JPS6225205Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用のオイルフイルタ主として積
層型のオイルフイルタにおける過エレメントの
改良に関する。

苛酷な条件下で運転される車両エンジンの潤滑
油を処理するフイルタとして、値段が安く精度が
良好なところから、積層型のオイルフイルタが用
いられているが、これは第１図に示すようなもの
で、エンジンサイドのアダプタＡにカバープレー
ト２を介して取付けられた筒状容器１の内部に、
平板状の材３を多数積み重ね、その上下端にエ
ンドプレート４ａ，４ｂを施して鋼線で緊締した
過エレメントＥを収容し、アダプタの入口通路
A₁から容器１中に取入れたオイルを周囲部から
中心部に向けて積層材３の間を通すようにして
いる。

そして、上記の過エレメントＥとして最近、
第２図のように外形を６角形となし、中心部に複
数のオイルの連通みぞ５ａを有する窓孔５を設け
ると共にその周りに120゜の間隔をおいて外側辺
又は内側辺に連通みぞ６ａを備えた３個の台形状
の開口６を設け、開口６が存在しない部位の縁辺
にはオイル導入用の切込み７を、各角部には締結
用の切込み８をそれぞれ設けた平板状の単一材
３を折込み線９を介して帯状に連ね、このものの
各材３を第２図ロのように折込み線９の部分で
向い合せ又は背中合せになるように交互に多数折
畳み、これをエンドプレート４ａ，４ｂと共に鋼
線で緊締したものが提案されており、折畳んだ状
態では第３図のように下又は上になつた材３の
一部の開口６の連通みぞ６ａが上又は下になつた
材３の縁辺の一部の切込み７と通じ合うと共に
他の開口６の連通みぞ６ａが窓孔５の連通みぞ５
ａと連通し合うようになされている。

そして、使用中には容器１中のオイルが、第４
図イのように数枚重なつた材３の一部のものの
縁辺の切込み７から半径方向に流入し、これに重
なる他の材の連通みぞ６ａを通つて開口６に入
り、次には更に他の材３を通り抜けてその間に
挟まれた別の材３の開口６に出て窓孔５に流出
するというように、オイルにジグザグなコースを
とらせることによりこれを浄化するようにしてい
る。

ところで、このものでは、オイルの流れに複雑
な変化が与えられるので過精度は良好である
が、時間の経過により第４図ロのように中間材
３の開口６中にスラツジ層ができてくると、その
開口６に挟まれた他の材の部分がポンプの吐出
圧力によりくつついてしまい、オイルの流通が悪
くなり抵抗が増大してしまう。

この考案はこの欠点を解消すべく工夫されたも
ので、中央部に窓孔を設け、窓孔の周囲には複数
の台形状の開口を等間隔に設けた平板状の単一
材を多数帯状に連ね、各単一部材を向い合せ又は
背中合せに交互に折重ねて積層し、オイルを周囲
部から中心部に向け通過させて浄化する過エレ
メントにおいて、各材に設けた各開口の両側部
に窓孔から外方に向い縁辺の近傍に達する細みぞ
を設け、オイルの詰まりを防止してエレメントの
寿命を延ばすと共に過精度を向上させうるよう
にしたものである。

第５図ないし第７図はこの考案の実施例を示す
ものであり、１３は外形が６角形をなした平板状
の単一の材であつて、前記のようにその一辺に
相当する折込み線１９によつて多数のものが帯状
に連ねられており、各単一材１３の中心部には
三方にほぞ状の連通みぞ１５ａを有する窓孔１５
が設けられ、この窓孔１５の周囲には外側辺又は
内側辺に同じくほぞ状の連通みぞ１６ａを備えた
台形状の開口１６が120゜の間隔をおき且つ窓孔
１５の連通みぞ１５ａの中間位置に形成されてお
り、また各材１３の開口１６が存在しない部位
の縁辺にはオイル導入用の切込み１７が設けられ
ると共に各角部には緊締用鋼線を挿通するための
切込み１８が設けられている。

