JPS6210128Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、平版校正機に関し、特に多色印刷に
おける各色版の正しい見当合せを得るための印刷
版の装置位置決め装置に関する。

［従来技術と解決すべき問題点］ 一般に平版校正機を用いて多色印刷を行う場
合、印刷物の見当合せの手法としては、第１色の
印刷画像に第２色の画像を刷り重ねた結果によ
り、整合不良の場合は、被印刷紙の装着位置を調
節して正しく見当の合つた印刷物を得るという試
行錯誤的な方法がとられている。しかし、かかる
方法は、印刷用紙と労力のムダを生ずるため、印
刷版の装着時に各色の版を同一の位置関係をもつ
て装着するようにして、最初から見当の合つた印
刷物が得られるようにすることが望ましいことは
云うまでもない。

特に最近では、一工程で２色以上の多色印刷を
行う多色平版校正機が実用化されており、これは
たとえば第１図示のように、フレーム１に所要数
の版定盤２，３と１個の紙定盤４を列設し、一
方、キヤリージ５には、版定盤と同数個のブラン
ケツト胴６，７を備えて、キヤリージ５の１回の
走行により、複数色の画像を印刷するものである
が、かかる多色機においては、複数個の版定盤
２，３に装着した印刷版が、それぞれの対応する
ブランケツト胴６，７に対して、相対的に同一位
置に整合して装着される必要がある。すなわち、
かかる機種においては、複数色の印刷版の装着位
置が相対的に一致していなければ、それらの間で
見当ずれを生じ、これは印刷紙の位置の調節をも
つてしては球済できないからである。

本考案は、かかる多色平版校正機における複数
個の印刷版の装着位置を定めるための装置に関す
る。

［問題を解決するための手段］ 複数個の版定盤の配置ピツチを、ブランケツト
胴転動用ラツクの歯ピツチの整数倍に設定してお
き、ラツクの歯列の所要個所に載置することによ
り各版定盤に対して相対的に同一位置を占める位
置決め装置を、各版定盤上に逐次載置し、該位置
決め装置に、版定盤面に添つて前後左右に移動可
能で、かつ、任意の位置に固定できる顕微鏡等の
レジスターマーク検視用光学装置を、少なくとも
一対付設し、各版定盤に装着した印刷版を、それ
に表示したレジスターマークが、それぞれの光学
装置の視野内で同一位置を占めるように、印刷版
の装置位置を調節することにより、各印刷版の対
応版定盤に対する装着位置を、相対的に同一位置
に整合させる。

［作用］ 光学装置を位置決め装置の枠体に対して固定し
て、各印刷版のレジスターマークを光学装置の視
野内の同一位置に整合させることにより、各印刷
版の相対的な装着位置を同一に整合させ、見当の
合つた多色印刷物を容易に得ることができる。

［実施例］ 第２図は、本考案の１実施例装置を多色平版校
正機に装置した状態を示す平面図、第３図は、同
じく側面図である。両図において、１は校正機の
フレーム、２は複数個の版定盤のうちの１個を示
す。

フレーム１のキヤリージ走行方向に添つた両縁
部に、一対の「はすば」ラツク１８が立設され、
ブランケツト胴に付設した歯車がこれに係合し
て、キヤリージの走行に際して、ブランケツト胴
と各定盤に装着した印刷版又は印刷紙の面との間
に滑りを生ぜず、完全な転動状態を確保するよう
にしてある。

版定盤２に隣接してピンバー１５を設置し、こ
れに適数個のレジスターピン１６を装着する。レ
ジスターピン１６は、第４図示のように円板状の
座３１に、所要直径のピン３２を偏心させて立設
したもので、ピンバー１５側に形成した凹孔に座
３１を嵌着し、ピン３２のみが版定盤２の上面に
突出するように装着する。

印刷版装着に際しては、第２図示のように印刷
版１７の縁端部に加工した孔をピン３２に嵌着
し、図示しない版くわえ装置にピンバー１５側の
印刷版の縁端部を保持させ、印刷版をほぼ所要位
置に装着した後、ピン３２の頭部に形成した溝３
３にドライバーを当てて回転させ、ピン３２の位
置を微動させて、印刷版の装着位置を調節する。
図示実施例では、レジスターピン１６を３個使用
し、印刷版１７の３個の孔をそれぞれ長孔とし
て、かつ、中央の１個と左右の２個とで孔の方向
を変えて、上記位置調節が容易に行い得るように
してある。

