JP4362155B2 - 直流点灯用メタルハライド放電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents

直流点灯用メタルハライド放電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直流点灯用メタルハライド放電ランプ、これを用いた直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
相対向する一対の電極を備えた発光管内に希ガス、発光金属のハロゲン化物および水銀を封入したメタルハライド放電ランプは、比較的高効率で、高演色性であるため、広く使用されている。
【0003】
メタルハライド放電ランプには、短アーク形と長アーク形とがある。
【0004】
短アーク形のメタルハライド放電ランプは、ランプの発光を集光してスクリーンに投射する液晶プロジェクタ、オーバヘッドプロジェクタなどの投射用、ダウンライト、スポットライトなどの店舗照明用などにおいて用いられている。また、近時自動車の前照灯として、小形で短アーク形のメタルハライド放電ランプがハロゲン電球に代わって使用されだしている。
【0005】
自動車の前照灯用としてのメタルハライド放電ランプの仕様についてはは、たとえば特開平2−7347号公報に記載されているが、約2〜15mgの水銀の封入が不可欠とされている。
【0006】
ところで、水銀の封入を必要としないメタルハライド放電ランプに対するニーズがあり、これに応えるものとして特開平3−112045号公報に記載の発明がなされている。この発明は、水銀に代えてヘリウムまたはネオンを100〜300torrの圧力で封入することにより、所要のランプ電圧を得ようとするもので、さらにこれらの希ガスは原子半径が小さいことから、石英ガラスでは透過してしまうので、気密容器を透光性セラミックスで形成するという構成である。
【0007】
一方、長アーク形のメタルハライド放電ランプは、高天井用照明器具、投光器、街路灯および道路用照明器具などの一般照明用において主として用いられている。さらに、光硬化性の合成樹脂やインクなどでは、紫外線を発生するメタルハライド放電ランプを用いている。この用途に用いられるメタルハライド放電ランプも長アーク形である。
【0008】
ところで、現在実用化されているメタルハライド放電ランプは、短アーク形および長アーク形のいずれも水銀を必須としている。なぜなら、メタルハライド放電ランプにおいて、水銀は、所望のランプ電圧を得て電気特性を維持するために使用されているからである。
【0009】
すなわち、たとえばランプ電圧が低いと、所望のランプ入力を得るためには、ランプ電流を大きくしなければならない。この場合には、点灯装置、照明器具および配線などの関連設備の電流容量の増加および発生熱の増加が問題となる。
【0010】
また、ランプ電流が大きいと、電極損失の増加を伴い、ランプ効率が低下するという問題もある。すなわち、メタルハライド放電ランプの電極降下電圧はランプにより一定であるから、ランプ電圧が低いと、これを補うためにランプ電流を大きくする必要から、電極損失がランプ電流に比例して増加し、ランプ効率が低下してしまう。
【0011】
したがって、一般に放電ランプにおいては、ランプ電圧は、アークが立ち消えしない範囲でランプの入力電圧になるべく近く、すなわちなるべく高く設定する方が有利である。
【0012】
次に、ランプ電圧について考察しながら水銀封入を必要としていた理由を説明する。
【0013】
図11は、メタルハライド放電ランプにおけるランプ電圧を説明するための概念図である。図において、Aは気密容器、B,Bは電極、C、Cはリード線である。
【0014】
ランプ電圧Vlは、メタルハライド放電ランプの点灯状態において、リード線C、C間に現れる電圧である。電極B、B間の距離Lを電極間距離という。
【0015】
ランプ電圧Vlは、以下の数式1により表すことができる。
【0016】
数式1 Vl=E×L+Vd
ここで、Eは電極間のプラズマの電位傾度、Vdは電極降下電圧である。
【0017】
プラズマの電位傾度Eは、次の数式2により表すことができる。
【0018】
数式2 E=I/2π∫σr dr
ここで、Iはランプ電流、σはプラズマの電気伝導度であり、温度Tの関数である。rは中心から任意の位置までの径方向の距離である。
【0019】
メタルハライド放電ランプの点灯中に放電空間内に物質Aが存在すると仮定すると、物質Aの温度Tにおける電気伝導度σは次の数式3により表すことができる。
【0020】
数式3 σ=C・NE/(T1/2・(NA・Q))
ここで、Cは定数、NEは電子密度、NAは物質の密度、Qは電子の物質Aに対する衝突断面積である。ランプ電圧Vlは、数式1から電位傾度Eが大きいほど、また電極間距離Lが大きいほど、大きくなることが分かる。また、電位傾度Eは、数式2から電気伝導度σが小さいほど、ランプ電流Iが大きいほど、大きくなることが分かる。さらに、電気伝導度σは、数式3からNEが小さいほど、NAやQが大きいほど小さくなることが分かる。したがって、電極間距離Lおよびランプ電流Iが一定の場合、ランプ電圧Vlが大きくなる物質Aの条件は、イオン化しにくく(NEを小さく抑えられる。)、ランプ中の密度が大きく(NAを大きくできる。)、電子との衝突断面積Qが大きいことである。
【0021】
そうして、水銀は、蒸気圧が極めて大きく(361℃で1気圧)、イオン化しにくく、電子との衝突断面積が大きい物質である。そこで、ランプのサイズに応じて水銀の封入量を調節することにより、所望のランプ電圧を容易に得ることができる。
