JPS6213771Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は成形コアにて樹脂成形したウオームギ
アの回転離型を可能とする金型装置に関するもの
であり、その目的とするところは樹脂成形したウ
オームギアの回転離型のためのスプライン軸の軸
受部での摩耗抵抗を小さくすることにより、保守
点検の頻度を少なくして円滑な回転離型ができる
金型装置を提供することにある。

一般に、ウオームギアを樹脂成形する場合には
第１図に示すようにスパイラル状の成形孔１を有
する第１コア２と上記第１コア２に設けた成形孔
１の一方の端部を塞ぐ第２コア３とを突合せた状
態で、軸受プレート４に回転可能なように軸支し
た中空のスプライン軸５を上記第１コア２に設け
た成形孔１の他方の端部から上記成形孔１の中心
に挿入し、上記成形孔１と上記スプライン軸５と
の間に構成される成形空間に図示していないラン
ナーから溶融した樹脂を注入することにより、ウ
オームギア６を樹脂成形するようにしていた。そ
して、上記樹脂成形したウオームギア６を上記第
１コア２から離型する場合には上記第２コア３を
上記第１コア２から引き離した状態で、上記スプ
ライン軸５の端部に設けた歯車７に図示していな
いモータの回転力をチエーンを介して伝達し、上
記スプライン軸５を高速回転することにより、上
記ウオームギア６を図示矢印Ａ方向に離型するよ
うにしていた。ここで、上記軸受プレート４に対
して上記スプライン軸５はその両端に設けたそれ
ぞれ２枚の金属リング８ａ，８ｂおよび９ａ，９
ｂにてスラスト方向に軸支し、かつ上記軸受プレ
ート４に圧入した金属ブツシユ１０ａ，１０ｂに
てラジアル方向に軸支したものであり、上記軸受
プレート４および上記スプライン軸５に設けた冷
却孔４ａ，５ａから冷却空気を導入して樹脂成形
したウオームギア６を冷却しながら回転離型する
ように構成していた。

しかしながら、上述した成形および回転離型装
置では樹脂成形品としてのウオームギア６が比較
的細長い長尺形状のものであることから溶融樹脂
の走りをよくする関係上、金型温度を90℃程度の
高温に維持しなければならないため、ラジアル軸
支部を構成する金属ブツシユ１０ａ，１０ｂ部分
に供給した耐熱グリスが乾燥しやすい。また、ス
プライン軸５を冷却して成形した樹脂を早く固化
させて回転離型を行なう関係で軸受プレート４お
よびスプライン軸５から冷却空気を導入するた
め、ラジアル軸受部を構成する金属ブツシユ１０
ａ，１０ｂ部分に供給した耐熱グリスが冷却空気
と一緒にスプライン軸５の内部を通り外部に抜け
出しやすい。このようなことから上記スプライン
軸５と上記金属ブツシユ１０ａ，１０ｂ間の摩擦
抵抗が大きくなり、焼き付いたり、あるいはスプ
ライン軸５が摩耗しやすい欠点があつた。一方、
スラスト軸支部を構成する２枚の金属リング８
ａ，８ｂおよび９ａ，９ｂはそれぞれが面接触し
ており、摩擦抵抗の大きいものであるため、離型
時にスプライン軸５が高速回転すると上記金属リ
ング８ａ，９ａと軸受プレート４間に回転による
摩耗が生じやすく、上記スプライン軸５自体の回
転が悪くなつたり、寸法精度に影響して金型寿命
を短かくするという欠点があつた。したがつて、
上述した金型装置では保守点検の頻度が多くなら
ざるを得ないものであり、稼動率が必然的に低く
なりがちなものであつた。

