JPS6223016Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は発光管内に水銀およびナトリウムを余
剰に封入してなる高圧ナトリウムランプに関す
る。

〔従来の技術〕

高圧ナトリウムランプは、透光性アルミナやサ
フアイア等の耐熱、耐蝕性に優れた透光性多結晶
体または単結晶体からなるバルブ内に、始動用希
ガス、たとえばキセノンと、点灯中に未蒸発成分
が残るように余剰の水銀およびナトリウムを封入
してあることは知られている。この種高圧ナトリ
ウムランプは発光効率に優れ、一般照明用ランプ
の中でも最つとも効率の高いものであるため省エ
ネルギー用光源として注目され、また近年安価な
水銀ランプ用の安定器でも点灯可能なランプが製
品化されるに至りその普及が一段と進みかつ用途
も一層拡大されつつある。

しかして、この種高圧ナトリウムランプは、発
光管に封入された水銀とナトリウムのうち、点灯
中に未蒸発となる残余のアマルガムは、発光管バ
ルブの端部に封着した金属管の外端部に凝縮す
る。この金属管は通常電極を保持しており、また
ランプ製造時には排気管として使用されるもので
あるが、ランプ点灯中においてはこの金属管が最
冷部となるため、未蒸発のアマルガムはこの金属
管内に凝縮する。

しかしながら、ナトリウムアマルガムが凝縮し
た金属管を上方に位置して垂直点灯した場合、凝
縮したナトリウムアマルガムが金属管内を垂下
し、この点灯中にランプに振動等が与えられる
と、上記ナトリウムアマルガムの一部が金属管内
と放電空間とを連通させる連通孔から金属管の外
部に垂れ出て発光管の管内壁に付着する。また点
灯姿勢によつては金属管から垂れ出た過剰のナト
リウムアマルガムが閉塞体の内面に滴下し、これ
が金属管と電気的に導通した状態で発光管の管壁
に付着することもある。さらには発光管の管壁に
付着したアマルガムが垂下延長して電極先端より
も放電空間側に向けて突出することもあり、これ
が金属管と電気的に導通したままになつているこ
とがある。

このような事態が生じると、最冷部に凝縮した
未蒸発のナトリウムアマルガムがそれよりも高温
部である管端部へ移動するためナトリウムおよび
水銀の蒸発量が異常に増大する。その結果、ラン
プ電圧が上昇し、放電を持続できなくなり、ラン
プは立消えを生じる場合が多い。この場合、ラン
プを再び始動させる時に、管端部に垂下して付着
したナトリウムが金属管と導通しており、電極と
同一の電位が印加されているため、放電が電極に
対してではなく、この付着したナトリウムアマル
ガムの部分に生じることがある。この際放電の生
じた部分は異常に高温となり管端部の閉塞体ある
いは発光管にクラツチが生じランプが短寿命とな
る欠点を有していた。

また、ナトリウムアマルガムの垂下が急激かつ
多量に生じ、電極先端よりも、放電空間側に突出
する場合、点灯中においても下方に位置する電極
との間に放電が惹起され、上記と同様に発光管の
クラツクが生じることもあつた。

このような事故を解消するため、従来において
実公昭44−9815号公報や実公昭46−6716号公報に
見られるように、金属管に、封入金属の蒸気は通
過させるが凝縮したアマルガムは通過できないよ
うにした対策が提案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記公報の前者のものは、金属
管に開口した連通孔を網目体により被うものであ
るため、部品点数が増大するとともにこの網目体
を金属管に接合するために格別な接合作業が必要
である。

また、上記公報の後者のものは、金属管の管壁
に多数個の小孔を開設したものであり、このもの
はニオブやタンタルなどの金属からなる金属管に
多数個の小孔を加工することがきわめて困難で手
間を要し、高価になる不具合があつた。

本考案はこのような事情にもとづきなされたも
ので、その目的とするところは、加工が容易で安
価に製造でき、ナトリウムアマルガムの流出によ
る発光管のクラツクが防止できる高圧ナトリウム
ランプを提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案においては、少なくとも点灯中に最冷部
となる金属管に、その管壁を切り起こして舌片を
形成することにより連通孔を開口し、かつこの切
り起こし舌片は舌片の先端が電極側に向かつてお
りこの先端を内方に向けて切り起こすことにより
形成され、この切り起こし舌片が金属管内から放
電空間に向けて封入金属の流出を阻止する阻止壁
となつていることを特徴とする。

〔作用〕

上記本考案の構成によると、切り起こし舌片を
内方に向けて切り起こすだけで連通孔が開口され
るので、加工が容易であり、しかもこの切り起こ
し舌片は金属管内の封入金属が金属管の内面を伝
わつて流下しても、金属管の内部に案内するの
で、封入金属が放電空間へ流出するのを阻止す
る。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を第１図および第２図に
もとづき説明する。