【0022】
このように、従来のメタルハライド放電ランプにおいては、水銀を用いることにより、所望のランプ電圧を容易に得ることができるというのが、水銀が使用されている理由である。ところで、メタルハライド放電ランプの場合、小形で電極間距離Lが短いほど所要のランプ電圧を確保するために、水銀の蒸気圧を高くする必要がある。たとえば、発光管の内容積が1cc以下の小形の短アークのメタルハライド放電ランプにおいては、点灯中の水銀蒸気圧が20気圧以上にもなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
以下、メタルハライド放電ランプに水銀を封入することによる問題と、従来の水銀を封入しない場合の問題とに分けて説明する。
【0024】
1 水銀を封入することによる問題について
現在、環境問題は、地球的規模で非常にクローズアップされており、照明分野においても、環境に悪影響を与える環境負荷物質である水銀をランプから減少し、さらには廃絶することは、非常に重要な課題であると考えられている。したがって、従来のメタルハライド放電ランプの最大の問題点は、水銀を封入していることである。また、水銀を封入して所望のランプ電圧を得るメタルハライド放電ランプにおいては、上記の他にも以下に示す多くの問題点がある。
【0025】
その他の問題点1:始動時の分光特性の立ち上がりが悪い
自動車の前照灯にメタルハライド放電ランプを用いる場合に、光束の瞬時立ち上がりが要求される。このために、始動ガスとしてキセノンを高圧で封入し、さらに点灯初期に大電流を流し、時間の経過とともに電流を絞っていく点灯方式が採用されている。このようにして瞬時立ち上がりは可能であるが、スイッチオン時には水銀は急速に蒸発するので、水銀がエネルギーを奪ってしまい、発光金属の蒸気圧の立ち上がりが遅いために、水銀発光の強い状態が10〜20秒後まで続く。水銀発光は、色特性的に劣るので、演色性も悪く、また色度も白色範囲に入らない。このように、分光特性の立ち上がりが甚だ悪い。したがって、所期の分光特性の発光になるまでに時間が長くかかる。
【0026】
その他の問題点2:調光に適さない
すなわち、発光管の温度が変化すると、発光の温度が大きく変化し、これに伴い演色性も変化する。これを図12を参照して以下に説明する。
【0027】
図12は、従来のプロジェクション用の短アーク形のメタルハライド放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。図において、横軸は波長(nm)を、縦軸は相対放射パワー(%)を、それぞれ示す。この従来の短アーク形のメタルハライド放電ランプは、希ガスとしてアルゴンAr500torr、ハロゲン化物としてヨウ化ジスプロシウムDy 3 を1mgおよびヨウ化ネオジウムNd 3 を1mgならびに水銀13mgを封入したものである。
発光スペクトルは、ジスプロシウムおよびネオジウムによる連続発光とそれぞれ矢印の上に記号を付した元素による主な輝線スペクトルとからなり、水銀による輝線スペクトルが大きなパワーを有していることが分かる。
【0028】
ところで、各発光金属による発光量は、そのランプ内の蒸気圧に比例的に変化する。発光金属のハロゲン化物の蒸気圧は、水銀のそれに比較すると、著しく低いため、発光管の温度が変わると、発光金属は、そのハロゲン化物の蒸発量が変わってランプ内の蒸気圧が変化するから、発光量が変化する。これに対して、水銀の蒸気圧は非常に高いので、発光管の温度が変化してもそれほど変化しないから、水銀の強い輝線スペクトルによる発光量は変化が少ない。したがって、発光管への入力電力が少なくなると、相対的に水銀による発光が支配的になるために、発光の色温度が低くなるとともに、演色性が低下する。このことは、水銀を封入する従来のメタルハライド放電ランプは、調光に適さないことを意味する。
【0029】
自動車用の前照灯の場合、欧米において採用されている日中の点灯(デイライト)のためには、調光が必要になるが、水銀を封入する従来のメタルハライド放電ランプにおいては、色特性が著しく低下してしまう。
【0030】
その他の問題点3:特性のばらつきが大きい
水銀を封入したメタルハライド放電ランプは、個々のランプの寸法ばらつきに伴い発光管の温度がばらつくため、同一入力でも特性のばらつきが発生しやすい。 また、長期寿命中の発光管黒化などによる最冷部温度の上昇によっても特性が変化しやすい。
【0031】
このため、店舗などのように複数のメタルハライド放電ランプを用いて照明する場合に、特に問題になりやすい。
【0032】
その他の問題点4:瞬時再始動が困難である
短アーク形で小形のメタルハライド放電ランプにおいては、電極間距離が小さいので、所要のランプ電圧を得るために水銀蒸気圧を高く設定しており、水銀蒸気圧は、点灯中20気圧以上になる。さらに、自動車用の前照灯においては、前記のように光束立ち上がりを速くするために、高圧のキセノンを封入しており、キセノンは点灯中35気圧程度になる。このように点灯中の水銀蒸気圧およびキセノン蒸気圧が非常に高くなっているので、再始動させるためには、非常に高くてパワーの大きいパルス電圧を印加しなければならない。これにより、点灯回路が高価になるのみでなく、回路、ランプおよびこれらを収納する器具を高電圧に対して絶縁する必要がある。
【0034】
その他の問題点5:発光管(気密容器)が破裂しやすい
