JPS6225324B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は摘果用ハサミに関し、更に詳しくは片
手で果実を抱持した状態で同時に同じ側の手で果
実をヘタの根元から切り取ることのできる構造の
摘果用ハサミに関するものである。

温州みかん、夏みかん、ネーブル、グレープフ
ルーツ、レモン等の柑橘類を収獲するには従来か
らハサミが用いられ、果実のヘタの上部小枝をハ
サミで切取り、一旦かごに収納される。この際、
果実が地上に落下しないように一方の手で果実を
把持し、他方の手にハサミを持つて切取る作業が
行なわれている。果実はその後、選果場へ送られ
るが、このとき果実の切端が長いと他の果実に傷
をつけることになる。そこで、摘果時にできるだ
け、果実をヘタの根元で切る必要があるが、従来
のハサミはいわゆる剪断力を利用したものである
ため、刃の厚み分はヘタから小枝が突出すること
になる。そのため、摘果した果実は選果場へ送る
前にもう一度、注意深く、ヘタの根元まで小枝を
切り直しているのが普通であるが、これには摘果
に２倍の労力を要し、改善が望まれていた。

本発明者は上述の従来技術の欠点を改善すべく
鋭意検討を重ねた結果、本発明に至つたものであ
る。

したがつて本発明の目的は摘果時に果実をヘタ
の根元で切取ることが出来、かつその作業が片手
のみでできる摘果用ハサミを提供することにあ
る。

即ち本発明の摘果用ハサミはアウターパイプの
内側にインナーパイプが周方向に回動自在に挿入
され、インナーパイプの周面には親指用アームが
延設されると共にインナーパイプの先端にはガイ
ドを有する可動カツターが設けられており、一
方、アウターパイプの周面からは板状部が延設さ
れ、同板状部に人指し指用孔、中指用孔及び指か
けが形成されると共にアウターパイプの先端には
ガイドを有する固定カツターが前記可動カツター
と相対して設けられ、かつインナーパイプの中に
は外力により回動したインナーパイプの位置を復
元させるバネ機構を設けてなることをその要旨と
するものである。

以下、図面を参照して本発明を具体的に説明す
る。

第１〜４図は本発明の実施例を示し、第１図は
斜視図、第２図は正面図、第３図は側断面図、第
４図は平面図である。

本発明の摘果用ハサミは可動部と固定部に大別
することができる。もつとも、全体を片手で操作
するものであるから可動部と固定部は相対的なも
のであるが、以上便宜上、このように称すること
にする。

可動部はインナーパイプ１、回動軸２、親指用
アーム３および可動カツター４から主として成
り、固定部はアウターパイプ５、軸鞘６、人指し
指用孔７、中指用孔８、指かけ９および固定カツ
ター１０から主として構成されている。インナー
パイプ１はアウターパイプ５の内側に周方向に回
動自在に挿入され、パイプの一端はアウターパイ
プ５に固定されたストツパー１１で封鎖されてい
る。インナーパイプ１の他端はパイプ外径と同径
の円柱からなる回動軸２に一体的に固設されてお
り、インナーパイプ１の回動軸２側端部の内部に
は回動軸２から突出したストツパー１２が嵌合固
定されている。固定部側のストツパー１１と可動
部側のストツパー１２の間には板バネ１３が張架
され、板バネ１３の片端はストツパー１１に設け
られたスリツト内に、他端はストツパー１２に設
けられたスリツト内に嵌入され固定されている。
回動軸２のインナーパイプ１寄りの周面には軸方
向とは直角にそして次第に周方向に湾曲する親指
用アーム３が延設され、その先端は円を描き、親
指用孔１４を形成している。また回動軸２の先端
で、かつ親指用アーム３が延設されている側とは
ほぼ反対側の周面には軸方向とは直角に、そして
先端がＬ字状に軸方向に屈曲した可動カツター４
が延設されている。この可動カツター４の軸方向
に延びた一辺には刃１５が設けられ、また軸方向
に延びた片の先端部はねじれ、ガイド１６を形成
している。

固定部であるアウターパイプ５はインナーパイ
プ１の外側に存し、その一端はストツパー１１で
封鎖されている。アウターパイプ５の他端は回動
軸２を包囲する軸鞘６に連結しており軸鞘６の先
端は封鎖されている。軸鞘６のアウターパイプ５
寄りにはパイプを貫通する切欠き窓１７が設けら
れ、そこから親指用アーム３が突出している。切
欠き窓１７は親指用アーム３の幅と、これが回動
した際に移動する距離に十分な長さとを有してい
る。軸鞘６の軸方向中央付近には一定幅で全周面
から放射状に延設される板状部１８を有し、この
板状部１８は親指用アーム３の突設方向を上とし
たとき左右の横方向に延設されている。そして、
パイプ軸を前方と後方に位置させ、カツターのガ
イドが突出している側から見た場合、親指用アー
ム３は上方から右側に湾曲しているが、板状部１
８の右側には人指し指用孔７が形成され、逆にパ
イプより左側には中指用孔８が形成されている。
板状部１８は更に左側に延びその先端は上部を凹
状にした半円を描き指かけ９を形成している。

