JPS6221767B2 - - Google Patents

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JPS6221767B2
JPS6221767B2 JP52055223A JP5522377A JPS6221767B2 JP S6221767 B2 JPS6221767 B2 JP S6221767B2 JP 52055223 A JP52055223 A JP 52055223A JP 5522377 A JP5522377 A JP 5522377A JP S6221767 B2 JPS6221767 B2 JP S6221767B2
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blood
tissue
dogs
ehdp
necrosis
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Deibitsudo Furanshisu Marion
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Procter and Gamble Co
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Publication of JPS6221767B2 publication Critical patent/JPS6221767B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、低酸素症および虚血組織病の予病処
置および治療に関する。ホスホン酸塩またはエス
テル(以下、ホスホネートという)化合物は組織
または器官を組織または器官への血液供給の閉塞
の後に起る変性(degeneration)、壊死
(necrosis)および線維症(fibrosis)から保護す
るため治療的に投与される。別の形態において、
ホスホネート化合物は第一原因または病因が何で
あれ組織または器官の虚血により引き起される組
織または器官の壊死を防ぐために予防的に投与さ
れる。 低酸素症(hypoxia)は、原因または程度に関
係なく、組織にとつて利用出来るまたは組織によ
り利用される不十分な酸素供給を意味するために
使用される用語である。低酸素症は種々の貧血の
場合のように病気状態の結果であり得るしまたは
高山「病」の場合のように血液中の低酸素圧から
生じ得る。 虚血(ischemia)は、全体的に、動脈血液流の
閉鎖または血管収縮に起因する局部的組織貧血を
意味するため使用される用語である。組織または
器官に至る血管の閉鎖または狭窄は組織損傷、漸
次変性および組織または器官の最終的壊死および
線維症をもたらす。 虚血は、動脈血液流の急性停止または血液流の
より徐々であるがしかし通常の漸次的減少の結果
であり得る。たとえば、虚血心臓病は冠動脈閉塞
(心筋梗塞)またはより一般的な冠動脈不全によ
り引き起され得る。脳虚血および他の組織虚血た
とえば腎梗塞および骨梗塞は治療し難い良く知ら
れた病気状態である。この一般的な型の他の病気
状態は糖尿病に二次的な末梢組織の虚血を包含
し、網膜症、腎機能の喪失、神経病または壊死お
よび極端な場合の肢の切断をもたらし得るのはこ
の種の虚血病である。 本発明によれば、あるホスホネート化合物、特
にジホスホネートが低酸素症および虚血組織病の
治療に使用される。このような疾病として、心筋
梗塞;労衰;網膜症、神経病、および慢性腎不全
を含む細管異常;悪性貧血;鉄不足貧血;アレル
ギー性反応たとえば即座のおよび遅滞した感覚過
敏性;および慢性低酸素性肺病たとえば気腫、喘
息、硝子膜障害、慢性気管支炎および肺心症が挙
げられる。 関連文献の議論 本発明の実施で使用されるホスホネート化合物
は人間および他の動物における燐酸カルシウム塩
(骨ミネラル)の異常移動および沈着の治療に有
効であると文献に報告されている。特に、米国特
許第3678164号(1972年7月18日発行)、第
3662066号(1972年5月9日発行)、第3553314号
(1971年1月5日発行)、第3553315号(1971年1
月5日発行)、第3584124号(1971年6月8日発
行)、第3584125号(1971年6月8日発行)および
第3641246号明細書(1972年2月8日発行)が参
照される。 軟組織のカルシウム沈着の問題に言及されてい
る(第1欄、第55行以下)米国特許第3683080号
明細書(1972年8月8日発行)が注月される。こ
の文献では、アテローム性動脈硬化症は線維脂質
血小板をもたらす動脈内膜の変性および増殖変化
を包含する状態であると記載されている。 このような血小板にカルシウムが沈着するかま
たは動脈の内壁に血小板が蓄積してカルシウムが
沈着すると、その結果生じる状態は動脈硬化と普
通呼ばれる。ホスホネートはこのような異常カル
シウム沈着を阻止する手段であると教示されてい
る。異常カルシウム沈着および動脈硬化の治療に
ホスホネートを使用することを述べているドイツ
DT2360―798(1975年6月26日);ドイツ
DT2343―146(1975年3月6日);ベルギー
BE822―929(1973年12月6日)および本文中で
後述する他の特許明細書を参照されたい。 血管を含む硬および軟組織における異常骨ミネ
ラル沈着生成を防止するためにホスホネート物質
を使用することを記載している従来技術文献と対
照的に、本発明はホスホネートは低酸素症にかゝ
つた組織および器管、組織損傷および病因が何で
あれ「酸素欠乏」の結果として生じる最終的壊死
および線維症の治療に有効であるという発見に基
づくものである。 後述の動物研究により証明されるように、ホス
ホネート化合物は血管の閉塞(結紮)により起る
器官梗塞の厳しさを減少させる。これらの研究で
血管は人工的に結紮されるので、ホスホネートの
望ましい生理的効果は血管中の燐酸カルシウム沈
着物の除去に帰せられるものではなく、ホスホネ
ート化合物により与えられる従来の予期せぬ効果
に帰せられる。 後述する試験管内血液研究により証明されるよ
うに、ホスホネート化合物(特にエタン―1―ヒ
ドロキシ―1,1―ジホスホネート)は、全血の
酸素脱失速度を増大させる。したがつて、血液は
酸素が欠乏している組織に酸素をより効果的な方
法で放出することが出来る。 発明の概要 本発明は、低酸素症の治療または予防を必要と
する動物に低酸素症を緩和または予防するのに十
分な後述する種類のホスホネート化合物を投与す
ることを含む動物、特に人間の、低酸素症の治療
(緩和)または予防法を包含するものである。 また、本発明は低酸素症の治療を必要とする動
物に組織の要求に応じて血液から酸素の放出速度
を増大させるに十分なホスホネート化合物を投与
することを含む動物、特に人間、における血液の
酸素脱失(deoxygenation)速度を増大させる方
法を包含するものである。 本発明はまた、虚血により引き起される組織ま
たは器官損傷の治療または予防を必要とする動物
に組織または器官損傷すなわち組織梗塞を治療ま
たは予防するのに十分なホスホネート化合物を投
与することを含む動物、特に人間、の組織または
器官の虚血により引き起される組織または器官損
傷を治療または予防する方法を包含する。 また、本発明は、虚血にかゝつている動物に組
織または器官をその後の変性、壊死および線維症
から保護するのに十分なホスホネート化合物を投
与することを含む動物、特に人間、の組織または
器官をその虚血の後に起るその後の変性、壊死お
よび線維症から保護する方法を包含する。 また、本発明は治療を必要とする動物に2,3
―ジホスホグリセレート(2,3―DPG)の血
液水準を増大させるのに十分なホスホネート化合
物を投与することを含む動物、特に人間の血液中
の2,3―ジホスホグリセレート水準を増大させ
る方法を包含する。 ホスホネート化合物の「投与」とは、注射(特
に非経口的)、静脈内注入、経口投与またはその
吸引のような系統的使用を意味する。 発明の具体的説明 低酸素症を伴う種々の状態たとえば高処に身を
さらこと、貧血、心臓代償不全、慢性肺疾病、慢
性アレルギー等は一般的な医学上の問題である。
そのような低酸素症に応答する自然体は血液中の
2,3―ジホスホグリセレート(2,3―
DPG)の水準を増大させることが確認された。
2,3―DPGはヘモグロビンの酸素に対する親
和性の調整剤である。血液中の2,3―DPGが
多ければ多いほど、ヘモグロビンから組織への酸
素放出がますます容易になる。低酸素症状態で
は、血液の酸素を運ぶ低減された能力が組織中の
酸素の改良された放出により少なくとも部分的に
補償される。I.グリーンヴアルド J.Biol.Chem.
