JP2000106133A - 直流点灯用メタルハライド放電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents

直流点灯用メタルハライド放電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置

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JP2000106133A
JP2000106133A JP10277339A JP27733998A JP2000106133A JP 2000106133 A JP2000106133 A JP 2000106133A JP 10277339 A JP10277339 A JP 10277339A JP 27733998 A JP27733998 A JP 27733998A JP 2000106133 A JP2000106133 A JP 2000106133A
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halide discharge
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淳 斉田
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幹男 松田
Toshio Hiruta
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  • Discharge Lamp (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境負荷の大きい水銀を本質的には用いない
で、水銀封入形のメタルハライド放電ランプとほぼ同等
の電気特性および発光特性を有すると共に、陽極の大き
さの増大を抑制し得る直流点灯用メタルハライド放電ラ
ンプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置お
よび照明装置を提供すること。 【解決手段】気密容器に封着した陽極11、陰極12
と;第1のハロゲン化物、第2のハロゲン化物および希
ガスを含んで気密容器内に封入され、第1のハロゲン化
物は、ナトリウム、スカンジウムおよび希土類金属から
なるグループの中から選択された1種または複数種のハ
ロゲン化物であり、第2のハロゲン化物は、蒸気圧が相
対的に大きくて、かつ第1のハロゲン化物の金属に比較
して可視域に発光しにくい金属の1種または複数種のハ
ロゲン化物である放電媒体と;陽極および陰極と電気的
に接続され、メタルハライドランプの端部に取り付けら
れていると共に、相対的に気密容器に封着された陽極1
1側に配設された口金8と;を備え、本質的に水銀が封
入されていないとともに直流で点灯される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直流点灯用メタルハ
ライド放電ランプ、これを用いた直流点灯用メタルハラ
イド放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】相対向する一対の電極を備えた発光管内
に希ガス、発光金属のハロゲン化物および水銀を封入し
たメタルハライド放電ランプは、比較的高効率で、高演
色性であるため、広く使用されている。
【0003】メタルハライド放電ランプには、短アーク
形と長アーク形とがある。
【0004】短アーク形のメタルハライド放電ランプ
は、ランプの発光を集光してスクリーンに投射する液晶
プロジェクタ、オーバヘッドプロジェクタなどの投射
用、ダウンライト、スポットライトなどの店舗照明用な
どにおいて用いられている。また、近時自動車の前照灯
として、小形で短アーク形のメタルハライド放電ランプ
がハロゲン電球に代わって使用されだしている。
【0005】自動車の前照灯用としてのメタルハライド
放電ランプの仕様についてはは、たとえば特開平2−7
347号公報に記載されているが、約2〜15mgの水
銀の封入が不可欠とされている。
【0006】ところで、水銀の封入を必要としないメタ
ルハライド放電ランプに対するニーズがあり、これに応
えるものとして特開平3−112045号公報に記載の
発明がなされている。この発明は、水銀に代えてヘリウ
ムまたはネオンを100〜300torrの圧力で封入
することにより、所要のランプ電圧を得ようとするもの
で、さらにこれらの希ガスは原子半径が小さいことか
ら、石英ガラスでは透過してしまうので、気密容器を透
光性セラミックスで形成するという構成である。
【0007】一方、長アーク形のメタルハライド放電ラ
ンプは、高天井用照明器具、投光器、街路灯および道路
用照明器具などの一般照明用において主として用いられ
ている。さらに、光硬化性の合成樹脂やインクなどで
は、紫外線を発生するメタルハライド放電ランプを用い
ている。この用途に用いられるメタルハライド放電ラン
プも長アーク形である。
【0008】ところで、現在実用化されているメタルハ
ライド放電ランプは、短アーク形および長アーク形のい
ずれも水銀を必須としている。なぜなら、メタルハライ
ド放電ランプにおいて、水銀は、所望のランプ電圧を得
て電気特性を維持するために使用されているからであ
る。
【0009】すなわち、たとえばランプ電圧が低いと、
所望のランプ入力を得るためには、ランプ電流を大きく
しなければならない。この場合には、点灯装置、照明器
具および配線などの関連設備の電流容量の増加および発
生熱の増加が問題となる。
【0010】また、ランプ電流が大きいと、電極損失の
増加を伴い、ランプ効率が低下するという問題もある。
すなわち、メタルハライド放電ランプの電極降下電圧は
ランプにより一定であるから、ランプ電圧が低いと、こ
れを補うためにランプ電流を大きくする必要から、電極
損失がランプ電流に比例して増加し、ランプ効率が低下
してしまう。
