JPS621518Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は管継手、更に詳しくは金属管と合成樹
脂管とを強固に接続できるよう改良された管継手
に関する。 水道管、配水管等に合成樹脂管が普及するに従
い、鋼管と合成樹脂管を接続するための管継手が
各種実用化されている。しかし従来の管継手の合
成樹脂管を接続する方法は、合成樹脂管を単に外
側から銅合金製ロツクリング、座金、ポリアセタ
ール製等の締付リングを介して袋ナツトで締め付
けて固定する方法あるいは更に合成樹脂管の内側
にも金属製、ポリアセタール製等のコアを挿入し
て内側と外側両面から締め付けて固定する方法で
あり、いずれも合成樹脂管の継手部が直接継手の
硬質部によつて締着されるため、使用中にこの部
分が脆化し破壊され易くなつたり、又特に流体等
の内圧が高く、透過性の大きいものは締着部から
漏洩する恐れがあつた。 合成樹脂管継手の脆化を避けるには、継手と合
成樹脂管とを溶着すればこの部分の漏洩は防止で
きるが、合成樹脂製の継手と鋼管側の漏洩防止は
非常に困難であり、完全に気密で操作の簡便な継
手が要望されていた。 本考案の継手を説明すると、一方は鋼管側と接
続するための螺子付金属環をインサート成形し、
他方は合成樹脂管と溶着するために開放された合
成樹脂製管継手である。この螺子付金属環を単に
インサート成形しても、金属と合成樹脂との密着
が悪いために、施工後継手部に曲げ応力が加わつ
たり、熱膨張によつて微少の間隙を生じて、漏洩
の原因となる。そのため前記螺子付金属環と合成
樹脂が接する界面の少なくとも一部を変性ポリオ
レフイン層としたもので、これにより該金属環と
合成樹脂との密着性が改良されて漏洩の恐れが解
消される。 本考案の管継手に用いる合成樹脂部材は、射出
成型用の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ１−ブテン等のポリオレフイ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリアセタール等が挙げられるが、中でも耐
クリープ強度、耐ストレスクラツク性に優れるポ
リオレフイン系樹脂が好ましい。 本考案の管継手にインサート成形される金属環
は内部もしくは外部に金属環を螺合する為の螺子
部が形成されており、該金属環の外部の一部もし
くは全部が変性ポリオレフイン層を介して合成樹
脂継手の一方の端にインサート成形されており、
該接面は平滑面、好ましくは一部にローレツトも
しくは歯車状の回転防止加工を施した平滑面であ
る。金属環の合成樹脂部材と接する面全面が平滑
面であつても変性ポリオレフイン層を介すれば、
ガス等の漏洩は完全に防止できるが耐捩り応力性
をもたせるには一部にローレツト加工を施したも
のが好ましい。しかしながら全面にローレツト加
工を施すと逆に金属部材と変性ポリオレフイン層
との密着性が不足し、ガス等が漏洩する恐れがあ
るので避ける方が好ましい。金属環は鉄、銅、ア
ルミニウム、ステンレススチール、真鋳等より加
工されたものである。 金属環と継手の合成樹脂部材との密着性を改良
するための変性ポリオレフインとしては、ポリオ
レフインあるいはポリオレフイン共重合体を変性
したポリオレフインが使用される。密着性改良用
の変性ポリオレフインとしては合成樹脂部材の製
造原料と同種のポリオレフインを変性したものが
通常好適に使用されるが、異種のポリオレフイン
を変性したものであつても使用できる。本考案の
管継手に使用される変性ポリオレフインは、上記
のポリオレフインをアクリル酸、マレイン酸など
の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸などの不飽
和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸のアミ
ド、グリシジルメタクリレートなどの不飽和エポ
キシド等の変性モノマーでグラフト共重合によつ
て変性したものである。変性ポリオレフイン中の
変性モノマー成分の含有量は変性ポリオレフイン
に対して0.001ないし５重量％の範囲であること
が望ましい。 密着性改良用の変性ポリオレフインとしては、
ポリオレフインの全部を前記の変性モノマーで変
性したポリオレフインを使用することもできる
し、前記の変性モノマーで変性したポリオレフイ
ンに未変性のポリオレフインを配合した組成物を
使用することもできる。いずれの場合にも、本考
案の管継手に使用される密着性改良用変性ポリオ