63:339(1925);R.ベネシユおよびR.E.ベネシ
Biochem.Biophys.Res.Comm.26:162
(1967);およびA.チヤヌテインおよびR.R.カー
ニツシArchs.Bio―chem.Biophys.121:96
(1967)を参照のこと。 前述に照らして、血液中の2,3―DPG水準
を増大させるかまたは他方の方法で血液の酸素脱
失速度を増大させて組織に対して酸素をより効果
的に供給される任意の試薬は低酸素症の治療とし
て注意深い考慮に価することは理解されるであろ
う。事実、種々のアンドロゲンは血液中の2,3
―DPG水準を増大することが判明しており、骨
髄不全に伴う低酸素症および腎不全に伴う関連臨
床状態を治療するのに成功裡に使用されている。
不幸にして、アンドロゲンは妊娠している女性な
いし雌には使用することが出来ず、心臓病、腎臓
病または肝臓病の患者に投与する場合注意が必要
である。 本発明のホスホネート(特にジホスホネート)
は血液の酸素脱失速度を増大させることが判明
し、ある患者では血液の2,3―DPG水準を増
大させると思われるので低酸素症の治療でアンド
ロゲンの代りになる。 低減された血液流に基因する組織および器官低
酸素症は、虚血状態に特有のものである。種々の
疾病状態により引き起される組織および器官の虚
血は、上記組織または器官の漸次変性をもたら
す。大抵の場合、虚血状態は遺伝問題または身体
の血管系に影響を及ぼす疾病状態の不可避の結果
であると考えることが出来る。たとえば、糖尿病
は代謝障害であり、それ自体ではほとんど死に至
らない。 その代り、糖尿病はほとんど常に患者を衰弱さ
せるかまたは死に至らしめる他の合併症をもたら
す。糖尿病患者の最も普通の合併症の一つは、血
管閉鎖および心臓発作の結果起る死または他の形
態の血管病(一般に、特に腎臓の虚血壊死)であ
る。 アテロ(athero)動脈硬化および関連血管病
は、多分人間の心臓血管系の最も一般的な変性変
化をなすものと思われる。これらのいわゆる「老
化病」の病因はいまなお知られておらず、一世紀
にわたつて医学者達の論争の課題であつた。いず
れにしても、体組織への血液流の長期にわたる漸
次損失および同時に起る酸素「不足」は究極的に
は漸次的組織変性をもたらすことが必然であるこ
とは認められている。 いかなる低酸素症の場合と同様に、虚血状態で
は体の血管系の低減された流れは組織および器官
中の放出場所で酸素のより有効な交換により補償
することが出来る。 したがつて、血液容積通過当りのO2放出効率
を増大させる医薬たとえば本発明のホスホネート
の投与は組織および器官虚血の治療に指摘され
る。 前述した病気状態および条件は複雑な生物学的
生化学的現象の結果であり、それらの病因はいま
だ十分確立されていない。たとえば、血管病は普
通血管内のコレステロールの沈着により特徴づけ
られる。さらに、かならずしもではないが時には
血管の明白なカルシウム沈着を認めることが出来
る。時には組織壊死後に組織カルシウム沈着が起
る。 老衰のような「疾病」は組織の変性を含む種々
の過程の結果であり得るものであるが、しかし脳
への血液流のある減少(それに付随して低酸素
症、虚血および最終的壊死が起る)を伴うことが
一般に認められている。 前述したように、ホスホネートを含む本発明の
治療法は、血液からのO2の放出速度を増大させ
る。組織水準での増大された酸素交換効率は、原
因が何であれ組織酸素飽和の減少または喪失を阻
止するための重要な手段であると思われる。しか
しながら、体の機能、特に疾病状態の治療は恐ら
く種々の未知の生物学的機構を包含するであろう
ことは理解されるであろう(たとえば、アスピリ
ンのような古くからの医薬でさえ、その分子水準
における作用様式は十分確認されていない)。し
たがつて、本発明のホスホネートは血液/組織酸
素交換に望ましい方法で作用するようであるが、
低酸素症および虚血の治療でその生物学的活性を
より良く説明するより緻密な機構が働くと思われ
る。いずれにしても、本発明のホスホネート化合
物は意図した目的に有効である。 たとえば心臓血管病、脳中心への血液流の減少
または低減された血管網から生じる老衰を含む人
間の血管系の種々の他の疾病および類似の疾病状
態を治療するために本発明の方法で使用される有
機ホスホネート化合物(またはより簡潔には「ホ
スホネート」)は下記に述べる種類のものであ
る。 本発明で使用するのに好ましいホスホネート
は、1個を越えるC―PO3M2基を有する有機ホ
スホネートであり;ジホスホネート、特に基 により特徴づけられるジエミナル(gem)―ジホ
スホネートが好ましく本発明では特にエタン―1
―ヒドロキシ―1,1,―ジホスホン酸、メタン
ジクロロジホスホン酸又はそれらの塩又はエステ
ルが好んで用いられる。 本発明のホスホネート化合物は意図した目的に
「安全」および「有効」であると判断された投薬
量水準で投与される。「有効」水準とは、使用さ
れる治療法で所望の生理学的効果をたらすのに十
分な量を意味する。「安全」水準とは、医薬組成
物の投与に付随する危険:効果比が理論的な医学
的慣例の規則に従つて許容出来ると判断されるこ
とを意味する。典型的な投薬量水準は後で詳述さ
れるが、しかしそれらは個々の患者の要求に従つ
て医師により修正することが出来る。 特に好ましいジエミナルホスホネートであるエ
タン―1―ヒドロキシ―1,1―ジホスホン酸
は、分子式CH3C(OH)(PO3H2)(基による命
名法によれば、酸は1―ヒドロキシエチリデンジ
ホスホン酸と呼ぶことも出来る)を有する。この
酸の最も容易に結晶化出来る塩は、酸水素の2個
または3個をナトリウムで置換する場合に得られ
る。本発明の目的に好ましい塩は構造式: を有する三ナトリウム水素塩、および二ナトリウ
ム二水素塩である。 三ナトリウム水素塩は普通六水化物として晶出
し、このものは空気乾燥中ある量の水を失なつて
平均3乃至4分子の水和水を有するヘキサーおよ
びモノ水和物の混合物を生じる。 エタン―1―ヒドロキシ―1,1―ジホスホン
酸の医薬的に許容出来る塩は本発明の実施で使用
出来るが、テトラナトリウム塩、トリナトリウム
水素塩、二ナトリウム二水素塩、一ナトリウム三
水素塩およびこれらの混合物が好ましい。他のナ
トリウム、カリウム、アンモニウム、およびモノ
ー、ジー、およびトリ―エタノールアンモニウム
塩およびこれらの混合物も、塩組成物中のカチオ
ンの全取り入れ量を制御する際に注意を守りさえ
すれば適当である。これらの化合物は任意の適当
な方法により調製することが出来るが、しかし特
に好ましい方法は米国特許第3400149号明細書
(1968年9月3日発行)に記載されている。(この