上述したように、点灯時の水銀蒸気圧が高いため、初期歪ないし長期点灯中に歪が増大することにより、発光管(気密容器)が破裂しやすい。この問題はランプの信頼性を著しく低下させる。
【0036】
その他の問題点6:投射用ではスクリーン照度が低い
短アーク形のメタルハライド放電ランプの場合、このランプを光源として用いる液晶プロジェクタなどの光学系を介して集光し、離間位置の照射面たとえばスクリーンにおいて高い照度で照明するような投射用の場合、放電ランプからの発光が如何にロスなく光学系を通過して照射面に到達するかが重要である。ロスを少なくして照射面の照度を向上するには、放電ランプのアークが細く絞られている必要がある。アークが絞られているということは、アーク温度の分布が急峻になっているということである。
ところが、水銀の発光は、吸収があって光学的に厚く、中・低温部分で発光の吸収によりエネルギーを吸収して温度が上昇するため、アーク温度の分布は放射線状に広がり、したがってアークを絞ることができない。
これに対し、発光金属としてスカンジウムや希土類金属を用いて、その発光を非常に多くすると、水銀が存在していても、アークを絞ることができることは知られている。しかし、上記の場合には、点灯時に水銀の圧力が高いと、対流が激しくなり、アークの不安定が生じて実用に供し得ない。
【0037】
2 従来の水銀を封入しない場合の問題について
前述した水銀を封入しないメタルハライド放電ランプにおいては、点灯中ヘリウムまたはネオンが著しく高い圧力になるので、これに耐えるようにすれば、確かに水銀を封入しないメタルハライド放電ランプを得ることができる。したがって、水銀を封入しないメタルハライド放電ランプが得られるという点においては、多いに評価できる。
【0038】
しかしながら、点灯中の高圧力に従来の水銀を封入するメタルハライド放電ランプと同様な構造で実現することにはかなりの困難がある。たとえば、小形のメタルハライド放電ランプにおいて、所要のランプ電圧が50〜60Vである場合、点灯中ヘリウムまたはネオンの圧力は150気圧を超えるであろうから、従来一般に使用されているような気密容器では、破裂に対する高い信頼性を得ることができない。
【0039】
本発明は、環境負荷の大きい水銀を本質的には用いないで、水銀を封入したメタルハライド放電ランプとほぼ同等の電気特性および発光特性を有する直流点灯用のメタルハライド放電ランプ、これを用いたメタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを第1の目的とする。
【0040】
そして、直流で点灯した場合には、イオン衝突により、陽極の温度が陰極に比較して高温となるため、陽極を相対的に大きなものとしなければならない。特に、放電ランプの始動所期において、その立ち上がり特性を改善するために、大電流を供給するように構成されているものにあっては、陽極を相対的に大きな熱容量とする必要があるものの、その重量が大きくなると、封着部分に大きな応力が加わることになり、封着部内に位置する例えばモリブデン等の金属箔や封着部分自体が破損したりする不具合がある。そこで、本発明は、陽極の大きさの増大を抑制し得る直流点灯用メタルハライド放電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを第2の目的とする。
【0041】
さらにまた、本発明は水銀を封入する従来のものと同等程度の機械的強度の気密容器であったとしても、点灯中の破裂のおそれが少ない実際的なメタルハライド放電ランプ、これを用いたメタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを副次的な目的とする。
【0042】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプは、耐火性で透光性の気密容器と;気密容器内に封装した陰極およびこの陰極より熱容量が大きい陽極と;気密容器内に封入されたナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属の中から選ばれた少なくとも1種の第1のハロゲン化物、第1のハロゲン化物に対し蒸気圧が相対的に大きくて、かつ、第1のハロゲン化物の金属に比較して可視域に発光しにくいマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfの中から選ばれた少なくとも1種の第2のハロゲン化物、および希ガスからなる放電媒体と;前記陰極および陽極電気的に接続され、前記陽極側の端部に配設された口金と;を具備し、本質的に水銀が封入されていないとともに直流で点灯されることを特徴とする。
【0043】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0044】
発光管を形成する気密容器について
耐火性で透光性の気密容器とは、放電ランプの通常の作動温度に十分耐える耐火性を備える材料であり、かつ、放電によって発生した所望波長域の可視光を外部に導出することができれば、どのようなもので作られていてもよい。
たとえば石英ガラスや透光性アルミナ、YAGなどのセラミックスまたはこれらの単結晶などを用いることができる。なお、必要に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐金属性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質することが許容される。
【0045】
