JPS6229948Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、弾性体の一部として試験片取付用枠
体を介して試験片が取付けられ、質量および弾性
体を有する振動系により固有振動数が決定される
共振型疲労試験機における歪制御装置に関するも
のである。

一端側に切欠きを有する板状の試験片の疲労亀
裂特性は周知の疲労試験機によつて測定すること
ができる。その場合、試験片に加えられる荷重と
切欠き部に発生する亀裂長さとから応力拡大係数
ΔＫが次式により求められ、さらに、試験片の歪
量を一定に制御する歪制御試験により、このΔＫ
漸減試験を行い、亀裂伝播の停止条件を求めるこ
とができる。

ただし、ΔＰ：荷重変化範囲、ａ：亀裂の長
さ、 Ｂ：試験片の板厚、 Ｗ：試験片の板幅、Ｆ（α）：補正係数 従来、この歪制御試験を行うのには電気油圧式
の疲労試験機が用いられているが、この種の疲労
試験機ではサーボ弁の特性やポンンプ容量などに
よつて決まる試験片に加えられる振幅荷重が低周
波であるため、試験に長時間かかり、非能率であ
るとともに消費電力も大きいという欠点があつ
た。

さらに従来装置においては、試験による試験片
剛性の急激な変化が制御不安定要素として作用す
るので安定した歪制御試験を行うことができなか
つた。

本考案の目的は、この欠点を除去し、消費電力
が少なくてすみ、さらに試験片剛性の急激な変化
が制御不安定要素として作用しない共振型疲労試
験機の制御装置を提供することにある。

この目的を達成するために本考案は、試験片歪
検出出力を前記振動系に正帰還し前記試験片を前
記固有振動数で振動させる正帰還回路と、試験片
歪の振幅値を所定値に制御する振幅値制御回路
と、試験片歪の平均値を所定値に制御する平均値
制御回路とを設けたことを特徴とする共振型疲労
試験機における歪制御装置を構成したものであ
る。すなわち、本考案は、共振型疲労試験機にお
いて、切欠き付試験片に取付けた歪ゲージの出力
により共振回路を動作させ、試験片を共振状態に
負荷しながら、試験片に亀裂伝播による急激な剛
性変化が生じても歪制御試験を安定に行うように
したものである。

以下、図に示す本考案の実施例について詳細に
説明する。

図示の共振型疲労試験機１は、基台２と、この
基台２の軸心上に取付けられる振動数変化用おも
り３と、基台２上の軸心位置に設けられるロード
セル４と、このロードセル４とおもり３との間に
連結される枠体５とを備えている。試験片６は枠
体５内に取付けられる。基台２およびおもり３は
本考案に言う質量を構成し、またロードセル４、
枠体５および試験片６は本考案に言う弾性体を構
成し、この弾性体と前記質量とは振動系を構成す
る。

この振動系はおもり３に連結される平均荷重用
ばね７の上部に設けられる電磁石８により起振さ
れる。ばね７にはねじ棒９が連結されている。ね
じ棒９は、基台２に直立された支柱１０に支持さ
れた架台１１上に設けられている電動機１２によ
つて歯車機構Ｇを介して動かされ、それにより試
験片６に平均荷重を与える。試験片６に対する振
動負荷の共振周波数は前記質量および弾性体によ
り決められる。

試験片６は、この種の試験機においてよく知ら
れているように、一端に切欠き１３を有し、他端
に歪ゲージ１４が貼着される。

歪ゲージ１４の出力側に歪出力増幅器１５、移
相器１６、正帰還減衰器１７、加算器２５および
電力増幅器１８を介して電磁石８に到る正帰還回
路が設けられている。移相器１６の出力側には振
幅検出器１９が分岐接続されている。振幅検出器
１９の出力、すなわち試験片６の歪量の振幅を表
わす出力信号は、振幅設定器２０によつて設定さ
れた設定振幅を表わす信号と比較され、その偏差
が振幅抑制減衰器２１を介して加算器２５に負極
性で入力される。振幅検出器１９から振幅抑制減
衰器２１に到る回路は本考案に言う振幅回路を構
成する。

一方歪出力増幅器１５の出力側に平均値検出器
２２が分岐接続されている。平均値検出器２２は
試験片６の歪量の平均値を出力する。この平均値
出力は、平均値設定器２３によつて設定された設
定平均値と比較され、その偏差信号によりその偏
差が零になるように駆動部２４を介して電動機１
２が制御される。平均値検出器２２および駆動部
２４を含む回路部分は平均値回路を構成する。

試験片６に加わる荷重はロードセル４の出力に
より図示していない表示器に表示される。

図示の回路装置において、試験片６には、第一
に、平均値設定器２３による設定平均値が電動機
１２およびねじ棒９を介して平均荷重用ばね７に
よつて与えられる。これが平均値回路の機能であ
る。歪ゲージ１４の出力は移相器１６と正帰還減
衰器１７の調整により電磁石８に正帰還されて、
共振系の持つ固有振動数で発振を開始する。試験
片６には、この共振周波数による振動が負荷され
る。このようにして振幅回路の振幅設定器２０に
よる設定振幅が前記平均値を基準レベルとして試
験片６に加えられて歪制御試験が行われる。

なお、試験片６は枠体５を介して試験機１に取
付けることにより、切欠き１３の部分の亀裂進展
によるばね定数の変化が試験機１における急激な
弾性変化につながらないように考慮されている。

以上のように、本考案は切欠き付試験片の急激
な剛性変化による制御の不安定を簡単な構成で防
止することにより試験精度を高め、また引張領域
または圧縮領域に歪量平均値を設定する片振り歪
制御においても行い安定性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すブロツク線図であ
る。 １…共振型疲労試験機、２…基台、３…おも
り、４…ロードセル、５…枠体、６…試験片、７
…平均荷重用ばね、８…電磁石、９…ねじ棒、１
２…電動機、１４…歪ゲージ、１６…移相器、１
７…正帰還減衰器、１９…振幅検出器、２０…振
幅設定器、２２…平均値検出器、２３…平均値設
定器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 弾性体の一部として試験片取付用枠体を介して
   試験片が取付けられ、質量および弾性体を有する
   振動系により固有振動数が決定される共振型疲労
   試験機における歪制御装置において、 試験片歪検出出力を前記振動系に正帰還し前記
   試験片を前記固有振動数で振動させる正帰還回路
   と、試験片歪の振幅値を所定値に制御する振幅値
   制御回路と、試験片歪の平均値を所定値に制御す
   る平均値制御回路とを設けたことを特徴とする共
   振型疲労試験機における歪制御装置。