特許は参考として本文に引用した)。 動物研究 () 序 論 下記の動物研究において、前述した種類の一般
的ホスホネート化合物を使用した。この研究で
は、左前方下向冠状動脈を結紮して動物の心臓の
尖端領域に梗塞を生じさせた。もちろん、結紮は
心臓器官の一部への血液流の停止または急激な減
少を引き起す。 適当になされれば、この種の一時的結紮は試験
動物の高い生存率を与え、この結果それ以上の研
究を停止することが出来る。 後述する方法で冠動脈を結紮することは出来る
だけ種々の疾病状態で起り得てかつ当該器官の低
酸素症、虚血および梗塞をもたらす動脈または血
管構造または閉鎖に似せるものであることは理解
されるであろう。心臓器官は詳細な検査が可能な
ほど十分に大きい限り研究目的用の優れた器官で
ある。 事実、結紮技術は実質的に心筋梗塞中人体に起
ることと似た結果となる。しかしながら、後述の
動物研究は他の種類の低酸素症および組織虚血お
よび他の器官を含む梗塞の治療にホスホネートを
使用することに決して限定するものではない。要
するに、後述する方法での冠状動脈の結紮は便宜
上意図せる目的に対するホスホネート化合物の効
果を証明するためになされたものであり、この研
究の結果は体の他の器官に外挿することが出来
る。 ジホスホネート 二ナトリウムエタン―1―ヒドロキシ―1,1
―ジホスホネート(EHDP)および二ナトリウム
ジクロロメチレンジホスホネート(Cl2MDP)を
得、それらの構造を核磁気共鳴およびX線回折に
より確認した。原料粉末を普通の塩溶液に溶解
し、PHをNaOHで7.4に調節することにより各化
合物の溶液(2.5%)を調製した。 実験設計 この研究では左前方下向冠状動脈の結紮を用い
て心臓の尖端領域に梗塞を生じさせた。この技術
はこの血管の一時的結紮後の生存率が高いために
選んだ。研究の第一段階では、3匹の未治療犬に
実験方法および技術の再現性を確立する目的で梗
塞を起させた。次に、15匹の犬を三つの治療群の
一つ:生理食塩水(saline)(対照)、EHDPまた
はCI2MDPに無作為に配分した。ジホスホネート
治療犬は毎日10mg/Kg体重の皮下注射を受け、対
照犬は比較し得る容積の生理食塩水を受けた。す
べて三つの実験群において、手術の前に7日間毎
日の治療を施し、梗塞後5日間継続した。梗塞の
日に、手術の約2時間前に治療薬を投与した。梗
塞後6日目の朝にすべての動物を犠牲にして肉眼
(gross)および組織病理学評価を行なつた。 実験法 この研究では、体重約10Kgの健康な純血種ビー
グル犬を使用した。犬にオキシモルホンHCL
(「スモルフアン」、エンドラボラトリーズ、ガー
デンシテイ、米国N.Y.州)、アセプロマジン(エ
アストラボラトリーズ、ニユーヨーク、米国N.
Y.州)および硫酸アトロピン(「アトロフイ
ン」、タヴリユー、エー・バトラーカンパニー、
コロンバス、米国オハイオ州)を注射して予め麻
酔をかけ、5%デキストロース中電解液(「マル
テイゾル」、アボツトラボラトリーズ、N.シカ
ゴ、イリノイ州)、2%リドカイン(「キシロカイ
ン」、アストラフアーマシウテイカルズ、ウオー
セスター、米国マサチユーセツツ州)、ペニシリ
ン(「フアイザーペン」、フアイザーラボラトリー
ズ、ニユーヨーク、米国N.Y.州)および重炭酸
ナトリウムからなる静脈内滴注を開始した。犬を
2.5%チアミラールナトリウム(「サリタール」、
パーク デービス、デトロイト、米国ミシガン
州)で麻酔にかけ、メトキシフルラン(「メトフ
アン」)、ピツトマンームーア.ワシントンクロシ
ング、米国N.Y.州)で麻酔を維持した。左第5
肋間空間を切開して左開胸術を行つた。胸廓にい
つたん入つたら、メトフアン蒸発器を閉じ、犬を
「バード・マーク2」換気装置により正圧人工呼
吸にかけた。左前方下向冠動脈(LADC)を心臓
の腹側心室間溝で露出し、隣接組織から切開し
た。動脈をLADCから後に分れる最初の2つの血
管間の真中の位置で一片の「シラスチツク」管上
に結ばれた00シルク結紮糸を用いて結紮した。血
管を2時間完全に閉鎖し、その後結紮糸を除去
し、胸を標準の開胸術縫合で閉じた。手術後、犬
を酸素ケージに6―8時間入れ、そして正規のケ
ージ戻した。体温は手術後4日間毎日監視し、外
科手術後3日間毎日ペニシリン(プロカインペニ
シリンG、600000単位)を注射した。 手術前(手術の朝を含む)の三つの異なる時
間、手術直後および梗塞後6、24、48および72時
間に心電図(ECG′s)を取つた。すべての心電計
検査で誘導、、、AVR、AVL、AVFおよ
びV10を使用した。誘導ECGおよび心摶度数は
手術中連続的に監視した。 手術前(ベースライン)、手術中3回および梗
塞後6、8、10、12、24、48および72時間に各犬
から血液試料を取つた。捕集直後すべての血清を
調製し、分析するまで2℃で貯蔵した。 各血清試料について次の酵素を測定した:クレ
アチン燐酸酵素(CPK)(ロサルキ法よる);乳
酸脱水素酵素(LDH)(ワツカー他の方法よ
る);グルタミンオキサルアミノ基転移酵素
(SGOT)(ヘンリー他の方法による);およびア
ルフアオキシ酪酸脱水素酵素(2HBD)(ロサル
キおよびウイルキンソンの方法による)。 肉眼梗塞寸法の評価 梗塞後6日目の朝に、犬を「サリタール」で麻
酔し、燐酸塩でPH7.0緩衝された10%水性ホルマ
リンを用いて心臓を環流固定(perfusion
fixation)することにより各群から4匹の犬を殺
した。心臓を直ちに切り取つて固定液に貯蔵し
た。肉眼梗塞寸法を評価するために、心臓を約
0.2―0.3cm部分にスライスした。梗塞は変化しな
い心筋層と比較して青白い外観によりまたは梗塞
組織中の出血の存在により肉眼で確認した。梗塞
組織の寸法は各スライス上に無作為な斑点の配列
を含む透明なプラスチツク被覆板を重ね合わせる
ことにより評価した。普通の梗塞組織により占め
られる相対面積を、各種の組織上に落ちる斑点の
数を数えることにより評価した。次に、評価面積
をすべてのスライスから合計し、肉眼梗塞寸法を
全心筋面積に対するパーセントとして計算した。 組織病理学 各犬から心筋層の5つの別々の切片を集めて組
織病理学的評価を行なつた。切片1を心臓の無関
係領域から取り、切片2および3を梗塞領域の周
縁帯から取り、切片4および5は梗塞の中心から
取つた。 厚さ0.2―0.3cmの切片をパラフインに埋め込
み、一連の5―8ミクロン厚さ切片をヘマトキシ
リンおよびエオシン(H&E)、「ゴモリ」アルデ
ヒドフクシントリクローム(ガフト)、およびア
ラザリンレツドSで染色した。組織切片を各動物
に与えられた治療を知られない独立した観察者よ
