JPS6212742B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明の目的は回転電機に係り、特に直流電動
機の絶縁保護を確実にしたリアクタンス均圧化電
機子巻線に関するものである。

従来の直流機の電機子は電機子鉄心に多数の直
線状のスロツトを設け、これらスロツトの各々に
上コイル及び下コイルから成る電機子巻線を巻装
している。そして、上コイル用整流子片及び下コ
イル用整流子片に、それぞれ１〜５程度のコイル
辺が接続される。

しかし、１スロツト内に複数本のコイル辺が挿
入されている場合、各整流コイルが有するリアク
タンスを均一化するために、コイル辺の数の整数
倍に回転子鉄心に設けられるスロツトを軸方向に
区分すると共に、区分されたスロツトの周方向位
置を、円周をコイル辺の数で割つたピツチずつ、
ずらし、コイル辺がスロツトの各区分内の異る位
置を通るように電機子巻線を巻装する方法があ
る。

この場合、コイル辺がスロツトの各区分内の異
る位置を通過するようにするためには、コイルを
曲折させなければならない。

一般に回転電機は負荷状態に応じて温度が変化
するので、その温度変化につれて巻線の導体が伸
縮する。この導体の伸縮は、前述のコイル辺の曲
折部と鉄心のスロツト壁端との滑りが円滑でない
ため、曲折部のコイル導体に応力を集中させ、コ
イルの曲折部の欠損を招いたり、絶縁損傷を生じ
させる欠点となつている。

本発明の目的は、コイル辺の曲折部の疲労破壊
が起きにくく絶縁耐力が向上した信頼性の高いリ
アクタンス均圧化電機子巻線を提供するにある。

本発明により上記の目的は、軸方向に一定の間
隙をおいて区分された電機子鉄心の前記間隙を挾
んで対向する両端部に、電機子鉄心横断面と同一
形状の弾性を有する端板を、その間にスペーサを
挾んで設け、コイル辺曲折部を前記端板で保護す
ることにより達成される。

以下、本発明に係るリアクタンス均圧化電機子
巻線の実施例を図面に従つて詳説する。

第１図は本発明の第１の実施例であるリアクタ
ンス均圧化電機子巻線を示している。

支持枠１２の内周面に中空状の界磁巻線１４が
巻装された界磁鉄心１６が固定されている。この
界磁鉄心１６の中空部にはシヤフト１８に固定さ
れた電機子２０が挿入されている。シヤフト１８
は、支持枠１２の開口部に取付けられたエンドブ
ラケツト２２の中央固定された軸受２４によつて
支承されている。

電機子２０は、軸方向に間隙ｌを介して２つの
電機子鉄心２６，２８を有している。この電機子
鉄心２６，２８の互いに向き合う端面には適度な
弾性を有する絶縁性材あるいは汎用電気絶縁材よ
り成る絶縁端板３０が取付けてある。この絶縁端
板３０の間には所定の厚みを有するスペーサ３２
が挿入されている。これら絶縁端板３０及びスペ
ーサ３２にはキー等を用いてシヤフト１８に嵌合
されている。

なお、適度な弾性を有する絶縁端板には合成ワ
ツクス材（例えば、ゴム、シリコーン樹脂材
等）、ビニロン、テトロン、ポリエステル材、ま
たは６フツ化エチレン材等がある。また汎用電機
材にはアスペスト材、マイカ材、フエノール材等
による製品がある。

電機子鉄心２６，２８は電機子巻線を構成する
コイル辺数に応じて、スロツトピツチをコイル辺
数で除した値で決まる距離だけ周方向のテイース
位置にずれを与えている。このため前記絶縁端板
３０もそれぞれ電機子鉄心２６，２８に対応して
位置をずらして設置してある。

電機子鉄心２６，２８の外周面にはスロツトが
設けられ、このスロツトに電機子巻線３４が巻装
されている。この電機子巻線３４はシヤフト１８
に固定された整流子３６に接続されている。この
整流子３６にはブラシ保持器３８に支持されたブ
ラシ４０が摺動接触している。

第２，３図は電機子鉄心内に装着された電機子
巻線を示したものである。

電機子鉄心外周面には、テイース４２に囲まれ
たスロツト４４が形成されている。このスロツト
４４には、側，側それぞれに電機子巻線３４
が区別されて配列されている。

電機子鉄心スロツト４４Ａに装着されているコ
イル辺４６、コイル辺４８は、スロツト４４
B₁、スロツト４４B₂に符号５０，５２で示され
る部分が左，右に曲がつて侵入していく。他のコ
イル辺も同様に上記のような曲折部を有してい
る。