【0011】したがって、一般に放電ランプにおいて
は、ランプ電圧は、アークが立ち消えしない範囲でラン
プの入力電圧になるべく近く、すなわちなるべく高く設
定する方が有利である。
【0012】次に、ランプ電圧について考察しながら水
銀封入を必要としていた理由を説明する。
【0013】図11は、メタルハライド放電ランプにお
けるランプ電圧を説明するための概念図である。図にお
いて、Aは気密容器、B,Bは電極、C、Cはリード線
である。
【0014】ランプ電圧Vlは、メタルハライド放電ラ
ンプの点灯状態において、リード線C、C間に現れる電
圧である。電極B、B間の距離Lを電極間距離という。
【0015】ランプ電圧Vlは、以下の数式1により表
すことができる。
【0016】数式1 Vl=E×L+Vd ここで、Eは電極間のプラズマの電位傾度、Vdは電極
降下電圧である。
【0017】プラズマの電位傾度Eは、次の数式2によ
り表すことができる。
【0018】数式2 E=I/2π∫σr dr ここで、Iはランプ電流、σはプラズマの電気伝導度で
あり、温度Tの関数である。rは中心から任意の位置ま
での径方向の距離である。
【0019】メタルハライド放電ランプの点灯中に放電
空間内に物質Aが存在すると仮定すると、物質Aの温度
Tにおける電気伝導度σは次の数式3により表すことが
できる。
【0020】 数式3 σ=C・NE/(T1/2・(NA・Q)) ここで、Cは定数、NEは電子密度、NAは物質の密度、
Qは電子の物質Aに対する衝突断面積である。ランプ電
圧Vlは、数式1から電位傾度Eが大きいほど、また電
極間距離Lが大きいほど、大きくなることが分かる。ま
た、電位傾度Eは、数式2から電気伝導度σが小さいほ
ど、ランプ電流Iが大きいほど、大きくなることが分か
る。さらに、電気伝導度σは、数式3からNEが小さい
ほど、NAやQが大きいほど小さくなることが分かる。
したがって、電極間距離Lおよびランプ電流Iが一定の
場合、ランプ電圧Vlが大きくなる物質Aの条件は、イ
オン化しにくく(NEを小さく抑えられる。)、ランプ
中の密度が大きく(NAを大きくできる。)、電子との
衝突断面積Qが大きいことである。
【0021】そうして、水銀は、蒸気圧が極めて大きく
(361℃で1気圧)、イオン化しにくく、電子との衝
突断面積が大きい物質である。そこで、ランプのサイズ
に応じて水銀の封入量を調節することにより、所望のラ
ンプ電圧を容易に得ることができる。
【0022】このように、従来のメタルハライド放電ラ
ンプにおいては、水銀を用いることにより、所望のラン
プ電圧を容易に得ることができるというのが、水銀が使
用されている理由である。ところで、メタルハライド放
電ランプの場合、小形で電極間距離Lが短いほど所要の
ランプ電圧を確保するために、水銀の蒸気圧を高くする
必要がある。たとえば、発光管の内容積が1cc以下の
小形の短アークのメタルハライド放電ランプにおいて
は、点灯中の水銀蒸気圧が20気圧以上にもなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】以下、メタルハライド
放電ランプに水銀を封入することによる問題と、従来の
水銀を封入しない場合の問題とに分けて説明する。
【0024】1 水銀を封入することによる問題につい
て 現在、環境問題は、地球的規模で非常にクローズアップ
されており、照明分野においても、環境に悪影響を与え
る環境負荷物質である水銀をランプから減少し、さらに
は廃絶することは、非常に重要な課題であると考えられ
ている。したがって、従来のメタルハライド放電ランプ
の最大の問題点は、水銀を封入していることである。ま
た、水銀を封入して所望のランプ電圧を得るメタルハラ
イド放電ランプにおいては、上記の他にも以下に示す多
くの問題点がある。
【0025】その他の問題点1:始動時の分光特性の立
ち上がりが悪い 自動車の前照灯にメタルハライド放電ランプを用いる場
合に、光束の瞬時立ち上がりが要求される。このため
に、始動ガスとしてキセノンを高圧で封入し、さらに点
灯初期に大電流を流し、時間の経過とともに電流を絞っ
ていく点灯方式が採用されている。このようにして瞬時
立ち上がりは可能であるが、スイッチオン時には水銀は
急速に蒸発するので、水銀がエネルギーを奪ってしま
い、発光金属の蒸気圧の立ち上がりが遅いために、水銀
発光の強い状態が10〜20秒後まで続く。水銀発光
は、色特性的に劣るので、演色性も悪く、また色度も白
色範囲に入らない。このように、分光特性の立ち上がり
が甚だ悪い。したがって、所期の分光特性の発光になる
までに時間が長くかかる。
【0026】その他の問題点2:調光に適さない すなわち、発光管の温度が変化すると、発光の色温度が
大きく変化し、これに伴い演色性も変化する。これを図
11を参照して以下説明する。
【0027】図12は、従来のプロジェクション用の短
アーク形のメタルハライド放電ランプの発光スペクトル
分布を示すグラフである。図において、横軸は波長(n
m)を、縦軸は相対放射パワー(%)を、それぞれ示
す。この従来の短アーク形のメタルハライド放電ランプ
は、希ガスとしてアルゴン500torr、ハロゲン化
物としてヨウ化ジスプロシウムDyI3を1mgおよび
ヨウ化ネオジムNdI3を1mg、ならびに水銀13m
gを封入したものである。発光スペクトルは、ジスプロ
シウムおよびネオジムによる連続発光と、それぞれ矢印
の上に記号を付した元素による主な輝線スペクトルとか
らなり、水銀による輝線スペクトルが大きなパワーを有
していることが分かる。
【0028】ところで、各発光金属による発光量は、そ
のランプ内の蒸気圧に比例的に変化する。発光金属のハ
ロゲン化物の蒸気圧は、水銀のそれに比較すると、著し
く低いため、発光管の温度が変わると、発光金属は、そ
のハロゲン化物の蒸発量が変わってランプ内の蒸気圧が
変化するから、発光量が変化する。これに対して、水銀
の蒸気圧は非常に高いので、発光管の温度が変化しても
それほど変化しないから、水銀の強い輝線スペクトルに
