JPS6143576B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転制御装置、特に１つの部材と他の
部材との間に所定のクリアランスを必要とする場
合、この所定のクリアランスを正確に且つ容易に
得ることのできる調整装置、たとえば、一般車両
における常時非接触型クラツチのコントロールケ
ーブルなどに使用されるクリアランス調整装置に
使用される前記回転制御装置に関する。

一般に、自動車にあつては第１図に示すよう
に、クラツチペダル１の回転変位をケーブル２を
介してクラツチ３に伝達するようにしたものがあ
る。即ち、前記ケーブル２はインナー、アウター
両ケーブル２ａ，２ｂで構成され、一方のインナ
ーケブール２ａは、一端が前記クラツチペダル１
に、他端が前記クラツチ３のウイズドロワルレバ
ー４に連結されている。また、他方のアウターケ
ーブル２ｂは一端が、車体５に個着したケーブル
ガイド６に挿通しダブルナツト７を介して該ケー
ブルガイド６に係止した雄ねじ体８に装着され、
他端がクラツチハウジング９に固定されている。
そして、前記クラツチペダル１を踏むことによつ
て前記インナーケーブル２ａをアウターケーブル
２ｂに対して相対変位させ、前記クラツチ３のウ
イズドロワルレバー４を支点４ａの周りに図中反
時計方向へ回転させる。すると、レリーズベアリ
ング１０がダイヤフラムスプリング１１の中央部
を押圧し、フエーシング１２のフライホイール１
３への押し付けを解除、即ちクラツチを切るよう
にしてある。このような構成により、フエーシン
グ１２のフライホイール１３への押し付け解除位
置が最適になるように、かかる一連のクラツチ操
作機構組立時、前記ウイズドロワルレバー４と前
記レリーズベアリング１０との間に所定のクリア
ランスＡを設けるようにしてある。また、このク
リアランスＡは長時間の使用に際して生ずるイン
ナーケーブル２ａの伸びとか、フエーシング１２
の摩耗をも許容することができる。

ところで、前記クリアランスＡを設ける際は、
直接前記ウイズドロワルレバー４、レリーズベア
リング１０間に該クリアランスＡを設けるのでは
なく、当所はこれら両者を当接しておき前記アウ
ターケーブル２ｂの一端部に配設したダブルナツ
ト７とケーブルガイド６との間に仮想線で示すよ
うに前記クリアランスＡを設け、その後、該クリ
アランスＡを前述したウイズドロワルレバー４と
レリーズベアリング１０との間に移行するように
してある。

しかしながら、かかる従来のクリアランス調整
装置にあつては、調整部分にダブルナツト７を用
いていたため、調整作業が複雑になると共に、該
ダブルナツト７が車体振動等によつてゆるむ可能
性があるという主な理由に次に述次に述べるよう
なクリアランス調整置が提案されている。

即ち、第２図から第６図に示すように、内部に
インナーケーブル２ａを挿通し一端部にアウター
ケーブル２ｂを装着し、かつ、外周に雄ねじ部１
４ａを形成した雄ねじ体１４を設け、この雄ねじ
体１４を車体５に後述する雌ねじ体１５と共に遊
嵌してある。一方、前記雄ねじ体１４には雌ねじ
体１５を螺着してある。この雌ねじ体１５は雌ね
じ部１６と、この雌ねじ部１６のアウターケーブ
ル２ｂ側に延設した前記雄ねじ部１４ａより内径
が大径のカラー部１７と、このカラー部１７の端
部に形成した鍔部１８と、後述するリング１９と
から構成されている。そして、該鍔部１８および
前記カラー部１７には切欠部１８ａ，１７ａを形
成する一方、前記雌ねじ体１５外周に回転および
軸方向移動可能にリング１９を嵌合し、このリン
グ１９の一端に前記鍔部１８の切欠部１８ａに係
合する係止部１９ａを、そして前記リング１９の
内面には前記カラー部１７の切欠部１７ａに周方
向に適宜間隙を設けて嵌入する突起部１９ｂを
夫々形成してある。更に、前記雄ねじ部１４ａに
は、該雄ねじ部１４ａの谷部に沿つて２〜３回圧
接的に巻回したロツキングコイル２０を設けると
共に、該ロツキングコイル２０の両端部を外径方
向に起立した爪部２１を形成し、夫々の爪部２１
を前記カラー部１７の切欠部１７ａと前記リング
１９の突起部１９ｂとの間の間隙に対向して配置
してある。