り調らべた。比較目的として、病変を下記の尺度
により等級分けした:0=病変ナシ;1=含まれ
る断面積の25%以下、すなわち変性および壊死;
2=含まれる面積の25―50%;3=含まれる面積
の50―75%;4=含まれる面積の75―90%。 電子顕微鏡検査 電子顕微鏡検査のために、カルシウムの組織化
学的定位用の技術を用いた。用いた組織化学的着
色はカルシウムのような二価カチオンと電子稠密
(dense)沈澱を形成するピロアンチモン酸カリ
ウムであつた。 研究では下記の方法を用いた。3匹の犬(各治
療から1匹)を「サリタール」で麻酔し、ピロア
ンチモン酸カリウムで飽和した0.5%グルタルア
ルデヒド溶液で心臓を環流固定して殺した。心臓
を切り取り、直ちにピロアンチモン酸カリウムで
飽和した2%グルタルアルデヒド溶液中に入れ
た。固定後、心臓を厚さ0.2―00.3cmの切片にス
ライスして、梗塞領域を現わすようにした。この
切片を各梗塞の中心から取り、電子顕微鏡検査用
に処理した。 統計分析 対照に対する群平均値の比較のためのジユネツ
ト法およびデユネツト試験の分布を含まない
(distribution―free)類似法を用いて血清酵素値
を統計的に評価した。 結 果 各動物に与えられた治療を知らない独立した観
察者により行なわれた心電図の分析により、生理
食塩水および医薬治療群の間に差があることが明
らかになつた。生理食塩水およびCl2MDPで治療
した犬はEHDPで治療した犬に比較して72時間の
検査時間中より厳しい不整脈持続を有した。
EHDPで治療した4匹の犬のうち2匹は梗塞後24
時間以内に厳しい心臓不整脈を示したが、しかし
72時間までには正常に戻るかまたは時々の早期心
室収縮を示すだけであつた。EHDPで治療した他
の2匹の犬は変位リズムを示さなかつた。
Cl2MDPで治療した犬は梗塞後の早期段階で対照
群と同じ心電図変化を示した。不整脈は6時間で
起り、24時間までには非常に激しくなつた。 72時間までには、Cl2MDPで治療した1匹を除
くすべての犬は正常に戻るかまたは時々の早期心
室収縮しか示さなかつた。他方、生理食塩水で治
療した4匹の犬のうち2匹は72時間の試験時間中
厳しい心臓不整脈を示した。数は群の統計的比較
にとつて十分大きくはなかつたが、しかしデータ
によれば試験群の中で不整脈の厳しさの順序は次
のようになる:生理食塩水(対照)>Cl2MDP>
EHDP。 血清酵素分析の結果によれば、ベースライン、
6、12、24、48または72時間期間の群の平均値を
比較した場合またはベースラインからのパーセン
ト変化として計算した値を比較した場合治療群の
間では統計的に大した差(P<0.05)はないこと
が判明した。著しく大きい隆起(elevation)お
よび試験群中でベースラインの著しい変動性のた
めに、データは分布を含まない(順位合計)統計
試験によつても調らべた。この場合も、試験群間
の順位合計平均の差は統計的に大したものではな
かつたが(P<0.05)、しかし対照に比較して
EHDPおよびCl2MDP群ではより低い酵素隆起に
向う傾向があるようであつた。 他の複雑化要因は多くの血液試料における溶血
反応(homolysis)の発生であつた。溶血反応は
治療と関係がないようであつたが、しかし梗塞後
6乃至12時間で集められた試料の大部分において
発生した。溶血反応は梗塞後6時間前に集められ
た試料または梗塞後12時間以上経つて集められた
試料では問題にならなかつた。この現象の理由は
決定されていないが、しかし実験法に関連がある
ことは疑いもない。LDHおよびαHBDの血清水
準に対する溶血反応の妨害のために、後者の酵素
値はこの研究の心筋虚血損傷の指標としては不適
当であると考えられた。他方、溶血反応はSGOT
およびCPKの血清水準に無視し得るかまたは最
小限の影響しか及ぼさないので、これらの値は虚
血損傷の指標として意味あるものと考えられた。 面積測定による肉眼梗塞寸法の評価により、生
理食塩水治療犬では肉眼梗塞寸法は終始小さく、
5.3乃至7.4%の範囲であることが判明した。
EHDP治療群では、4匹の犬のうち2匹が6.8%
および8.1%の梗塞寸法を示したが、これは生理
食塩水(対照)と同じ範囲である。しかしなが
ら、他の2匹のEHDP治療犬は2.4%および0.2%
と概算される梗塞を示した。Cl2MDP群では同じ
変動性が観察され、この場合1匹の犬は7.8%と
概算される梗塞を示し、他の2匹の犬は1.5%お
よび0.9%の梗塞を示した。治療群の動物の小さ
な数および高い変動性のために、これらのデータ
に統計学は適用されなかつた。 組織病理学 この研究で犬の心筋層の組織病理学的検査で観
察された主な病変は、心筋細胞の変性および壊死
からなるものであつた。壁の心臓内の1/3は最も
厳しく影響を受け、中間壁の1/3はより少なく影
響を受け、そして心外膜の1/3は最も少なく影響
を受けた。 病変は筋線維変性および壊死(線紋の喪失)、
小節または病巣病変の周辺部の細胞の好酸球増多
汚点、核喪失、収縮帯、および最後に最も厳しい
領域における筋線維の完全喪失および線維結合組
織による置換からなるものであつた。壊死の領域
は個々の細胞または細胞の小さな集落から、直径
1―3mmの壊死の小さな散らばつた斑点を通り、
全切片を占める壊死の大きな合流塊に至るまで変
化した。壊死領域は常に壊死組織と生活力を有す
る領域との接合部で心臓組織球により包囲されて
おり、壊死の厳しさに応じて穏やかな変化し得る
線維芽細胞浸潤が存在した。ある領域では、細胞
は他の領域よりもより良く保存され、これはある
細胞は穏やかな損傷しか受けなかつたか知れない
ことを示唆するものであつた。 壊死領域では毛細管は一般に閉じられまたは小
数の赤血球を含有したが、しかしより大きな細動
脈および動脈は一般に広く開いていた。血栓は一
般に存在しなかつたが、しかし1匹の犬の心外膜
冠状動脈および第二の犬のより小さい壁内冠状動
脈に見出された。より大きな壊死帯域中への出血
は普通であつたが、しかしひどくはなかつた。 1匹の犬では、壊死帯域の間隙領域に縞状に並
んだ寸法1―10μの塩基好性小滴が存在した。こ
れらの小滴はトリクローム着色で赤に染まり、カ
ルシウムに対してマイナスであり、恐らくは細胞
壊死から生じた組織中の蛋白質小滴を表わすもの
と考えられた。 一匹の犬だけ細胞間カルシウムが見出され、こ
れはアリザリンレツドに対してプラスである塩基
好性物質の微小滴として存在した。 組織の肉眼観察に基づいて正常の組織として選
ばれた心筋層の領域には壊死領域は組織学的に確
認されなかつた。 梗塞の周縁領域から選ばれた組織の切片では、
EHDPもまたCl2MDPも心筋層の中央部分にある
