JPS6213734A - ロ−タリピストンエンジンのサイドハウジング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ロータリピストンエンジンのサイドハウジン
グに関し、特にその摺動面の摺動特性を改良したものに
関するものである。

（従来技術及びその問題点） 第１図及び第２図に示すように、サイドハウジンブト１
はロータハウジング２を両側面から挟持してロータリピ
ストンエンジンのハウジングを構成するものであり、こ
のハウジング内部に形成された空隙３内をロータ４が遊
星回転運動するようになっているものである。上記、サ
イドハウジング１とロータハウジング２及びロータ４と
によって形成される空隙３ａがエンジンの燃焼室となる
ものであり、サイドハウジング内面１ａは燃焼室壁面を
形成することになる。

このためサイドハウジング内面１ａは燃焼による高熱、
燃焼前後及び燃焼中における各種浸蝕性ガス（ＨＣ，Ｃ
ｏ、ＣＯｚ、Ｈ２Ｏ、ＳＯ３、Ｎｏ２、Ｈ，Ｓ等）にさ
らされるため、優れた耐熱性、耐蝕性が要求されるばか
りでなく、ロータ４に出没自在に嵌装されている各種シ
ール類、例えばオイルシール５、サイドシール６、アペ
ックスシール７の端面およびコーナーシール８等の硬質
シール類と高速で摺動する摺動部材でもあるため耐摩耗
性や潤滑性（油保持性）をも同時に要求されるものであ
る。

従来では、特公昭５７−３２７３６号公弗に記載されて
いるように、鋳鉄製サイドハウジングの摺動面及びサイ
ドハウジングのロータハウジングとの接合面に軟窒化処
理によって形成したＦｅ−Ｃ−Ｎ系化合物層を設けたも
のが実用化されている。

上記Ｆｅ−Ｃ−Ｎ系化合物層は、優れた摺動特性を発揮
するものであるが、最近では自動車用ロータリピストン
エンジンの高速化・高出力化及び低燃費の実現のためエ
ンジンの軽量化とサイドハウジングの摺動面の摺動特性
の一層の向上が要請されている。

この場合、材質の異なる各種シール類とサイドハウジン
グ摺動面との摺動特性が大きなネックとなる。

即ち、各種シール類及びサイドハウジングの摺）　　　
　　動面の摩耗増大によるガスシール性不良、潤滑油消
費量の増大及びエンジンの焼付きなどの問題が起こるし
、各種シール類のうちの摩擦抵抗の太きいオイルシール
材とサイドハウジングの摺動面の摩擦抵抗の軽減が大き
な課題となる。

そこで、発明者等はＮｉ基合金の表面にアルミ浸透拡散
処理（通称アルミパンク処理という）によって形成され
るＡｌＮｉ化合物層が、耐摩耗性・耐蝕性・耐酸化性の
面で極めて優れた特性を有するものであることに着目し
、サイドハウジングの摺動面にＡｌＮｉの化合物層を形
成することを考えた。

上記アルミパック処理は、従来から公知の表面処理技術
であり、タービンブレードなどＮｉ基合金の表面に耐酸
化性・耐蝕性・耐摩耗性の被膜を形成するために適用さ
れている技術である。

上記アルミパック処理は、一般にＡ　Ｉ　、　Ａｌ２Ｏ
：ｌ。

ハロゲン化活性材（例えばＮＨ４Ｃｌ　）及び希土類金
属のパック剤粉末中に被処理物を埋没させ、Ｈ２やＡｒ
など非酸化性雰囲気中で加熱して被処理物の表面にＡＩ
を浸透させ、次に被処理物をパック剤の中から取り出し
てＮ２やＡｒなどの非酸化性雰囲気中で加熱してＡＩを
拡散させることにより、被処理物の表面に耐酸化性・耐
蝕性・耐摩耗性に優れたＡｌＮｉの化合物層を形成する
ものである。

そして、上記アルミパック処理には、約７００〜９００
℃で１〜２時間加熱するＡＩ浸透処理の後、約８００〜
１１００℃で１〜２時間加熱するＡＩ拡散処理の２工程
で行う２段階処理方式と、約９００〜１０００℃で数時
間加熱してＡＩ浸透・拡散処理を１工程で行う１段階処
理方式とがある。

