JPS6155201B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属蒸気放電灯を具えた漁業用照明具
に関する。

従来、漁業用照明具と言えば、旧式の白熱電球
を、簡単な構造の反射笠と組み合わせたものであ
つたが、近年、漁獲効率を向上させるために漁業
用照明具の改良が盛んになつた。

光源としたは、旧式白熱電球に代り、ハロゲン
白熱電球が利用されるようになり、放電灯は、グ
リーン光を多量放射する水銀＝タリウム混合金属
蒸気放電灯が利用されるに及んで、漁量は著しく
増大するとともに、漁業用照明具としてもかなり
構造を設計変更した方が良いことも分かつてき
た。

本発明が対象とするところは、金属蒸気放電灯
を具えた漁業用照明具であるが、周知の通り、金
属蒸気放電灯には、電源安定化装置（通称バラス
ト）を必要とし、漁業用照明具として、漁船のロ
ープやマストの上部に取り付けて使用するには不
便なこと、更に、本発明研究過程で判明したこと
であるが、金属蒸気放電灯の発光光量安定化まで
の時間が長いと、その間に放射される不安定な紫
外線光が、漁に悪影響を与えることから、安定時
間の短縮化が必要であることなどが分かつた。

本発明の目的は、以上の種々の観点から、金属
蒸気放電灯を具えた漁業用照明具を抜本的に改良
した新規な照明具を提供することにあり、その特
徴とするところは、 反射板と、この反射板の上方に配置されたスタ
ーターボツクスと、反射板とスターターボツクス
を一定距離離間するスペイサーと、前記反射板の
下方に配置された金属蒸気放電灯と、この金属蒸
気放電灯に隣接配置された石英バルブにハロゲン
ガスと共に密封されたフイラメントコイルから成
る抵抗体と、前記反射板に固定され、前記金属蒸
気放電灯と抵抗体の両端部を受容する受口と、反
射板もしくはスターターボツクスに固定されたア
ームと、前記スターターボツクス内に配置された
スターター回路とより成り、 前記金属蒸気放電灯と抵抗体が電気的に直列に
結線されてなることにある。

以下実施例とその図面を参照しながら、本発明
を説明する。

第１図は実施例照明具の分解組立説明図、第２
図は同じく正面図であるが、船体のマストなどの
所定部材に固定される略コ字状のアーム１は直方
体状のスターターボツクス２にこれを抱くように
して固定される。反射板４は円柱状のスペイサー
３を介してスターターボツクス２の下方に固定さ
れ、反射板４とスターターボツクス２はスペイサ
ー３の高さだけ離間している。反射板４の両端の
下面には一対の受口５が固定されるが、この受口
５には２本の抵抗体６の端部が挿入される保持孔
が形成されている。抵抗体６は、例えば透明石英
チユーブにハロゲンガスであるよう素と共に気密
に封入されたタングステンフイラメントコイルか
らなり、その両端部は受口５の保持孔内に接着剤
などで接着固定される。この２本の抵抗体６は受
口５内で直列に結線され、直列の抵抗体６，６の
両端に結線されるケーブル９はスターターボツク
ス２に通じている。

受口５の下方には金属蒸気放電灯８の両端部を
受容する金属製の受口７が連結されており、この
受口７で保持された金属蒸気放電灯８用のケーブ
ル１０もスターターボツクス２に連通している。

なお、反射板４と受口５、受口５と受口７との
間に挿入するスプリングなどによる防振機構は省
略してあるが、この防振機構により、抵抗体６や
金属蒸気放電灯８などが船の振動や衝撃から保護
される。また、反射板４から下方は図示していな
い透明なガードボツクスで覆われており、海水な
どを被らないようになつている。

次に、第３図に電気回路例を示して説明する
と、金属蒸気放電灯８と抵抗体６は図のように直
列に結線され、スターター用トランス１２は、バ
イパスコンデンサC₁、遅延スイツチ１３、サー
マルスイツチ１４によつて保護されている。遅延
スイツチ１３は接点を動作させる金属がオイル中
に浸つているオイルポツト式であり、電磁コイル
R₁に電流が流れても接点を動作させる金属がオ
イル中に浸つているために高速では動けず、電磁
コイルR₁への通電２秒後に常閉の遅延スイツチ
１３が開成するよう構成されている。サーマルス
イツチ１４も一種の遅延スイツチであるが、10秒
以上通電すると抵抗Ｒの発熱によつて図示略のバ
イメタルが働き、電磁コイルR₂に通電されて常
閉のサーマルスイツチ１４が開成するよう構成さ
れている。