軸鞘６の先端近傍にはパイプを貫通する切欠き
窓１９が設けられ、そこから可動カツター４が突
出している。切欠き窓１９は可動カツター４の幅
と可動カツターが回動した際、移動する距離に十
分な長さとを有している。一方、軸鞘６には切欠
き窓１９の下側端部付近の周面から軸方向に直角
で、かつ可動カツター４と対称形の固定カツター
１０が延設されている。固定カツター１０は可動
カツター４を対称形であるから相対する位置に刃
２０およびガイド２１を有している。

第５図は他の実施例を示す正面図であり、第１
〜４図の実施例が右手用の摘果用ハサミであるの
に対し、本実施例は左手用の摘果用ハサミであ
る。

したがつて、構造は第１〜４図の実施例と比較
し、パイプを中心にして左右対称になつている。
つまり、正面から見た場合、親指用アーム３は上
方から左側へ湾曲し、人指し指用孔７は向かつて
左側に、中指用孔８および指かけ９は右側に配設
されている。勿論、可動カツター４と固定カツタ
ー１０との関係も第１〜４図の実施例に比べ逆の
関係になつている。

次に本発明の作動状況を第１〜４図を参照して
説明する。第１〜４図の実施例は右手用であるか
ら、まず右手の各指をストツパー１１側から挿入
する。薬指および小指は指かけ９にそえる。今、
ハサミは第１〜４図の実線で示した状態となつて
いる。次に親指を手のひら側に移動させると親指
用アーム３が矢印方向に回動し、これに伴なつて
可動カツター４も固定カツター１０の方向に回動
し、ついには可動カツター４の刃１５と固定カツ
ター１０の刃２０とが接当する。このときインナ
ーパイプ１内の板バネ１３は一端が固定のアウタ
ーパイプ５に固定されたストツパー１１に固定さ
れ、他端が可動のインナーパイプ１に固定された
ストツパー１２に固定されているため、インナー
パイプ１の回動によつてねじれ、これを復元しよ
うとする力が働いている。

次に、親指の力を解放すると板バネ１３の復元
力によりインナーパイプ１、可動カツター４等は
元の位置に戻る。

これを実際の摘果に用いる場合は、各指を指用
孔に通した状態がちようど手のひらを開いた状態
になるため、まず果実２２を手のひら（たなごこ
ろ部分）に抱持し、枝のたわみ変形を利用して下
方へ心持ち押し下げた状態で親指を作動させ、果
実を摘み取る。

本発明は上述の構造および機能を有するため次
のようなすぐれた効果を奏する。

(1) 果実を下方へ押し下げながら、かつ従来のハ
サミのように剪断力ではなく、刃と刃が接当す
る力によつて切断するので果実のヘタの根元か
ら切断することが可能であり、再度切り直しを
する必要がない。

(2) ハサミを持つた状態がちようど手を広げた状
態となり、また果実を抱持したとき、カツター
部が果実のヘタの位置にくるようになつている
ため、片手で操作が十分に行なえる。したがつ
て、足場の悪い所、高所等でも片手が自由にな
るため安全に作業することができる。

また平坦地で、摘果能率を上げるためには両
手にハサミを持つて、同時に２個の果実を摘果
することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本発明の第１の実施例を示し、第
１図は斜視図、第２図は正面図、第３図は側断面
図、第４図は平面図であり、第５図は第２の実施
例を示す正面図である。 １……インナーパイプ、２……回動軸、３……
親指用アーム、４……可動カツター、５……アウ
ターパイプ、６……軸鞘、７……人指し指用孔、
８……中指用孔、９……指かけ、１０……固定カ
ツター、１１……ストツパー、１２……ストツパ
ー、１３……板バネ、１４……親指用孔、１５…
…刃、１６……ガイド、１７……切欠き窓、１８
……板状部、１９……切欠き窓、２０……刃、２
１……ガイド、２２……果実。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アウターパイプの内側にインナーパイプが周
   方向に回動自在に挿入され、インナーパイプの周
   面には親指用アームが延設されると共にインナー
   パイプの先端にはガイドを有する可動カツターが
   設けられており、一方アウターパイプの周面から
   は板状部が延設され、同板状部に人指し指用孔、
   中指用孔及び指かけが形成されると共にアウター
   パイプの先端にはガイドを有する固定カツターが
   前記可動カツターと相対して設けられ、かつイン
   ナーパイプの中には外力により回動したインナー
   パイプの位置を復元させるバネ機構を設けて成る
   摘果用ハサミ。