JPS6147984B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、グリース，接着剤等のごとく流動性
が悪い中高粘度の液体の吐出に使用されるところ
の、液体の掻揚げ機構を有するニユーマチツクポ
ンプの如き往復動ポンプのシヨベルの改良に関す
るものであり、大きな掻揚げ能力を有するに拘ら
ず、シヨベルロツドの進出によりシヨベルが液体
中へ押進させられる際の抵抗が少ない掻揚げ機構
を有する往復動ポンプのシヨベルを提供すること
を目的としている。

本発明が適用される往復動ポンプの１例たる掻
揚げ機構を有するニユーマチツクポンプは、例え
ば第１図に示す如き構造であつて、ピストン・シ
リンダ機構等よりなるエレベータ装置１，２がベ
ース３に固定立設され、該装置１，２のピストン
ロツド４，５に取付枠６が固定されており、取付
枠６に固定されている支持ロツド７，８にニユー
マチツクポンプ９が固定されている。

ニユーマチツクポンプ９は、エアモータ１０
と、スクイズプレート１１を有するポンプ部１２
とで構成されており、ポンプ部１２のスクイズプ
レート１１は、ドラム罐或いはペール罐等の容器
１３内に液密に嵌入され、エレベータ装置１，２
による下降力とニユーマチツクポンプ９の自重と
の作用で、常時容器１３内の液体を加圧し、スク
イズプレート１１の内腔部１４に圧入される液体
をポンプ１２で汲み出し、吐出口１５から吐出
し、容器１３内の液体の減少に追随させてニユー
マチツクポンプ９を徐々に降下させる機構であ
り、第１図に示されるように、スクイズプレート
１１が容器底に達し容器１３内の液体の汲み出
し、吐出が完了した時点で、ニユーマチツクポン
プ９を上昇させ容器１３から抜き取り、空となつ
た容器１３を満杯の新たな容器と交換し、再び上
述の作用を繰り返すものである。

かかる構造、作用のニユーマチツクポンプ９に
おけるポンプ部１２は、従来は第４図，第５図に
示されるように構成されている。

即ち、エアモータ１０から延出するポンプロツ
ド１６を囲んで、一連のシリンダ１７，１８がエ
アモータ１０のフレーム１９にロツド２０を介し
て固定され、ポンプ室２１，２２を形成してい
る。

ポンプロツド１６の下端には中空のスピンドル
２３が固着されている。このスピンドル２３の外
径はポンプロツド１６の外径より大とされてお
り、両者の固着点は、後述するようにポンプロツ
ド１６が上昇端にあるとき、ポンプ室２１の上端
に位置し、スピンドル２３が該ポンプ室２１内に
位置するように配置されている。

中空のスピンドル２３の下端にはシヨベルロツ
ド２４が固着されている。このシヨベルロツド２
４の外径は、ポンプロツド１６およびスピンドル
２３の外径より小とされており、両者の固着点
は、後述するようにポンプロツド１６が上昇端に
あるとき、ポンプ室２２の上端に位置し、シヨベ
ルロツド２４が該ポンプ室２２内に位置するよう
に配置されている。

上述のポンプ室２１の上端は接手２５で閉塞さ
れ、該接手２５には、ポンプ室２１に連通する通
路２６，ボールバルブ２７を介して吐出口１５が
開設されている。

また、ポンプ室２２の下端には、シヨベルロツ
ド２４に嵌着された環状の摺動バルブ２８を有す
る弁箱２９が配置され、更に弁箱２９の下方のシ
リンダ１８部分には、バルブシート３０のシート
押え３１が固着され、更にシート押え３１の下方
周壁３２の外周には、下部オイルバス３３と、こ
れに固着されたスクイズプレート３４とが固定配
置されている。

前述のシヨベルロツド２４は弁箱２９を貫いて
下方へ延び、その下端には、バネ３５を介してシ
ヨベル３６が取り付けられている。

また、前述のポンプ室２１と２２とは、中空の
スピンドル２３のガイドスリーブ３７で区分さ
れ、中空スピンドル２３の中空部３８と連通孔３
９，４０とで連通されている。