レフイン中の変性モノマー成分の含有量は前記の
範囲とすることが望ましい。 金属環の合成樹脂部材と接する面を前記の変性
ポリオレフインで被覆するには、従来から知られ
ている種々の方法を採用することができる。たと
えば、静電塗装法あるいは流動浸漬法によつて変
性ポリオレフインを加熱融着させる方法、変性ポ
リオレフインのフイルムを加熱融着、あるいは金
属部材を加熱して融着させる方法あるいは変性ポ
リオレフインの溶液あるいは乳化液に浸漬した後
乾燥する方法などがあげられる。その際、予め金
属環をエポキシ樹脂等でプライマー処理をしてお
いても良い。これらのいずれの方法によつても被
覆することができるが、変性ポリオレフインの被
膜の厚さは通常１ないし10⁴μの範囲、好ましく
は５ないし５×10²μの範囲である。 本考案の管継手を製造するには、前記変性ポリ
オレフインを被覆した金属部材を収納した金型内
に前記射出成形用熱可塑性樹脂を射出成形するい
わゆるインサート成形法による。 一方管継手の一方の端の合成樹脂成分は合成樹
脂管とを融着接合する為に、場合によつては円筒
型の内面にテーパーを形成させる。また管継手の
形状はエルボ、チーズ、ソケツト、レデユーサ
ー、サドル等の形状が用いられる。 以下本考案を実施例に基づいて具体的に説明す
るが、本考案の要旨を越えない限り実施例に限定
されるものではない。 実施例 １ 第１図に示す螺子部４を有すステンレス鋼
（SUS３０４）からなる外部が平滑な金属環５の
外周に、金属環５を200℃に加熱して無水マレイ
ン酸変性ポリエチレン（メルトインデツクス４
ｇ／10min：ASTM D1238E、無水マレイン酸量
0.05重量％、密度0.930ｇ／cm³）のフイルムを積
層した（無水マレイン酸変性ポリエチレン層３）
部材（）を金型内に設置し、13オンスの射出成
型機を用い、樹脂温度200℃でエチレン・１−ブ
テン共重合体：中密度ポリエチレン（メルトイン
デツクス0.2ｇ／10min：ASTM D1238E、密度
0.940ｇ／cm³）を前記部材（）の外部に射出
し、合成樹脂管の接続部２を有する合成樹脂部材
１からなるソケツト型管継手を得た。次いで以下
の方法により該管継手の性能試験を行つた。 熱間内圧クリープ試験：長期内圧クリープ試験機
（海陸電波製）を用い、80℃の水温中でガス圧
８Kg／cm²Ｇを管継手にかけ、漏洩に至る迄の時
間（hrs）によりシール性能を調べた。 耐捩り応力試験：管継手の金属環に捩り応力を加
え、最大応力を耐捩り応力（Kg−cm）とした。 引抜き試験：インストロン型万能試験機（TT−
CM能力5TON、インストロン社（米））を用
い、引張速度５mm／minで合成樹脂部を支持
し、金属環を引き抜くことにより行つた。 結果を第１表に示す。 実施例 ２ 実施例１の金属環５の代わりに第２図に示すス
テンレス鋼（SUS３０４）の外周の１部がローレ
ツト加工６を施し、他が平滑面７である金属部材
８を用いる以外は実施例１と同様に行つた。結果
を第１表に示す。 比較例 １ 実施例１の無水マレイン酸変性ポリエチレン層
３を除いた形の管継手を用いる以外は実施例１と
同様に行つた。結果を第１表に示す。 比較例 ２ 実施例２の無水マレイン酸変性ポリエチレン層
３を除いた形の管継手を用いる以外は実施例２と
同様に行つた。結果を第１表に示す。 実施例 ３ 実施例１の金属環５の代わりに第３図及び第４
図に示す外周の１部がローレツト加工６が施され
た雄型の金属環９を用い、エルボ型管継手を得る
以外は実施例１と同様に行つた。結果を第１表に
示す。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の管継手（ソケツト型）の断面
図、第２図は１部切欠図、第３図はエルボ型の縦
断面図、第４図は第３図Ａ−Ａの横断面図であ
る。 １……合成樹脂部材、５，８，９……金属環、
２……合成樹脂管接続部、６……ローレツト加
工、３……変性ポリエチレン層、４……螺子部
（金属管接続部）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 外螺子又は内螺子の接続部を有する金属環が
   一端にインサート成形され、該金属環の合成樹
   脂部分に接する界面の少なくとも一部に変性ポ
   リオレフイン層を積層したことを特徴とする合
   成樹脂製管継手。 (2) 前記金属環の合成樹脂部分に接する面の一部
   がローレツトもしくは歯車状の回転防止加工面
   であり、他が平滑面であるところの１項記載の
   管継手。