JPS6223352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車用スプロケツト、詳しくはスプ
ロケツト本体の外周に多数の歯を周設し、これら
歯にチエンを噛合わせてペダルの踏力を後輪に伝
達するもので、主としてリヤ側の多段スプロケツ
トを構成する自転車用スプロケツトに関する。

一般に、自転車において、後輪ハブには、歯数
の異なる２枚以上のスプロケツトを組合わせて構
成した多段スプロケツトを取付け、デイレーラー
によりチエンを前記スプロケツトの軸方向に移動
させて該チエンを前記スプロケツトの一つに掛換
え、ペダルの踏力を、所定の変速比で後輪に伝達
するごとく成している。

所で、前記スプロケツトは、一枚の鋼板を打抜
用金型で打抜いて形成しているが、前記打抜用金
型の、前記スプロケツトの各歯における歯先端面
を形成する部分は、スプロケツトの回転中心を中
心とする円弧面となつているため、この打抜用金
型により打抜加工したスプロケツトは、第７図に
示す如くその各歯ａにおける歯先端面ｂが、歯先
における周方向の両端縁ｃ，ｃを結ぶ仮想扁平面
ｄに対し外側に向つて彎曲しているのである。

そのため、多段スプロケツトとして、歯数の少
ない小径スプロケツトから歯数の多い大径スプロ
ケツトにチエンを掛換える場合、小径スプロケツ
トの歯から離れて大径スプロケツト側に移動した
チエンのリンクプレートが大径スプロケツトの歯
の側面に押付けられ、前記リンクプレートから突
出するピンの端部やアウターリンクプレートの側
縁が前記大径スプロケツトの歯の端縁ｃに引掛つ
て前記チエンが持上げられるのであるが、前記大
径スプロケツトの歯の歯先端縁と前記チエンとの
間に滑りが生じて、チエンの前記歯先端縁との引
掛かりが悪く、それだけチエンの大径スプロケツ
ト歯との噛合が遅れ、変速性が悪かつたのであ
る。又、大径スプロケツトから小径スプロケツト
にチエンを掛換える場合、大径スプロケツトの歯
から離れるチエンが持上げられて、該チエンのリ
ンクプレートが前記大径スプロケツト歯の歯先端
面に乗上がつた後、小径スプロケツトの歯と噛合
うのであるが、前記大径スプロケツト歯の歯先端
面に乗上がつたチエンの前記歯先端面への乗上り
状態が不安定となり、このチエンが、小径スプロ
ケツト側に掛換えようとする元の大径スプロケツ
トの歯と噛合う側に滑り落ちることがあつた。

又、前記チエンがスプロケツトの歯先端面に乗
上がるときの摩擦により、前記歯先における周方
向の両端縁部分が著しく摩耗してその端縁の曲率
半径が大きくなると共に、元々外向きの彎曲面と
なつている歯先端面の曲率半径が小さくなり、歯
先端縁と前記チエンとの引掛かりがより一層悪く
なるし、又、チエンの歯先端面への乗上り状態が
より一層不安定となる問題があつた。

本考案は以上の如き問題点に鑑み考案したもの
で、目的は、小径スプロケツトから大径スプロケ
ツトへのチエン掛換時、大径スプロケツト歯と歯
先端縁とチエンとの引掛かりを良くすることがで
き、又、大径スプロケツトから小径スプロケツト
へのチエン掛換時は、チエンの大径スプロケツト
歯先端面への乗上り状態を安定よく保持すること
ができ、しかも歯先端縁が摩耗しても、この歯先
端縁とチエンとの引掛かりを良好に行わせ得ると
共に、チエンの歯先端面への乗上り状態を良好に
保つことのできるスプロケツトを提供する点にあ
る。

しかして本考案は、スプロケツト本体の外周に
多数の歯を周設して成る自転車用スプロケツトで
あつて、前記各歯の歯先端面における周方向の両
端縁間に凹部を設けるか又は平面状とし、前記各
歯の前記両端縁をシヤープエツジとしたことを特
徴とするものである。

以下本考案スプロケツトの一実施例を図面に基
づいて説明する。

図において、１は中心孔１ａをもつリング状の
スプロケツト本体であつて、その外周には所定間
隔を置いて多数の歯２…が周設されている。尚、
前記スプロケツト本体１及び歯２は、打抜用金型
により金属板を打抜いて形成するのであるが、そ
の他、例えばダイカスト成型により形成してもよ
い。

しかして前記各歯２の歯先端面２１における周
方向の両端縁２２，２２間に凹部を設けるか又は
平面状とし、前記各歯２の前記両端縁２２，２２
をシヤープエツジとするのである。

以上の構成において、前記歯先端面２１は、第
２図に示す如く周方向の両端縁２２，２２間が前
記スプロケツト本体１の回転中心Ｏに向つて円弧
状に彎曲する内向彎曲面とするのであるが、その
他、例えば第３図に示す如く前記両端縁２２，２
２間が前記回転中心Ｏに向つてＶ字形に傾斜する
傾斜面としてもよい。又、平面状とする場合、第
４図に示す如く前記両端縁２２，２２を結ぶ仮想
扁平面Ｘと平行な平面とするのである。

