JPS6225085B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は耐圧筒、該耐圧筒の先端部に装着さ
れた耐圧筒頭部、前記耐圧筒の可塑室内に挿入さ
れたスクリユーから成る謂わゆるインラインスク
リユー式射出成形機であり、該スクリユーがネジ
溝を浅く形成され、且つ、前記可塑室の室壁との
間に微小空隙を有するようなスミヤ形スクリユー
ヘツドを組込んだ射出成形機に関するものであ
り、特に、前記スクリユーヘツドの先端に該スク
リユーより小径の突出部を設け、前記耐圧筒頭部
には上記可塑室に続いて該可塑室より小内径であ
つて前記突出部が密接嵌入自在な小可塑室が形成
されている射出成形機に係わるものである。

周知のように、熱可塑性樹脂材料を成形する射
出成形機には種々のものがあり、耐圧筒内に挿入
されたスクリユーの回転によつて樹脂材料を可塑
化しつつ耐圧筒先端部に移送しながら該スクリユ
ー自体は樹脂材料の蓄積とともに後退し、前記耐
圧筒先端部に所定量の可塑化樹脂が蓄積されたと
き、射出シリンダー等の適宜射出動力源によつて
前記スクリユーを耐圧筒先端部の方向に滑動さ
せ、該スクリユーをラムとして作動させることに
よつて可塑化樹脂をノズルから射出する、謂わゆ
る、インラインスクリユー式射出成形機は公知の
ものである。

そして、該インラインスクリユー式射出成形機
における前記スクリユーのネジ溝が浅く形成さ
れ、且つ、該スクリユーの外周部と耐圧筒内部の
可塑室の室壁との間に微小空隙を有するように構
成されたスミヤ形スクリユーヘツドを組込んだ射
出成形機もまた公知であり、粘度の高い樹脂材料
に特に好適である。

第１図にはこのスミヤ形スクリユーヘツドを組
込んだ射出成形機が示されており、１は耐圧筒
で、先端部には耐圧筒頭部２が装着されており、
該耐圧筒頭部２には射出ノズル３が穿設されてい
る。５はスクリユーで耐圧筒１の可塑室４内に微
小空隙Ｓを介して挿入されており、且つ、該スク
リユーのネジ溝は浅く形成されている。６はスク
リユーヘツド、７は加熱器、８は金型、Ｍは樹脂
材料である。

かかるスミヤ形スクリユーヘツドを組込んだ射
出成形機においては、スクリユーヘツドにチエツ
クバルブを必要としないためスクリユーヘツドの
構造が簡単になり、故障の発生がなくなり、且
つ、経済性の点でも有利になるという利点をもつ
反面、射出工程においてスクリユーの前進につれ
て可塑室内の可塑化樹脂の一部がスクリユーと可
塑室室壁との間の微小空隙を経て後方に流出する
構成であるため、筒内圧力、即ち、射出圧力、特
に射出ストロークの終期に於ける射出圧力を充分
に高めることができず、せいぜい2000〜2500Kg／
cm²程度しか得られなかつた。このため、成形品の
硬化後の収縮が大きく、満足のいく寸法及び形状
の精度が得られないという欠点があつた。

この発明の目的は上記従来技術に基づくスミヤ
形スクリユーヘツドを組込んだ射出成形機の構造
上の制約により問題点に鑑み、耐圧筒内の可塑室
の先端に該可塑室より小径の小可塑室を形成し、
一方、スクリユーヘツドには該スクリユーより小
径で前記小可塑室に密接嵌入自在な突出部を設け
る構成とすることによつて前記欠点を除去し、
3000〜5000Kg／cm²の高射出圧力を得ることができ
る優れた射出成形機を提供せんとするものであ
る。

上記目的に沿うこの発明の構成は射出工程にお
いて、射出ストロークの初期及び中期は従来のス
ミヤ形スクリユーヘツドを組込んだ射出成形機と
同様の作動をなし、射出ストロークの終期におい
て可塑化樹脂を小径の室内に封じ込め、該封じ込
められた可塑化樹脂を後方に逃がすことなくスク
リユーを前進せしめ、これによつて非常に高い筒
内圧力、即ち、射出圧力を得ることができるよう
にしたことを要旨とするものである。

次にこの発明の実施例を第２図以下の図面に基
づいて説明すれば以下の通りである。尚、各構成
要素は第１図において同一の符号が示す構成要素
と同一である。

第２図及び第３図に示す実施例において、９は
小可塑室であり、耐圧筒１及び耐圧筒頭部２の内
部の可塑室４の先端部に設けられ、該小可塑室９
の断面積は前記可塑室４の断面積に比べて小であ
る。そして、該小可塑室９の先端部には射出ノズ
ル３が設けられている。一方、スクリユー５のヘ
ツド６の先端には突出部１０が軸方向に突設され
ており、該突出部１０は前記ヘツド６、即ち、ス
クリユー５の直径よりも小径であり、且つ、上記
小可塑室９に対して密接嵌入自在となつている。

上記構成において、射出成形作業を行うに際し
ては第２図に示すように、スクリユー５は図示し
ない射出シリンダーによつて耐圧筒１内を除々に
前進させられ、可塑室４内の可塑化樹脂Ｍを加圧
しつつ射出ノズル３を経て金型８内に射出してい
く。この間、可塑化樹脂Ｍの一部がスクリユー５
と耐圧筒１の内壁との間の微小空隙Ｓを経て後方
に僅かながら流出する。