この中空部３８と連通孔３９，４０との間に
は、下方に向かつて常時バネ弾圧されているボー
ルバルブ４１，４２が設けられている。

また、前述のシヨベル３６は、シート押え３１
の下方周壁３２内と、この下方周壁３２に連続す
るスクイズプレート３４の内腔４３内とに臨んで
配置され、ポンプロツド１６の昇降運動に伴つ
て、第４図中実線で示されるように、シート押え
３１の下方周壁３２の上端に近接した上昇位置
と、同図中鎖線で示されるように、スクイズプレ
ート３４の腔所４４内に位置する下降位置との２
位置間を往復運動する。

上述のシート押え３１の下方周壁３２の内径
は、シヨベル３６の外径より僅かに大きくされ、
更にスクイズプレート３４の内腔４３の内径は、
前記下方周壁３２の内径より僅かに大きく形成さ
れている。

バルブシート３０には、シヨベルロツド２４の
回りに液通路４５が形成され、この液通路４５が
摺動バルブ２８によつて開閉されるように構成さ
れ、また、弁箱２９には液通路４６が開設されて
いる。

第４図中符号４７は、スクイズプレート３４を
ドラム罐或いはペール罐等の容器１３へ嵌入させ
る際のエヤ抜きバルブであり、符号４８は、空と
なつたドラム罐，ペール罐等の容器１３からスク
イズプレート３４を引き抜く際の加圧エヤ導入バ
ルブ、符号４９は加圧エヤの供給ホースである。

以上説明した従来のポンプ部１２の作用は次の
如くである。

即ち、第４図の状態において、ポンプ室２１，
２２内、弁箱２９内、バルブシート３０とシヨベ
ル３６との間およびシート押え３１の下方周壁３
２の内部のスクイズプレート３４の内腔４３の内
部、並びにスクイズプレートの腔所４４を含むス
クイズプレート３４の下方とに、中高粘度の液体
が充満している場合に、ポンプロツド１６が下降
すると、第５図に示されるように、ポンプ室２２
内へシヨベルロツド２４より大径のスピンドル２
３が進入することにより、内圧が高まり、摺動バ
ルブ２８ぎ液通路４５を閉塞するので、ポンプ室
２２内の液体は、シヨベルロツド２４とスピンド
ル２３の体積差の変化分が、連通路４０からボー
ルバルブ４２を押上げて中空部３８に入り、更に
ボールバルブ４１を押し上げて連通路３９からポ
ンプ室２１内へ流入し、シヨベルロツド２４とポ
ンプロツド１６との体積差の変化分の液体が、通
路２６を通りボールバルブ２７を押しあけて吐出
口１５から吐出される。

上述のポンプロツド１６の下降により、シヨベ
ル３６はその下方部分に充満した液体の抵抗を受
けつつ下降することとなり、シヨベル３６の下降
によつて生じる上側の空所を埋めるため、液体
は、シヨベル３６の外周面とシート押え３１の下
方周壁３２との間隙を通り、更にはシヨベル３６
の外周面とスクイズプレート３４の内腔４３との
間隙を通つて、前記空所へ流入するため、大きな
抵抗を生ずる。

このため、ポンプロツド１６の下降には著しく
大きな力を要するのみでなく、大きな力で下降さ
れる反動としてスクイズプレート３４が上下に微
動を生じ、ポンプロツド１６の下降性能を悪くす
る欠点を有するし、上記の液体の抵抗を小とする
ため、前記間隙をできうる限り大きく形成する必
要上から、シヨベル３６の外径は小とせざるを得
ず、後述する掻揚げ能力が小さくなる欠点を有し
ている。

シヨベル３６が第４図中符号３６′で示す最下
降位置を占めると、直ちにポンプロツド１６は上
昇行程に移行する。

このポンプロツド１６の上昇により、シヨベル
３６は、そのニユーマチツクポンプ９側たるスク
イズプレート３４の内腔４３およびシート押え３
１の下方周壁３２の内部に充満している液体を掻
揚げつつ上昇し、液体は、第４図に示されるよう
に摺動バルブ２８を押し上げ、液通路４５から弁
箱２９の液通路４６を通つてポンプ室２２へ流入
する。