しかして、ブレーカー１６を入れてスタート動
作を行うと、電源α→遅延スイツチ１３→サーマ
ルスイツチ１４→スタータートランス１２の一次
巻線T₁→電源βのスターター回路に電流が流れ
る。そして、トランス１２の二次巻線T₂の両端
に高圧が発生するとコンデンサーC₃が充電さ
れ、この電圧がスパークギヤツプSGの耐圧にな
るとSGが放電し、この繰返しによつてテスラコ
イル１５の一次巻線T₃には高圧高周波の電気が
印加される。したがつて、テスラコイル１５の二
次巻線T₄には更に高圧の高周波電気が発生し、
金属蒸気放電灯８が点灯する。これが点灯すると
電源α→抵抗体６→抵抗体６→テスラコイル１５
の二次巻線T₄→金属蒸気放電灯８→電源βの回
路に電流が流れ、点灯が維持される。

このとき、前述の通り、ブレーカー１６を閉成
した２秒後に遅延スイツチ１３が開成するのでト
ランス１２にはそれ以降、電流は流れず保護され
る。そして、もし何らかの異常によりブレーカー
１６の１回の閉成によつて点灯しないときは、こ
の閉成を何回か繰返し操作することになる。従つ
て、遅延スイツチ１３が閉成している時間が長く
なり、トランス１２の温度が上昇するが、10秒後
にはサーマルスイツチ１４が開成するので、それ
以降はトランス１２に電流が流れずに保護され
る。

以上の如くしてトランス１２はスイツチ１３，
１４によつて保護されている。

本発明は上記の通りであるから、次の如き技術
効果を有する。

(イ) バラストの代りに抵抗体を利用しているの
で、抵抗体が著しく小型、軽量であり、従つて
照明具全体も著しく小型、軽量となる。しかも
ラツシユ電流が大きいので光量安定化時間が短
縮できる。一例を挙げると、沃化タリウムと水
銀とを、内径28mmの石英バルブに封入し、電極
間距離を11cmとし、電源電圧240V、定格ラン
プ電流18A、定格ランプ電圧170Vの金属蒸気放
電灯の点灯を、従来のチヨークコイルを用いた
バラストを利用すると、バラスト自体の重量が
50Kg、ラツシユ電流28A、安定化時間３分であ
るが、本発明において、抵抗体に定格35V、
20Vのハロゲン白熱電球２本を利用したもので
は、抵抗体の重量が１Kg以下、ラツシユ電流
40A、安定時間20秒である。

(ロ) したがつて、不安定な紫外線による悪影響が
防止できること、点灯初期に流れる大電流によ
つて生じる抵抗体の発熱は、本来は電気回路に
悪影響を与えるものであるが、反射板の前方に
て金属蒸気放電灯８と並設配置したので金属蒸
気放電灯８の管壁が点灯初期から温められ、内
部の金属蒸気の蒸気圧が十分に大きくなつて点
灯初期が有効に発光すること、スターターボツ
クス２と反射板４との間に形成される空間によ
つて、スターターボツクス内の電気回路には全
く熱が伝わらないようにしていること、したが
つて電気回路部品の遮熱手段を一切除ける長所
がある。

(ハ) 更に抵抗体としてハロゲン白熱電球を利用し
ている場合は、フイラメントコイルを高温に設
計してもハロゲンサイクルが循環するのでフイ
ラメントコイルの消耗が抑制されて寿命が維持
される。ハロゲンサイクルとは、高温のフイラ
メントコイルから蒸発したタングステンは管内
に存在するハロゲンと化合し、ハロゲン化タン
グステンとして管壁に到達するが、管壁温度を
ある値以上に保つておくとこのハロゲン化タン
グステンは蒸発してフイラメントコイル近傍の
高温領域にもどり、ここで熱分解されたタング
ステンはフイラメントコイルに返ることをい
う。そして、前述のとおり、電気回路に悪影響
を与えず、かつハロゲン白熱電球から放射され
る熱と光を全部有効利用できる。

本発明は上記の通りであるから、金属蒸気放電
灯を具えた漁業用照明具として、小型、軽量で使
用に便利なもの、点灯初期の不安定な紫外線によ
る悪影響のないものが提供できる利益がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による実施例照明具の分解組
立説明図、第２図は同じく正面図、第３図はその
電気回路の説明図である。 図において、１はアーム、２はスターターボツ
クス、３はスペイサー、４は反射板、５，７は受
口、６は抵抗体、８は金属蒸気放電灯を夫々示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 反射板と、この反射板の上方に配置されたス
   ターターボツクスと、反射板とスターターボツク
   スを一定距離離間するスペイサーと、前記反射板
   の下方に配置された金属蒸気放電灯と、この金属
   蒸気放電灯に隣接配置された石英バルブにハロゲ
   ンガスと共に密封されたフイラメントコイルから
   成る抵抗体と、前記反射板に固定され、前記金属
   蒸気放電灯と抵抗体の両端部を受容する受口と、
   反射板もしくはスターターボツクスに固定された
   アームと、前記スターターボツクス内に配置され
   たスターター回路とより成り、 前記金属蒸気放電灯と抵抗体が電気的に直列に
   結線されてなる金属蒸気放電灯を具えた漁業用照
   明具。