保護効果を有する傾向があつた。 梗塞の中央からの切片の評価によれば、すべて
の群で壁の心外膜の1/3に最も少ない壊死があり
かつ壁の心内膜の1/3に最も広い壊死がある傾向
が存在することが証明された。しかしながら、心
外膜領域の壊死量は両ジホスホネート治療により
減少した(いずれの医薬も中央部分または心内膜
領域に明白な保護作用を有しなかつた)。 生理食塩水治療犬からの梗塞心筋層から取つた
組織の限外構造の評価によれば、心筋線維の整然
たるパターンはもはや論証出来ず、糸粒体は空胞
が生じ、Z帯、M帯およびAおよびI帯域は容易
に認めることが出来ないことが証明された。組織
中にはピロアンチモン酸塩粒子(カルシウム汚
れ)が拡散分布しており、膜に沿つてまたはサイ
トプラスト構造上に汚点の分布が示唆されなかつ
た。 EHDP治療犬からの梗塞心筋層では、糸粒体は
たまに膨張したようであつたが、しかしほとんど
は明白な無傷の外膜および稜を有した。筋線維分
節のZ帯、M帯およびAおよびI帯域は容易に証
明された。ピロアンチモン酸塩は筋線維膜に沿つ
てかつ隣接筋線維間の筋線漿細網内に濃縮され
た。この犬から評価された電子顕微鏡写真のいず
れにおいても、生理食塩水治療犬からの組織に見
られるように電子稠密ピロアンチモン酸塩の拡散
散在は見られなかつた。 Cl2MDP治療犬からの心筋層では、Z帯を表わ
すクロス線紋の整然たるパターンが終始一貫して
存在した。 電子稠密ピロアンチモン酸塩汚点は筋線維膜に
沿つて、血管の周囲にそして筋漿細網内に濃縮さ
れた。しかしながら、この動物の心筋細胞中に終
始見い出されたものは糸粒体が著しく膨張して限
外構造的に証明出来る内部櫛の多くが失われたこ
とであつた。櫛はなお多糸粒体の極領域の周囲で
証明出来た。 動物研究 () 序 論 直接および間接技術を用いて虚血心筋層の保護
に対する種々の可能な治療方法を評価した。心外
膜または心臓前の心電図誘導または連続血清クレ
アチン燐酸酵素(CPK)測定法は、心筋損傷程
度および種々の保護方法を評価するのに広範に使
用されている間接指標である。これらの指標の生
化学的または物理的測定は必ずしも心筋細胞損傷
の測定ではない。したがつて、これら指標と不可
逆的心筋損傷間の相関関係は必ずしも正確でない
かも知れない。それにもかゝわらず、多数の研究
で使用されているこれらの間接技術は人間の治療
の評価に現在利用出来る唯一の手段である。 本研究では、より直接的な方法を用いて医薬治
療が梗塞寸法に及ぼす効果を評価した。この研究
で使用された一時的閉鎖モデルは潜在的に梗塞寸
法を低減し得る治療を評価するために虚血細胞死
の解剖的定量化を可能にするように開発した。こ
のモデルは比較的短い冠閉鎖時間(40分)を使用
し、未治療犬でさえ厳しい虚血心筋層のみしか死
なない。したがつて、モデルは医薬が厳しい虚血
心筋層に及ぼす効果を評価するのに有効である
が、しかし定義によれば選ばれた48時間以上の長
い冠閉鎖時間および(または)閉鎖後の修理時間
後に壊死を生じるかも知れない発展梗塞の周囲の
軽度の虚血細胞に対する医薬効果試験を提供しな
い。したがつて、このモデルは人間に起るような
心筋虚血過程を完全に再現するものではない。他
方、細胞死の機構は軽度の虚血領域で非常に遅い
時間尺度で不可逆的損傷が起つても厳しいおよび
軽度の虚血領域において同じであると仮定するこ
とが合理的である。 一時的閉鎖モデルは幾つかの利点を有する。血
圧パラメータは連続的に監視することが出来、短
い閉鎖時間は虚血期間中これらパラメータの変動
を最小限にする。壊死の定量化は後方乳頭
(PP)筋を介して経壁部分内でなされる。この方
法の分析は全体の梗塞寸法の指標を与え、冠解剖
学の犬対犬変化により強く影響される梗塞の横程
度の変化を最小限にする。 48時間の再環流(reperfusion)が最適であ
る。何となればそれは冠閉鎖中不可逆的に損傷さ
れた細胞領域に壊死の特徴を出現せしめ、しかも
死細胞のかなりの食細胞除去による壊死領域の低
下を避けるのに十分なほど早いからである。 未治療犬の壊死量はこのモデルではかなり変化
し、本研究では解剖的PPの13乃至92%であつ
た。約60匹の未治療動物に関する全経験によれ
ば、平均約60%の解剖的PPの壊死を有する正常
の分布が指摘される。したがつて本研究の犬は全
集団の代表である。犬対犬変化のため、治療介在
によるプラス効果の検出には比較的大きな犬の群
の使用が必要である。8―10匹の犬の試験集団で
は、標準統計的方法により壊死の30%またはそれ
以上の低減が普通検出出来るようになる。 結果の要約 本研究の結果を要約すると、EHDP治療群の数
匹の犬はむしろ大きな壊死領域を有した。他方、
少量の壊死が場合により未治療犬に観察され、こ
れも本研究で発生した。したがつて、EHDPが任
意の特定の犬に効果があると確実に云うことが出
来ない。EHDPによる壊死の全減少率は30―40%
である。観察されたかなりの変動性のために、
EHDPの場合に観察されたこの明白な壊死の減少
はこの研究の犬のみを考慮した場合統計的に意味
がない。観察された効果はEHDP研究の対照群の
1部として医薬「ヴエラパミル」による同時研究
からの未治療犬を含ませることにより、より大き
な数の犬を得る場合に意味あるものになる。 したがつて、EHDPの保護効果は小さく、かつ
「プロプラノロール」、「マンニトール」または
「ヴエラパミル」による同じ研究で観察される効
果よりも小さいようである。他方、他の研究で
「プロプラノロール」および「ヴエラパミル」に
より観察された保護効果はある患者では望ましく
ないかも知れない血圧副作用(低下した心臓機
能)を伴つた。印象的ではないがEHDPによる壊
死の低下は血圧または化学副作用なしに生じた。
したがつて、試験した他の医薬と比較して、
EHDPは単独でまたは併用医薬治療の1部として
使用するのに主な禁忌を有することがより少ない
と思わる。 実験方法 明らかに健康で糸状虫フイラリア症にかゝつて
いない体重20―29lbの両方の雌雄のモングレル犬
をナトリウムペントバルビトール(約30mg/Kgi.
v)で麻酔し、ハーバード1063呼吸機械で換気し
た。600000単位のビシリンを手術法の前に予防的
にI.M.に与えた。ブラツシモデル440記録計で標
準ECGの誘導を連続的に監視した。手術法の
間、滅菌器具、スポンジおよび掛け布を使用し
た。 カテーテルを大腿動脈および静脈に伏在枝を介
して入れ、周囲血圧を監視し、各々流体および医
薬投与に使用した。トロコトミイの前に血液を引
き出してヘマトクリツト法にかけたり、沈降速
度、およびSMA―12(血清カルシウムおよび燐
を含む)を調らべた。急性実験中すべての犬にi.
