JPS6213101Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、竪型ピアノにおける弦受構造、特
にバスベアリングの改良に関する。

従来の竪型ピアノは、第１図に示すようにフレ
ーム１の両端にチユーニングピン２及びヒツチピ
ン３を設け、この各ピン２，３相互間に弦４を弦
受山５に乗せて夫々張設する構造をなし、低音弦
におけるこの弦受山５をバスベアリングと呼んで
中・高音弦のそれとは区別している。この弦受山
５は、チユーニングピン２を植設したフレーム１
上に一体に形成されて、有効振動弦長と打弦高さ
を決め、弦受山頂上部５ａに植設したバスピン６
によつて弦割りを決めてなるが、弦受山５は機能
上精度を要する個所となるため、鋳造時には多少
大き目の寸法で形成した後、別加工が行なわれ
る。即ち、鋳造による収縮は必ずしも一様ではな
いので、打弦高さを決定するためと、弦振動をこ
の弦受山５によつて規制するためにはその断面形
状を鋭角な山形に形成する必要があり、更に、鋳
造による地肌は荒れているので、張弦時に弦４表
面に傷を生じ断線の原因ともなるため、「刃す
り」と呼ばれる作業を行なわなければならない欠
点があつた。また、削つたまゝでは表面が腐蝕す
るため、防錆剤等を塗布する必要があつた。

また、第２図に示すように弦４は弦受山頂上部
５ａとバスピン６との２個所に接触して張弦され
ているが打弦時の弦振動は必ずしも一方向のみの
振動を生じなく複雑な振動をするので、この接触
点でビリツキを生じる恐れがあり、弦との接触を
確保するためバスピン６を弦側に折り曲げる必要
があつた。

この考案は、上記の欠点を無くすべく改良され
たものであり、以下図面参照の上説明すれば、第
３図に示すようにフレーム１の上面に弦４の打弦
高さより低い補助弦受山５′をフレーム１と一体
に形成し、この弦受山頂上部５′ａにはバスピン
６を植設し、補助弦受山５′の前方（チユーニン
グピン２側とは反対方向のヒツチピン３側）にフ
レーム１より硬い材質からなり、かつ補助弦受山
５′より背丈の高い別部材の弦受枕７を取着した
ことを特徴とする。

弦受枕７は第４図、第５図に示すように、弦受
部７ａが曲面で底部に向つて末広がりの断面略台
形で所要打弦高さに形成し低音部全体に渡る長さ
に別加工してなる。また、この弦受枕７をフレー
ム１に取着するために弦受部７ａより底部に貫通
する締結孔８を複数個穿設してある。

この考案は以上のように構成してなるので、上
記弦受枕７をフレーム１にビス等で取着すれば、
弦４は弦受枕７により有効振動弦長と打弦高さが
正確に確保されると共に、弦４との接点は弦受部
７ａの１点のみであつて打弦振動によるピリツキ
の発生が生じない。また、この弦受枕７後方にバ
スピン６を植設した補助弦受山５′は弦割りのみ
の機能を与えるだけでよく、弦４との接触を確保
する必要も無いのでこの補助弦受山５′に植設し
たバスピン６を折り曲げる作業を必要としない。

そして、この弦受枕７は別加工してなるのでそ
の表面をメツキ等の防錆処理が容易に行なえ、防
錆剤等の塗布の必要がなく、美的感覚に優れた物
を提供できる。

なお、以上ではバスベアリングについて説明し
たが、中高音部における弦受山にも利用できるこ
とは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の堅型ピアノにおける弦支持構造
を示す縦断面図、第２図はその拡大詳細図、第３
図は本考案の弦受構造を示す縦断面図、第４図は
本考案の弦受枕の断面図、第５図は本考案の弦受
枕の斜視図。 １……フレーム、２……チユーニングピン、３
……ヒツチピン、４……弦、５……弦受山、５ａ
……弦受山頂上部、５′……補助弦受山、５′ａ…
…補助弦受山頂上部、６……バスピン、７……弦
受枕、７ａ……弦受部、８……締結孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フレームと一体に鋳造され頂上部に弦割り用の
   ピンを植設した補助弦受山の前方に、前記フレー
   ムより硬い材質からなり、かつ前記補助弦受山よ
   り背丈の高い弦受部を取着したことを特徴とする
   竪型ピアノにおける弦受構造。