JPS6150284B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はプラスチツク製の光フアイバコネクタ
プラグの製造方法に関する。

光通信は低損失、広帯域、軽量などの特徴をも
ち、フアイバケーブルの低損失化と半導体レーザ
ーの長寿命化など光通信用デバイスの性能向上に
伴い実用化の研究が進められている。

光通信の実用化にあたつては、光フアイバ、発
光素子、受光素子のような基本的素子の性能改善
のほかシステムを有効に活用するためには周辺技
術の確立が重要な課題である。

周辺技術のうち最も重要なのは各素子を接続す
る技術である。たとえば発光素子から放射される
光信号を光フアイバ内に有効に投入するための光
結合技術、光フアイバ間を低損失で接続するため
の光フアイバ接続技術などである。

光フアイバ接続技術には、永久接続と着脱可能
なコネクタとがあるが、このうちコネクタは高精
度の位置合わせと着脱性、互換性などの操作上の
問題が加わるため永久接続より複雑な技術が要求
される。

光フアイバコネクタの構造は多くの提案がある
が、通常第１図に示すような光フアイバ素線５を
封入したプラグ１とレセプタクル２からなり、２
つのプラグをレセプタクルの中でつきあわせる構
造となつている。低損失で接続させるには二つの
フアイバを同軸につき合せる必要があり、このた
めにはプラグの外径精度、フアイバをプラグの中
心にセツトすること、レセプタクルの内径精度が
重要である。この精度は光フアイバの径が小さい
ことから１μ程度が要求され現在は金属の精密加
工で作られているため非常に高価になつている。
これをプラスチツクで成形することができれば非
常に安価に製造することができる。

第１図に示すような構造の光フアイバコネクタ
のプラグに要求される条件は (i) 外径寸法が精密にでていること。

(ii) プラグ外径に対して光フアイバが中心にある
こと。

(iii) プラグの中心軸に対して光フアイバの角度折
がないこと。

である。要は２つのプラグを対向させた場合光フ
アイバが軸ずれと角度折れなく配置されればよ
い。

本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、上
記プラグに要求される条件を満たしつつ、簡略な
金型を用いて大巾に生産性を高めるプラグ製造方
法を提供するものである。

光フアイバはコアとクラツドからなる光フアイ
バ素線に保護のためのエポキシ等の数10μ厚のプ
ライマリーコートと１mm厚程度のナイロン等のジ
ヤケツトのついた構造になつている。光フアイバ
素線は外径寸法の精度は大変よく１μ程度の精度
が期待できるが、保護被覆の外径精度はそれほど
はよくない。

したがつて、軸合せと角度合せには精度のでて
いる光フアイバ素線を基準にする。

本発明は光フアイバの軸合せと角度合せをプラ
グ本体の中心軸に沿つて設けられた光フアイバ素
線の径よりわずかに大きい貫通孔に光フアイバ素
線を通すことによつて行う。

すなわち、使用する光フアイバ素線の外径より
大きく、かつ素線の外径とその素線のコア径の４
分の１の和よりは小さい孔径と、該孔径と素線の
外径の差の10倍以上の長さをもつ貫通孔をプラグ
端末面側の中心軸上に有する回転体形状の成形体
をプラスチツクで成形し、該貫通孔に光フアイバ
素線を通して固定することを特徴とする。

この方法によれば、光フアイバ素線を貫通孔に
通すことによつてプラグの外径の中心に光フアイ
バが設置でき、貫通孔の孔内壁によつて光フアイ
バ素線の方向性が規定されるので、従来光フアイ
バコネクタ製造工程で非常に煩雑な工程であり、
多くの時間が費やされていた軸合せと角度合せが
瞬時にでき安価にかつ大量に高性能の光フアイバ
コネクタプラグを供給することができる。

貫通孔の孔径が素線の外径とその素線のコア径
の４分の１の和より大きくなると、その軸ずれに
よる接続損失だけで2dBを越えてしまいコネクタ
−としての価値がなくなる。孔径はできるだけフ
アイバ素線の外径に近い方がよい。実際には光フ
アイバ素線の直径より１〜２μ大きい位が適当で
ある。この程度の偏心はコネクタの接続損失とし
ては0.1dB以下である。また、光フアイバ素線は
支障なく挿入できる。

光フアイバの角度合せは該貫通孔の孔の長さで
行う。孔径を小さくしても孔にある程度の長さが
ないと角度折れが生ずる。

本発明においては、これを該孔径との素線の外
径の差の10倍以上とすることにより角度折れを防
止できることを見い出した。長さがこれより短い
と角度折れが５゜以上となり角度折れによる接続
損失が2dB以上となりコネクタとしての価値がな
くなる。

コネクタプラグ本体を成形する金型はプラグ外
径を規定する部分と貫通孔を規定するコアピンと
からなりコアピンはプラグ外周面の中心軸上にセ
ツトされる。

本発明によれば、金型さえ精密に作つておけば
金型のキヤビテイー内にプラスチツクを注入する
ことにより、その中心軸に精度のよい貫通孔を持
つコネクタプラグ本体が大量にかつ安価に得られ
る。このコネクタプラグ本体の貫通孔に光フアイ
バ素線を通して接着剤等で固定しプラグ端末面で
光フアイバを鏡面加工することにより高性能の光
コネクタプラグが得られる。