また、ポンプロツド１６の上昇により、スピン
ドル２３がポンプ室２１内を上昇するので、ボー
ルバルブ４１，４２は、バルブシートに押し付け
られてポンプ室２１をポンプ室２２側と遮断する
ので、ポンプロツド１６とそれより大径のスピン
ドル２３との体積差の変化分だけ、ポンプ室２１
内の液体は吐出口１５から吐出されることとな
る。そして、第４図に示すように、シヨベル３６
が最上昇位置を占めると、直ちにポンプロツド１
６は前述の下降行程に移行するものである。

上述のシヨベル３６の１回の掻揚げ量は、ポン
プロツド１６の下降，上昇の１サイクルにおける
液体吐出量を補充しうる量に相当することが必要
であり、実際には、１サイクルのポンプ理論吐出
量より若干量、例えば30％程度多量としてあり、
ポンプ室２２へ流入された量以外の液体は、シヨ
ベル３６と前述の内腔４３および下方周壁３２と
の間隙から溢出すると共に、掻揚げ時の液圧によ
つて、シヨベル３６がバネ３５を押圧して後退す
る容積によつて収容されるように構成されてい
る。

シヨベル３６の掻揚げによつて生じたスクイズ
プレート３４の下方の空所には、該プレート３４
による液面の加圧によつて液体が直ちに充満す
る。

以上説明した通り、従来のニユーマチツクポン
プ９のポンプ部の構造では、ポンプロツド１６の
下降時にシヨベル３６部分に著しい抵抗が生じ、
ポンプロツドの下降性能に悪影響を及ぼすと共
に、この抵抗を小ならしめるため掻揚げ量も小と
せざるを得ない欠点があつたので、本発明では、
シヨベルを第２図，第３図に示す構成とすること
により、上述の如き欠点の一掃を図つたものであ
る。

以下、第２図および第３図について本発明の構
成を説明する。なお、第４図，第５図と同一符号
の部分は同一構造物を示している。

第２図において、シヨベルロツド２４の細径と
なつた先端５０には、シヨベル本体５１が外嵌さ
れ、ナツト５２，シヨベルバネバケツト５３，バ
ネ３５を介して、常時、先端５０に沿いニユーマ
チツクポンプ側へ、即ち図において上方へ押圧さ
れて保持されている。この構造のため、シヨベル
本体５１は第２図に示される状態から、その先端
面５４がシヨベルバネバケツト５３の上端面５５
に接するまで、距離Ｌだけ、バネ３５を圧縮しつ
つ先端５０に沿つて摺動できる。

シヨベル本体５１には、軸方向に複数の孔部５
６，５７が貫設され、該シヨベル本体５１のニユ
ーマチツクポンプ側の後端面５８には、前記複数
の孔部５６，５７のすべてを覆いうる弁板５９
が、該シヨベル本体５１のボス部６０に嵌着、配
置されている。

また、ボス部６０の上方にはナツト６１とバネ
バケツト６２とが螺着され、バネバケツト６２と
弁板５９との間にバネ６３が縮設されており、弁
板５９を常時シヨベル本体５１の後端面５８に弾
接させている。このバネ６３が弁板５９を後端面
５８に弾接させているバネ弾性の強さは、前述の
ようにポンプロツド１６、従つてシヨベルロツド
２４が下降し、進出し、シヨベル本体５１が、シ
ート押え３１の下方周壁３２内の液体を押圧し
つゝ下降し、進出する際、シヨベル本体５１の孔
部５６，５７を通して弁板５９に作用する液圧よ
り弱く設定してある。

