JPS6220666Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はターボチヤージヤの改良に関する。

ターボチヤージヤは過給機の一種で、エンジン
の排気エネルギで吸気用コンプレツサを作動させ
る構造上、過給のための動力損失を生じない等の
特徴があることはよく知られている。

第１図は自動車用の比較的小型のターボチヤー
ジヤの構造を示したもので、エンジンの排気エネ
ルギを受けて回転力を発生する排気タービン１と
吸気を加圧するコンプレツサタービン２とが共通
のタービン軸３に取り付けられており、スクロー
ル状のタービンハウジング４を介して排気タービ
ン１にエンジン排気を導入する一方、このとき発
生した回転力でコンプレツサタービン２を駆動
し、同様にスクロールをなすコンプレツサハウジ
ング５を介してエンジンに過圧空気を供給するよ
うになつている。

タービン軸３は上記各ハウジング４，５の中間
に位置する中空状のセンタハウジング６に軸受７
を介して支持されるが、この軸受７はフルフロー
テイングメタルと称される一種のジヤーナル軸受
で、ハウジング６の軸受保持部６Ａに設けられた
油路８を介しての多量のエンジンオイルの供給を
受けて強制的に潤滑及び冷却されるようになつて
いる。これは毎分１０万回転以上にもなるタービ
ン回転に対処するためである。

また、センタハウジング６は、そのフランジ部
６Ｂをタービンハウジング４の段付開口部４Ａに
嵌合して、開口部４Ａの周囲に配した複数のボル
ト９並びに、リテーナプレート１０を介してター
ビンハウジング４に締着されるが、前記フランジ
部６Ｂと開口部４Ａの段付部との間には略有底筒
状のヒートインシユレータ１１が挟持される。こ
のヒートインシユレータ１１は、開口部４Ａでの
ガス、オイルシールをなすとともに、タービンハ
ウジング４の内部空間４Ｃを流れる排気の輻射熱
でセンタハウジング６が過熱するのを防ぐための
もので、これにより上述したように苛酷な条件下
に置かれる軸受７の熱的負担を軽減するようにし
ている。（鉄道日本社刊「ターボチヤージヤの理
論と実際」p.22参照） ところで、ヒートインシユレータ１１にあつて
はセンタハウジング６のフランジ部６Ｂとタービ
ンハウジング４の開口部４Ａの段付部との間にヒ
ートインシユレータ１１のつば部１１Ａを挟み、
ボルト９にて締着されているので、ヒートインシ
ユレータ１１の断熱効果を高めるために材質を従
来の金属から断熱性の優れたセラミツクに変更す
ると、センタハウジング６あるいはタービンハウ
ジング４との接触面に働く集中応力により、ヒー
トインシユレータ１１が割れたり脱落してしまい
遮熱機能を損うという問題点があつた。

本考案はヒートインシユレータを断熱性材料で
あるセラミツクで形成するとともに、ヒートイン
シユレータの外周部をセンタハウジングのフラン
ジ部に直接固定し、センタハウジングとタービン
ハウジングとの締結応力がヒートインシユレータ
にかからないようにすることにより、上記問題点
を解決することを目的とする。

以下、本考案を図示実施例に基づいて説明する
が、第１図と同一構成要素には同一符号を付して
示す。

第２図において、センタハウジング６のフラン
ジ部６Ｂに環状の突起部６Ｃを形成し、この突起
部６Ｃの内周面中央に環状の溝６Ｄを穿設する。

この溝６Ｄには耐熱性金属からなる環状のリテ
ーナリング１２が嵌着し、これによりヒートイン
シユレータ１１のつば部１１Ａがセンタハウジン
グ６に固定される。リテーナリング１２は第３図
で実線から破線の状態に撓んだ状態で溝６Ｄに納
まることになり、この撓みによる復元力でヒート
インシユレータ１１を支持するのである。

ヒートインシユレータ１１は断熱性材料である
窒化珪素あるいはアルミナ等のセラミツクから形
成する。

一方、タービンハウジング４の開口部４Ａには
２段の段付部４Ｄ，４Ｅを設ける。このうち段付
部４Ｄがフランジ部６Ｂと直接接触しており、リ
テーナプレート１０を介してボルト９を締め付け
ることにより、センタハウジング６とタービンハ
ウジング４が固定されるようになつている。

このように構成すると、ヒートインシユレータ
１１は従来の金属性材料と異なり断熱性の優れる
セラミツクであるため、排気（ガス）の輻射熱を
良好に遮断するので、センタハウジング６並びに
軸受７は従来よりも低温に保たれる。

また、ヒートインシユレータ１１のつば部１１
Ａがリテーナリング１２によりセンタハウジング
６に固定されているので、センタハウジング６と
タービンハウジング４とを締結するためのボルト
９による過大な締付力が加わることがなく、割
れ、脱落の心配もない。

以上のように本考案によれば、ヒートインシユ
レータを断熱性材料であるセラミツクで形成する
とともに、ヒートインシユレータをセンタハウジ
ングに直接固定するようにしたので、センタハウ
ジングとタービンハウジングとの締結応力がこの
ヒートインシユレータの固定部分に直接的に作用
しないため、ヒートインシユレータを比較的もろ
いセラミツクとしても過度の応力により破損する
ことがなくなり、その耐久性を高めることができ
る一方、排気ガスからセンタハウジングへの輻射
熱を効果的に制御することができる。

また、ヒートインシユレータはセラミツクのた
め金属に比べて熱容量が小さいので、エンジンを
急停車した場合の滞熱分の熱放出によるオイルの
温度上昇を軽減できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の縦断面図、第２図は本考案の
一実施例の要部縦断面図、第３図はリテーナリン
グの作用を説明する図である。 ３……タービン軸、４……タービンハウジン
グ、４Ａ……開口部、６……センタハウジング、
６Ｂ……フランジ部、６Ｃ……突起部、６Ｄ……
溝、９……リテーナプレート、１０……ボルト、
１１……ヒートインシユレータ、１１Ａ……つば
部、１２……リテーナリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タービン軸を支持するセンタハウジングのフラ
   ンジ部をタービンハウジングの段付開口部に嵌合
   し、前記開口部の周囲に配したボルト並びにリテ
   ーナプレートを介してセンタハウジングをタービ
   ンハウジングに締着するとともに、これらセンタ
   ハウジングとタービンハウジングの間にヒートイ
   ンシユレータを介在したターボチヤージヤにおい
   て、前記ヒートインシユレータを断熱性材料であ
   るセラミツクで形成するとともに、ヒートインシ
   ユレータの外周部をセンタハウジングのフランジ
   部内周に挿入し、リテーナリングを介して抜止め
   固定したことを特徴とするターボチヤージヤ。