JPS6226861B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、連続鋳造スラブなどの高温材料を次
工程に送給するための搬送ロールに関し、特にロ
ール表面に断熱部材を設けて搬送過程でのロール
による材料の熱損失を抑制するものである。

連続鋳造されたスラブを、一旦冷却することな
く高温状態のまゝ搬送ロールにて送給し加熱炉内
に装入するホツトチヤージは、スラブの保有熱量
の有効利用により熱経済を改善しようとするもの
であるから、搬送されるスラブはその途中での温
度降下が少なく、できるだけ高温のまゝ炉内に装
入されることが望まれる。

しかし、搬送ロールは鉄合金からなるため、そ
のロールに担持されるスラブは、搬送中ロールと
の接触面を介して大量の熱が奪われる。このロー
ルによる熱損失は、ホツトチヤージにおける省エ
ネルギー効果を制限する主要因の一つである。

この熱損失を少くする方法として、スラブを担
持するロール胴部に断熱材層を設けスラブと金属
面との直接々触を避けることが有効であるが、単
にロール周面に断熱材層を被覆したゞけでは、ス
ラブの負荷や、ロール金属と断熱材層の熱膨張率
の差異による応力の作用等により早期に剥離・瓦
壊し易い。また、表面の断熱材層の層厚の分だけ
ロール径が拡大するから、それに応じて相隣るロ
ールの軸間距離（ｄ）を広げなければならない。
それに伴つてロール上に担持されたスラブの水平
姿態が不安定化し、ロールｒ上を移動中に、スラ
ブＳの先・後端の上下動が生じてロールにシヨツ
クを与えるばかりか、スラブが高温のため、先端
部湾曲（たれ下り）などを生じるため、第６図に
示すように先端が前方のロールに衝突してロール
を毀損する頻度も高くなり、結局、搬送ロールと
して実用に耐えるものではない。

本発明は、上記問題点を解決し、断熱効果と、
搬送ロールとして必要な堅牢性を具備させたもの
である。

本発明の搬送ロールは、金属製ロールシヤフト
の胴部に、応力緩和部材を介して環装される複数
個のセラミツク環状部材と、該断熱部材より小径
の固定部材とをシヤフト軸方向に交互に連接して
環装することにより構成され、環状断熱部材の周
面上にスラブなどの高温材料を担持させて搬送す
るものである。

第１図は本発明の実施例を示す軸方向断面図、
第２図および第３図はそれぞれＡ−Ａ断面図、Ｂ
−Ｂ断面図である。１は鉄合金などの金属製ロー
ルシヤフト、２は該ロールシヤフト１の胴部に環
装されるセラミツク環状部材である。各セラミツ
ク環状部材２はロールシヤフト１との熱膨張率の
差異に応じるため、その内周面とロールシヤフト
の外周面との間に適度の間隙を形成する。３は応
力緩和部材であり、セラミツク環状部材２とロー
ルシヤフト１の間隙に装填され、両者の熱膨張率
の差異により生じる径方向のすき間および衝撃的
な力に弱いセラミツクに対する衝撃を吸収緩和す
る。４は固定部材であり、各セラミツク環状部材
２のそれぞれの軸方向の位置ずれを防ぐ役目を有
する。

図示のように、複数個の環状断熱部材２のそれ
ぞれを応力緩和部材３を介してロールシヤフト１
の軸方向にそつて固定部材４と交互に連接してシ
ヤフト胴部に環装することによりロールＲを構成
する。該ロールＲはシヤフトの端部において通の
ロールと同様にベアリングを介して支承され、か
つ図示はしないが水平方向に多数並列配置される
とともに、回転駆動機によりそれぞれの軸心のま
わりに回転駆動する。被搬送材であるスラブ等の
高温材料Ｓは、セラミツク環状部材２の周面に担
持されてロール上を搬送される。

高温材料が直接々触するセラミツク環状部材２
は各種のセラミツク（例えば、アルミナ、炭化け
い素、窒化けい素、ジルコニアなど、およびこれ
らの材料的組合せ、もしくは構造的組合せに係る
ものを含む）の粉末を原料として公知の常圧焼結
法、加圧焼結法などによつて製作される焼結成形
体である。

応力緩和部材３は、セラミツク環状部材２とロ
ールシヤフト１間においてすき間や衝撃的な力の
吸収緩和に必要な変形を容易に生起するような低
弾性係数の材料が用いられる。また、そのような
機能を果す構造として例えば第５図に示すように
バネ３を使用してもよい。むろん、いづれの場合
も、高温材料からの熱膨張に耐え得るものである
ことが必要である。