版定盤２の上方所要個所に、印刷版の位置決め
装置を載置する。これは、第２、第３両図示のよ
うに、多色用平版校正機のフレーム上面に着脱可
能に装着できる枠体に、２個の顕微鏡を前後左右
に移動可能で、かつ、所要位置に固定し得るよう
に支持したもので、これらの顕微鏡をもつて印刷
版に付設したレジスターマークを検視し、それが
所定位置に整合するように、各レジスターピンを
調節することにより、位置決めをするものであ
る。位置決め装置の構成を図示実施例に基いて詳
説すると、一対のガイド棒２１で連接した一対の
サドル１９の下面には、ラツク１８と同一ピツチ
の短いラツク２０（歯数10枚程度）が固着してあ
り、これをラツク１８に係合させることにより、
枠体を定位置に装着する。第２図示のように、ラ
ツク１８は、左右の歯列が互いに逆方向に傾斜し
た「はすば」であるため、サドル１９の下面のラ
ツク２０をこれらに係合させれば、枠体の装着位
置は固定される。

さらに、複数個の版定盤２，３のそれぞれにつ
いて、枠体を同一の関係位置に装着するために、
版定盤間のピツチをラツク１８の歯列ピツチの整
数倍に設定し、かつ、各版定盤に対して相対的に
同一の位置にあるラツク歯に合印を付しておく。

一対のガイド棒２１には、それぞれ一対の摺動
台２２を摺動可能に装着し、各一対のガイド棒２
１を持つて連接して、２組の摺動架を構成する。
摺動台２２には、摺動架を所要位置に固定するた
めの止めネジ２４を付設してある。

各摺動架の一対のガイド棒２３に、それぞれ顕
微鏡用ベース２５を摺動可能に架装し、同様に止
めネジ３０を付設する。顕微鏡用ベース２５に
は、それぞれ１本の支柱２６を立設し、これに嵌
着した腕２８により顕微鏡２７を支承する。腕２
８は、支柱２６に添う昇降と、それを中心とする
回動が可能で、任意位置で止めネジ２９により固
定される。この構成により、顕微鏡２７を枠体の
内方の所望位置に設置し、かつ、固定することが
できる。

上述構成の位置決め装置による印刷版の位置決
めは、次のように行う。

まず、第１色の印刷版を第１の版定盤２に、第
２色の印刷版を第２の版定盤３に、それぞれ載置
し、レジスターピン１６により概略の位置決めを
し、上述位置決め装置を、版定盤２に対応する合
印に合わせて、ラツク１８上に設置する。

次に、位置決め装置の止めネジ２４及び３０を
緩めて、２個の顕微鏡２７を、それぞれ印刷版に
表示されたレジスターマークの直上に移動させ、
各止めネジを締めて顕微鏡の位置を固定する。こ
の場合、レジスターマーク像の中心が顕微鏡の視
野の中心に合致するように、顕微鏡の位置を調節
できることが望ましく、そのために、前述構成に
加えてなんらかの微動装置を付設するのが実用的
であるが、あるいは視野中に縦横の目盛線を表示
した顕微鏡を使用して、レジスターマーク像の位
置の読みを記憶するようにしてもよい。要は、顕
微鏡に対する印刷版のレジスターマークの位置関
係が、復元可能であればよく、具体的手段はどん
なものでもよい。

各顕微鏡２７が、それぞれ対応するレジスター
マークに正しく整合する位置に固定されたら、位
置決め装置を第２の版定盤３の上に移し、同様に
ラツク１８に付した合印により、位置決めをして
設置する。そこで、各顕微鏡２７により、第２色
の印刷版に表示したレジスターマークを視認しな
がら、版定盤３に付設したピンバー１５の各レジ
スターピン１６を回転させて、印刷版の位置を調
節し、顕微鏡の視野において、それぞれのレジス
ターマークを第１色の印刷版と同一の位置に整合
させる。