また、本発明はメタルハライド放電ランプが短アーク形であってもよいし、長アーク形であってもよい。短アーク形とは、気密容器内に形成される電極間距離を小さくすることにより、アーク放電を電極によって安定させるいわゆる電極安定形のものである。このため、放電ランプの発光をなるべく点光源に近付けることができ、このため反射鏡またはレンズなどの光学系による集光を効率よく行うことができる。液晶プロジェクタなどの投射用や自動車用などの移動体の前照灯の場合、小形の短アーク形のメタルハライド放電ランプを用いるが、このようなメタルハライド放電ランプの電極間距離は、実際的には6mm以下が好適である。すなわち、電極間距離が6mmを超えると、点光源から離れてしまい、光学系の焦点特性が悪くなり、たとえば液晶プロジェクタ用光源として用いた場合にスクリーン照度が低下してしまう。したがって、本発明において小形で短アーク形のメタルハライド放電ランプとは、電極間距離が6mm以下のものをいう。しかし、好ましくは4mm以下、液晶プロジェクタなどの投射用において最適には1〜3mmである。なお、電極間距離は、電極の先端で計測する。
【0046】
一方、長アーク形とは、気密容器内に形成される電極間距離を気密容器の内径より大きくすることにより、アーク放電を気密容器の内面で安定させるいわゆる管壁安定形のものをいう。長アーク形のメタルハライド放電ランプは、一般照明用などにおいて広く用いられている。
【0047】
放電媒体について
本発明において放電媒体は、上述したようにナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属の中から選ばれた少なくとも1種の第1のハロゲン化物、この第1のハロゲン化物に対し蒸気圧が相対的に大きくて、かつ、可視域に発光しにくいマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfの中から選ばれた少なくとも1種の第2のハロゲン化物および希ガスからなる。
【0048】
第1のハロゲン化物は、所望の発光たとえば可視光または紫外線を発生する金属のハロゲン化物である。可視光を利用するために、可視光を効率よく発生する金属のハロゲン化物を第1のハロゲン化物とする場合、一般にそれらの金属のハロゲン化物は点灯中の蒸気圧が必ずしも高くない。
【0049】
水銀を封入する従来のメタルハライド放電ランプを直流点灯すると、発光金属のたとえばナトリウムNaやスカンジウムScは正にイオン化されるので、陰極側に吸引され、陽極側は陰極側に比較して発光金属の濃度が小さくなる。一方、水銀も多少陰極側に吸引されるが、元々水銀の量は圧倒的に多いので、陽極側にも十分な量の水銀が存在する。その結果、陰極側は発光金属が十分発光するが、陽極側は発光金属の発光が著しく弱くなり、水銀の発光が主となる。このため、電極間に著しい色分離を来すので、実用に適さない。したがって、色分離を問題にする応用分野においては、水銀を封入するメタルハライド放電ランプは、専ら交流点灯により使用されている。
【0050】
これに対して、本発明においては、水銀を本質的に封入しない代わりに第2のハロゲン化物を封入するとともに、直流点灯するように構成しているにもかかわらず、電極間の色温度の差は小さく、十分に実用できる。これは第2のハロゲン化物は、可視域に発光しにくいので、第1のハロゲン化物の金属が陽極側でも強く発光するからである。
【0051】
また、自動車などの移動体の前照灯および液晶プロジェクタ用ランプなどメタルハライド放電ランプでは、電子化された直流点灯装置用いられているが、交流点灯の場合には、バッテリー電源の直流または商用周波数の交流を整流した直流を高周波交流に変換してから放電ランプに供給するのが一般的である。
【0052】
これに対して、本発明においては、直流点灯する構成であるから、高周波交流に変換する必要がない。このため、電子化点灯装置の回路構成を簡素化して、小形、軽量かつ安価な点灯装置を用いることができる。
【0053】
ハロゲンについて説明する。
【0054】
第1および第2のハロゲン化物を構成するハロゲンとしては、ヨウ素が最も反応性に優れ最適であり、臭素、塩素、フッ素の順に反応性が強くなっていくが、以上のいずれを用いてもよい。また、たとえばヨウ化物および臭化物のように異なるハロゲンの化合物を併用することもできる。
【0055】
希ガスは、始動用および緩衝ガスとして作用するもので、気密容器を透過しなければ、特に限定されないが、ネオンは石英ガラスを透過しやすいので、気密容器を石英ガラスで形成する場合には、アルゴン、クリプトンまたはキセノンが推奨される。
【0056】
希ガスの封入圧力を高くすると、メタルハライド放電ランプの光束立ち上がり特性を向上させることができる。光束立ち上がり特性が良好であることは、どのような使用目的であっても好都合であるが、特に自動車などの移動体の前照灯、液晶プロジェクタなどにおいて極めて重要である。
【0057】
水銀について
本発明において、「本質的に水銀が封入されていない」とは、水銀を全く封入していない他に、気密容器の内容積1cc当たり0.3mg未満、好ましくは0.2mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。
【0058】
しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合には、短アーク形においては気密容器の内容積1cc当たり20mg以上、また長アーク形においては同じく5mg以上封入していたことからすれば、本発明は水銀量が実質的に少ないといえる。