よる発光量は変化が少ない。したがって、発光管への入
力電力が少なくなると、相対的に水銀による発光が支配
的になるために、発光の色温度が低くなるとともに、演
色性が低下する。このことは、水銀を封入する従来のメ
タルハライド放電ランプは、調光に適さないことを意味
する。
【0029】自動車用の前照灯の場合、欧米において採
用されている日中の点灯(デイライト)のためには、調
光が必要になるが、水銀を封入する従来のメタルハライ
ド放電ランプにおいては、色特性が著しく低下してしま
う。
【0030】その他の問題点3:特性のばらつきが大き
い 水銀を封入したメタルハライド放電ランプは、個々のラ
ンプの寸法ばらつきに伴い発光管の温度がばらつくた
め、同一入力でも特性のばらつきが発生しやすい。 ま
た、長期寿命中の発光管黒化などによる最冷部温度の上
昇によっても特性が変化しやすい。
【0031】このため、店舗などのように複数のメタル
ハライド放電ランプを用いて照明する場合に、特に問題
になりやすい。
【0032】その他の問題点4:瞬時再始動が困難であ
る 短アーク形で小形のメタルハライド放電ランプにおいて
は、電極間距離が小さいので、所要のランプ電圧を得る
ために水銀蒸気圧を高く設定しており、水銀蒸気圧は、
点灯中20気圧以上になる。さらに、自動車用の前照灯
においては、前記のように光束立ち上がりを速くするた
めに、高圧のキセノンを封入しており、キセノンは点灯
中35気圧程度になる。このように点灯中の水銀蒸気圧
およびキセノン蒸気圧が非常に高くなっているので、再
始動させるためには、非常に高くてパワーの大きいパル
ス電圧を印加しなければならない。これにより、点灯回
路が高価になるのみでなく、回路、ランプおよびこれら
を収納する器具を高電圧に対して絶縁する必要がある。
【0033】その他の問題点5:発光管が破裂しやす
い。
【0034】上述したように、点灯時の水銀蒸気圧が高
いため、初期歪ないし長期点灯中に歪が増大することに
より、発光管が破裂しやすい。この問題はランプの信頼
性を著しく低下させる。
【0035】その他の問題点6:投射用ではスクリーン
照度が低い。
【0036】短アーク形のメタルハライド放電ランプの
場合、このランプを光源として用いる液晶プロジェクタ
などの光学系を介して集光し、離間位置の照射面たとえ
ばスクリーンにおいて照度を大きく照明するような投射
用の場合、放電ランプからの発光が如何にロスなく光学
系を通過して照射面に到達するかが重要である。ロスを
少なくして照射面の照度を向上するには、放電ランプの
アークが細く絞られている必要がある。アークが絞られ
ているということは、アーク温度の分布が急峻になって
いるということである。ところが、水銀の発光は、吸収
があって光学的に厚く、中・低温部分で発光の吸収によ
りエネルギーを吸収して温度が上昇するため、アーク温
度の分布は放物線状に広がり、したがってアークを絞る
ことができない。これに対して、発光金属としてスカン
ジウムや希土類金属を用いて、その発光を非常に多くす
ると、水銀が存在していても、アークを絞ることができ
ることは知られている。しかし、上記の場合には、水銀
の点灯圧力が高いと、対流が激しくなり、アークの不安
定が生じて実用に供し得ない。
【0037】2 従来の水銀を封入しない場合の問題に
ついて 前述した水銀を封入しないメタルハライド放電ランプに
おいては、点灯中ヘリウムまたはネオンが著しく高い圧
力になるので、これに耐えるようにすれば、確かに水銀
を封入しないメタルハライド放電ランプを得ることがで
きる。したがって、水銀を封入しないメタルハライド放
電ランプが得られるという点においては、多いに評価で
きる。
【0038】しかしながら、点灯中の高圧力に従来の水
銀を封入するメタルハライド放電ランプと同様な構造で
実現することにはかなりの困難がある。たとえば、小形
のメタルハライド放電ランプにおいて、所要のランプ電
圧が50〜60Vである場合、点灯中ヘリウムまたはネ
オンの圧力は150気圧を超えるであろうから、従来一
般に使用されているような気密容器では、破裂に対する
高い信頼性を得ることができない。
【0039】本発明は、環境負荷の大きい水銀を本質的
には用いないで、水銀を封入したメタルハライド放電ラ
ンプとほぼ同等の電気特性および発光特性を有する直流
点灯用のメタルハライド放電ランプ、これを用いたメタ
ルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供す
ることが前提とする目的である。
【0040】そして、直流で点灯した場合には、イオン
衝突により、陽極の温度が陰極に比較して高温となるた
め、陽極を相対的に大きなものとしなければならない。
特に、放電ランプの始動所期において、その立ち上がり
特性を改善するために、大電流を供給するように構成さ
れているものにあっては、陽極を相対的に大きな熱容量
とする必要があるものの、その重量が大きくなると、封
着部分に大きな応力が加わることになり、封着部内に位
置する例えばモリブデン等の金属箔や封着部分自体が破
損したりする不具合がある。そこで、本発明は、陽極の
大きさの増大を抑制し得る直流点灯用メタルハライド放
電ランプ、直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装
置および照明装置を提供することを第2の目的とする。
【0041】さらにまた、本発明は水銀を封入する従来
のものと同等程度の機械的強度の気密容器であったとし
ても、点灯中の破裂のおそれが少ない実際的なメタルハ
ライド放電ランプ、これを用いたメタルハライド放電ラ
ンプ点灯装置および照明装置を提供することを副次的な
目的とする。
【0042】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の直流点
灯用メタルハライド放電ランプは、耐火性で透光性の気
密容器と;気密容器に封着した陽極および陰極と;第1
のハロゲン化物、第2のハロゲン化物および希ガスを含
