JPS6230051Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ギターのトレモロテイルピースに
関し、特に、ブリツジの一部に弦を押圧固定して
ゆるみやすい弦端リング付近の影響を出さず、同
時にブリツジをブリツジベースに固定して振動な
どを発生させず、弦の装着もギターの上面から容
易に行なうことができるトレモロテイルピースに
関する。

エレキギターに使用するトレモロテイルピース
では、一般にブリツジベース上に各弦用のブリツ
ジを置き、弦は、ブリツジベースの下方に突出し
た底部突出部の立孔から上方へ挿通し、ブリツジ
の中央孔から上方へ弦を通すと共に、そのまま弦
をネツク方向へ伸して装着され、弦の張力により
個々のブリツジはブリツジベースに押付けられて
固定されている。このように、弦はブリツジベー
スの底部突出部の立孔を通して挿入され、弦端リ
ングによつてここに係止されることから、弦端リ
ング付近のゆるみが弦の張力（音程）に大きな影
響を与えることがあつた。そこで、ブリツジの内
部で弦をブリツジに対し押圧固定して弦端部のゆ
るみの影響を出さないようにした考案が、実開昭
56−170488号公報、実開昭57−115094号公報によ
り提案されているが、これらは何れも各ブリツジ
がブリツジベースに対し完全に固定できないた
め、トレモロ演奏によつて弦の張力がゆるんだ
時、ブリツジが振動したり、振動によりブリツジ
がずれたりする虞れがあつた。

さらに、従来のトレモロテイルピースでは、弦
端リングがブリツジベースの底部突出部の立孔内
で係止されることから、弦を装着する場合にはギ
ターの裏蓋を取つて裏から弦をブリツジベースの
底部突出部の立孔に挿入する必要があつて、弦の
取り換えが煩雑となる問題があつた。

この考案は、上記の問題点を解決するためにな
されたもので、弦の装着が容易であつて、弦端部
ゆるみが弦の張力に影響を与えず、また、トレモ
ロ演奏時にもブリツジがブリツジベースに確実に
固定され、ブリツジの振動やずれなどの発生を防
止し得るトレモロテイルピースを提供することを
目的とする。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はギターのトレモロテイルピースの平面
図を、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図を示し、１
はギター本体２上に載置されたブリツジベースで
ある。ブリツジベース１の両側全部には長孔１ａ
が形成されると共にこの長孔１ａの後部には軸受
ピン３が水平に埋設され、長孔１ａはギター本体
２上の定位置に立設した支持ピン４に嵌め込ま
れ、弦５の張力によつてブリツジベース１が第１
図左方向へ引張されることにより、支持ピン４と
軸受ピン３が当接し、ここを支点としてブリツジ
ベース１は揺動可能とされる。ブリツジベース１
の前部には弦５を通してその弦端リング５ａを係
止する係止溝７が６本の各弦５に対応した位置に
穿設され、さらにブリツジベース１の中央部には
６個のブリツジ８を並べて配置するための凹部が
形成され、この凹部の底部には後述する挾持部材
に係合される長孔９が各ブリツジ８の配設位置に
穿設されている。

ブリツジ８は第３図、第４図に示すように、そ
の中央部に矩形の弦挿入孔１０が縦に穿設され、
底部には長手方向に弦挿入孔１０内に連通する溝
１１が突設される。また、弦挿入孔１０内の前方
壁は曲面に形成され、弦５は、溝１１から弦挿入
孔１０を通つて上方へ貫通し、前方へ曲げられて
ネツクの方向伸張される。ブリツジ８の前部には
２本の弦高調整ねじ１２が貫通して螺合され、後
部には弦長調整ねじ１３がブリツジ後部に回動可
能に埋設された軸８ａに螺合され、弦長調整ねじ
１３はブリツジ８に対し傾動可能となつている。
１４はブリツジ８の弦挿入孔１０の入口に上から
嵌入され内壁との間で弦を押える弦押え具であつ
て、その下部は曲面状に形成され、中央には締付
ねじ１５が縦に貫通して螺合され、さらに締付ね
じ１５の下端部はブリツジベース１底部の長孔９
に着脱可能に係合される挾持部材１６に螺合され
る。挾持部材１６は円筒形に形成され、その上部
には長孔９に係合する段付小径部１６ａが設けら
れる。