ところで、サイドハウジングの少なくとも摺動面の部分
をＮｉ系合金で形成しこの摺動面に上記アルミパック処
理を施すことにより、上記摺動面にＡｌＮｉの化合物層
を形成し、その摺動特性について研究した結果、次のよ
うな問題が明らかになった。

即ち、ニレジスト鋳鉄製のサイドハウジングに上記従来
のアルミパック処理を施すことにより、サイドハウジン
グの少なくとも摺動面にＡｌＮｉの化合物を形成するこ
とが出来る。

しかし、上記ＡｌＮｉは体心立方の結晶構造を有し、非
常に硬く安定した化合物なので、耐摩耗性・耐蝕性・耐
酸化性の面では申し分ないけれども、非常に硬く固体潤
滑性がないことから、サイドハウジングの摺動面に摺接
するオイルシール、サイドシール、コーナーシール及び
アペックスシールなどのシール類の摩耗が著しく、ガス
シール性を長期に互って良好に保持できず、耐久性に欠
は実用に適さないことが別った。

（発明の目的） 本発明は、上記要請及び課題に鑑みてなされたもので、
長期に互って優れた摺動特性を保持し得る摺動面を備え
たロータリピストンエンジンのサイドハウジングを提供
することを目的とするものである。

（発明の構成） 本発明に係るロータリピストンエンジンのサイドハウジ
ングは、Ａ１合金製ロータハウジングとこのロータハウ
ジングを両側から挟持するサイドハウジングとで形成さ
れた空隙内を、ロータが遊星回転運動するようになって
いるロータリピストンエンジンのサイドハウジングにお
いて、上記サイドハウジングの少なくとも摺動面の部分
をＮｉ含有金属材料で構成し、上記摺動面に　ＡＩＪｉ
ｚとＡｌＮｉの化合物層を形成したものである。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。

ロータリピストンエンジンの基本的構造については、従
来技術の項で第１図及び第２図に基いて説明したものと
同様なので、その説明は省略し本発明を２０−タ型ロー
タリピストンエンジンのサイドハウジングに適用した場
合について第３図〜第６図により説明する。

第３図に示すように、このロータリピストンエンジンの
ハウジングは、２組のロータハウジング１０と、両ロー
クハウジング１０の中間に配置される中間ハウジング１
１と、各ロータハウジング１０の外側に配置されるサイ
ドハウジング１２とから構成され、上記中間ハウジング
１１は中間ハウジング本体１１ａとその両側に夫々重ね
合せて配置されロータハウジング１０内の空隙の側壁を
形成する２枚の板状の摺動部ハウジングｌｌｂとからな
り、各サイドハウジング１２はサイドハウジング本体１
２ａとそのロータハウジング１０側の側面に重ね合せて
配置されロータハウジング１０内の空隙の側壁を形成す
る摺動部ハウジング１２ｂとからなる。

上記各ロータハウジング１０内にロータを組込み、これ
らロータ（図示略）及びハウジングに挿通状に出力軸（
図示略）を組込んだ状態で複数のテンションボルト（図
示略）でハウジングが一体的に組付けられることになる
。

従来のハウジングにおいては、サイドハウジングの摺動
特性を確保するためにサイドハウジング（中間ハウジン
グを含む）を鋳鉄材料で一体物に形成し、その摺動面及
びロータハウジングとの接合面にガス軟窒化処理を施し
ていたが、このようにサイドハウジングを鋳鉄製とする
場合には、エンジンの重量軽減に限界があった。

本実施例のハウジングにおいては、エンジンの重量軽減
のため上記中間ハウジング本体１１ａ及びサイドハウジ
ング本体１２ａがＡ１合金（例えば、ＡＣ８Ａ）で構成
され、各摺動部ハウジングｆｌｂ・１２ｂは厚さ約１０
ｍｍの高合金鋳鉄であるニレジスト鋳鉄（Ｎ　１−Ｒｅ
ｓｉｓｔ鋳鉄）で構成され、各摺動部ハウジングｌｌｂ
・１２ｂの少な（ともロータハウジング１０内空間に臨
む摺動面１３には本願特有のアルミ浸透拡散処理（以下
、低温アルミバンク処理という）によってＡ１３Ｎｉｚ
とＡｌＮｉの化合物層が少なくとも５μ、好ましくは１
０μ以上の厚さに形成されている。この厚さの範囲とし
ては５〜３０μがよく、実用面から見てより好ましくは
５〜１５μである。