この場合、２個の版定盤２と３との間のピツチ
は、多色平版校正機の機能上、ラツク１８の歯ピ
ツチの整数倍に定めてある。何故ならば、ブラン
ケツト胴６又は７は、版定盤２又は３と紙定盤４
とに対して、同一位相で転動すべきものであり、
かつ、各ブランケツト胴には、その外径と同一の
ピツチ円径を有する歯車を同軸に固着して、定盤
面に対して滑りのないころがり状態を確保するよ
うになつている。したがつて、各定盤間のピツチ
は、当然、ラツクの歯ピツチの整数倍に設定され
ている。

かくして、上述手順で装着された第１色及び第
２色の印刷版の画像は、それぞれの定盤及びブラ
ンケツト胴に対して、相対的に同一の位置に装着
され、紙定盤４に装着した被印刷紙には、完全に
見当の合つた２色刷りの印刷物が得られる。

３色以上の多色印刷については、版定盤及びブ
ランケツト胴を所要数増設して、上述２色印刷の
場合に準じて同一手順を反復してもよいし、ある
いは、第１色及び第２色の印刷を終つた後、２個
の版定盤の印刷版を、それぞれ第３色及び第４色
のものに交換装着し、２色印刷された紙に第３色
及び第４色の画像を刷り重ねるようにしてもよ
い。

上述の説明は、図示実施例に基いて記載した
が、本考案は、上述内容に限定されるものではな
く、種々の変形応用が可能である。たとえば、上
記実施例では「はすば」ラツクを備える機種に適
用した場合を示しているが、直角歯ラツクの場合
でも、歯に添つた方向の位置ずれを制止するため
の当り手段を付設すれば、適用可能である。

その他、顕微鏡の位置移動を、送りネジあるい
はラツクピニオンによる送りを適用する等、各種
の周知手段を用いてもよいことは云うまでもな
い。

また、レジスターマーク検視用の顕微鏡とし
て、照明光源を内蔵し、像をスクリーンに拡大投
影するものを使用すれば、本考案装置の効用を一
層向上させることができる。

［考案の効果］ (1) 多色平版校正機における各印刷版の見当合せ
を、容易、かつ確実に行うことができる。

(2) 見当合せの良否を確認する試し刷りが不要と
なるため、労力及び資材を節約できる。

(3) 操作が容易で、熟練を必要としない。

(4) 標準的な平版校正機に、なんらの改造を加え
ず、本考案装置をラツク上に載置するだけで実
施でき、実用性が高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は多色用平版校正機（２色機）の構成
図、第２図は本考案装置を平版校正機に装着した
状態を示す平面図、第３図は同じく側面図、第４
図はレジスターピンを示す図である。 １……フレーム、２，３……版定盤、４……紙
定盤、５……キヤリージ、６，７……ブランケツ
ト胴、８……ダンピングローラー、９，１０……
インキングローラー、１１……ダンピング装置、
１２……水ならし板、１３，１４……インキング
装置、１５……ピンバー、１６……レジスターピ
ン、１７……印刷版、１８……ラツク、１９……
サドル、２０……ラツク、２１……ガイド棒、２
２……摺動台、２３……ガイド棒、２５……顕微
鏡ベース、２６……支柱、２７……顕微鏡。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 各色の印刷版をそれぞれ装着する少なくとも２
   個以上の版定盤と、被印刷紙を装着する紙定盤と
   を列設し、それらの両縁に添つて配置した一対の
   ラツクによりブランケツト胴を前記各定盤面に順
   次転動させるようにした多色用平版校正機におい
   て、 前記２個以上の版定盤の配置ピツチを前記ラツ
   クの歯列ピツチの整数倍とするとともに、前記一
   対のラツクに係合載置されることにより前記版定
   盤の上方に着脱自在に支持される枠体と、該枠体
   に前記版定盤面に平行に二方向に移動可能で、か
   つ、所要位置に固定しうるように支障された少な
   くとも２個のレジスターマーク検視用光学装置と
   を備え、前記一対のラツクの少なくとも一方に、
   前記版定盤の配置ピツチに対応する前記枠体載置
   位置を示す、前記版定盤と同数個の合印を付して
   なる多色用平版校正機における印刷版位置決め装
   置。