１７はブリツジベース１の一部に取付れられた
トレモロレバー、１８はブリツジベース１の底部
に取付ねじ１８ａで下方に突出固定されたブラケ
ツト、１９はブラケツト１８の先端とギター本体
２間に連結された引つぱりコイルばねである。

このように構成されたトレモロテイルピースで
は、６個のブリツジ８がブリツジベース１上定位
置（長孔９の真上）に載置され、ブリツジベース
１の右側壁部に設けられた孔から挿入された弦長
調整ねじ１３の先端にブリツジ８の軸８ａが螺合
され、次のように弦５が装着される。

先ず、弦５の弦端リング５ａがブリツジベース
１の係止溝７内で係止され、弦５は係止溝７から
ブリツジ８の底部の溝１１を通つて弦挿入孔１０
を下から上へ通される。この状態で弦押え具１４
が締付ねじ１５と挾持部材１６と共に上方から弦
挿入孔１０に嵌入され、この時、挾持部材１６は
ブリツジベースを１の長孔９に係合される。そし
て、締付ねじ１５の締付けにより、弦５は弦挿入
孔１０の内壁と弦押え具１４の間に挾まれて固定
されると共に、ブリツジ８は挾持部材１６と弦押
え具１４に挾まれてブリツジベース１上に固定さ
れることになる。そして、弦５の先端は図示しな
いネツク先端の糸巻きに巻き付けられ、所定の張
力に調整される。

そして、ある程度の弦長は弦長調整ねじ１３を
回転させてブリツジ８を移動させることにより調
整され、弦高は弦高調整ねじ１２の回転によりブ
リツジ８の前部を上下させて調整される。

トレモロ演奏を行なう場合には、トレモロレバ
ー１７を操作してブリツジベース１を、支持ピン
４と軸受ピン３の接点を支点に揺動させて行なう
が、弦５は弦押え具１４により押圧固定されるた
め、張力のくるいやすい弦端リング付近の影響を
出さずに演奏を行なうことができる。また、トレ
モロ演奏の際に弦の張力がほとんど無くなるまで
レバー操作が行なわれた場合にも、ブリツジ８は
締付ねじ１５、弦押え具１４、及び挾持部材１６
によりブリツジベース１に固定され、ずれたり振
動したりせず、安定した良好なトレモロ演奏を行
なうことができる。

以上説明したように、この考案のトレモロテイ
ルピースによれば、弦の一部がブリツジの箇所で
弦押え具によつて固定されるから、張力がくるい
やすい弦端リング付近の影響をなくすることがで
き、同時にブリツジもブリツジベースに対し固定
されるからブリツジのずれや振動の発生を防止す
ることができる。また、弦端リングはブリツジベ
ースの前部の係止溝に係止されるから、ギター本
体の表側のみで弦を装着でき、弦の取り換えが簡
単になる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示し、第１図はトレモ
ロテイルピースの平面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ断面図、第３図はブリツジの斜視図、第４図は
同ブリツジの裏側斜視図である。 １……ブリツジベース、２……ギター本体、５
……弦、７……係止溝、８……ブリツジ、９……
長孔、１０……弦挿入孔、１４……弦押え具、１
５……締付ねじ、１６……挾持部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ギター本体に揺動可能に設けられたブリツジベ
   ースと、該ブリツジベース上に各弦について移動
   可能に載置された複数のブリツジと、該ブリツジ
   の弦挿入孔に挿入されて弦を押圧固定する弦押え
   具とを備えたトレモロテイルピースであつて、前
   記ブリツジベースの前部には弦の弦端リングを係
   止する係止溝が設けられ、前記弦押え具には締付
   ねじが貫通螺合され、該締付ねじの先端は前記ブ
   リツジベース底部の長孔に係合された挾持部材に
   螺合し、前記締付ねじによつて前記弦押え具が前
   記ブリツジベースの係止溝と前記弦挿入孔を通る
   弦をブリツジ上に押圧固定すると同時に前記ブリ
   ツジをブリツジベース上に締付固定するように構
   成したことを特徴とするトレモロテイルピース。