【0059】
作用について
以上の説明から明らかなように、本発明においては、所望の発光を主として担当する金属のハロゲン化物である第1のハロゲン化物の他に、蒸気圧が比較的大きくて、かつ第1のハロゲン化物に比較して可視域に発光しにくい金属のハロゲン化物を第2のハロゲン化物として、本質的には水銀に代えて封入したので、ランプ電圧は、主として第2のハロゲン化物の蒸発量で決まる。第2のハロゲン化物が不完全蒸発の場合、蒸発量は第2のハロゲン化物の蒸気圧で決まる。ハロゲン化物の蒸気圧は最冷部温度で決まる。第2のハロゲン化物の点灯中の蒸気圧は、水銀のそれより低いが、第1のハロゲン化物よりは明らかに高く、5気圧以下程度でもよい。
【0060】
したがって、本発明のメタルハライド放電ランプにおいては、水銀を本質的に封入することなく所望に作動し、そのランプ電圧は、水銀を封入した従来技術とほぼ同等の電気特性および発光特性を得ることができる。なお、ここで「ほぼ」とは、従来技術に比較して実用可能な範囲内で多少劣るような差があることを許容するという意味である。このことはまた、この種のメタルハライド放電ランプは電子化点灯装置によって点灯されることもあることを考慮すれば、実用上全く差し支えない範囲である。しかし、所望により気密容器に保温手段を適用することにより、さらにランプ電圧を高くすることもできる。
【0061】
本発明においては、水銀を本質的に封入していないで、発光に寄与するのは実質的に第1のハロゲン化物を構成する発光金属の発光だけであるから、始動時の色度立ち上がりが良好で、ランプへの入力が変化した場合でも、発光の色温度および演色性の変化が少ないから調光が可能である。
【0062】
また、本発明においては、メタルハライド放電ランプの形状および寸法などのばらつきに対するランプ特性の変化が少ないので、発光色のばらつきが少ない。また、瞬時再始動が容易である。
第2のハロゲン化物の蒸気圧は、水銀に較べると、殆どの場合、明らかに低いからである。このことは、再始動のために印加する始動パルス電圧の波高値を低減することができるから、点灯装置、始動装置、配線および照明器具の絶縁耐力を低くして安価にすることができる。
さらに、本発明においては、点灯中の蒸気圧が極端に高くならないので、気密容器内のガスの圧力を水銀封入時の60%程度に低減させることが容易であり、点灯中における気密容器の破裂を少なくできる。さらにまた、本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプは、発光効率を同程度にできるとともに演色性を若干向上することもできる。
【0063】
しかも、本発明は、ランプ電力が数10W〜数kWの広い範囲にわたってなりたつ。
【0064】
また、本発明においては、気密容器が外気に露出した状態で点灯する単管形であってもよいし、気密容器が外管内に封装された状態で点灯する2重管形であっても所期の作用効果を奏する。さらに、外管内を真空にして熱損失を低減して発光効率を一層向上させることもできる。しかし、本発明を短アーク形のメタルハライド放電ランプに適用する場合においては、上述のようにアークが絞られるように構成すれば、集光効率を高めることができ、液晶プロジェクタ、反射鏡と組み合わせて使用される自動車などの移動体の前照灯、店舗用照明器具、光ファイバー照明器具などのような反射鏡の光学系に用いる場合にも照射面照度の著しい向上が得られる。
【0065】
また、本発明においては、外部のソケット等に電気的に接触する口金が、陽極側に配設されているため、この口金を介して陽極側の封着部の熱を効果的に口金に伝導することが可能となり、この封着部の温度上昇を抑制することが可能となり、したがって、陽極の大型化を低減できる。
【0068】
請求項に記載の発明は、第2のハロゲン化物が、鉄Fe、亜鉛Zn、マンガンMn、アルミニウムAlおよびガリウムGaの中から選ばれた少なくとも1種の金属のハロゲン化物を主体としていることを特徴とする。
【0069】
本発明は、第2のハロゲン化物として最適な金属を特定したものである。ただし、これらの金属は、主成分として用いられて最適であるが、マグネシウムMg、コバルトCo、クロムCr、ニッケルNi、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfの中から選ばれた少なくとも1種の金属を副成分として添加することにより、さらにランプ電圧を高くすることができる。
【0070】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプと;このメタルハライド放電ランプを点灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を供給し、時間の経過に伴い電流を低減するように構成されている点灯回路と;を具備していることを特徴とする。
【0071】
本発明は、移動体の前照灯用として要求される光束立ち上がり特性を満足する直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置を規定している。
【0072】
請求項4に記載の発明は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1または2に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプと;メタルハライド放電ランプを点灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を供給し、時間の経過に伴い電流を低減するように構成されている点灯回路と;を具備していることを特徴とする。