本発明の効果をさらに高める方法として、コネ
クタ本体を成形するための金型のうち、プラグ端
末面を形成する部分が取り出し自由な置駒であ
り、プラグ端末部の端末面と外周面を形成する面
を有する凹状体であることを特徴とする方法があ
る。

すなわち、特に精度を要求されるレセプタクル
に挿入される部分を取り出し自由な小さな置駒と
して、該部分がパーテイングラインのないように
凹状にほりこまれ、これをプラグの他の部分のほ
りこまれた上型と下型の別型内へセツトして形成
されるキヤビテイー内へ成形材料を注入して成形
する。

この方法によれば (i) 上型、下型のずれによる誤差をなくすことが
できる。

(ii) 置駒は小さいものなので精密加工がしやす
い。

(iii) レセプタクルに挿入される部分にパーテイン
グラインがなくなり、パーテイングへのバリに
よる寸法の影響を除去できる。

(iv) 置駒をたくさん作つておけば多数個取り、成
形サイクルの短縮が容易となり、より量産性を
向上できる。

などの効果がある。

コネクタ本体の貫通孔を形成するためのコアピ
ンの径は光フアイバ素線よりわずかに大きいだけ
であるので、通常0.1mm程度である。

したがつて、コアピンは成形の際その圧力によ
つて変形、損傷を受けやすいので容易に取り換え
られる構造がよい。さらにこのコアピンの保護の
ために成形法として低圧トランスフアー成形で行
うことを特徴とする方法がある。低圧トランスフ
アー成形は半導体封止などに用いられており、イ
ンサート品に対する影響が少いので、本発明のよ
うな細いコアピンを持つ成形に対してそのコアピ
ンの寿命を延ばすので非常に有効である。

以下本発明を実施例に基づいて説明する。

実施例 １ 使用した金型は上型、下型、置駒、コアピンか
らなる。

第２図に成形したプラグ本体の断面図を、第３
図に金型の断面図を示す。置駒はプラグ端末側の
レセプタクルに挿入される４mm分について作製さ
れ、プラグの他の部分は上型、下型にほりこまれ
ている。貫通孔を形成するコアピンも置駒タイプ
で上型、下型と合せて作製され、コアピン先端は
置駒の中央部の誘導孔に挿入して位置決めを行
う。

使用した光フアイバはコア径85μ、素線径150
μのグレーテイツドインデツクスタイプである。

コアピンは先端の1.5mmが152μの直径で、10分
の４の勾配のテーパで1.0mmの直径となつてい
る。置駒は3.014mmの直径の穴がほりこまれ、こ
の外周面の中心軸上にコアピン先端を誘導する直
径153μ、深さ0.5mmの穴がほりこまれている。端
末面は外周側１mmの巾で20μ突き出しており、こ
れはプラグをレセプタルの中で突合せた場合ガラ
ス端面を保護するストツパーの役目をする。

プラグ本体の成形に用いた材料は、日立化成工
業(株)製エポキシ成形材料CEL−MU2である。

プラグ本体の成形手順は次の通りである。コア
ピン先端を置駒の誘導穴に挿入し、一緒に下型に
セツトする。

上型をのせて金型を150℃に加熱して前記エポ
キシ成形材料を用いて低圧トランスフア成形す
る。注入圧力は35Kg/cm²、成形時間は５分であ
る。これらの成形条件は言うまでもなく使用する
成形材料に依存する。

本発明による方法は、上記の特定の成形材料に
限定されたものではなく、他の材料に対しても応
用できる。

成形完了後、上型をはずし置駒とコアピンごと
成形品を取り出した後、置駒から成型品を引き抜
き、次いでコアピンを引き抜く。こうして作製し
たプラグ本体の貫通孔に先端の30mmのジヤケツト
を除去し、DMFでプライマリーコートを除去し
て光フアイバ素線を露出させた光フアイバを通し
て接着剤で固定する。

次いで、プラグ端末面で光フアイバ素線の周囲
に傷をつけて引張ることにより切断する。この工
程を第４図に示す。

こうして作製した光コネクタプラグ129個のう
ち40％は0.7dB以下、85％は1dB以下の接続損失
で通常光フアイバコネクタに要求されるレベルを
十分満足するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な光フアイバコネクタの断面
図、第２図は実施例のコネクタプラグ本体の断面
図、第３図は実施例のコネクタプラグ本体を成形
するための金型の概略断面図、第４図はコネクタ
プラグに光フアイバを通してプラグ端末面でフア
イバを切断する工程の説明図。 符号の説明、１……プラグ、２……レセプタク
ル、３……袋ナツト、４……Ｃ字リング、５……
光フアイバ、６……プラグ端末面、７……貫通
孔、８……プラグ本体、９……フアイバ端面保護
用突状環、１０……下型、１１……上型、１２…
…置駒、１３……コアピン、１４……光フアイバ
素線、１５……ジヤケツト、１６……フアイバカ
ツター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一端が閉塞され他端が開放され、かつ少なく
   とも内径面が精密加工された筒状体の閉塞内壁の
   中心にコアピンの先端が嵌挿しうる誘導穴を設け
   てなる置駒と、、先端部を光フアイバ素線径に見
   合つたピン形状に形成してなるコアピンの先端を
   前記置駒の誘導穴に嵌挿してなる組立体を、上型
   と下型とからなる割型のキヤビテイに配置すると
   ともに該キヤビテイに成形用樹脂を注入硬化した
   後脱型することからなる光フアイバコネクタプラ
   グの製造法。