固定部材４もまた環状部材であり、各セラミツ
ク環状部材２のそれぞれの両側部に位置してそれ
自身シヤフト１に固定されるとともに、各セラミ
ツク環状部材１をその両側面から当接して固定
し、特に前記応力緩和部材３が変形の大きいもの
である場合には、セラミツク環状部材２の軸方向
のすべりを防止する。従つて、固定部材２は通常
金属製であり、幅狭まのリングまたは比較的広幅
の中空筒体としてシヤフト１に嵌着される。各固
定部材のうち、左右の最外側の固定部材は、溶
接、その他の固定方法によりロールシヤフトに固
着されるが、その中間の各固定部材は必ずしもロ
ールシヤフトに固着する必要はない。なお、固定
部材４は、セラミツク環状部材２の周面上に担持
される高温材料と接触しないように、セラミツク
環状部材よりも小径であることを要し、従つて、
セラミツク環状部材２と固定部材４とが交互して
形成されるロール周面は図のように凹凸面をな
す。

本発明ロールにおいては、セラミツク環状部材
２は、複数個の分割体であるので、分割されない
場合の長尺体に比し、各セラミツク環状部材の軸
方向の熱膨張量および熱膨張による応力の発生が
少ない。実使用時、セラミツク環状部材２は、そ
れ自身の軸方向の熱膨張と、両側に当接している
固定部材４の軸方向の熱膨張により軸方向の圧縮
力が加わるが、セラミツクは高い圧縮強度を有し
ているので、その圧縮力で破壊することはない。
なお、ロールシヤフト１が伝導伝熱により昇温し
軸方向に膨張する場合は、その分セラミツク環状
部材２に加わる軸方向の圧縮力が軽減する。他
方、セラミツク環状部材２とロールシヤフト１と
の径方向の熱膨張差により応力の発生は、両部材
間に介装されている応力緩和部材３により吸収緩
和される。

なお、本発明ロールはロールシヤフトにセラミ
ツク環状部材が環装されるので、それだけロール
径の拡大を伴うが、前記第１図のように、固定部
材４の幅寸法ａをセラミツク環状部材２の幅寸法
ｂにより大きくしおけば、第４図に示すように、
相隣るロールを、たがいに干渉せず凹凸面が交差
するように近接配置することによりロール軸間距
離Ｄを狭めることができる。従つて、ロール径が
大きくても、前記第５図に示すような、軸間距離
の拡大とそれに伴うロール上面の搬送材料の水平
姿勢の不安定化（前後端部の上下動）、ロールに
対する衝撃などのトラブルを回避することができ
る。

本発明のロールの実施例を挙げれば、(i)ロール
シヤフト：材質クロムモリブデン鋼、炭素鋼な
ど、胴部外径200mm、長さ2000mm、(ii)セラミツク
環状部材：セラミツク焼結成形体、内径230mm、
外径400mm、幅（長さ）200mm、(iii)応力緩和部材：
バネ鋼のリングの組合せ、内径200mm、外径230
mm、幅（長さ）190mm、(iv)固定部材：炭素鋼、合
金鋼などの中空筒体、内径200mm、外径270mm、幅
（長さ）205mm、の各部材にて前記第１図のように
構成され、相隣るロールは、第４図のように周面
の凹凸を交差させ、軸間距離は約350mmに配列さ
れる。かく構成された搬送ロールによる高温材料
の搬送中の断熱保温効果はセラミツク環状部材の
断熱材料により一様ではないが、従来の通常の搬
送ロールの場合に比し、熱損失量は約50％程度低
減する。

以上のように、本発明の搬送ロールは、高温材
料の断熱保温効果にすぐれ、ホツトチヤージにお
ける省エネルギー効果を高める。また、ロール周
面の断熱部材は、温度変化による応力や搬送材料
が及ぼす衝撃などが効果的に回避されるので、容
易に破損・剥落を生じることなく、長期の使用に
十分耐える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す軸方向断面図、
第２図はＡ−Ａ断面図、第３図はＢ−Ｂ断面図、
第４図はロール相互の配列態様を例示する要部平
面図、第５図は本発明の他の例を示す要部断面
図、第６図は搬送トラブルの１例を示す側面説明
図である。 １：ロールシヤフト、２：セラミツク環状部
材、３：応力緩和部材、４：固定部材、Ｓ：高温
材料。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属製ロールシヤフトの胴部に、応力緩和部
   材を介して環装される複数個のセラミツク環状部
   材と、該環状部材より小径の環状固定部材とを交
   互に連接して環装させてなる高温材料搬送ロー
   ル。