v.注入を介して普通の生理食塩水溶液100c.c.を与
えて血液および流体と置換した。 胸を左側の第4番目または第5番目の間空を介
して開き、心膜を開いた。左室付属器官を介して
左室にカテーテルを入れ、心室圧を監視した。回
旋動脈を大動脈から1―2cm隔離した。 2つの出たら目な犬の群で冠閉鎖を行なつた。 EHDP治療犬に冠閉鎖の10分前に普通の生理食
塩水溶液5―10c.c.中5.0mg/KgEHDPi.v.を与え
た。 対照犬に閉鎖10分前に医薬なしで5―10c.c.の普
通の生理食塩水溶液を与えた。 回旋動脈を絹シユリンゲにより40分閉鎖して後
方一側方左心室虚血を生じさせた。心摶度数、収
縮、平均および拡張期血圧、心室収縮および末端
拡張期圧力およびLVピークdp/dtを含む血圧パ
ラメータを医薬注入前後(閉鎖前)および閉鎖後
5、20および38分にブラツシモデル440記録計に
記録した。閉鎖後20分に第2SMA―12を得た。急
性実験の終りにEHDPをさらに5.0mg/Kgを皮下
に与え、B.I.D.が閉鎖日の夕方に始まつた。 虚血後40分に、シユリンゲを除去して逆流を生
じさせ、切開を閉じ、犬を48時間回復させた。次
に、犬を再び麻酔にかけ、胸を再び開けた。次
に、心臓を切り取り、秤量した。閉鎖の正確な位
置および冠損傷または血栓症の徴候を記した。 左室の心内膜表面を写真にとつた。後方および
前方乳頭筋を介して経壁スライスを切断し、写真
に取り、そしてホルマリンに固定した。 組織学用切片を切断し、ヘマトキシリンおよび
エオシン、グリコーゲン用PAS、およびマロイ連
結組織染料のハイデンハイン変種で染色した。後
方乳頭筋の壊死を組織学用切片の投影像のトレー
イシングから定量化した。 結 果 左冠動脈の回旋枝の40分間の基部閉鎖およびそ
れに続く48時間の再環流は左室の後方一側方壁の
心内膜下心筋層を含む壊死をもたらすことは特徴
的である。損傷は普通後方乳頭筋内で最も大き
い。組織学的には、そのような一時的虚血後の壊
死はH&E切片に良く明示されており、クロス線
紋の部分的喪失または収縮帯を伴う均質なガラス
状細胞質を有する心筋線維により特徴づけられ
る。核濃縮または核溶解が存在する。壊死領域の
周囲にしばしば特に顕著である激しい炎症反応が
存在する。マロイ結合組織染料のハイデンハイン
変種で染色した場合壊死領域は壊死領域の細胞に
低能力で容易に見られる粒状外観を与える顕著な
収縮帯を示す。このようなスライドを写真紙に投
影することにより心筋のある部分内の壊死領域を
定量化することが出来る。 未治療対照 40分の閉鎖および48時間の再環流後心室細動を
生せずに生き残つた9匹の未治療犬において、後
方乳頭筋を介して経壁部分の筋の36±7%が壊死
の状態であつた。この損傷のほとんどは後方乳頭
筋自体に発生し、そこでは58±9%の線維が壊死
状態であつた。再環流時に心室細動を起したがし
かし人工蘇生に成功した2匹の他の犬は、壊死量
が平均より大きく、これらの2匹の犬を含ませる
と壊死の全量は各々経壁乳頭筋および解剖学的
PPの38±6%および59±8%であつた。 未治療群で冠閉鎖に伴う血圧効果は、左心室収
縮圧が適度に低下し(P<0.005)そしてLV末端
拡張期圧が適度に上昇した(P<0.01)。閉鎖後
20分に測定した他の血圧パラメータの変化は最小
限であつた。VFから人工蘇生した2匹の犬は実
験中異常に早い心摶度数を有した。 開胸術および冠閉鎖後血清カルシウムは変化し
なかつた。血清燐は5.5から4.3に低下した(P
<.05)。血清化学は予備閉鎖値から大して変化
しなかつた。 EHDP治療犬 EHDPで予備治療した10匹の犬が心室細動を生
じることなく生き返えつた。40分の回旋閉鎖およ
び48時間の再環流後、PPを介して経壁部分の22
±5%が壊死状態であつた。これは未治療群の壊
死と大して異ならなかつた。未治療群の場合のよ
うに、壊死はPPそれ自体で最も顕著であつた。
EHDP治療犬は解剖学PPの42±7%壊死を示し
た。これもまた未治療犬で観察された壊死と大し
て異ならなかつた。逆流心室細動を起したがしか
し反衝撃で救助に成功した1匹の犬を含ませても
実験結果は変化しなかつた。 EHDPによる治療自体は、「ヴエラパミル」お
よび「プロプラノロール」のような医薬に伴う予
期された心臓機能の低下とは異なり閉鎖中血圧作
用を及ぼさなかつた。未治療群と同様に、EHDP
を与えられた犬は閉鎖後20分にLV発生圧(P
<.05)および平均血圧(P<.001)が適度に
低下した。 EHDPで治療した犬は冠閉鎖後20分で測定して
血清カルシウムの変化がなかつた。未治療犬と同
様に、血清燐はこの時間中わずかにしかも終始一
貫して低下した。他の血清化学はすべてEHDPま
たは冠閉鎖により変化しなかつた。 ST部分隆起 標準肢誘導11ピークST部分隆起を虚血損傷の
追加の指標として記録した。EHDPで治療した犬
は未治療群と比較してより小さいST部分隆起を
示した。 死亡率 この研究では40分の閉鎖中心室細動の出現は比
較的低かつた(36匹のうち5匹、そのうち2匹は
未治療であり、3匹はEHDP治療であつた)。 逆流に伴う心室細動はこの特定のモデルではか
なり複雑であり、9匹の犬(6匹は未治療で、3
匹はEHDP治療であつた)に起つた。このうち、
3匹は細動除去に成功した(2匹は未治療で1匹
はEHDPで治療した)。閉鎖および再環流で生き
残つた3匹の犬は一晩で死んだので形態学分析か
ら除去した。したがつて、この研究での全生存率
は2つの群で同一であつた(61%)。 議 論 高い統計的確率ではないけれども(追加の対照
なしにEHDPによる壊死の減少率90%信頼;追加
の対照を含む減少率97.5%信頼)、EHDPにより
誘導された損傷心筋層の減少は、48時間回復期間
にわたつて全量注射の間(s.c.およびi.v.ボール
ス注入は一定の血液水準を維持するために連続注
入でない)の低い血液濃度の長い期間を考慮した
場合特に驚くべきである。この研究は精査性
(probe nature)ではないけれどもEHDPが回旋
動脈の1時間結紮により虚血にされた心筋層に保
護効果を与えることを示唆している。 血液研究 序 論 本研究では、共鳴ラマン分光学を用いて生体内
における希釈された全人間血液の酸素脱失速度に
EHDPが及ぼす効果を測定した。実験操作中犬の
血球の許容出来ないほど高水準の破壊が生じたの
で犬からの血液による実験は成功しなかつた。
(これは犬の赤血球は人間の赤血球より脆いとい
う他の観察と一致する。) 実験方法 共鳴ラマン分光学はラマン分光学で起る同じ基
本的非弾性光散乱効果を取り扱う(すなわち、単
色光で試料を照射し、得られる散乱光をモノクロ
メータを通して分散させ入射光線の波長からずれ
た少量の輻射線を検出する)。共鳴の条件下で、
入射単色光は研究される分子の電子遷移に一致し
またはそれに非常に近い。この共鳴が存在する場
合、発色団(電子遷移を含む分子の部分)の分子
振動のあるものに伴う非弾性的に散乱した光強度
が選択的に高められる。これはヘモグロビン
(Hb)に対して起り得るものであり、Hbの共鳴
ラマンスペクトルは非常に低い溶液濃度(104
107M)で分子のヘム(Fe含有ポルフイリン環)
