JPS6225432B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は水泳用プールにおける消毒方法に関す
るものであり、詳しくは塩素化シアヌール酸系化
合物、次亜塩素酸カルシウムの如き固型塩素薬剤
を用いるプール水の消毒殺菌処理に係るものであ
る。 プール水の殺菌消毒については、水中における
残留塩素を0.4〜1.0ppmに維持するように規定さ
れている。 プールの循環水を、固型塩素薬剤を入れた薬剤
容器内に流入し、塩素薬剤の一部を溶解してプー
ル水に導入する方法は、特公昭45−29788号公報
その他によつて広く知られている。 然し乍らこのような従来法によれば、プールの
循環水を連続的に薬剤容器に供給している場合に
は支障を生じないけれども、循環ポンプの運転を
停止した場合、薬剤容器内の湿潤した固型塩素薬
剤が分解反応を起こし、時として薬剤容器が爆発
するなど致命的欠陥が存在していた。 例えば顆粒状のトリクロロイソシアヌール酸を
水中に入れて放置した場合のガス発生量の測定値
を表１に示す。 発生ガスは酸素、炭酸ガス、三塩化窒素であ
り、発生ガスの約10容量％が爆発性の三塩化窒素
である。

【表】 本発明者はこのような事情に鑑み鋭意試験研究
を重ねた結果、筒状の薬剤容器の上方部に薬剤投
入口と網状のフイルターを施した溢水口を設け、
循環水ないし補充水を供給する導水管の開口端を
薬剤容器の底部に存らしめ、薬剤容器内に顆粒状
の薬剤を充填し、導水管を通じて循環水ないし補
充水の一部又は全部を薬剤容器内に供給し、顆粒
状の薬剤と流動接触させることにより、所期の目
的を達成したものである。 以下図面により本発明方法を具体的に説明す
る。 第１図は本発明の実施に適する薬剤溶解装置を
示すもので、薬剤溶器１は透明な耐圧性のガラス
又はプラスチツクからなり底部はナス型をしてお
り、その上部に嵌着する蓋２には薬剤投入口３と
網状の筒型フイルター４を施した溢水口５を設け
プールの循環水または補給水を供給する導水管６
の開口端７を薬剤容器１の底部にあらしめてい
る。まず薬剤を投入口３から薬剤容器１に投入
し、薬剤投入口３に中栓付蓋８をつける。水導入
口９から水を流すことによつて薬剤容器１内に空
気の溜りもなく、一番高所に溢水口５があるので
薬剤容器１内の空気は水に完全に追い出され、水
とともに空気は水流出管１０と水流出口１１を経
由してプールに入れられる。定常的に薬剤処理を
している状態では、流量をセツトされた水が連続
的に水導入口９から入り導水管６を経由して開口
端７から薬剤容器１に導入される。 薬剤１２はこの導入水と流動接触するので、薬
剤の溶解が薬剤固定床式に比して格段に速くな
る。薬剤を溶解した水は網状の筒型フイルター４
を通じて排出されるが固型の塊状または粒状また
は粉状の薬剤は網状の筒型フイルター４で阻止さ
れるので、プールには溶解された薬剤を含む水溶
液のみが導入される。薬剤容器１の底部をナス型
にして耐圧性を高め、かつ薬剤と水との流動接触
性を良くしたが、半球状でも角底でも可能であ
る。 プールの使用を停止したりまたは薬剤注入を中
止する場合には、弁操作によつて薬剤容器１内の
水を逆流させて薬剤容器１から薬剤を排出する。
即ち弁操作によつて水流出口１１から水を導入し
溢水口５を経由して薬剤容器１に水を入れ、薬剤
１２を水に同伴させて導水管の開口端７及び導水
管６を経由して薬剤容器１から排出でき、循環ポ
ンプの停止による薬剤容器１内部における湿潤薬
剤の分解によつて生じる塩素、三塩素化窒素など
のガス発生による薬剤容器１内の爆発等のトラブ
ルを防ぐことができる。 第２図は本発明の実施に適する薬剤溶解装置と
循環式プールとの接続図を示すものであり、薬剤
容器１は循環ポンプ１３の吐出部から配管されて
