JPS6213221B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、向き変更操作可能な左右車輪を駆動
する差動装置を、デフロツク状態に切換可能に設
けた農作業車の走行装置に関する。

かかる走行装置において、例えば枕地での急旋
回を行なう際に、一体回転する左右車輪にて充分
な推進力な得ながら湿田においても良好な旋回を
行なうことができるように、差動装置をデフロツ
ク状態に切換ることが望まれる。

しかし、従来一般に、差動装置をデフロツク状
態とデフロツク解除状態とに切換えるに、手動レ
バーあるいは足踏みペダルを設けて、適時切換操
作させるようにしているが、操作が煩しく面倒と
なるばかりでなく、未熟練者等では適切な操作を
行ない難いものであつた。

かかる不都合を解消すべく、特開昭56−167564
号公報で開示されているように、左右車輪が直進
用位置から設定範囲以上向き変更された時におい
てのみ差動装置をデフロツク状態に切換えるよう
に、左右車輪の向き変更操作に伴つて自動的に差
動装置をデフロツク状態とデフロツク解除状態と
に切換える手段が提案されている。

しかし、上記手段によれば、旋回の終期におい
て左右車輪を直進用位置側へ復帰操作する際にお
いても、差動装置が不必要にデフロツク状態に維
持されることになり、圃場の泥を不必要に乱して
しまう不都合があつた。つまり、急旋回時におい
て差動装置をデフロツク状態に切換えると、一体
回転する左右車輪のうち旋回側の車輪がスリツプ
を起すことは否めないものであり、そして、その
スリツプ状態を極力避けた方が圃場の泥乱れを抑
制できるものとなるにも拘らず、上記手段によれ
ば、大きな推進力を要しない、あるいは、推進力
の低下を生じても特に問題とならない旋回終期に
おいても必要以上に長くデフロツク状態に維持す
るものとなつて、泥乱れを起し易いものとなつて
いた。

本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであ
つて、その目的は、急旋回を操作性の良い状態で
行なえる利点を活しながらも、泥乱れを極力抑制
できるようにする点にある。

本発明の特徴構成は、冒記農作業車の走行装置
において、前記左右車輪を最大向き変更位置側に
向き変更する時において第１設定位置を越えた範
囲内で前記差動装置をデフロツク状態に切換え、
且つ、前記左右車輪を直進用位置側へ向き変更す
る時において前記第１設定位置よりも最大向き変
更位置側の第２設定位置を越えた範囲内で前記差
動装置をデフロツク解除状態に切換えるように、
前記左右車輪の向き変更操作に伴つて自動的に前
記差動装置をデフロツク状態とデフロツク解除状
態とに切換操作する機構を設けた点にある。

次に、本発明特徴構成による作用効果を述べ
る。

すなわち、左右車輪の向き変更操作に伴つて自
動的に差動装置をデフロツク状態とデフロツク解
除状態とに切換えるようにすることによつて、差
動装置に対する特別な操作を要しない操作性の良
い状態で急旋回を良好に行なわせることができる
のである。そして、特に本発明によれば、左右車
輪を直進用位置側へ向き変更する時において差動
装置をデフロツク解除状態に切換えるに、第２設
定位置を第１設定位置よりも最大向き変更位置側
にしてあるから、旋回終期において左右車輪を直
進用位置に復帰操作するに伴つて極力早くデフロ
ツク解除状態にすることができるものとなつて、
圃場の泥を乱すことを極力抑制することができる
のである。もつて、急旋回を泥乱れを極力抑制し
ながら良好に行なわせることができる実用上の利
点大な農作業車の走行装置を得るに至つた。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、左右一対の操向用駆動前
輪１，１、及び、左右一対の駆動後輪２，２を備
えると共に、前車輪１，１を向き変更操作するス
テアリングハンドル３、及び、運転席４を設けて
走行車体を構成し、そして、その車体の後部に、
苗植付装置５を油圧シリンダ６によつて昇降操作
自在に連結し、もつて、乗用型田植機を構成して
ある。

前記走行車体の前部に搭載したエンジン７の出
力を前後車輪１，２に伝達するに、第２図に示す
ように、エンジン７と前輪駆動ケースを兼ねたミ
ツシヨンケース８との間に亘つて巻回させた伝動
比の異なる２本の伝動ベルト９ａ，９ｂを択一的
に緊張操作する揺動レバー１０（第１図参照）を
設けて、副変速を行なえるように構成すると共
に、前記伝動ベルト９ａ，９ｂの夫々に対するテ
ンシヨンアーム１１ａ，１１ｂをベルト離間側へ
揺動操作する主クラツチペダル１２を、左足で踏
込み操作可能に設けて、車輪駆動及び苗植付装置
駆動を一挙に断続することができるように構成し
てある。そして、前記ミツシヨンケース８内に、
前輪用差動装置１４、及び、その差動装置１４を
デフロツク状態に切換えるための咬合式デフロツ
ク片１４ａを設けてある。又、前記ミツシヨンケ
ース８からの動力を後輪駆動用ケース１５内の入
力ベベルギヤ１５Ａに伝動する軸１６を設けると
共に、後輪用駆動ケース１５内に、左右後車輪
２，２の駆動を可動クラツチ片１７ａ，１７ａの
摺動によつて各別に断続する操向クラツチ１７，
１７、及び、左右後車輪２，２に対して各別作用
する多板式操向ブレーキ１８，１８を設けてあ
る。