【0073】
本発明は、請求項1または2に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプを、請求項3に記載の点灯回路を用い何らかの照明の目的のために使用する装置の全てに適応するものである。短アーク形の場合には、特に反射鏡およびまたはレンズなどの光学系と組み合わせて用いる照明装置、たとえば液晶プロジェクタ、オーバヘッドプロジェクタ、自動車などの移動体の前照灯、光ファイバー照明装置、スポットライトなどの店舗用照明器具などに好適である。
【0074】
また、長アーク形の場合には、一般照明用の各種照明器具たとえばダウンライト、天井直付け灯、道路用照明器具、トンネル用照明器具および投光器など、さらには表示装置などに用いることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0076】
(実施形態1)図1は、本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプの第1の実施形態を示す正面図である。図において、1は発光管、2は第1の導体枠、3はフレアステム、4はバイメタルおよび始動抵抗、5は第2の導体枠、6は導線、7は外管、8は口金である。
【0077】
発光管を構成する気密容器1は、内径18mmで、一端に陰極9および補助極10を封着した封着部12が、他端に陽極11を封着した封着部13が形成されている。陰極9は、直径1mm、長さ15mmのトリウム入りタングステン棒の内端に直径0.4mmのタングステン線を巻回することにより形成されている。補助極10は、直径0.3mmのタングステン線からなる。陽極11は、先端側が直径1.8mm、基端側が1.2mmに形成されたタングステン棒からなる。
【0078】
陰極9、補助極10および陽極11は、封着部12,13内に気密に埋設されたモリブデンからなる封着箔14,15,16にそれぞれ接続されている。
【0079】
陽極11は、封着箔16、導線6およびフレアステム3を介して口金8に接続している。補助極10は、導線6、第1の導体枠2、バイメタル、始動抵抗器4を介して陽極11側の導線6に接続している。陰極9は、導線6、第2の導体枠5、導線6およびフレアステム3を介して口金8に接続している。なお、口金8は、陽極11側のメタルハライド放電ランプの端部に取り付けられているものである。
また、両電極間距離は40mmに設定されている。外管7は、内径40mmのガラス管からなり、内部は真空にしてある。
【0080】
第1及び第2の導体枠2,5は、フレアステム3に固定されるとともに発光管1の電極に電圧を印加する。フレアステム3は、外管7のネック部に封着されている。
【0081】
バイメタルおよび始動抵抗4は、始動回路を構成しており、始動時に始動用補助極10に近接する陰極9と反対の極性の電圧を印加する。外管7は、上記の構成により内部に発光管(気密容器)1、バイメタルおよび始動抵抗4を封装しているとともに図示しないがゲッタを装着して内部の不純ガスを吸着させている。
【0082】
なお、放電媒体として以下のものが封入されている。
【0083】
第1のハロゲン化物:ヨウ化スカンジウムSc 3 3mg、
ヨウ化ナトリウムNaI 15mg、
第2のハロゲン化物:図2に示すハロゲン化物 20mg、
希ガス :280torr、
また、比較例として第2のハロゲン化物に代えて水銀40mgを封入した以外は、本実施形態と同一仕様のランプを製作した。
【0084】
そうして、本実施形態のランプをそれぞれ各5本、比較例のランプを3本製作して、定格出力360W一定で直流点灯して、ランプ電圧(V)、発光効率(lm/W)、演色性(平均演色評価数)Raおよび色温度(K)を測定した結果を平均値にして図2に示す。
【0085】
本実施形態は、図2から明らかなように、比較例に較べて発光効率は若干低下するが、その他の特性は遜色がない。
【0086】
次に、図2に示したランプ3(本実施形態)およびランプ1(比較例)について、ランプ入力を200W、250Wおよび300Wにしたときの演色性Raおよび色温度(K)を測定した結果を図3に示す。
【0087】
図3から明かなように、比較例は、ランプ入力が定格値より少なくなるにしたがって演色性Raが低下し、色温度(K)が上昇した。これに対して、本実施形態はいずれも変化が少なかった。すなわち、本実施形態は調光が可能である。
【0088】
また、本実施形態および比較例の各ランプについて、定格に対して10%増しの400Wにおいて2時間点灯−10分間消灯の条件による水平点灯を行ったときの発光管破裂の有無と、定格点灯において2秒消灯した後の瞬時再始動電圧の測定と、を行った。その結果、約2500時間の点灯を経過しても発光管の破裂はなく、瞬時再始動電圧の平均値は図4に示すとおりであった。本実施形態は再始動電圧が比較例に較べて著しく低い。
【0089】
さらに、比較例は点灯中著しい色分離を起こしたが、本実施形態は多少色分離が認められたが、実用可能な程度であった。
【0090】
(実施形態2)
本発明者らは、図5に示すような以下に種々説明する構造の直流点灯用メタルハライドランプを、上記実施形態1で説明したと同様の導体枠にそのランプを取り付け、さらに外管で包囲したものを多数作成し、口金に対して陰極及び陽極の相対位置を変化させたときに、陽極側の封着箔とその電極軸との接合部における温度変化を観測した。
