JPS6232602Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は塗装ブースにおいて同一の塗料供給源
に連結された多数のスプレーガンにより塗装を行
なうときに使用される塗装用スプレーガンに関す
る。

近年、大量生産に係る被塗物の塗装は、これを
能率良く行なうために、第１図に示すように、塗
装ブース１内に多数の被塗装物（図示せず）をセ
ツトし、塗装ブース１内において該被塗物と同数
の塗装用スプレーガン２…を用いて塗装を行なう
のが一般的なものとなつている。そして、塗料供
給系路は、塗料タンク３より伸びる塗料主供給管
４から分枝された塗料副供給管５…に、前記塗装
ブース１内に位置させて、多数の塗装用スプレー
ガン２…が接続されて構成されるものであり、前
記塗料主供給管４に介装された圧送ポンプ６の駆
動によつて、塗料タンク３内の塗料がすべての塗
装用スプレーガン２…に供給されるようになつて
いる。なお、本図においては、簡略化のために一
本の塗料主供給管４のみを示しているが、通常の
如くこの塗料主供給管は塗料の色の数に対応させ
て複数本並列に配設されるものである。

ところで、このような塗装方式にあつては、各
塗装用スプレーガン２…について、該塗装用スプ
レーガン２…と圧送ポンプ６との間の塗料供給系
路の距離が異つてくるものであり、この距離が長
くなるところに配置される塗装用スプレーガン２
…（図においては右側のもの）ほど、該塗装用ス
プレーガン２…における塗料の吐出圧が低くな
る、という現象を生ずる。そして、この現象は、
とりもなおさず、各塗装用スプレーガン２…から
の塗料の吐出量にバラツキを生ぜしめるものであ
り各被塗装物についての均一な塗装を達成し得な
い、という事態をもたらす。

そのため、従来は、前記塗料副供給管５…にそ
れぞれレギユレータ７…を介装する構成とし、こ
れによつて、各塗装用スプレーガン２…に供給さ
れる塗料の圧力を制御し、各塗装用スプレーガン
２…における塗料の吐出圧を一定にして、各被塗
装物に対して均一な塗装を行なえるようにしてい
た。

しかしながら、レギユレータ７…は構造が複雑
でありかつ高価であるため、これを塗装用スプレ
ーガン２…の数に対応させて多数装備すること
は、メンテナンスの関係上、またコストの関係
上、大いに不利であつた。

本考案はかかる事情に鑑み、レギユレータにと
つて替わる圧力制御機構を備えた塗装用スプレー
ガン提供することを目的とするもので、塗料噴出
口と塗料供給管との間の塗料供給系路に絞り部を
設け、この絞り部を圧力制御のために利用するこ
とを特徴とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第２図、第３図および第４図イ，ロは本考案の
一実施例を示したもので、各図において、８は塗
料供給系路の一部を構成するジヨイントであり、
このジヨイント８は、その一端が前記塗料副供給
管５の一開口端に取付けられる一方、その他端が
前記塗装用スプレーガン２の塗料入口９に取付け
られるものであり、塗料副供給管５からの塗料が
該ジヨイント８内に形成された塗料通路１０を通
つて塗装用スプレーガン２に供給されるようにな
つている。

前記ジヨイント８の他端（すなわち塗装用スプ
レーガン２側の端部）には、前記塗料通路１０に
連続させて、該塗料通路１０の延びる方向と同じ
方向に、該塗料通路１０よりもその径がかなり小
とされた絞り部１１を設けている。したがつて、
塗料通路１０を流通してきた塗料は、該絞り部１
１を必ず通過して、前記塗装用スプレーガン２に
供給されることになる。

本例においては、この絞り部１１はボルト１２
中央に形成されており、このボルト１２が、ジヨ
イント８を塗装用スプレーガン２に取付けるため
の第１取付具１３および第２取付具１４のうち内
方に位置する第１取付具１３の内周部に螺合され
ることにより、絞り部１１が塗料通路１０に対し
て上記所定の位置に設けられるようになつてい
る。

前記塗装用スプレーガン２内には、前記塗料入
口９から塗料噴出口１５へ連通した塗料通路１６
が形成されており、この塗料通路１６の径は、塗
料噴出口１５を除いて、前記ジヨイント８の塗料
通路１０の径とほぼ同一とされている。したがつ
て、前記塗料副供給管５から塗装ガン２までの塗
料供給系路において、前記絞り部１１および塗料
噴出口１５の二箇所にて塗料の流れは規制される
ことになる。

なお、第２図において示した塗装用スプレーガ
ン２はエア式のものであるため、該塗装用スプレ
ーガン２には、前記塗料副供給管５のほか、エア
供給管１７も接続されている。

次に、上記構成の作用について述べる。

塗料副供給管５からの塗料は、ジヨイント８の
塗料通路１０を経て、絞り部１１に供給されるこ
ととなるが、この絞り部１１は前述したようにそ
の径が塗料供給系路の他の部位に比して相対的に
小とされしかも本実施例の場合は塗料の流れ方向
にある程度の長さをもつて設けられていることか
ら、塗料は絞り部１１を通過する際に、かなりの
圧力損失を受けることになる。そして、この圧力
損失は、絞り部１１通過前の圧力が高い状態とな
つているものほど、絞り部１１を通過する塗料の
流速が速くなるので、大となるものである。した
がつて、例え絞り部１１通過前の塗料通路１０に
おける塗料の圧力に変動が生じたとしても、この
変動は圧力損失に基づく圧力制御機能によつて吸
収されることとなり、絞り部１１通過後の塗料通
路１６における塗料の圧力（これが塗料の吐出圧
にほぼ相当する）は、これをほぼ一定のものとし
て得ることができるのである。