んで気密容器内に封入され、第1のハロゲン化物は、ナ
トリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属から
なるグループの中から選択された1種または複数種のハ
ロゲン化物であり、第2のハロゲン化物は、蒸気圧が相
対的に大きくて、かつ第1のハロゲン化物の金属に比較
して可視域に発光しにくい金属の1種または複数種のハ
ロゲン化物である放電媒体と;陽極および陰極と電気的
に接続され、放電ランプの端部に取り付けられていると
共に、相対的に気密容器に封着された陽極側に配設され
た口金と;を具備し、本質的に水銀が封入されていない
とともに直流で点灯されることを特徴とする。
【0043】本発明および以下の各発明において、特に
指定しない限り用語の定義および技術的意味は次によ
る。
【0044】気密容器について 耐火性で透光性の気密
容器とは、放電ランプの通常の作動温度に十分耐える耐
火性を備える材料であり、かつ放電によって発生した所
望波長域の可視光を外部に導出することができれば、ど
のようなもので作られていてもよい。たとえば石英ガラ
スや透光性アルミナ、YAGなどのセラミックスまたは
これらの単結晶などを用いることができる。なお、必要
に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐金属
性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質す
ることが許容される。
【0045】また、本発明はメタルハライド放電ランプ
が短アーク形であってもよいし、長アーク形であっても
よい。短アーク形とは、気密容器内に形成される電極間
距離を小さくすることにより、アーク放電を電極によっ
て安定させるいわゆる電極安定形のものである。このた
め、放電ランプの発光をなるべく点光源に近付けること
ができ、このため反射鏡またはレンズなどの光学系によ
る集光を効率よく行うことができる。液晶プロジェクタ
などの投射用や自動車用などの移動体の前照灯の場合、
小形の短アーク形のメタルハライド放電ランプを用いる
が、このようなメタルハライド放電ランプの電極間距離
は、実際的には6mm以下が好適である。すなわち、電
極間距離が6mmを超えると、点光源から離れてしま
い、光学系の焦点特性が悪くなり、たとえば液晶プロジ
ェクタ用光源として用いた場合にスクリーン照度が低下
してしまう。したがって、本発明において小形で短アー
ク形のメタルハライド放電ランプとは、電極間距離が6
mm以下のものをいう。しかし、好ましくは4mm以
下、液晶プロジェクタなどの投射用において最適には1
〜3mmである。なお、電極間距離は、電極の先端で計
測する。
【0046】一方、長アーク形とは、気密容器内に形成
される電極間距離を気密容器の内径より大きくすること
により、アーク放電を気密容器の内面で安定させるいわ
ゆる管壁安定形のものをいう。長アーク形のメタルハラ
イド放電ランプは、一般照明用などにおいて広く用いら
れている。
【0047】放電媒体について 本発明において放電媒体は、前述したように本質的に第
1のハロゲン化物、第2のハロゲン化物および希ガスか
らなる。
【0048】第1のハロゲン化物は、所望の発光たとえ
ば可視光または紫外線を発生する金属のハロゲン化物で
ある。可視光を利用するために、可視光を効率よく発生
する金属のハロゲン化物を第1のハロゲン化物とする場
合、一般にそれらの金属のハロゲン化物は点灯中の蒸気
圧が必ずしも高くない。
【0049】水銀を封入する従来のメタルハライド放電
ランプを直流点灯すると、発光金属のたとえばナトリウ
ムNaやスカンジウムScは正にイオン化されるので、
陰極側に吸引され、陽極側は陰極側に比較して発光金属
の濃度が小さくなる。一方、水銀も多少陰極側に吸引さ
れるが、元々水銀の量は圧倒的に多いので、陽極側にも
十分な量の水銀が存在する。その結果、陰極側は発光金
属が十分発光するが、陽極側は発光金属の発光が著しく
弱くなり、水銀の発光が主となる。このため、電極間に
著しい色分離を来すので、実用に適さない。したがっ
て、色分離を問題にする応用分野においては、水銀を封
入するメタルハライド放電ランプは、専ら交流点灯によ
り使用されている。
【0050】これに対して、本発明においては、水銀を
本質的に封入しない代わりに第2のハロゲン化物を封入
するとともに、直流点灯するように構成しているにもか
かわらず、電極間の色温度の差は小さく、十分に実用で
きる。これは第2のハロゲン化物は、可視域に発光しに
くいので、第1のハロゲン化物の金属が陽極側でも強く
発光するからである。
【0051】また、自動車などの移動体の前照灯および
液晶プロジェクタ用ランプなどでは、メタルハライド放
電ランプを電子化された点灯装置を用いられているが、
交流点灯の場合には、バッテリー電源の直流または商用
周波数の交流を整流した直流を高周波交流に変換してか
らメタルハライド放電ランプに供給するのが一般的であ
る。
【0052】これに対して、本発明においては、直流点
灯する構成であるから、高周波交流に変換する必要がな
い。このため、電子化点灯装置の回路構成を簡素化し
て、小形、軽量かつ安価な点灯装置を用いることができ
る。
【0053】ハロゲンについて説明する。
【0054】第1および第2のハロゲン化物を構成する
ハロゲンとしては、ヨウ素が反応性が最も適当であり、
臭素、塩素、フッ素の順に反応性が強くなっていくが、
要すれば以上のいずれを用いてもよい。また、たとえば
ヨウ化物および臭化物のように異なるハロゲンの化合物
を併用することもできる。
【0055】希ガスは、始動用および緩衝ガスとして作
用するもので、気密容器を透過しなければ、特に限定さ
れないが、ネオンは石英ガラスを透過しやすいので、気
密容器を石英ガラスで形成する場合には、アルゴン、ク
リプトンまたはキセノンが推奨される。
【0056】希ガスの封入圧力を高くすると、メタルハ
ライド放電ランプの光束立ち上がり特性を向上させるこ