そして、この考案では、各単一の材１３にお
いて、開口１６の両側部に内端が中心の窓孔１５
に通じる線状の細みぞ２０がそれぞれ設けられ、
それらの外端は材の外側辺に至ることなくその
近傍において二方に短かく分れている。

そして、この線状の細みぞ２０は帯状に連なる
材１３のすべての表面に設けてもよいが、偶数
番目のものは第５図のように裏面に設けた方が重
ね合せた際に具合がよい。

しかして、上記一連の材１３は折込み線１９
を境として向い合うように又は背中合せになるよ
うに交互に折畳まれ、上下端にエンドプレート１
４ａ，１４ｂが施され、角部の切込み１８に鋼線
２１が挿されて第６図のように一つの円筒状の
過エレメントＥとして構成される。

そして、各材１３が折畳まれた際には、前記
のように下又は上になつた材１３の一部の開口
１６の連通みぞ１６ａが上又は下になつた材の
縁辺の一部の切込み７に通じ合うと共に他の開口
６の連通みぞ６ａは中心窓孔５の連通みぞ５ａに
通じ合うことになる。そこで、使用に当たり、容
器１中のオイルが前記第４図イのように数枚重な
つて材１３の１枚おきに存在する縁辺の切込み
１７から半径方向に流入し、積層材１３間に形
成されるシグザグな通路を通つて中心の窓孔１５
に流出するが、時間の経過により中間の開口１６
中にスラツジ層が形成され、その間に位置する
材１３がポンプの吸引作用によつてくつついた際
には、材１３に浸透したオイルが第７図のよう
に各開口１６の両側部に設けた細みぞ２０中に集
まり、これに誘導されて中心の窓孔１５に流出す
ることになる。

以上のようにこの考案では、中央部に窓孔を設
け、窓孔の周囲には複数の台形状の開口を等間隔
に設けた平板状の単一材を多数帯状に連ね、そ
の単一材を向い合せ又は背中合せに交互に折重
ねて積層し、オイルを周囲部から中心部に向け通
過させて過するものにおいて、単一材の各開
口の両側に窓孔から外方に向い縁辺近傍に達する
細みぞを設けたので、使用中に積層材の開口部
にスラツジ層が形成されたにしても、オイルの流
れを止めることなく中心部に向けて円滑に流すこ
とができ、しかもオイルはスラツジ層を通ること
になつて過精度が向上し、エレメントの損傷を
防止して寿命を延ばすことができるなどの実用的
な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は積層型オイルフイルタの一部断面側面
図。第２図イは従来の帯状材の一部平面図。同
図ロはその折重ね状態の説明図。第３図は従来の
積層材の平面図。第４図イは第３図のＸ−Ｘ線
に沿つた一部の断面図。同図ロは同部分の詰まつ
た状態の説明図。第５図はこの考案に係る帯状
材の一部の平面図。第６図はこの考案の実施例の
側面図。第７図は材を積層した際のオイルの流
れの状態を示す第５図のＹ−Ｙ線部分の断面図。 図中、１……容器、２……カバープレート、
３，１３……材、４ａ，４ｂ，１４ａ，１４ｂ
……エンドプレート、５，１５……窓孔、５ａ，
１５ａ……連通みぞ、６，１６……開口、６ａ，
１６ａ……連通みぞ、７，１７……切込み、２０
……細みぞ、Ｅ……過エレメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央部に複数のほぞ状の連通みぞ１５ａを有す
   る窓孔１５を設け、その窓孔１５の周囲には外側
   辺又は内側辺にほぞ状の連通みぞ１６ａを備えた
   複数の台形状の開口１６を等間隔に設け、開口１
   ６を有しない部分の縁辺にはオイル流入用の切込
   み１７を設けた平板状の単一材１３を多数連ね
   て帯状となし、各単一材１３を向い合せ又は背
   中合せに交互に折重ねて積層し、オイルを周囲部
   から中心部に向け通過させて過するものにおい
   て、各単一材１３に設けた台形状の各開口１６
   の両側部に中央の窓孔１５から外方に向い縁辺の
   近傍に達する細みぞ２０を設けたことを特徴とす
   る車両用オイルフイルタの過エレメント。