群の振動について詳細な情報を与え、この場合
Hb分子の残りの部分のラマンスペクトルは余り
にも弱過ぎて観察することができない。共鳴ラマ
ン分光学はHbのヘム構造の鋭敏な試験法である
から、それは本実験において全血中のオキシ―
Hbおよびデオキシ―Hbを測定するのにまたホス
ホン酸塩が血液の酸素脱失速度(オキシ―Hbか
らデオキシ―Hbへの遷移)に及ぼす効果を測定
するのに使用される。 ラマンスペクトルは可干渉性輻射線モデルCR
―3Ar+レーザーを具備するスペツクスラマログ
5レーザーラマン分光計に記録した。
514.5nmAr+レーザー線(試料において〓50mワ
ツトに減衰した)を用いて共鳴ラマンスペクトル
を励起させた。 1640cm-1(オキシ―Hb)および1607cm-1(デ
オキシ―Hb)におけるラマン振動帯を酸素「目
じるし」振動として用いた。 帯の強度は希釈溶液中のHb種濃度にほゞ直線
的に比例する。 純粋Hb溶液(〜10-5M)を試験する際、試料
を小さな円筒形ガラスセル(〜1.5ml容積)に入
れ、セルの上部から純N2雰囲気を溶液上に発散
させてHbの酸素脱失を行つた(これらの実験で
は撹拌を使用しなかつた)。1640および1607cm-1
におけるラマン散乱強度をN2下の時間の関数と
して記録した。これらのデータから純Hb溶液お
よびEHDP(〜10-5M)を添加したHb溶液につい
てHbの酸素脱失速度を測定した。 希釈全血溶液(〜1―2滴の全血―1ml当りPH
7生理食塩水溶液20乃至40マイクロリツトル)は
純Hb試料について前述した技術により研究する
ことが出来なかつた。何となれば、全血球は酸素
脱失が起るずつと前に懸濁液から急速に沈降した
からである。完全に撹拌された懸濁液を維持する
ために、糸を次のように変性することが必要であ
つた。2mlの希釈全血溶液を、エルレンマイヤー
フラスコの最下点に小さい毛管寸法の排水管を付
加して修正した10mlフラスコに入れた。毛管寸法
のタイゴン管を用いて10ml貯留フラスコ上の排水
管からフラスコの頂部へ閉鎖ループを形成した。
管ループに短いガラス毛管を挿し、ラマン試料採
集セルとして用いた。蠕動ポンプを用いて溶液を
管に約1.2ml/分の速度で流した。このようにし
て、全希釈血液試料容積をほゞ100秒毎に試料セ
ルを循環させた。全閉鎖系の内壁を血球破壊を最
小限にするために特に開発された商業的シリコン
処理剤である「シリクラツド」で処理した。赤血
球が余り破壊しないことを立証するために、3つ
の異なる血液試料について赤血球の計算を行つ
た。1回の測定を完了するのに必要なポンプ供給
の〜1―1/2時間の間に血球の〓10%が破壊し
たことが認められた。破壊赤血球の数は血液料料
中のEHDPの存在とは無関係(±1%)であるよ
う思われた。 各実験中血液試料の劣化は緩慢であつたので、
各酸素脱失測定は新鮮な血液試料で開始すること
が必要であつた。各々のある血液試料に対する
EHDP(または使用した他の添加剤)の効果を直
接比較するために、血液溶液を2つの部分(2
ml)に分けた。実験の半分では、酸素脱失すべき
第一の血液試料をEHDPで処理し、同じ血液試料
の第2部分を対照として使用し、添加剤なしで酸
素脱失させた。実験の残りの半分では、処理およ
び対照実験を逆の順序で行つた。 実験で用いた血液濃度は2倍することにより変
化させたが、酸素脱失に必要な全体時間または結
果の正確さに観察出来る変化は見られなかつた。
2倍することにより血液濃度が変化した溶液の酸
素脱失(一定の表面およびN2掃射で)に必要な
全時間に変化がないという事実は、重要ではある
がプラズマを通しての拡散は全速度制御工程であ
り得ないことを指摘するものであつた。何となれ
ば、もしそうであれば、溶液から拡散しなければ
ならない〔O2〕を2倍にすることにより溶液から
拡散に必要な全時間は増大することが予期され、
したがつて全酸素脱失時間は幾らか長くなるから
である。 結果の要約 本研究からのラマンスペクトルにより、希釈全
血溶液にEHDPを添加すると(10-5MEHDPを含
む5ml生理食塩水溶液で希釈された全血約100―
200μ)血液の酸素脱失速度が約20%増大する
ことが証明された。Cl2MDPはO2放出速度を増大
させたがしかし同じ研究でEHDPより効果が低か
つた。 前述から明らかなように、試験管内血液研究で
証明された生理学的応答は、生体内動物研究で示
された治療効果と良好な相関関係にある。種々の
未知の生物学的/生化学的工程も包含され得る
が、研究の結果は前述したホスホネート医薬作用
の簡単な全体「臨床像」と一致し、すなわち血液
から組織へのO2放出速度を増大させると酸素欠
乏により起る組織損傷を防止するのに有効であ
る。 好ましい態様 理論的医学判断の範囲内で、ホスホネートの投
薬量は、治療される特定の状態、状態の厳しさ、
治療期間および使用される特定のホスホネートに
より変化するであろう。しかしながら、1回の投
薬量は体重1Kg当り0.01乃至500mg、好ましくは
0.5乃至50mg/Kgの範囲であることが出来る(こ
とわりがない限り、本文中で「mg/Kg」の単位は
mg/Kg(体重)を示す)。。経口投与の場合吸収が
制限されるので普通この範囲内でより大きい投薬
量が必要である。普通1日につき最大4回の投薬
を行うことが出来るが、しかしこれは理論的な効
果:危険比に一致して患者の要求により変化し得
る。約500mg/Kg以上の投薬量は毒性徴候を与え
ることがあり、したがつて普通は避けられる。さ
らに、所望の効果を与えるには通常約2000mg/Kg
以上の毎日の投薬量は必要とされず、これらの量
では有毒副作用が生じ得る。約0.01mg/Kg以下の
経口投薬量はO2放出に大した効果がないが、し
かし静脈内に投与すれば有効であり得る。 ホスホン酸塩を経口的に投与する場合吸収は完
全でないので約10乃至約100mg/Kgの投薬量を使
用するのが好ましい。 非経口的投与(s.c.、i.p.、i.m.)の場合、投薬
量は約0.5mg/Kg/日乃至約20mg/Kg/日である
のが好ましい。長期の非経口的注入(i.v.)の場
合、最も好ましい投薬量範囲は、約5mg/Kg/日
乃至約10mg/Kg/日である。 下記の表1は、本発明により治療出来る種々の
状態に対する典型的投薬量を示す。 【表】 ホスホネートは、皮下、皮内、筋肉内または静
脈内注射またはi.v.注入により水溶液として非経
口的に投与することも出来る。これらの投与法に
よる普通の好ましい投薬量範囲は次のようであ
る。 皮 下 0.05―10mg/Kg 皮 内 0.05―10mg/Kg 筋肉内 0.05―5mg/Kg 静脈内 0.05―5mg/Kg 慢性低酸素性肺疾病の直接吸入治療の場合、
0.1―10mg/Kg/日のホスホネートを供給するエ
ーロゾル噴霧を使用することが出来る。 経口投与のためには、ホスホネートをカプセ
ル、錠剤または顆粒の形に調合することが出来
る。非人間の治療には、ホスホネートは動物飼
料、飼料補助物または飼料濃縮物に配合するのが
好ましい。ホスホネートは医薬用担体と共に単位
投薬形態にすることも出来、この場合各単位投薬
形態は約15mg乃至10gのホスホネートを含有す