とができる。光束立ち上がり特性が良好であることは、
どのような使用目的であっても好都合であるが、特に自
動車などの移動体の前照灯、液晶プロジェクタなどにお
いて極めて重要である。
【0057】水銀について 本発明において、「本質的に水銀が封入されていない」
とは、水銀を全く封入していない他に、気密容器の内容
積1cc当たり0.3mg未満、好ましくは0.2mg
以下の水銀が存在していることを許容するという意味で
ある。
【0058】しかし、水銀を全く封入しないことは環境
上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって
放電ランプの電気特性を維持する場合には、短アーク形
においては気密容器の内容積1cc当たり20mg以
上、また長アーク形においては同じく5mg以上封入し
ていたことからすれば、本発明は水銀量が実質的に少な
いといえる。
【0059】作用について 以上の説明から明らかなように、本発明においては、所
望の発光を主として担当する金属のハロゲン化物である
第1のハロゲン化物の他に、蒸気圧が比較的大きくて、
かつ第1のハロゲン化物に比較して可視域に発光しにく
い金属のハロゲン化物を第2のハロゲン化物として、本
質的には水銀に代えて封入したので、ランプ電圧は、主
として第2のハロゲン化物の蒸発量で決まる。第2のハ
ロゲン化物が不完全蒸発の場合、蒸発量は第2のハロゲ
ン化物の蒸気圧で決まる。ハロゲン化物の蒸気圧は最冷
部温度で決まる。第2のハロゲン化物の点灯中の蒸気圧
は、水銀のそれより低いが、第1のハロゲン化物よりは
明らかに高く、5気圧以下程度でもよい。
【0060】したがって、本発明のメタルハライド放電
ランプにおいては、水銀を本質的に封入することなく所
望に作動し、そのランプ電圧は、水銀を封入した従来技
術とほぼ同等の電気特性および発光特性を得ることがで
きる。なお、ここで「ほぼ」とは、従来技術に比較して
実用可能な範囲内で多少劣るような差があることを許容
するという意味である。このことはまた、この種のメタ
ルハライド放電ランプは電子化点灯装置によって点灯さ
れることもあることを考慮すれば、実用上全く差し支え
ない範囲である。しかし、所望により気密容器に保温手
段を適用することにより、さらにランプ電圧を高くする
こともできる。
【0061】本発明においては、水銀を本質的に封入し
ていないで、発光に寄与するのは実質的に第1のハロゲ
ン化物を構成する発光金属の発光だけであるから、始動
時の色度立ち上がりが良好で、ランプへの入力が変化し
た場合でも、発光の色温度および演色性の変化が少ない
から調光が可能である。
【0062】また、本発明においては、メタルハライド
放電ランプの形状および寸法などのばらつきに対するラ
ンプ特性の変化が少ないので、発光色のばらつきが少な
い。さらに、本発明においては、瞬時再始動が容易であ
る。第2のハロゲン化物の蒸気圧は、水銀に較べると、
殆どの場合、明らかに低いからである。このことは、再
始動のために印加する始動パルス電圧の波高値を低減す
ることができるから、点灯装置、始動装置、配線および
照明器具の絶縁耐力を低くして安価にすることができ
る。さらにまた、本発明においては、点灯中の蒸気圧が
極端に高くならないで、水銀封入時の60%程度に低減
させることは容易であるから、気密容器の点灯中の破裂
が少なくなる。さらにまた、本発明の直流点灯用メタル
ハライド放電ランプは、発光効率は同程度にでき、演色
性を若干向上することもできる。
【0063】しかも、本発明は、ランプ電力が数10W
〜数kWの広い範囲にわたってなりたつ。
【0064】また、本発明においては、気密容器が外気
に露出した状態で点灯する単管形であってもよいし、気
密容器が外管内に封装された状態で点灯する2重管形で
あっても所期の作用効果を奏する。さらに、外管内を真
空にして熱損失を低減して発光効率を一層向上させるこ
ともできる。しかし、本発明を短アーク形のメタルハラ
イド放電ランプに適用する場合においては、上述のよう
にアークが絞られるように構成すれば、集光効率を高め
ることができ、液晶プロジェクタ、反射鏡と組み合わせ
て使用される自動車などの移動体の前照灯、店舗用照明
器具、光ファイバー照明器具などのような反射鏡の光学
系に用いる場合にも照射面照度の著しい向上が得られ
る。
【0065】また、本発明においては、外部のソケット
等に電気的に接触する口金が、陽極側に配設されている
ため、この口金を介して陽極側の封着部の熱を効果的に
口金に伝導することが可能となり、この封着部の温度上
昇を抑制することが可能となり、したがって、陽極の大
型化を低減できる。
【0066】請求項2記載の発明は、第2のハロゲン化
物は、マグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロ
ムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アル
ミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニ
ウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZ
rおよびハフニウムHfからなるグループの中から選択
された1種または複数種の金属のハロゲン化物であるこ
とを特徴とする。
【0067】本発明は、第2のハロゲン化物として好適
な金属を特定したものである。
【0068】請求項3に記載の発明は、第2のハロゲン
化物は、鉄Fe、亜鉛Zn、マンガンMn、アルミニウ
ムAlおよびガリウムGaからなるグループの中から選
択された1種または複数種の金属のハロゲン化物を主体
としていることを特徴とする。
【0069】本発明は、第2のハロゲン化物として最適
な金属を特定したものである。ただし、これらの金属
は、主成分として用いられて最適であるが、マグネシウ
ムMg、コバルトCo、クロムCr、ニッケルNi、ア
ンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、チタン
Ti、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfのグルー
プから選択された1種または複数種を副成分として添加
することにより、さらにランプ電圧を高くすることがで
きる。
【0070】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれか一記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプ
と;このメタルハライド放電ランプを点灯直後に定格ラ
ンプ電流の3倍以上の電流を供給し、時間の経過に伴い
電流を低減するように構成されている点灯回路と;を具
備していることを特徴とする。
【0071】本発明は、移動体の前照灯用として要求さ
れる光束立ち上がり特性を満足する直流点灯用メタルハ
ライド放電ランプ点灯装置を規定している。
【0072】請求項5記載の発明は、照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1乃至3のいずれか一
記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプと;を具備
していることを特徴とする。
【0073】本発明は、請求項1ないし3の直流点灯用
メタルハライド放電ランプを何らかの照明の目的のため
に使用する装置の全てに適応するものである。短アーク
形の場合には、特に反射鏡およびまたはレンズなどの光
学系と組み合わせて用いる照明装置、たとえば液晶プロ
ジェクタ、オーバヘッドプロジェクタ、自動車などの移
動体の前照灯、光ファイバー照明装置、スポットライト
などの店舗用照明器具などに好適である。
【0074】また、長アーク形の場合には、一般照明用
の各種照明器具たとえばダウンライト、天井直付け灯、
道路用照明器具、トンネル用照明器具および投光器な
ど、さらには表示装置などに用いることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0076】(実施形態1)図1は、本発明の直流点灯
用メタルハライド放電ランプの第1の実施形態を示す正
面図である。図において、1は発光管、2は第1の導体
枠、3はフレアステム、4はバイメタルおよび始動抵
抗、5は第2の導体枠、6は導線、7は外管、8は口金
である。
【0077】発光管1は、内径18mmで、一端に陰極
9および補助極10を封着し、他端に陽極11を封着し
ている。陰極9は、直径1mm、長さ15mmのトリウ
ム入りタングステン棒の内端に直径0.4mmのタング
ステン線を巻回することにより形成されている。補助極
10は、0.3mmのタングステン線からなる。陽極1
1は、先端側が1.8mm、基端側が1.2mmに形成
されたタングステン棒からなる。
【0078】陰極9、補助極10および陽極11は、封
止部12,13内に気密に埋設されたモリブデンからな
る封着箔14,15,16にそれぞれ接続されている。
【0079】陽極11は、封着箔16、導体6およびフ
レアステム17を介して口金8に接続している。補助極
10は、始動抵抗器18を介して導体6に接続してい
る。陰極9は、導体5およびフレアステム17を介して
口金8に接続している。すなわち、口金8は、陽極11
側のメタルハライド放電ランプの端部に取り付けられて
いるものである。なお、電極間距離は40mmに設定さ
れている。外管19は、内径40mmのガラス管からな
り、内部は真空にしてある。
【0080】第1及び第2の導体枠2,5は、フレアス
テム3に固定されるとともに発光管1の電極に電圧を印
加する。フレアステム3は、外管7のネック部に封着さ
れている。
【0081】バイメタルおよび始動抵抗4は、始動回路
を形成しており、始動時に始動用補助極に近接する陰極
9と反対の極性の電圧を印加する。外管7は、上記の構
成により内部に発光管1、バイメタルおよび始動抵抗4
を封装している。図示しないが初期ゲッタを装着して内
部の不純ガスを吸着さている。
【0082】なお、放電媒体として以下のものが封入さ
れている。
【0083】 第1のハロゲン化物:ヨウ化スカンジウムScI33mg、ヨウ化ナトリウ ム NaI15mg 第2のハロゲン化物:図2に示すハロゲン化物20mg 希ガス :280torr また、比較例として第2のハロゲン化物に代えて水銀4
0mgを封入した以外は、本実施形態と同一仕様のラン
プを製作した。
【0084】そうして、本実施形態のランプをそれぞれ
各5本、比較例のランプを3本製作して、定格出力36
0W一定で直流点灯して、ランプ電圧(V)、発光効率
(lm/W)、演色性(平均演色評価数)Raおよび色
温度(K)を測定した結果を平均値にして図2に示す。
【0085】本実施形態は、図2から明らかなように、
比較例に較べて発光効率は若干低下するが、その他の特
性は遜色がない。
【0086】次に、図2に示したランプ3(本実施形
態)およびランプ1(比較例)について、ランプ入力を
200W、250Wおよび300Wにしたときの演色性
Raおよび色温度(K)を測定した結果を図3に示す。
【0087】図3から明かなように、比較例は、ランプ
入力が定格値より少なくなるにしたがって演色性Raが
低下し、色温度(K)が上昇した。これに対して、本実
施形態はいずれも変化が少なかった。すなわち、本実施
形態は調光が可能である。
【0088】また、本実施形態および比較例の各ランプ
について、定格に対して10%増しの400Wにおいて
2時間点灯−10分間消灯の条件による水平点灯を行っ
たときの発光管破裂の有無と、定格点灯において2秒消
灯した後の瞬時再始動電圧の測定と、を行った。その結
果、約2500時間の点灯を経過しても発光管の破裂は
なく、瞬時再始動電圧の平均値は図4に示すとおりであ
った。本実施形態は再始動電圧が比較例に較べて著しく
低い。
【0089】さらに、比較例は点灯中著しい色分離を起