尚、ロータハウジング１０は従来と同様Ａ１合金製であ
る。

但し、上記摺動部ハウジングｌｌｂ・１２ｂは上記低温
アルミパック処理によりＡ１３ＮｉｚとＡｌＮｉの化合
物を形成するためにＮｉを含有するニレジスト鋳鉄製と
したのであるが、ニレジスト鋳鉄以外にＮｉを含有して
いる球状黒鉛鋳鉄或いはその他各種の金属材料で構成し
てもよいし、摺動部ハウジングｌｌｂ・１２ｂの少なく
とも摺動面１３にＮｉメッキやＮｉ或いはＮｉ系合金の
溶射によりＮｉ含有層を形成し、このＮｔを含有する摺
動面１３に低温アルミパック処理を施すことによりＡ１
、Ｎｉ、とＡｌＮｉの化合物層を形成してもよい。

更に、中間ハウジング１１及びサイドハウジング１２を
Ａ１合金製の一体部品に構成し、その少なくとも摺動面
にＮｉ或いはＮｉ系合金を溶射してＮｉ含有層を形成し
、このＮｉを含有する摺動　−面に低温アルミパック処
理を施すことによりＡ１．Ｎｉ２とＡｌＮｉの化合物層
を形成してもよい。

更にまた、上記と同様Ａ１合金製の中間ハウジング本体
１１ａやサイドハウジング本体１２ａの摺動面側にＮｉ
含有金属材料製の板状部材を溶接（拡散溶接、電子ビー
ム溶接、レーザービーム溶接など）によって一体的に接
合し、そのＮｉ含有摺動面に低温アルミパック処理を施
してもよい。

要するに、中間ハウジング１１やサイドハウジング１２
の少なくとも摺動面１３の部分がＮｉ含有金属材料で構
成されていれば、そこに低温アルミパック処理を施して
ＡＩＪｉｔとＡｌＮｉの化合物層を形成することが出来
る。

上記中間ハウジング１１及びサイドハウジング１２の摺
動部ハウジングｌｌｂ・１２ｂに用いたニレジスト鋳鉄
及びこれら摺動部ハウジング１１ｂ・１２ｂに用いるの
に適した球状黒鉛鋳鉄は下表の成分のものである。

摺動ハウジングの材料成分（重量％） 次に、上記摺動部ハウジングｌｌｂ・１２ｂの摺動面１
３にＡ１３ＮｉｚとＡｌＮｉの化合物層を形成する本願
特有の低温アルミパック処理について説明す］　　　　
　る・ 上記ニレジスト鋳鉄製の摺動部ハウジング１１ｂ・１２
ｂの少なくと摺動面１３について仕上げ機械加工したも
のを、Ａｌ粉末（３０％）　、１００〜２００メソシユ
のへ１２０３粉末（５４，５〜６２．５％）、ＮＨＪ　
Ｃ１（７〜１５％）及び８０〜２００メツシユのミツシ
ュメタル粉末（０，５％）の混合粉末中に埋設し、Ｎ２
やＮ２やＡｒ等の無酸素雰囲気中で５５０°Ｃにて１．
０時間加熱後冷却する。

上記の低温アルミパック処理によって摺動面１３にＡ１
．Ｎｉ、とＡｌＮｉとが混在する化合物層（約５〜１０
μ）が形成される。

但し、処理時間を長くすれば処理時間に略比例してより
厚い化合物層が得られる。

ここで、第４図は上記処理粉末を用いてニレジスト鋳鉄
にアルミ浸透拡散処理を施す場合における、処理時間と
アルミ浸透拡散層の組成をＥＰＭＡによって解析した解
析結果である。但し、これは処理時間が約１時間の場合
であり、処理時間を長くすれば各曲線がより低温側へ移
行するものと　　　　′推定される。