それ故、このような圧力制御機構を、多数の塗
装用スプレーガン２…が使用される前述のような
塗装方式において、各塗装用スプレーガン２…に
係る塗料供給系路すべてに適用すれば、各塗装用
スプレーガン２…と圧送ポンプ６との間の塗料供
給系路の距離の相違に拘らず、各塗装用スプレー
ガン２…における塗料の吐出圧は均一化されるこ
ととなる。もつとも、前記塗料供給系路の距離の
相違がかなり大となる場合においては、単に同一
の絞り部を設けただけでは各塗料供給系路に係る
塗料の圧力の差異を完全には吸収できず、僅かな
りともその差異は残つてしまう。そこで、こうし
た場合には、各塗料供給系路毎に絞り部１１の径
または長さを多少異ならせるとよい。

また、絞り部１１通過後における塗料の圧力は
前述したように塗料の吐出圧にほぼ相当してお
り、該絞り部１１に拠る圧力損失はこの吐出圧を
も決定するものであることから、絞り部１１の径
または長さは、この吐出圧を勘案して適宜選択す
るとよい。ただ、塗料は最終的には塗装用スプレ
ーガン２の塗料噴出口１５から噴出されるもので
あり、該噴出口１５についても、絞り部１１と同
様に、塗料供給系路のその他の部位に比べて、圧
力損失が顕著に起こつている。であるから、より
正確に吐出圧を調整するのであるならば、絞り部
１１と塗料噴出口１５との両者について、関連さ
せて、それらの径または長さを選択するとよい。

第５図および第６図は、他の実施例を示したも
ので、前記実施例と同一構成要素には同一符号を
付してその説明は省略する。本例は、塗装用スプ
レーガン２とジヨイント８との間にアタツチメン
ト部材１８を取付け、このアタツチメント部材１
８に絞り部１１を設けたものである。より具体的
には、このアタツチメント部材１８は、中央に絞
り部１１を備えたボルト１２′と、内周部に該ボ
ルト１２′が螺合されかつ該アタツチメント部材
１８を前記ジヨイント８に取付けるための第１取
付具１３′と、該第１取付具１３′に係合されかつ
該アタツチメント部材１８を前記塗装用スプレー
ガン２に取付けるための第２取付具１４′とから
構成されている。本例においては、前述したよう
に絞り部１１を選択して変更するとき、該絞り部
１１の変更を交換容易なアタツチメント部材１８
全体の変更によつて行なえばよいことから、絞り
部１１の変更作業が楽になる。

ところで、通常の塗装においては、同一被塗装
物に対して下塗り、中塗りおよび上塗りが行なわ
れるものであり、これらの各塗り工程において、
吐出圧は変更されねばならない。そして、従来こ
の変更についてもレギユレータを調整することに
より対処していたが、本考案によれば、絞り部１
１の選択によつてこれに対処できるものである。

本考案は上記実施例に限られるものではなく、
たとえば、次のような変形例を包含する。

絞り部１１を設ける部位は、塗装用スプレーガ
ン２の塗料噴出口１５と塗料副供給管５との間の
塗料供給系路である限り、いずれの部位であつて
もよい。たとえば、ジヨイント８の塗料副供給管
５側の端部に設けてもよい。

絞り部１１の数は、複数であつてもよい。この
場合、塗料が流れる方向に直列に複数設けてもよ
いし、また一部位または多部位において並列に複
数設けてもよい。

絞り部１１の形状は、塗料が流れる方向に向か
つて同一径とされたものでなくてもよい。たとえ
ば、同方向に向かつて縮径（または拡径）するテ
ーパ状としてもよい。

本考案によれば、塗装用圧力制御機構としてレ
ギユレータを使用しなくて済むことから、該レギ
ユレータに係る前述した問題を解消できる、とい
う効果を奏する。

また、絞りを設ける塗料供給系路を塗装用スプ
レーガンの塗料噴出口と塗料供給管との間に限定
したので、たとえば従来のレギユレータ介装位置
である塗料供給管に絞り部を設けた場合における
ような問題が発生しない。すなわち、絞り部を塗
料供給管に設けた場合、通常塗料供給管は可撓性
材質のものであることから、塗装停止時における
ように噴出口が閉とされているとき、絞り部より
も塗装用スプレーガン側に位置する塗料供給管は
かなり膨張することとなり、その後の塗料開始初
期において、この膨張分だけ不安定な塗料吐出状
態が継続する、という問題が必然的に発生するの
であるが、本考案においてはその様な問題はな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な塗装方式を示す概略図、第２
図は本考案の一実施例を示す一部縦断面側面図、
第３図は上記例におけるジヨイント部分を示す一
部縦断面側面図、第４図はイは上記例の主要部を
示す平面図、第４図ロは同じく縦断面側面図、第
５図は本考案の他の実施例を示す一部縦断面側面
図、そして第６図は上記他の例におけるアタツチ
メント部材を示す縦断面側面図、を表わす。 ２……塗装用スプレーガン、５……塗装副供給
管（塗料供給管）、１１……絞り部、１５……塗
料噴出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塗料噴出口と塗料供給管との間の塗料供給系路
   に絞り部を有する圧力制御機構を備えていること
   を特徴とする塗装用スプレーガン。