そして、射出ストロークの終期において、第３
図に示すようにスクリユーヘツド６の先端の突出
部１０が前記小可塑室９内に密接嵌入される。該
小可塑室９内の可塑化樹脂Ｍは前記突出部１０の
外周と小可塑室９の内周とが密着当接しているた
めに後方に逃げることはなく、引き続くスクリユ
ー５、即ち、突出部１０の前進により急激的な加
圧が行われる。この際、射出圧力はラム部、即
ち、可塑室の断面積に反比例するので、可塑室４
の断面積に比べて小可塑室９の断面積が小さくな
るように構成されたこの発明に係わる射出成形機
では、結果的に非常に高い射出圧力が得られるこ
とになる。尚、この間においても、可塑室４内に
残留された可塑化樹脂はスクリユー５の前進に伴
つて前記微小空隙Ｓから後方に流出するので、該
スクリユー５の前進運動には何等の支障も伴わな
い。

第４図に射出ストロークに対する筒内圧力のグ
ラフが示してあり、鎖線は従来のスミヤ形スクリ
ユーヘツドを組込んだ射出成形機によるものを、
更に、実線はこの発明による筒内圧力を示すもの
であつて、射出ストローク終期の筒内圧力は3000
〜5000Kg／cm²に達していることがわかる。

尚、前記小可塑室９の上記可塑室４に対する直
径の比や該小可塑室の容積等は樹脂材料の性質や
成形物の形状等によつて適宜決定される。このた
め小可塑室を形成する耐圧筒頭部２及び突出部１
０を耐圧筒１及びスクリユー５に対してそれぞれ
着脱可能とし、樹脂材料や製品の種類に応じて交
換できる構造とすることが好ましい。第５図は上
記着脱可能な突出部１０及び耐圧筒頭部２をそれ
ぞれ備えたスクリユー５及び耐圧筒１の構成を示
す断面図であり、該突出部の軸方向に突設された
ボルト６ａが該スクリユーの先端部内周面に螺刻
されたネジ溝５ａに対して、該突出部と同軸整合
するように螺合するとともに、該耐圧筒頭部の上
端外周面に螺刻されたネジ溝２ａが該耐圧筒の下
端内周面に螺刻されたネジ溝１ａに対して同じく
同軸整合するように螺合する。上記のようにこの
発明によれば、耐圧筒と該耐圧筒の可塑室内に室
壁との間に微小空隙を形成するように挿入された
スミヤ形スクリユーヘツドを組込んだスクリユー
とから成る射出成形機において、前記可塑室の先
端部に該可塑室より断面積の小さい小可塑室を連
設し、一方、前記スクリユーのヘツドの先端部に
軸方向に突出部を突設する構成としたことによ
り、可塑室の断面積に反比例して射出圧力を飛躍
的に増大させることができるという優れた効果が
ある。

しかも、前記突出部は上記小可塑室に密接嵌入
自在に構成されているため、スクリユーの前進に
伴つて可塑化樹脂の一部が後方に僅かに流出する
というスミヤ形スクリユーヘツドを組込んだ射出
成形機の構造的特徴に起因する必然的な作用が該
小可塑室内では発生せず、上述の射出圧力の上昇
作用はより顕著なものとなる。

このため、従来2000〜2500Kg／cm²程度の射出圧
力しか得られなかつたスミヤ形スクリユーヘツド
を組込んだ射出成形機でも、この発明によれば同
一容量の射出シリンダーで3000〜5000Kg／cm²の射
出圧力を得ることができるものである。又、この
ような高射出圧力を得るための構造も極めて簡単
なものであり、従来の標準的な射出成形機をその
まま利用してこれに僅少な改造を施すだけで実施
できるという実益がある。

更に、耐圧筒頭部と突出部を変換することによ
つて、小可塑室の容積等を変えることができ、こ
れによつて種々の樹脂材料、製品の形状等に最も
適した圧力特性を自由に選択することができると
いう効果がある。

上述のように簡単な構造によつて高射出圧力に
よる射出成形が達成され、この結果、精密射出成
形を可能とするという大きな利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスミヤ形スクリユーヘツドを組
込んだ射出成形機の主要部の断面図、第２図〜第
３図及び第５図はこの発明の実施例を示すもので
あり、第２図は射出ストロークの初期から中期に
かけての耐圧筒の断面図、第３図は射出ストロー
クの終期における耐圧筒の断面図、第４図は従来
例及びこの発明による射出ストローク−筒内圧力
曲線を示すグラフである。また、第５図は着脱可
能な突出部を備えたスクリユーの断面図である。 １……耐圧筒、２……耐圧筒頭部、３……射出
ノズル、４……可塑室、５……スクリユー、６…
…ヘツド、９……小可塑室、１０……突出部、Ｓ
……微小空隙。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に可塑室４を有する耐圧筒１、該耐圧筒
   の先端部に装着され先端に射出ノズル３を有する
   耐圧筒頭部２、前記耐圧筒の可塑室内に回転可能
   及び上下滑動可能に挿入されたスクリユー５から
   成り、該スクリユーはネジ溝が浅く形成され、且
   つ、該スクリユーと前記可塑室の室壁との間に微
   小空隙Ｓを有するスミヤ形スクリユーヘツドを組
   込んだ射出成形機において、前記スクリユーヘツ
   ド６の先端に該スクリユーより小径の突出部１０
   を設け、前記耐圧筒頭部には上記可塑室に続いて
   該可塑室より小内径であつて、前記突出部が密接
   嵌入自在な小可塑室９を形成したことを特徴とす
   る射出成形機。 ２ 小径の突出部１０は、スクリユー５の先端に
   対して着脱可能に螺着された構成とし、該小径の
   突出部１０が密接嵌入自在な小可塑室９を有する
   耐圧筒頭部２は、可塑室４を有する耐圧筒１の先
   端に対して着脱可能に螺着された構成とすること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の射出成
   形機。