この第４図から判るように、約５５０℃以上になるとＡ
１の浸透によってＡｌ３Ｎｉ、及びＡｌＮｉが急増して
いくが、約６５０℃以上になると、Ａ１３Ｎｉｚが少し
ずつ減少していくのに対してＡｌＮｉは増加し続け、約
８５０℃以上になるとＡｌ３Ｎｉ２は殆ど消滅するのに
対しＡｌＮｉはＡＩの拡散によって更に増加していぐ。

従来のアルミ浸透拡散処理は、約９００〜１０００℃も
の高温で処理することにより体心立方晶の耐酸化性・耐
蝕性・耐摩耗性に優れたＡｌＮｉの形成を主眼とするも
のであった。

本願発明の発明者等は、ＡｌＮｉが体心立方晶の結晶構
造を有するが故に耐熱性・耐摩耗性・耐蝕性に優れてい
ること、またＡ１３Ｎｉｚが稠密六方晶の結晶構造を有
するが故に剪断変形し易く固体潤滑性に優れていること
に着目し、第４図の解析結果に鑑み約７５０℃以下の低
温でアルミパック処理することによりニレジスト鋳鉄製
摺動部ハウジング１１ｂ−１２ｂの摺動面１３に八ｈＮ
ｉｚとＡｌＮｉの化合物層を形成する低温アルミパック
処理技術を確立した。

即ち、ニレジスト鋳鉄製摺動部ハウジング１１ｂ・１２
ｂに低温アルミパック処理を施す場合の処理温度は、処
理時間とも関係するが約５５０〜６５０℃の範囲にする
のが最も望ましく、少なくとも約７５０℃以下にする必
要がある。

これは、上記ニレジスト鋳鉄のように鋳鉄系の母材に処
理を施す場合、処理温度が約７５０℃以上になると非常
に脆い化合物層になるため実用に耐えないものとなるか
らである。

次に、本実施例のハウジングと従来のハウジングについ
て緒特性を比較する。

−ハウジング重量について− 従来の鋳鉄製の中間ハウジング及びサイドハウジングの
重量は３４．３ｋｇであるのに対して、本実施例の中間
ハウジング１１及びサイドハウジング１２の重量にレジ
スト鋳鉄製の各摺動部ハウジングｌｌｂ・１２ｂの厚さ
を１０龍とした場合）は約２０．１ｋｇとなる。つまり
、本実施例のハウジングでは約１４ｋｇの重量軽減が実
現されることになる。

−熱膨張係数について− （尚、上記サイドハウジングは中間ハウジングをを含む
） 上記のように、本実施例の中間ハウジング１１及びサイ
ドハウジング１２はロータハウジング１０と略同じ熱膨
張係数を有しているのでロータハウジング１０との接合
面のシール性が改善される。

−摺動特性について− 従来の鋳鉄製サイドハウジングの摺動面にガス軟窒化処
理したものと本実施例のニレジスト鋳鉄製サイドハウジ
ングｌｌｂ・１２ｂの摺動面１３に低温アルミバック処
理したものとについて、各シール類との組合せで摺動試
験を行ない下表のような結果が得られた。

尚、本案テストでは、オイルシールとコーナーシールに
ついて従来のものと異なる材質のものを用いたが、本案
テストのものはより耐摩耗性の低いものである。

上記摺動試験は下表の条件下に行ったものである。

上記摺動試験において、オイルシールについては第５図
に示すように、オイルシール１４に対してサイドハウジ
ング１２を回転させて実施し、コーナーシール・サイド
シール・アペックスシールについては第６図に示すよう
にサイドハウジング１２に対してこれらシール類１５を
回転させて実施した。

上記摺動試験結果から明らかなように、本実施例の摺動
部ハウジングｌｌｂ・１２ｂにおけるＡｌ　：＋Ｎｉ　
ｚとＡｌＮｉの化合物層を有する摺動面１３は、従来の
ものに比較し極めて優秀な摺動特性を発揮するものであ
る。

尚、第７図及び第８図は夫々上記摺動部ハウジングｌｌ
ｂ・１２ｂに用いたニレジスト鋳鉄の表面に低温アルミ
パック処理によってＡｌ５ＮｉｚとＡｌＮｉの化合物層
を形成したものの金属Ｎｉ織の断面の１００倍及び４０
０倍電子顕微鏡写真を示すものである。