おり、具体的には水は逆止弁１４、流量調節弁１
５、流量計１６、三方コツク１７を経由して導水
管６にて薬剤容器１の底部に導入される。 薬剤容器１にて薬剤は溶解し、溢水口５から水
溶液が流出し、流出管１０、三方コツク１８を経
由して過器１９の出口配管に接続されている。 循環式水泳プール２０のメーンの循環ラインは
水泳プール２０、ヘアキヤツチヤー２１、循環ポ
ンプ１３、過器１９、水泳プール２０という順
に形成されており、薬剤容器１への通水量に比し
て大量の水が循環している。 固型塩素薬剤を薬剤容器１に充填する際には、
導水管６入口の三方コツク１７を閉とし、流出管
１０出口の三方コツク１８も閉とし、ブロー弁２
２を開としてその間の配管と薬剤容器１の圧と一
部の水を抜き、薬剤投入口３を開いて、薬剤を薬
剤容器１に投入する。 薬剤処理する場合には「順経路」であり、薬剤
容器１の薬剤投入口３に蓋をして、ブロー弁２２
を閉にし、三方コツク１８を流出管１０から合流
部２３の方向に水が流れるように開き、ついで流
量調節弁１５を開き、三方コツク１７を流量計１
６から導水管６の方向に水が流れるように開く
と、過器１９の差圧によつてまたは過器前弁
２４の操作によつてこの経路に水が流れる。 流量は流量計１６を目安にして、流量調節弁１
５で調節できる。 循環ポンプ１３を停止する場合には、停止する
前に三方コツク１７を導水管６から薬剤排出管２
５の方向のみに水が流れるように開とし、三方コ
ツク１８は薬剤排出用入口配管２６から流出管１
０の方向のみに水が流れるように開とする。この
操作によつて循環ポンプ１３吐出からの取出水は
逆止弁１４、薬剤排出用入口配管２６、三方コツ
ク１８、流出管１０を経由して薬剤容器１に水が
入り、「逆経路」となる。薬剤容器１内の水は逆
流し、導水管径は薬剤粒子径に比して十分太いの
で薬剤も同伴されて導水管６、三方コツク１７、
薬剤排出管２５を経由して過器１９出口の合流
部２３でメーンの循環水と合流し水泳プール２０
に排出される。 水泳プールは水量が多いので、ガス発生による
トラブルはない。この処置を行なつた后、循環ポ
ンプ１３を停止する。 もし停電等によつて突然循環ポンプ１３が停止
した場合には、三方コツク１７と１８を前述のよ
うに「逆経路」に開とすればヘツドタンク２７か
ら水道水配管２８の水が補給され、逆止弁２９を
通つて薬剤容器１から薬剤が排出される。また循
環ポンプ停止中も薬剤処理を継続する場合には、
三方コツク１７と１８を「順経路」に開とすれば
ヘツドタンク２７から水導水配管２８の水が補給
され逆止弁２９を通つて、流量調節弁１５、流量
計１６、三方コツク１７、薬剤容器１、三方コツ
ク１８を経由し、薬剤を溶解した水道水が水泳プ
ール２０に入る。 従つて、停電又は循環ポンプの故障等の場合に
はヘツドタンクから自動的に給水されるので、薬
剤容器は常時通水されていることになりガス発生
によるトラブルはない。 また三方コツク１７と三方コツク１８とブロー
弁２２の弁操作を簡単にかつ誤操作をなくす為に
上記の３つの弁を連動させると便利である。 第３図は本発明の実施に適する薬剤溶解装置と
換水式プール３０との接続図を示すものであり、
この方法は換水式プールにも使用可能であること
を示す。 換水式プール３０の底部に分散管３１を設置し
薬剤溶解水がプール全面に平均的に行き渡るよう
にしている。 薬剤容器１に薬剤を充填する場合の方法及び弁
操作は循環式プールの場合と全く同じである。 薬剤処理をする場合には「順経路」をとるが、
流量調節弁１５を開き、三方コツク１７を流量計
１６から導水管６の方向に水が流れるように開と
し、ブロー弁２２を閉にし、三方コツク１８を流
出管１０から分散管３１の方向に水が流れるよう
に開とすると、ヘツドタンク２７のヘツド圧によ