る。人間およびより小さな家畜により使用が意図
される単位投薬形態中のホスホネートの好ましい
濃度範囲は15乃至1000mgであり、より好ましくは
100乃至500mgである。より大きな動物たとえば畜
牛、馬等の治療に意図される単位投薬形態ではよ
り高い濃度範囲すなわち1乃至5gが好ましい。 経口投与する場合、本発明で使用される組成物
はホスホン酸塩を口の空洞に最小限露出するのに
適した形態であるのが好ましい。これらの化合物
は歯石予防用の歯ペースト、含嗽剤、ロゼンジ等
に典型の比較的低濃度で歯表面に施した場合歯エ
ナメルを損傷しないけれども、本発明の単位投薬
形態態様で与えられる実質的により大きい濃度の
ホスホン酸塩は繰り返えし長期間露出した場合歯
エナメルから無機分を減少させ得る。したがつ
て、経口投与は急速に摂取されるカプセル、丸剤
および錠剤のような単位投薬形態で行うのが好ま
しい。一般的に摂取前に実質的時間の間口腔内に
とどまるトローチ、かむことが出来る錠剤等は避
けるのが好ましい。 「医薬担体」とは、固体または液体充填剤、希
釈剤またはカプセル用物質を示す。医薬担体とし
て使用出来る物質のある例は、糖類たとえばラク
トース、グルコースおよびサツカロース;澱粉た
とえばトウモロコシ澱粉およびポテト澱粉;セル
ロースおよびその誘導体たとえばナトリウムカル
ボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢
酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチ
ン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネ
シウム;硫酸カルシウム;植物油たとえば落花生
油、綿実油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ
油およびカカオ脂;ポリオールたとえばプロピレ
ングリコール、グリセリン、ソルビトール、マン
ニトール、およびポリエチレングリコール;寒
天;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張
溶液;および燐酸塩緩衝溶液、および医薬配合物
に使用される他の無毒性相容性物質である。湿潤
済および潤滑剤たとえばラウリル硫酸ナトリウ
ム、ならびに着色剤、香味剤および保存剤も存在
することが出来る。錠剤形成は通常の技術を用い
てなされる。 ホスホネートと併用される医薬担体は投薬量関
係に合わせて実際的寸法を与えるのに十分な濃度
で使用される。医薬担体は全組織物の約0.1乃至
99重量%をなすのが好ましい。 本発明のホスホネートを添加出来る動物飼料組
成物は一般に飼料物質としてセルロース素材成分
たとえば干し草、わら、植物から、トウモロコシ
の穂軸等を包含する。蛋白質含有成分たとえばト
ウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、キビおよびム
ラサキウマゴヤシを含む全種子が一般に包含され
る。 本発明は人間に有効であるばかりでなく(前述
した病気状態を参照)、血管の組織または器管へ
の阻害または狭窄を含む類似の疾病状態を治療す
るのにまたは過努力または高所へ身をさらすこと
により引き起される組織低酸素症を緩和するのに
低級動物でも有効である。 下記の例は本発明の実施で使用される組成物お
よび方法を説明するものであるが、しかし本発明
を限定するものではない。 例 1 下記の成分を含むゼラチンカプセルを通常の方
法により調製する。 成 分 Mg/カプセル EHDP〓 350.00 澱 粉 50.00 〓 ジ―および―ナトリウム塩の混合物 日に2回投与された上記カプセルはそのような
治療を必要とする70Kg人間患者において血液酸素
放出速度を実質的に増大させる。 EHDP塩の代りに等量のEHDP(遊離酸形)、
又はメタンジクロロジホスホを使用した場合、例
のカプセルで得られた結果と同じ結果が得られ
る。 例 下記の成分を含む錠剤を通常の方法により調製
する。 成 分 錠剤当りMg EHDP〓 25.00 ラクトース 40.00 澱 粉 2.50 ステアリン酸マグネシウム 1.00 〓 ジ―およびトリーナトリウム塩の混合物 日に4回経口投与した場合、上記組成物は心筋
梗塞の素質を有する約70Kg体重の患者で冠動脈不
全に伴う低酸素症および組織損傷をかなり低減さ
せる。 上記のような配合したがただしEHDPの代りに
エンタ―1―ヒドロキシ―1,1―ジホスホン酸
の二ナトリウム塩、メタンジクロロジホスホン酸
のモノナトリウム塩、を各々用いた錠剤で同様の
結果が達成される。 この例で使用されるラクトースをサツカロース
で置き換え、そしてステアリン酸マグネシウムを
ナトリウムカルボキシメチルロースで置き換えて
も錠剤の所望の特性は影響を受けない。 例 例のホスホン酸塩組成物を糖尿病にかゝりか
つ糖尿病性網膜症にかゝりやすい70Kg患者に日に
4回予防的に投与して視力を保護する。 例 ― 下記のホスホン酸塩を特定の濃度で蒸留水に溶
解し、指摘された塩形に相当する塩基または酸の
場合は水酸化ナトリウムでPHを7.4に調節しそし
て標準滅菌技術により滅菌することにより非経口
的投与用の溶液を調製する。 【表】 ニウム)塩
前記例の溶液を前述した所望の投薬量水準を与
えるのに十分な量で動物(人間を含む)に注射投
与すると、心臓、脳、腎臓、肝臓、脾臓、眼なら
びに四肢を含む器管の血管閉鎖または狭窄から生
じる組成損傷が実質的に低減される。溶液は単一
投薬量皮下注射用の密閉アンプルとして包装され
るのが好ましい。 例 本発明を具体化しかつ病因は何であれ低酸素症
動物の治療に有効で完全飼料組成物は次の通りで
ある: 成 分 重量部 チモシ―干し草 960 脱水ムラサキウマゴヤシ 40 黄色トウモロコシ 600 ヨウ素化塩 310 骨 粉 20 EHDP(酸形) 40

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 エタン―1―ヒドロキシ―1,1―ジホスホ
    ン酸、メタンジクロロジホスホン酸およびその医
    薬的に許容できる塩及びエステルからなる群から
    選ばれる有機ホスホン酸塩またはエステル化合物
    を有効成分として含有することを特徴とする、人
    間または低級動物の身体組織に達する酸素の欠乏
    により特徴づけられる疾病を治療または予防する
    為の薬剤組成物。 2 治療を必要とする人間または低級動物の血液
    中の2,3―ジホスホグリセレート水準を増大さ
    せる、特許請求の範囲第1項に記載の組成物。 3 虚血に起因する疾病を治療または予防する為
    の、特許請求の範囲第1項に記載の組成物。 4 低酸素症に起因する疾病を治療または予防す
    る為の、特許請求の範囲第1項に記載の組成物。 5 組織または器官の梗塞後に起こる変性、壊死
    および線維症から該組織または器官を保護する為
    の、特許請求の範囲第1項に記載の組成物。
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