JPS6217444Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は授乳婦の授乳時間外に出る余剰乳を受
ける乳もれ防止用パツトに関するもので、乳を吸
水層にすみやかに浸透させて吸収せしめることに
よりべとつかず、また肌ざわりの良好な乳もれ防
止用パツトを得んとするものであり、その構成は
次の通りである。

本考案は、吸水材からなる吸水層と、該吸水層
の乳首側に配される吸水性と耐水性に秀れる紙と
の間に、セルロースアセテート等の疎水性繊維の
短繊維群を不織布ウエツブ状に結合して形成した
透水層を設け、これらの積層物を乳首挿入孔を有
する防水性を備えた被覆材にて被覆して成ること
を特徴とする乳もれ防止用パツトである。

以下、本考案の実施例を図に依拠して説明す
る。

１は吸水層、２は該吸水層１の乳首側に重ね合
わせたレーヨン紙、３はこの吸水層１とレーヨン
紙２との間に設けた透水層で、これら吸水層１と
透水層３とレーヨン紙２から成る積層物を被覆材
４，５にて被覆することにより、本考案にかゝる
扁平な円板状の乳もれ防止用パツトを形成してい
る。

被覆材４，５は、ポリエチレンシートまたはポ
リエチレンラミネート紙等の防水材料からなり、
この両側被覆材４，５の周縁部同志を固着するこ
とにより上記積層物を被覆している。また、乳首
側被覆材４の中心部に乳首挿入孔６を設け、かつ
該挿入孔６に臨む上記吸水層１等から成る積層物
の乳首側の中央部に乳首受入れ凹部７を形成して
いる。

吸水層１は、複数枚のクレープ紙または紙綿等
の吸水紙を積層し、かつ、必要に応じて該吸水紙
間に粉砕パルプまたは脱脂綿の層を設けて形成さ
れる。

透水層３は、セルロースアセテート、ポリプロ
ピレン、ポリエステル等の疎水性繊維の短繊維群
を好ましくは透水性に富むバインダーで不織布ウ
エツブ状に結合して形成される。このようなセル
ロースアセテート等の疎水性繊維群にて形成され
た透水層３は、その素材の特性により透水性（水
分の透過性）にすぐれ、しかも、その透水作用は
直進性を有し、水分をすみやかに、かつストレー
トに透過させるとともに、一旦透過させた水分の
逆流（はね返り）を防止するという特徴を備えて
いる。

従つて、第３，４図に示す如く乳首を乳首挿入
孔６に挿入した状態で、このパツトを通例の如く
使用した場合、乳首から出てレーヨン紙２を透過
した乳は、透水層３を厚み方向にストレートに、
すなわち徒らに拡散することなく、最短距離を直
進透過して吸水層１にすみやかに吸収されること
となる。

この透水層３のすぐれた水分透過性を確認する
ための簡単な実験として、乳首挿入孔５から適当
量のインクを流し込むと、吸水層１にはインクが
広さ方向に拡散しつゝ厚み方向に浸透した様が顕
著にあらわれるが、透水層３にはインクを吸収し
た形跡、つまり湿りがなく、インクによる着色さ
えみられない。これにより、インクが透水層３を
直進透過して吸水層１に吸収されたことが明らか
となる。

このため、本考案のパツトによるときは、乳を
吸水層１にすみやかに吸収し、かつ、一旦吸収し
た乳は乳首側に戻さず、従つてべとつかない。ま
た、繊維群からなる透水層３のやわらかなクツシ
ヨン作用によつて良好な肌ざわりが得られること
となる。

ところで、透水層３の乳首側面に配したレーヨ
ン紙２は、吸水性および耐水性に秀れ乳に浸され
てもみだりに破れたり乳房にまとわりついたりし
ない性質を備えている。このため、このレーヨン
紙２は、上記した透水層３独特の作用を活かしつ
つ同層３の繊維が乳首挿入孔６から露出しないよ
うにするための被覆層として最適なものである。
また、乳首受入れ凹部７は第３図に示すように使
用状態で乳首を包囲する形態となるため、乳首か
ら出る乳をもれなく吸収すると共に、使用時にパ
ツトが不測に位置ずれするのを防止するうえで非
常に有効である。

一方、吸水層１の構成要素として日本バイリー
ン株式会社製のGSPシート（商品名）を使用して
もよい。このGSPシートは充分解離された綿状パ
ルプ、および澱粉−ポリアクリロニトリルグラフ
ト共重合体のアルカリ金属塩（GSP）のパウダー
を所定の重量比率で混合し、これを70±12g／mm²
のウエツブ状とした後、湿熱圧着によりシート状
に成形一体化することによつて製造される。この
GSPシートは、吸水能力がきわめて高く、かつ、
水分を吸収すると膨潤しゲル状となる特性を備え
ている。従つて、該GSPシートを本パツトの吸水
層１に用いると吸水層１の吸水および保蔵能力が
著しく増大する。このため、他の吸水材料が少量
ですみ、とくに嵩の張る粉砕パルプや脱脂綿層を
設ける必要がなくなり、これによりパツト全体の
厚みを大幅に薄くすることが可能となる。

なお、本実施例では乳首と直接接触する吸水性
と耐水性に富む紙としてレーヨン紙を挙げたが和
紙や不織布等吸水性、耐水性に富む紙状のものな
ら何んでもよい。また、材料の節約上、パツトの
形状は方形でもよい。

上記のように本考案によれば、水分の透過性が
きわめて高く、しかもその透水作用は直進性をも
つてごくすみやかに行なわれ、かつ透過した水分
を戻さない特性を備えたセルロースアセテート等
の疎水性繊維の短繊維群の不織布ウエツブ状結合
体から成る透水層を吸水層の乳首側面に設けたか
ら、乳を吸水層にもれなくすみやかに吸収して乳
首側に戻さず、従つてべとつかないとともに、透
水層のクツシヨン作用によつて良好な肌ざわりを
得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は分解斜視
図、第２図は拡大断面図、第３図は使用状態の拡
大断面図、第４図は同状態において一部をさらに
拡大して示す断面図である。 １…吸水層、２…レーヨン紙、３…透水層、
４，５…被覆材、６…乳首挿入孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸水材からなる吸水層と、該吸水層の乳首側に
   配される吸水性と耐水性に秀れる紙との間に、セ
   ルロースアセテート等の疎水性繊維の短繊維群を
   不織布ウエツブ状に結合して形成した透水層を設
   け、これらの積層物を乳首挿入孔を有する防水性
   を備えた被覆材にて被覆して成ることを特徴とす
   る乳もれ防止用パツト。