つて水が流れ、薬剤の溶解した水が水泳プールに
入れられる。この補給水量に見合う水は水泳プー
ル３０でオーバーフローして放流される。 水泳プールを停止する場合は「逆経路」をとり
三方コツク１７は導水管６から薬剤排出管２５の
方向のみに水が流れるように開とし、三方コツク
１８は薬剤排出用入口配管２６から流出管１０の
方向のみに水が流れるように開とする。この操作
によつて薬剤容器１内の水が逆流し水に同伴され
て薬剤が水泳プール３０内に排出される。水泳プ
ール３０は水量が多いので、ガス発生によるトラ
ブルはない。 以上のように本発明の消毒方法によれば、循環
水ないし補充水を薬剤容器の底部に供給し、網状
のフイルターを施した溢水口を薬剤容器の上部に
設けて顆粒状薬剤を供給水と流動状態で接触さ
せ、薬剤容器の上部にある溢水口から薬剤を含ま
ない飽和溶解に近い薬剤溶解液を長時間に亘つて
プール水中に供給させることができ、また固型塩
素剤を充填した従来の薬剤容器では循環ポンプが
停止した場合に、固型塩素薬剤の分解によるガス
発生によつて時に薬剤容器の爆発等が起ることも
あつたが、本発明の方法によれば循環ポンプを停
止する前に薬剤容器から薬剤を排出しうるので爆
発の危険もなく、停電のような異常状態にも自動
的にヘツドタンクからの水道水で対処できる。 次に実施例を挙げて、この発明の方法を具体的
に説明する。 実施例 １ 薬剤として平均粒度10〜30メツシユを有する顆
粒状のトリクロロイソシアヌール酸を用いた例を
示す。 第１図の薬剤容器の内径は10cm、高さは30cmで
あり内容積は1700c.c.である。薬剤容器の導水管及
び流出管の寸法は3/8インチであり、溢流口と薬
剤投入口の内径は30mmであり、網状のフイルター
のメツシユは30メツシユであり粒径が0.6mm以上
の薬剤は通過しない。 この薬剤容器に1200ｇの顆粒状のトリクロロイ
ソシアヌール酸を充填し500tの循環式プールで実
施した。 このプールのメーン循環水量は80t／ｈであ
り、薬剤容器へは200／ｈの水量になるように
調節した。遊泳していた延人数は160人であり、
水温は27.5℃であり、天候は晴であつた。 結果を表２に示す。なお500tプール内の残留塩
素値は10ケ所で測定したがその平均値を表に示し
た。

【表】 なお薬剤の排出は120分后に残つていた薬剤約
220ｇを第２図の「逆経路」の説明と同じ方法で
行ない薬剤容器内に残つていた薬剤を完全にプー
ルへ排出でき、薬剤容器内にはトラブルの原因に
なる塩素や三塩化窒素のガスは認められなかつ
た。 またヘツドタンクを薬剤容器上４ｍの位置に設
置して、補給水による薬剤の溶解テスト及び排出
テストを行なつたが、この場合も薬剤の溶解及び
排出を順調に行えた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を構成する薬剤容器の要部を示
す断面図であり、第２図は薬剤容器と循環式プー
ルとの接続図であり、第３図は薬剤容器と換水式
プールとの接続図である。 図中の１は薬剤容器、３は薬剤投入口、４は網
状の筒型フイルター、５は溢水口、６は導水管、
７は開口端、１０は流出管、２０は循環式水泳プ
ール、３０は換水式プールを示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒状の薬剤容器の上方部に薬剤投入口と網状
   のフイルターを施した溢水口を設け、循環水ない
   し補充水を供給する導水管の開口端を薬剤容器の
   底部に存らしめ、薬剤容器内に顆粒状の薬剤を充
   填し、導水管を通じて循環水ないし補充水の一部
   又は全部を薬剤容器内に供給し、顆粒状の薬剤と
   流動接触させることを特徴とするプール水の消毒
   方法。