第８図の上段付近に薄い白色層状に示されているものが
厚さ約５〜１０μのＡ１３ＮｉｚとＡｌＮｉの化合物層
であり、その表面には微細な凹凸が見られ、ここに保持
される潤滑油も潤滑性に大きく寄与するものと推定され
る。

以上説明したように、ニレジスト鋳鉄製の摺動部ハウジ
ングＩｌｂ・１２ｂの摺動面に形成されたＡｌ３Ｎｉ２
とＡｌＮｉの化合物層においては、稠密六方晶で剪断変
形し易く固定潤滑性に優れるＡ１３Ｎｉｚと体心立方晶
で硬く耐摩耗性・耐蝕性・耐熱性に優れるＡｌＮｉとが
略均−に分布し、ＡｌＮｉの耐摩耗性によって摺動部ハ
ウジング側摺動面の摩耗が防止される一方、Ａ１３Ｎｉ
ｚの固定潤滑性によってシール類の摩耗が防止され、極
めて優れた摺動特性を発揮することになる。

上記実施例に係るサイドハウジング１１・１２（但し、
中間ハウジングも含む）によれば、サイドハウジング１
１・１２の重量を大幅に軽減でき、サイドハウジング１
１・１２及びシール類の耐摩耗性を高め、且つシール類
とサイドハウジング１１・１２との間の摩擦抵抗を軽減
することが出来ること、ニレジスト鋳鉄製の摺動部ハウ
ジング１１ｂ・１２ｂはＡ１合金製ロータハウジング１
０と同等の熱膨張率を備えているので両者の接合面のシ
ール性を高めることが出来ること、ＡＩＪｉｚとＡｌＮ
ｉの化合物層は耐蝕性に優れるので燃料性状が異なって
も適用できること、摺動特性が改善されるので非常に高
価なオイルシールに低質安価な材料を用いることが出来
ること、などの効果が得られる。

（発明の効果） 本発明に係るロータリピストンエンジンのサイドハウジ
ング（但し中間ハウジングも含む）においては、以上説
明したようにサイドハウジングの少なくとも摺動面にＡ
１．Ｎｉ、とＡｌＮｉの化合物層を形成するので、Ａｌ
５Ｎｉｚによって固体潤滑性を高め且つＡｌＮｉによっ
て耐摩耗性・耐蝕性を高め、総合的に極めて優れた摺動
特性を有する摺動面が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はロータリピストンエンジンの要部縦断正面図、
第２図は第１図ｎ−ｎ線端面図、第３図は本発明の実施
例に係るハウジングの分解斜視図、第４図はニレジスト
鋳鉄にアルミ浸透拡散処理する際の処理温度と各成分の
Ｘ線強度比との関係を示す線図、第５図はオイルシール
の摺動試験装置の要部縦断面図、第６図はサイドシール
・コーナーシール・アベ・ノクスシールの摺動試験装置
の要部縦断面図、第７１Ｆ’　　　　８図は夫々ニレジ
スト鋳鉄にＡｌ３Ｎｉ２と組　　　　物層を形成した金
属組織の断面を示す図である。 １０・・ロータハウジング、　　１１・・中間ハウジン
グ、　　ｌｌａ・・中間ハウジング本体、１１ｂ・・摺
動部ハウジング、　　１２・・サイドハウジング、　　
１２ａ・・サイドハウジング本体、１２ｂ・・摺動部ハ
ウジング、　　１３・・摺動面。 特　許　出　願　人　　マツダ株式会社第７図 第８図 ■」 第４図 第５図　　　　　第６図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）Ａｌ合金製ロータハウジングとこのロータハウジ
   ングを両側から挟持するサイドハウジングとで形成され
   た空隙内を、ロータが遊星回転運動するようになってい
   るロータリピストンエンジンのサイドハウジングにおい
   て、 上記サイドハウジングの少なくとも摺動面の部分をＮｉ
   含有金属材料で構成し、上記摺動面にＡｌ＿３Ｎｉ＿２
   とＡｌＮｉの化合物層を形成したことを特徴とするロー
   タリピストンエンジンのサイドハウジング。