本考案はこのような従来の欠点を解消するもの
であり、軸受プレートに回転可能に軸支したスプ
ライン軸を上記軸受プレートの両端において２枚
の金属リングの間にそれぞれスラストベアリング
を挿入してスラスト方向に軸支し、かつ上記スプ
ライン軸を上記軸受プレートに対して耐摩耗性の
樹脂ブツシユにてラジアル方向に軸支したもので
ある。かかる構成によれば、スプライン軸を樹脂
ブツシユでラジアル方向に軸支するため、グリス
供給の頻度が少くとも焼き付いたり、スプライン
軸が摩耗したりすることが少なくなり、また、ス
ラストベアリングを２枚の金属リングにてサンド
イツチ状にしたスラスト軸受部にてスプライン軸
をスラスト方向に軸支するため、軸受プレートに
対接する金属リングがスプライン軸の回転を受け
て回ることがなくなり、軸受プレートの摩耗が著
しく少なくなり、もつて、保守点検の頻度を少な
くして稼動率を高めることができる利点を有する
ものである。

以下、本考案について実施例の図面と共に説明
する。第２図は本考案の一実施例を示しており、
第２図において、第１図に同一符号は同一の構成
要素を示している。第２図中、第１図と異なると
ころはスプライン軸５を軸受プレート４に対して
たとえばテフロン系樹脂でなる耐摩耗性の樹脂ブ
ツシユ１１ａ，１１ｂにてラジアル方向に軸支
し、かつ、上記軸受プレート４に回転可能なよう
に軸支した上記スプライン軸５を上記軸受プレー
ト４の両端において２枚の金属リング８ａ，８ｂ
および９ａ，９ｂとそれら２枚の金属リング８
ａ，８ｂおよび９ａ，９ｂ間に挿入したスラスト
ベアリング１２ａ，１２ｂにてスラスト方向に軸
支したことである。

このように耐摩耗性の樹脂ブツシユ１１ａ，１
１ｂにてスプライン軸５を軸受プレート４にラジ
アル軸受すると、その樹脂ブツシユ１１ａ，１１
ｂ自体の物性のためにグリス供給しなくとも焼き
付きなくスプライン軸５を高速で回転して円滑な
ウオームギアの回転離型を行なうことができる。
また、２枚の金属リング８ａ，８ｂおよび９ａ，
９ｂ間にそれぞれスライドベアリング１２ａ，１
２ｂを設けたサンドイツチ状の軸受にてスプライ
ン軸５をスラスト方向に軸支すると、サンドイツ
チ状の軸受での接触面積が線接触となるため、摩
擦抵抗が大巾に減少し、回転時に上記軸受プレー
ト４に対接する金属リング８ａ，９ａがほとんど
回転しなくなり、軸受プレート４の回転摩耗によ
る損傷を防止することができ、またグリスの補給
の必要性も著しく減少することができる。

以上、詳述したように本考案によれば、回転離
型のためのスプライン軸を耐摩耗性の樹脂ブツシ
ユでラジアル方向に軸支すると共に２枚の金属リ
ング間にスラストベアリングを設けたサンドイツ
チ状の軸受にてスラスト方向に軸支したので、グ
リス不足による焼き付きや回転摩耗による金型の
損傷を防止し、保守点検の頻度を少なくして稼動
率を高めることができる利点を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の金型装置の断面図、第２図は本
考案の金型装置の一実施例を示す断面図である。 １……成形孔、２，３……コア、４……軸受プ
レート、５……スプライン軸、６……樹脂成形し
たウオームギア、７……歯車、８ａ，８ｂ，９
ａ，９ｂ……金属リング、１１ａ，１１ｂ……樹
脂ブツシユ、１２ａ，１２ｂ……スラストベアリ
ング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 成形孔を有するコアと、このコアに設けた成形
   孔内に挿入され、上記成形孔との間に形成された
   樹脂成形物を固化させるための冷却媒体が挿通さ
   れる中空孔を有し、かつ上記コアから上記樹脂成
   形物を離型するために回転駆動されるスプライン
   軸と、上記スプライン軸を回転可能に軸支する軸
   受プレートを備え、上記スプライン軸は上記軸受
   プレートに対して耐摩耗性の樹脂ブツシユにてラ
   ジアル方向に軸支すると共に２枚の金属リング間
   にスラストベアリングを設けたサンドイツチ状の
   軸受にてスラスト方向に軸支してなる金型装置。