又、前記両端縁２２，２２は、図示した如く極
く僅かに面取りして曲率半径の小さい彎曲面とす
るのであるが、その他面取りすることなく尖鋭に
尖らせてもよい。

尚、前記歯２は、スプロケツト本体１の厚さ方
向一側と他側との間の中心線と平行状に設けるの
であるが、その他例えば第５図に示す如く前記中
心線Ｙに対し所定角度傾斜させて、その傾斜歯先
における周方向一端縁を歯底位置より軸方向外方
に突出させてもよい。この場合、前記端縁の突出
量が増大して、前記チエンとの引掛かりがより一
層良好となるのである。又、前記歯底位置より軸
方向外方に突出させる歯は、回転方向前方側端縁
で、かつ前記中心線Ｙ側稜角部を面取りするのが
好ましい。

以上の如く構成したスプロケツトは、歯数の異
なる２枚以上を１組として後輪ハブに取付け、リ
ヤ側の多段スプロケツトとして用いるのであつ
て、次にこの場合について説明する。尚、説明の
都合上、小径スプロケツトを符号Ａで、また大径
スプロケツトを符号Ｂで表わす。

しかして小径スプロケツトＡから大径スプロケ
ツトＢにチエン３を掛換える場合、デイレーラー
により前記チエン３が大径スプロケツトＢの方向
に押圧されると、前記小径スプロケツトＡの歯か
ら離れて大径スプロケツトＢ側に移動したチエン
３のリンクプレート３１が大径スプロケツトＢの
歯２の側面に押付けられ、前記リンクプレート３
１から突出するピンの端部やアウターリンクプレ
ートの側縁が前記大径スプロケツトＢの歯２の端
縁２２に引掛かつて前記チエン３が持上げられ、
前記大径スプロケツトＢの歯２に噛合うのであ
る。このとき前記大径スプロケツトＢの歯の歯先
端面２１には、第２図又は第３図の如く凹部が設
けられているか、又は第４図の如く平面状になつ
ているため、大径スプロケツト歯の歯先端縁２２
とチエン３との引掛かりを良くすることができ、
それだけチエンを大径スプロケツト歯に早く噛合
わせることができ、変速性を向上できるのであ
る。

又、大径スプロケツトＢから小径スプロケツト
Ａにチエン３を掛換える場合、デイレーラーによ
り前記チエン３が小径スプロケツトＡの方向に押
圧されると、大径スプロケツトＢの歯２から離れ
るチエン３が持上げられて、該チエン３のリンク
プレート３１が前記大径スプロケツトＢの歯２の
歯先端面２１に乗上がるのである。このとき前記
歯２の歯先端面２１には、第２図又は第３図の如
く凹部が設けられているか、又は第４図の如く平
面状になつているため、この歯先端面２１に乗上
がつたチエン３を安定よく保持することができる
のである。従つて、チエン３を小径スプロケツト
Ａに早く掛換えることができるのである。

又、前記チエンの掛換時、前記大径スプロケツ
トＢの歯２の歯先端面２１がチエンとの摩擦によ
り摩耗しても、その端縁２２，２２のシヤープエ
ツジは大して失なわれず、又、前記歯先端面２１
には、凹部が設けられているか又は平面状になつ
ているため、前記チエン３との引掛かりを良好に
行なわせ得ると共に、チエン３の乗上り状態を安
定よく保持できるのである。

以上の如く本考案は、スプロケツト本体の外周
に周設する多数の歯の歯先端面における周方向の
両端縁間に凹部を設けるか又は平面状とし、前記
各歯の前記両端縁をシヤープエツジとしたことに
より、デイレーラーによる小径スプロケツトから
大径スプロケツトへのチエン掛換時、大径スプロ
ケツト歯の歯先端縁とチエンとの引掛かりを良く
することができ、従つて、チエンの大径スプロケ
ツトへの掛換えを早く行なうことができ、変速性
を向上できるのである。

しかも大径スプロケツトから小径スプロケツト
へのチエン掛換時、大径スプロケツトの歯先端面
に乗上がつたチエンの前記歯先端面への乗上り状
態を安定よく保持することができるため、チエン
の小径スプロケツトへの掛換えを早く行なうこと
ができ、変速性を向上できるのである。

その上、スプロケツトの歯の歯先端面が、掛換
時におけるチエンとの摩擦により摩耗しても、前
記端縁のシヤープエツジが大して失なわれないよ
うにできるので、前記チエンとの引掛かりを長期
間に亘つて良好に行わせ得ると共に、チエンの歯
先端面への乗上がりを長期間に亘つて安定よく行
わせ得るのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案スプロケツトの一実施例を示す
正面図、第２図は歯部分のみの拡大図、第３図乃
至第５図は別の実施例を示す部分拡大図、第６図
はチエンとの噛合状態を示す説明図、第７図は従
来のスプロケツトの部分拡大図である。 １……スプロケツト本体、２１……歯先端面、
２……歯、２２，２２……両端縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプロケツト本体の外周に多数の歯を周設して
   成る自転車用スプロケツトであつて、前記各歯の
   歯先端面における周方向の両端縁間に凹部を設け
   るか又は平面状とし、前記各歯の前記両端縁をシ
   ヤープエツジとしたことを特徴とする自転車用ス
   プロケツト。