こしたが、本実施形態は多少色分離が認められたが、実
用可能な程度であった。
【0090】(実施形態2)本発明者らは、図5に示す
ような以下に種々説明する構造の直流点灯用メタルハラ
イドランプを、上記実施形態1で説明したと同様の導体
枠にそのランプを取り付け、さらに外管で包囲したもの
を多数作成し、口金に対して陰極及び陽極の相対位置を
変化させたときに、陽極側の封着箔とその電極軸との接
合部における温度変化を観測した。
【0091】具体的には、発光管の中央部外径7mm、
電極間距離4.2mm、陰極は0.4mmの軸径、長さ
6mmのタングステン棒を使用し、陽極はその先端に
0.8mm径の球体が形成された図6に示す仕様の3種
類のタングステン棒を使用し、希ガスとしてのキセノン
ガスを5気圧、ヨウ化スカンジウムScI3を0.5m
g、ヨウ化ナトリウムNaIを3.5mg、第2のハロ
ゲン化物としてZnI2を0.6mg封入した直流点灯
用メタルハライドランプを多数作成した。
【0092】上記のランプ3種類のランプについて、陽
極を上記実施形態と同様に口金側に配置した場合と、そ
のランプを反転させて陰極を口金側になるように配置し
た場合において、50Wの直流電力でランプを点灯させ
たところ、口金側、反口金側に位置する上記接合部の温
度は図7の結果となった。
【0093】以上の結果より、いずれも陽極を口金側に
配置することにより、封着部の熱が口金側に効果的に電
熱されて、反口金側に位置する接合部の温度よりも約9
0℃低下する効果が見られた。
【0094】さらに、これらのランプの上記接合部にお
ける封着箔の破断状況を観察するため、始動時電流4
A、定格電流1.2Aとし3分間の点灯、5分間の消灯
を繰り返す点滅試験を実施したところ、図8に示す繰返
回数で、その封着箔の破断が生じた。
【0095】以上から明らかなように、陽極を口金側に
位置させた方が、その封着部温度の減少に伴いランプ寿
命が向上することが確認された。
【0096】(実施形態3)図9は、本発明の直流点灯
用メタルハライド放電ランプ点灯装置の第1の実施形態
を示す回路図である。図において、31は直流電源、3
2はチョッパ、33は制御手段、34はランプ電流検出
手段、35はランプ電圧検出手段、36は始動手段、3
7はメタルハライド放電ランプである。直流電源31
は、バッテリーまたは整流化直流電源が用いられる。移
動体の場合には、一般的にバッテリーが用いられる。し
かし、交流を整流する整流化直流電源であってもよい。
必要に応じて電解コンデンサ31aを並列接続して平滑
化を行う。
【0097】チョッパ32は、直流電圧を所要値の電圧
に変換するとともに、メタルハライド放電ランプ37を
所要に制御する。直流電源電圧が低い場合には、昇圧チ
ョッパを用い、反対に高い場合には降圧チョッパを用い
る。
【0098】制御手段33は、チョッパ32を制御す
る。たとえば、点灯直後にはメタルハライド放電ランプ
37に定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をチョッ
パ32から流し、その後時間の経過とともに徐々にラン
プ電流を絞っていき、やがて定格ランプ電流にするよう
に制御する。ランプ電流検出手段34は、ランプと直列
に挿入されてランプ電流を検出して制御手段33に制御
入力する。ランプ電圧検出手段35は、ランプと並列的
に接続されてランプ電圧を検出して制御手段33に制御
入力する。制御手段33は、ランプ電流とランプ電圧と
の検出信号が帰還入力されることにより、定電力制御信
号を発生して、チョッパ32を定電力制御する。また、
制御手段33は、時間的な制御パターンが予め組み込ま
れたマイコンが内蔵されていて、点灯直後には定格ラン
プ電流の3倍以上のランプ電流をメタルハライド放電ラ
ンプ37に流し、時間の経過とともにランプ電流を絞る
ようにチョッパ32を制御するように構成されている。
【0099】始動手段36は、始動時に20kVのパル
ス電圧をメタルハライド放電ランプ37に供給できるよ
うに構成されている。
【0100】そうして、本実施形態の直流点灯用メタル
ハライド放電ランプ点灯装置によると、直流点灯しなが
ら点灯直後から所要の光束を発生する。これにより、自
動車などの移動体用の前照灯として必要な電源投入後1
秒後に定格に対して光束25%、4秒後に光束80%の
点灯を実現することができる。
【0101】本実施形態の場合、直流−交流変換回路が
不要になるため、交流点灯に比較して約30%コスト低
減が可能である。また、重量で15%軽減できる。これ
に伴い点灯回路が安価になる。
【0102】(実施形態4)図10は、本発明の照明装
置の一実施形態としてのダウンライトを示す断面図であ
る。図において、41は直流点灯用メタルハライド放電
ランプ、42はダウンライト本体である。
【0103】ダウンライト本体42は、基体42a、ソ
ケット42bおよび反射板42cなどを備えている。基
体42aは、天井に埋め込まれるために、下端に天井当
接縁42dを備えている。
【0104】ソケット42bは、基体42aに装着され
ている。反射板42cは、基体42aに支持されている
とともに、メタルハライド放電ランプ41の発光中心が
そのほぼ中心に位置するように包囲している。
【0105】
【発明の効果】請求項1ないし3の各発明によれば、水
銀に代えて蒸気圧が相対的に高くて、しかも発光金属に
比較して可視域に発光しにくい金属のハロゲン化物を、
発光金属のハロゲン化物とともに封入したことにより、
環境負荷の大きい水銀を本質的に用いないで、水銀を封
入したメタルハライド放電ランプとほぼ同等の電気特性
および発光特性を有する直流点灯用メタルハライド放電
ランプを提供することができる。しかも、陽極側の封着
部分の温度を効果的に低減することができるため、陽極
の大型化を抑制でき、それに伴い封着部分等の破壊を低
減することが可能となる。
【0106】また、各発明によれば、副次的に下記a)
ないしe)に示す効果のいずれか一または複数を実現す