第４図は絶縁端板とスペーサの詳細を示すもの
である。

絶縁端板３０の外周には、電機子鉄心２６，２
８に設けられたテイース４２とスロツト４４の横
断面形状と同一の切欠き部５４が形成されてい
る。この切欠き部５４の周囲はコイル辺が接触す
るので丸味を設けてあり、中央にはシヤフト１８
が貫通する孔５６が設けてある。絶縁端板３０に
挾まれるスペーサ３２はその直径が絶縁端板３０
の切欠き部５４の底面までの直径と一致してい
て、中央にシヤフト１８が貫通する穴５８を有し
ている。

この絶縁端板３０の切欠き部５４によつて、第
３図のコイル辺４６，４８等の曲折部５０，５２
が支持される。

本実施例によれば、電機子巻線３４を流れる電
流の変化で巻線の温度が変化するとコイル辺に熱
伸縮が生じ、この歪みはコイル辺の曲折部分の曲
げ応力となつて現われる。しかし、適度の弾性を
有する絶縁端板３０により、例えばコイル辺４６
の曲折部５０が支持されているように、他のコイ
ル辺の全ての曲折部が支持されているので曲折部
がスムーズに絶縁端板と接触摺動し、曲折部へ応
力が集中することを防止している。このため、コ
イル辺の曲折部への応力集中のための疲労による
導体の破壊を防止する効果がある。

また、コイル辺の曲折部の絶縁が剥がれても、
絶縁端板３０により支持されているため直接電機
子鉄心２６，２８に接触して、直ちに絶縁不良等
の事故が起きることを防止する効果がある。

従つて以上の諸効果により電機子の信頼性を向
上させる効果がある。

第５図は本発明に係る第２の実施例の要部を示
すものである。但し第１の実施例と同様あるいは
同一構成部分は同一符号を用いて示してある。

電機子鉄心に軸方向に貫通する冷却孔を複数個
設ける。（図示せず）更に、絶縁端板３０の、前
記電機子鉄心に設けられた冷却孔に対応する部分
に冷却穴６０が設けられている。

スペーサ３２には、絶縁端板３０の冷却孔６０
に対応する部分に、径方向に冷却風溝６２が設け
てある。他の構成は第１の実施例と同一である。

本実施例は以上のように構成されているため、
第１の実施例同様の効果を有するが、特に、スペ
ーサ３２の冷却風溝６２のフアン作用により、電
機子鉄心の内部積厚方向（軸方向）を冷却風が通
るので、電機子の冷却効率が一段と向上する効果
がある。

なお、絶縁端板とスペーサをモルト樹脂等で一
体的に形成することはもちろん可能である。

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、電機子巻線の曲折部を適度な弾性を有する絶
縁端板で支持し保護することにより、コイル辺曲
接部の疲労破壊が起きにくく、絶縁耐力が向上し
た信頼性の高いリアクタンス均圧化電機子巻線を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るリアクタンス均一化電機
子の第１の実施例を示す部分縦断側面図、第２図
は第１図の電機子巻線の装着状態を示す横断面
図、第３図は第１図の電機子外周に装着された電
機子巻線配置を示す外略図、第４図は第１図の絶
縁端板及びスペーサの詳細を示す斜視図、第５図
は本発明に係るリアクタンス均一化電機子の第２
の実施例の要部を示す斜視図。 １２……支持枠、１４……界磁巻線、１６……
界磁鉄心、１８……シヤフト、２０……電機子、
２２……エンドブラケツト、２４……軸受、２
６，２８……電機子鉄心、３０……絶縁端板、３
２……スペーサ、３４……電機子巻線、３６……
整流子、３８……ブラシ保持器、４０……ブラ
シ、４２……テイース、４４……スロツト、４
６，４８……コイル片、５０，５２……コイル辺
曲折部、５４……切欠き部、５６，５８……穴、
６０……冷却孔、６２……冷却風溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電機子を構成する回転子鉄心をコイル辺数の
   整数倍に軸方向に分割し、各回転子鉄心に複数の
   スロツトを形成するとともに各スロツトの周方向
   ピツチを各鉄心ごとに互いにずらせて配置し、前
   記コイル辺が分割されたスロツトの異る位置を通
   過するように電機子巻線を巻装したリアクタンス
   均圧化電機子巻線において、前記軸方向に分割さ
   れた回転子鉄心の間隙を挾む両端部に、スペーサ
   を介して、所定の弾性を有する絶縁端板を設けた
   ことを特徴とするリアクタンス均圧化電機子巻
   線。 ２ 電機子鉄心に冷却風が通る孔を設け、この開
   口の位置に対応して絶縁端板に冷却孔を設け、ス
   ペーサには冷却風溝を設けたことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載のリアクタンス均圧化電
   機子巻線。 ３ 絶縁端板とスペーサとを電気絶縁部材で一体
   的に形成したことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項または第２項記載のリアクタンス均圧化電機
   子巻線。