本発明に係るシヨベルは上述の構成であるか
ら、第２図中鎖線５１′で示す最下降位置から、
第２図中実線で示す最上昇位置までシヨベルが上
昇する際は、液体の掻揚げに伴う液圧と、バネ６
３の弾力とにより、弁板５９がシヨベル本体５１
の後端面５８に密接し、孔部５６，５７を密閉す
るので、従来のシヨベルと同様の液体掻揚げ作用
を生ずる。

次に、第２図中実線で示す位置から、ポンプロ
ツド１６、従つてシヨベルロツド２４が下降行程
に入り、シヨベル本体５１がその下方の液体中へ
下降し、進出しはじめると、第３図に示すよう
に、シヨベル本体５１の孔部５６，５７を通して
弁板５１に作用する液圧によつて、バネ６３が圧
縮され、弁板５９はニユーマチツクポンプ側へ後
退し、該弁板５９とシヨベル本体５１の後端面５
８との間に間隙６４が形成される。このため、液
体は、孔部５６，５７から間隙６４を通つてシヨ
ベル本体５１の背面側へ流入するので、液体中へ
のシヨベル本体５１が下降し、進入する際の抵抗
が著しく減少せしめられ、円滑にポンプロツドの
下降が行なわれる。第２図中鎖線５１′で示す位
置までポンプロツド、従つてシヨベルロツド２４
の下降が行なわれ、下降運動が停止し、液体の抵
抗による押圧力の作用が消失すると、バネ６３の
弾力で弁板５９はシヨベル本体５１の後端面５８
に弾接し、孔部５６，５７を閉塞し、掻揚げ行程
に移行するものである。

なお、孔部５６，５７の数，総合計面積等は適
用される液体の粘度，比重等によつて異なり、経
験的に余裕のある数値に選定されるものである。

以上、本発明をニユーマチツクポンプに適用し
た実施例について説明したが、本発明は掻揚げ機
構を有する限りは如何なる往復動ポンプにも適用
しうることは勿論である。

本発明に係るシヨベルは以上説明した構成であ
り、シヨベルが液体中へ押進される際の液体の抵
抗を著しく少なくでき、ポンプロツドの下降運動
を正確かつ円滑ならしめる効果を奏する外に、シ
ヨベルの液体中への押進時に、シヨベル背後への
液体の流入が孔部を通して行なわれるので、シヨ
ベルの外周端とスクイズプレートの内腔壁等との
間隙を通して、シヨベル背後へ流入する液体の量
は僅かとなり、該間隙を狭めうるので、この間隙
を通してのシヨベル背後への液体の流入のみに依
存していた従来のシヨベルに比し、前記間隙を狭
め得た分だけ、シヨベルの径を大径とすることが
でき、大きな掻揚げ能力を有せしめうる効果も有
している。

【図面の簡単な説明】

第１図はニユーマチツクポンプの１例の正面
図、第２図は本発明の実施の１例の要部をポンプ
ロツドの最上昇位置において示した略示縦断面
図、第３図は第２図に示す装置がポンプロツドの
下降行程にある際の状態を示す略示縦断面図、第
４図は従来のニユーマチツクポンプのポンプ部分
をポンプロツドが最上昇位置にある状態で示した
縦断面図、第５図は第４図に示される装置がポン
プロツドの下降行程にある際の状態を示す略示縦
断面図である。 ９：ニユーマチツクポンプ、２４：シヨベルロ
ツド、５０：シヨベルロツドの先端、５１：シヨ
ベル本体、５６，５７：孔部、５８：後端面、５
９：弁板、６３：バネ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 掻揚げ機構を有する往復動ポンプのシヨベル
   ロツドの先端に取り付けられているシヨベル本体
   に、軸方向に複数の孔部が貫設され、該シヨベル
   本体のニユーマチツクポンプ側の後端面には、前
   記複数の孔部のすべてを覆いうる弁板が、シヨベ
   ルロツド先端方向へ向かうバネ弾性で弾接されて
   おり、該バネ弾性の強さは、シヨベルロツド進出
   時にシヨベル本体の孔部を通して弁板に作用する
   液圧より弱く設定されていることを特徴とする往
   復動ポンプのシヨベル。