る直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供すること
ができる。
【0107】a)始動時の分光特性の立ち上がりが良好
である。
【0108】b)調光が可能である。
【0109】c)特性のばらつきが少ない。
【0110】d)瞬時再始動が容易である。
【0111】e)気密容器が破裂しにくい。
【0112】請求項2の発明によれば、加えて水銀に代
えることができる第2のハロゲン化物を形成する金属を
効果的なものに規定した直流点灯用メタルハライド放電
ランプを提供することができる。
【0113】請求項3の発明によれば、加え第2のハロ
ゲン化物を形成する金属としてさらに効果的なものを規
定した直流点灯用メタルハライド放電ランプを提供する
ことができる。
【0114】請求項4の発明によれば、点灯直後に定格
ランプ電流の3倍以上の電流を流し、時間の経過ととも
に徐々に電流を絞る点灯回路を備えていることにより、
瞬時光束立ち上がり特性および瞬時色度立ち上がりが良
好な直流点灯用メタルハライド放電ランプ点灯装置を提
供することができる。
【0115】請求項5の照明装置によれば、請求項1な
いし4の効果を有する各種照明装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプ
の第1の実施形態を示す正面図
【図2】図1に示したランプの実験結果を示す図面
【図3】図1に示したランプの実験結果を示す図面
【図4】図1に示したランプの実験結果を示す図面
【図5】実験において作成した発光管を示す図面
【図6】実験に用いた陽極の構造を示す図面
【図7】図5に示した発光管を用いた実験の結果を示す
図面
【図8】図5に示した発光管を用いた実験の結果を示す
図面
【図9】本発明の直流点灯用メタルハライド放電ランプ
点灯装置の実施形態を示す回路図
【図10】本発明の照明装置の一実施形態としてのダウ
ンライトを示す概念図
【図11】メタルハライド放電ランプにおけるランプ電
圧を説明するための概念図
【図12】従来のプロジェクション用の短アーク形のメ
タルハライド放電ランプの発光スペクトル分布を示すグ
ラフ
【符号の説明】
1…気密容器 7…外管 8…口金 9…陰極 11…陽極 12,13…封着
部 14,15,16…封着箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 幹男 東京都品川区東品川四丁目3番1号東芝ラ イテック株式会社内 (72)発明者 蛭田 寿男 東京都品川区東品川四丁目3番1号東芝ラ イテック株式会社内 Fターム(参考) 3K072 AA13 AC20 BA03 BB01 DD06 EB05 EB07 5C015 QQ03 QQ08 QQ09 QQ14 QQ37 QQ38 QQ39 QQ43 QQ44 QQ45 QQ47 QQ49 QQ52 QQ56 QQ57 QQ65 5C039 HH11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐火性で透光性の気密容器と;気密容器に
    封着した陽極および陰極と;第1のハロゲン化物、第2
    のハロゲン化物および希ガスを含んで気密容器内に封入
    され、第1のハロゲン化物は、ナトリウムNa、スカン
    ジウムScおよび希土類金属からなるグループの中から
    選択された1種または複数種のハロゲン化物であり、第
    2のハロゲン化物は、蒸気圧が相対的に大きくて、かつ
    第1のハロゲン化物の金属に比較して可視域に発光しに
    くい金属の1種または複数種のハロゲン化物である放電
    媒体と;陽極および陰極と電気的に接続され、放電ラン
    プの端部に取り付けられていると共に、相対的に気密容
    器に封着された陽極側に配設された口金と;を具備し、
    本質的に水銀が封入されていないとともに直流で点灯さ
    れることを特徴とする直流点灯用メタルハライド放電ラ
    ンプ。
  2. 【請求項2】第2のハロゲン化物は、マグネシウムM
    g、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニ
    ッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチ
    モンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムG
    a、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムH
    fからなるグループの中から選択された1種または複数
    種の金属のハロゲン化物であることを特徴とする請求項
    1記載の直流点灯用メタルハライド放電ランプ。
  3. 【請求項3】第2のハロゲン化物は、鉄Fe、亜鉛Z
    n、マンガンMn、アルミニウムAlおよびガリウムG
    aからなるグループの中から選択された1種または複数
    種の金属のハロゲン化物を主体としていることを特徴と
    する請求項1または2記載の直流点灯用メタルハライド
    放電ランプ。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか一記載のメタル
    ハライド放電ランプと;メタルハライド放電ランプを点
    灯直後に定格ランプ電流の3倍以上の電流を供給し、時
    間の経過に伴い電流を低減するように構成されている点
    灯回路と;を具備していることを特徴とする直流点灯用
    メタルハライド放電ランプ点灯装置。
  5. 【請求項5】照明装置本体と;照明装置本体に支持され
    た請求項1乃至3のいずれか一記載のメタルハライド放
    電ランプと;を具備していることを特徴とする照明装
    置。
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