前記左右操向クラツチ１７，１７夫々に、右足
にて操作する足踏みペダル２２を連動連結し、左
右ペダル２２，２２に対する選択的な操作によつ
て左右後車輪２，２のいずれか一方の駆動を停止
させ、ハンドル３による操向操作との協働により
田圃端部での回向等を良好に行えるように構成し
てある。又、前記左右多板式ブレーキ１８，１８
夫々の操作片１８ａと、前記操向クラツチ１７，
１７夫々の可動クラツチ片１７ａとをスリーブ２
３を介して連動連結し、前記ペダル２２，２２
夫々の一段目の踏み込み操作によつてクラツチ１
７，１７が切り操作され、ペダル２２，２２を更
に踏み込むことによりブレーキ１８，１８を働か
せ、左右後車輪２，２の回転を迅速に停止させる
ように構成してある。

左右ペダル２２，２２の一方に揺動自在に連結
片２４を設け、他方に、前記連結片２４を係脱自
在に係止する係止部２５を設け、その連結によ
り、路上走行時等の高速走行時において、ペダル
２２，２２の一方に対する踏み込み操作により、
両ペダル２２，２２を同時操作し、左右後車輪
２，２の駆動を同時に停止して、不測に旋回する
事無く、走行を安全かつ迅速に停止させられるよ
うに構成してある。

第２図及び第３図に示すように、左右前輪１，
１夫々のナツクルアーム２６，２６を、ピツトマ
ンアーム２７に、左右一対のドラツグリンク２８
を介して連動連結して、ハンドル３の回転により
左右前輪１を向き変更操作できるように構成して
ある。そして、前記デフロツク片１４ａをデフロ
ツク解除側へ付勢すると共に、デフロツク片１４
ａをデフロツク側へ操作する電磁操作式のプツシ
ユロツド２９を設ける一方、前記ピツトマンアー
ム２７の揺動位置を左右前輪１，１の向き変更位
置として検出するポテンシヨメータ３０、左右前
輪１を左方及び右方の最大向き変更位置側へ向き
変更する時において差動装置１４をデフロツク状
態に切換えるための第１設定位置θ_１を設定する
第１設定器３１、及び、左右前輪１を直進用位置
側へ向き変更する時において差動装置１４をデフ
ロツク解除状態に切換えるための第２設定位置θ
_２を第１設定位置θ_１よりも最大向き変更位置側
に設定する第２設定器３２を夫々設けると共に、
それら装置３０，３１，３２の情報に基づいて、
前記プツシユロツド２９の電磁操作部２９Ａを自
動的に通電操作する制御回路３３を設け、もつ
て、左右前輪１，１を最大向き変更位置側に向き
変更する時において第１設定位置θ_１を越えた範
囲内で前記差動装置１４をデフロツク状態に切換
え、且つ、前記左右前輪１，１を直進用位置側へ
向き変更する時において前記第１設定位置θ_１よ
りも最大向き変更位置側の第２設定位置を越えた
範囲内で前記差動装置１４をデフロツク解除状態
に切換えるように、前記左右前輪１，１の向き変
更操作に伴つて自動的に前記差動装置１４をデフ
ロツク状態とデフロツク解除状態とに切換操作で
きるように構成してある。

要するに、左右前輪１，１を大きく向き変更さ
せて急旋回を行なうに際して、左右前輪１，１を
一体回転させて充分な推進力を得ることができる
ようにし、しかも、旋回終期において極力早くデ
フロツク解除状態に切換えて、圃場の泥を乱すこ
とを抑制することができるようにしてある。

前記制御回路３３について説明すれば、前記ポ
テンシヨメータ３０からの信号を微分して前輪１
の向き変更方向を判別する微分回路３４、前輪１
の向き変更が一時的に停止された時にそれ以前の
向き変更方向を記憶させるためのフリツプフロツ
プ回路３５、前輪１の位置が第１設定器３１の設
定値θ_１に達したことを検出する第１比較器３
６、及び、前輪１の位置が第２設定器３１の設定
値に達したことを検出する第２比較器３７を設け
ると共に、それら装置３５，３６，３７の情報に
基づいて、通電操作用トランジスタ３８を操作す
るアンド回路３９及びオア回路４０を設けてあ
る。

本発明は、前後車輪１，２のうちの一方のみを
差動装置１４を用いて駆動する形態のものや、前
後車輪１，２をともに差動装置１４を用いて駆動
する形態のものにも適用できる。

そして、差動装置自動切換操作機構を構成する
に、電気制御式の他、カム等を用いて機械式で構
成する等、その具体構造は各種変更でき、又、第
１設定位置θ_１や第２設定位置θ_２の位置も各種
変更できる。

又、本発明は、乗用型田植機の他、農用トラク
タや農用運搬車等、各種農作業車に適用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る農作業車の走行装置の実施
例を例示し、第１図は乗用型田植機の側面図、第
２図は走行用伝動構造の概略平面図、第３図は電
気回路図である。 １……車輪、１４……差動装置、θ_１……第１
設定位置、θ_２……第２設定位置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 向き変更操作可能な左右車輪１，１を駆動す
   る差動装置１４を、デフロツク状態に切換可能に
   設けた農作業車の走行装置であつて、前記左右車
   輪１，１を最大向き変更位置側に向き変更する時
   において第１設定位置θ_１を越えた範囲内で前記
   差動装置１４をデフロツク状態に切換え、且つ、
   前記左右車輪１，１を直進用位置側へ向き変更す
   る時において前記第１設定位置θ_１よりも最大向
   き変更位置側の第２設定位置θ_２を越えた範囲内
   で前記差動装置１４をデフロツク解除状態に切換
   えるように、前記左右車輪１，１の向き変更操作
   に伴つて自動的に前記差動装置１４をデフロツク
   状態とデフロツク解除状態とに切換操作する機構
   を設けてあることを特徴とする農作業車の走行装
   置。