール
受鉄板の掃除作業回数で言えば、例えば、従来の
炉蓋であれば作業が毎日必要であつたのに対して
２ケ月当りに１回の作業で十分となり、その結
果、コークス炉々前作業者の高熱、重労働作業が
軽減され、作業環境、安全面も著しく改善され、
実用的効果は極めて大きい。

なお、このような本願考案の炉蓋は、従来公知
の炉蓋を適宜切削加工することによつても得るこ
とができるが、始めから、炉蓋煉瓦の下部を小寸
法に構築してつくることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来公知のコークス炉々蓋の正面説
明図、第２図は、同炉蓋を装着した状態で示す平
面説明図である。第３図は、炭化室窯口断面説明
図である。第４図は、本考案に係るコークス炉々
蓋の正面説明図、第５図は、第４図のａ−ａ線に
おける断面を装着状態で示す説明図である。 １……炉蓋レンガ、２……炉蓋金物、Ｃ……空
間部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉蓋レンガとこれを支持する炉蓋金物により主
   として構成されるコークス炉々蓋であつて、炉蓋
   装着時に炭化室炉壁と下部の炉蓋レンガとの間に
   装入炭が充填されて生成タールを吸収する程度充
   分な室間部を形成するように、該下部の炉蓋レン
   ガの炉幅方向の長さが上部の炉蓋レンガのそれよ
   りも小寸法となしたことを特徴とするコークス
   炉々蓋。