【0091】
具体的には、発光管(気密容器)1の中央部外径7mm、電極9,11間距離4.2mm、陰極は軸(外)径0.4mm、長さ6mmのタングステン棒を使用し、陽極11はその先端に0.8mm径の球体が形成された図6に示す仕様の3種類のタングステン棒を使用し、希ガスとしてのキセノンガスを5気圧、第1のハロゲン化物としてヨウ化スカンジウムSc 3 を0.5mg、ヨウ化ナトリウムNaIを3.5mg、第2のハロゲン化物としてヨウ化亜鉛Zn 2 を0.6mg封入した直流点灯用メタルハライド放電ランプを多数製作した。
【0092】
上記のランプ3種類のランプについて、陽極を上記実施形態と同様に口金側に配置した場合と、そのランプを反転させて陰極を口金側になるように配置した場合において、50Wの直流電力でランプを点灯させたところ、口金側、反口金側に位置する上記接合部の温度は図7の結果となった。
【0093】
以上の結果より、いずれも陽極を口金側に配置することにより、封着部の熱が口金側に効果的に熱されて、反口金側に位置する接合部の温度よりも約90℃低下する効果が見られた。
【0094】
さらに、これらのランプの上記接合部における封着箔の破断状況を観察するため、始動時電流4A、定格電流1.2Aとし3分間の点灯、5分間の消灯を繰り返す点滅試験を実施したところ、図8に示す繰返回数で、その封着箔の破断が生じた。
【0095】
以上から明らかなように、陽極を口金側に位置させた方が、その封着部温度の減少に伴いランプ寿命が向上することが確認された。
【0096】
(実施形態3)
図9は、本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置の第1の実施形態を示す回路図である。図において、31は直流電源、32はチョッパ、33は制御手段、34はランプ電流検出手段、35はランプ電圧検出手段、36は始動手段、37はメタルハライド放電ランプである。直流電源31は、バッテリーまたは整流化直流電源が用いられる。移動体の場合には、一般的にバッテリーが用いられる。しかし、交流を整流する整流化直流電源であってもよい。必要に応じて電解コンデンサ31aを並列接続して平滑化を行う。
【0097】
チョッパ32は、直流電圧を所要値の電圧に変換するとともに、メタルハライド放電ランプ37を所要に制御する。直流電源電圧が低い場合には、昇圧チョッパを用い、反対に高い場合には降圧チョッパを用いる。
【0098】
制御手段33は、チョッパ32を制御する。たとえば、点灯直後にはメタルハライド放電ランプ37に定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をチョッパ32から流し、その後時間の経過とともに徐々にランプ電流を絞っていき、やがて定格ランプ電流にするように制御する。ランプ電流検出手段34は、ランプと直列に挿入されてランプ電流を検出して制御手段33に制御入力する。ランプ電圧検出手段35は、ランプと並列的に接続されてランプ電圧を検出して制御手段33に制御入力する。制御手段33は、ランプ電流とランプ電圧との検出信号が帰還入力されることにより、定電力制御信号を発生して、チョッパ32を定電力制御する。また、制御手段33は、時間的な制御パターンが予め組み込まれたマイコンが内蔵されていて、点灯直後には定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をメタルハライド放電ランプ37に流し、時間の経過とともにランプ電流を絞るようにチョッパ32を制御するように構成されている。
【0099】
始動手段36は、始動時に20kVのパルス電圧をメタルハライド放電ランプ37に供給できるように構成されている。
【0100】
そうして、本実施形態の直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置によると、直流点灯しながら点灯直後から所要の光束を発生する。これにより、自動車などの移動体用の前照灯として必要な電源投入後1秒後に定格に対して光束25%、4秒後に光束80%の点灯を実現することができる。
【0101】
本実施形態の場合、直流−交流変換回路が不要になるため、交流点灯に比較して約30%コスト低減が可能である。また、重量で15%軽減できる。これに伴い点灯回路が安価になる。
【0102】
(実施形態4)
図10は、本発明の照明装置の一実施形態としてのダウンライトを示す断面図である。図において、41は直流点灯用メタルハライド放電ランプ、42はダウンライト本体である。
【0103】
ダウンライト本体42は、基体42a、ソケット42bおよび反射板42cなどを備えている。基体42aは、天井に埋め込まれるために、下端に天井当接縁42dを備えている。
【0104】
ソケット42bは、基体42aに装着されている。反射板42cは、基体42aに支持されているとともに、メタルハライド放電ランプ41の発光中心がそのほぼ中心に位置するように包囲している。
【0105】
【発明の効果】
請求項1または2の発明によれば、水銀に代えて蒸気圧が相対的に高くて、しかも発光金属に比較して可視域に発光しにくい効果的な金属からなるハロゲン化物を、発光金属のハロゲン化物とともに封入したことにより、環境負荷の大きい水銀を本質的に用いないで、水銀を封入したメタルハライド放電ランプとほぼ同等の電気特性および発光特性を有する直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供することができる。