第１図は高圧ナトリウムランプの発光管を示
し、通常この発光管は図示しない外管内に収容し
て２重管構造に構成される。１は発光管バルブで
あり、たとえば透光性アルミナセラミツクチユー
ブで形成されている。上記発光管バルブ１の両端
開口部は閉塞体２，２によつて気密に閉封されて
いる。閉塞体２，２はアルミナセラミツクなどの
絶縁体であつても実施可能であるが、本実施例の
場合は、アルミナセラミツクの熱膨張係数に近似
した耐熱、耐蝕性に優れたニオブまたはタンタル
などの金属製キヤツプで構成されている。これら
閉塞体２，２は中央部が外方に向つて段階状に突
出されたキヤツプ形に形成され、上記バルブ１の
開口端に、たとえばガラスろう材を介して封着さ
れている。これら閉塞体２，２の中央部には金属
管３，３が貫通されている。金属管３，３もニオ
ブやタンタル等の金属によつて形成されており、
上記閉塞体２，２の中央部に形成した孔縁４に気
密に溶接されている。上記金属管３，３のバルブ
内方に位置する先端には電極５，５が支持されて
いる。電極５，５は各々タングステン製電極軸６
にタングステンワイヤを２層巻きした電極コイル
７を巻装したものであり、電極コイル７にはバリ
ウム・カルシウム・タングステートなどの電子放
射性物質が保持されている。電極軸６の基端は上
記金属管３の先端に嵌挿固定されている。したが
つて金属管３，３は各電極５，５に対する給電体
を兼用しているものである。金属管３，３の外端
は圧潰されて気密に閉止されている。この場合、
少なくとも一方の金属管３，３は排気管を兼用し
ており、バルブ１内を排気したのち所定の始動用
希ガス、たとえば数100torrのキセノンガスと、
所定量の水銀およびナトリウムを封入し、しかる
のち圧潰封止されている。

しかして、上記金属管３，３にはその管壁に、
この金属管３，３内とバルブ１内とを連通させる
連通孔８，８…を開口してある。本実施例におい
ては、金属管３，３にその管軸と直交する方向の
切り込みを形成し、この切り込みよりも金属管
３，３の外端側に位置する壁面を内方に向つて押
し込むことにより上記切り込みを大きく開いて連
通孔８，８としてある。そして上記内方に向つて
押し込まれた壁面は舌片９となつており、この舌
片９は電極５に向かう先端が内方に向かつて押し
込まれていて、この切り起こし舌片９は凝縮した
ナトリウムアマルガムの流出阻止壁をなしてい
る。

このような構成に係る実施例の作用について説
明する。

このランプを管軸が鉛直方向に沿う垂直姿勢で
点灯すると、発光管の最冷部は通常下側に位置す
る金属管３の外端部に発生する。したがつて点灯
中に蒸発しない余剰のナトリウムアマルガムは符
号１０で示されるように下側の金属管３内の下端
に凝縮して貯えられることになる。

ところでこのランプを上下方向を逆にして点灯
した場合、ナトリウムアマルガム１０は通常その
表面張力によつて金属管３の内部先端部にへばり
着いていることが多いが何らかの原因でこのラン
プに振動や衝撃が与えられると、凝縮しているナ
トリウムアマルガム１０は金属管３の内壁面を伝
わつて下方に流下してくる。そしてその一部は連
通孔８の近傍に垂下してくるが、連通孔８の開口
部位には内方に突出された切り起こし舌片９が形
成されているから、ナトリウムアマルガム１０は
この切り起こし舌片９の内面に案内されて金属管
３の内部に滴下するようになり、連通孔８の外部
に垂れ出ることはない。この結果、バルブ壁にナ
トリウムアマルガム１０が付着することがなくな
り、よつてバルブ１の局部的加熱がないのでクラ
ツクの発生が防止されることになる。

上記のごとき構成の連通孔８は、機械的加工に
よつて開口することができ、しかもこの連通孔８
を開口するには切り起こし舌片９を成形すること
によりなし得るので、加工が容易であり、また連
通孔８の数も少なくてすむので手間を要せず、安
価に製造できることになる。

なお切り起こし舌片の形状は種々の変形態様が
可能であり、たとえば第３図に示す変形例は、コ
字形の切り込みを形成しておいて切り起こし舌片
５１をその電極側に向かう先端が内方に向つて切
り起こされるようにして連通孔５０を開口したも
のであり、このものであつてもナトリウムアマル
ガムの流出を防止することができる。

なお連通孔の数は各金属管ごとに１個でもよ
く、また３個以上でもよいが、数量は可能な限り
少いことが望ましい。

〔考案の効果〕

以上詳述した通り本考案は、金属管内と放電空
間とを連通させる連通孔は、金属管の管壁を切り
起こして開口し、この切り起こして形成された舌
片は、電極側先端が内方に向つて突出するように
してナトリウムアマルガムの流出阻止壁としたも
のである。したがつてこのものによると金属管内
に凝縮するナトリウムアマルガムが連通孔から放
電空間に向つて流出しようとしても切り起こし舌
片によつて阻止されるのでナトリウムアマルガム
がバルブ壁に付着することがなくなり、よつてバ
ルブのクラツクが防止される。しかも上記連通孔
は切り起こし舌片の成形にともなつて同時に開口
することができるので加工性に優れ、多大な手間
を要さないので安価に提供することができるなど
の利点を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示
し、第１図は高圧ナトリウムランプの発光管を示
す断面図、第２図はその金属管および電極の側面
図、第３図は本考案の変形例を示す側面図であ
る。 １……発光管バルブ、２，２……閉塞体、３，
３……金属管、５，５……電極、８，５０……連
通孔、９，５１……切り起こし舌片、１０……ナ
トリウムアマルガム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 耐熱、耐蝕性に優れた透光性絶縁物からなるバ
   ルブの両端を閉塞体で封止し、これら閉塞体に金
   属管を突設するとともにこれら金属管に電極を取
   り付け、かつ上記バルブ内に始動用希ガスと点灯
   中に未蒸発成分が残るように余剰の水銀およびナ
   トリウムとを封入した発光管を備える高圧ナトリ
   ウムランプにおいて、少なくとも点灯中に最冷部
   となる金属管には管壁に起り起こし舌片を形成し
   てこの金属管内と放電空間とを連通させる連通孔
   を開口し、この起り起こし舌片は電極側に向かう
   先端が内方へ切り起こされて金属管内の封入金属
   が放電空間に向けて流出するのを防止する流出阻
   止壁としたことを特徴とする高圧ナトリウムラン
   プ。