しかも、陽極側の封着部分の温度を効果的に低減することができるため、陽極の大型化を抑制でき、それに伴い封着部分等の破壊を低減することが可能となる。
【0106】
また、各発明によれば、副次的に下記a)ないしe)に示す効果のいずれか一または複数を実現する直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供することができる。
【0107】
a)始動時の分光特性の立ち上がりが良好である。
【0108】
b)調光が可能である。
【0109】
c)特性のばらつきが少ない。
【0110】
d)瞬時再始動が容易である。
【0111】
e)気密容器が破裂しにくい。
【0113】
請求項の発明によれば、加え第2のハロゲン化物を形成する金属としてさらに効果的なものを規定した直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供することができる。
【0114】
請求項の発明によれば、点灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を流し、時間の経過とともに徐々に電流を絞る点灯回路を備えていることにより、瞬時光束立ち上がり特性および瞬時色度立ち上がり特性が良好な直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供することができる。
【0115】
請求項4の発明によれば、請求項1ないしの効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプの第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】 図1に示したランプの実験結果を示す図面である。
【図3】 図1に示したランプの実験結果を示す図面である。
【図4】 図1に示したランプの実験結果を示す図面である。
【図5】 実験において製作した発光管を示す図面である。
【図6】 実験に用いた陽極の構造寸法を示す図面である。
【図7】 図5発光管を用いた実験の結果を示す図面である。
【図8】 図5発光管を用いた実験の結果を示す図面である。
【図9】 本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置の実施形態を示す回路図である。
【図10】 本発明の照明装置の一実施形態としてのダウンライトを示す概念図である。
【図11】 メタルハライド放電ランプにおけるランプ電圧を説明するための概念図である。
【図12】 従来のプロジェクション用の短アーク形のメタルハライド放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1…気密容器(発光管) 7…外管 8…口金
9…陰極 11…陽極 12,13…封着部
14,15,16…封着箔

Claims (4)

  1. 耐火性で透光性の気密容器と;
    気密容器内に封装した陰極およびこの陰極より熱容量が大きい陽極と;
    気密容器内に封入されたナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属の中から選ばれた少なくとも1種の第1のハロゲン化物、第1のハロゲン化物に対し蒸気圧が相対的に大きくて、かつ、第1のハロゲン化物の金属に比較して可視域に発光しにくいマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfの中から選ばれた少なくとも1種の第2のハロゲン化物、および希ガスからなる放電媒体と;
    前記陰極および陽極電気的に接続され、前記陽極側の端部に配設された口金と;
    を具備し、本質的に水銀が封入されていないとともに直流で点灯されることを特徴とする直流点灯用メタルハライド放電ランプ。
  2. 第2のハロゲン化物は、鉄Fe、亜鉛Zn、マンガンMn、アルミニウムAlおよびガリウムGaの中から選ばれた少なくとも1種の金属のハロゲン化物を主体としていることを特徴とする請求項1に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプ。
  3. 請求項1または2に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプと;
    メタルハライド放電ランプを点灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を供給し、時間の経過に伴い電流を低減するように構成されている点灯回路と;
    を具備していることを特徴とする直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置。
  4. 照明装置本体と;
    照明装置本体に支持された請求項1または2に記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプと;
    メタルハライド放電ランプを点灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を供給し、時間の経過に伴い電流を低減するように構成されている点灯回路と
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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