かかる構成にすることによつて、通常は雄ねじ
体１４と雌ねじ体１５はロツキングコイル２０の
巻回部と爪部２１とによつて相対回転をロツクさ
れているが、クリアランス調整を必要とするとき
は、リング１９を一旦雌ねじ部１６方向に移動し
て鍔部１８の切欠部１８ａから係止部１９ａを離
脱し、それから雌ねじ体１５を回転しようとする
方向へ回転してやると、突起部１９ｂが一方の爪
部２１を押圧してロツキングコイル２０が拡径し
ようとする。すると該ロツキングコイル２０の圧
接力が弱まつて該ロツキングコイル２０、前記雄
ねじ体１４間ですべり回転し、雄ねじ体１４、雌
ねじ体１５両者間の相対回転が可能になつて、簡
単にクリアランスＡを調整でき、しかも調整後は
雄ねじ体１４、雌ねじ体１５間の相対回転を確実
に防止できるようになつている。

しかしながら、かかる従来のクリアランス調整
装置にあつては、ロツク状態時、前記雌ねじ体１
５のカラー部１７に高荷重の外力が入つた場合
に、前記外力が爪部２１の曲げ強度を越えるとロ
ツク状態時前記爪部２１にカラー１７より曲げ強
度を越える大きな力が作用すると、この爪部２１
が前述したように単にロツキングコイル２０の端
部を起立しただけのものであつたため、前記爪部
２１が折れ曲がつてしまう恐れがあり、このよう
に爪部２１が折れ曲がつてしまうとロツク状態を
保持することができなくなりクリアランス調整装
置としての十分な機能を発揮できなくなつてしま
うという問題点があつた。

本発明はかかる従来の問題点に鑑みて、爪部
を、ロツキングコイル端部を該ロツキングコイル
の径方向に一旦起立させた起立部と、該起立部の
先端部を更に円周方向に折曲した折曲部とで形成
すると共に、該爪部を係止した部材に断面が前記
起立部、折曲部の折曲形状に沿つた折曲部収容部
を形成するようにして、前記起立部に作用するカ
ラー１７よりの外力を前記折曲部でも受け持つよ
うにして、爪部の折曲りを防止するようにした回
転制御装置を提供するものである。

以下、本発明の実施例を図に基づいて従来の構
成と同一部分に同一符号を付して詳述する。

第７図は本発明のクリアランス調整装置の要
部、つまりロツキングコイル部分の断面図を示
し、１４はインナーケーブル２ａを挿通し、雄ね
じ部１４ａを形成した第１部材としての雄ねじ
体、１５は該雄ねじ体１４に螺着し、外周に嵌合
したリング１９を有する第２部材としての雌ねじ
体、２０は前記雄ねじ体１４のねじ部１４ａに圧
接的に巻回し、爪部３０を前記雌ねじ体１４の切
欠部１７ａ縁に離間して対向配置したロツキング
コイルである。ここで、本発明は、該ロツキング
コイル２０の爪部３０を、第８図にも示すように
該ロツキングコイル２０の外径方向に一旦起立さ
せた起立部３０ａを形成し（尚、この起立部３０
ａだけだと従来の爪部２１と同様のものにな
る）、更に、前記起立部３０ａの先端部を円周方
向に折曲した折曲部３０ｂを形成してある。本実
施例では該折曲部３０ｂを前記起立部３０ａから
更に折り返して略コ字状を形成するようにし、該
折曲部３０ｂを雌ねじ体１５のカラー部１７外側
に配置してある。一方、前記雌ねじ体１５のリン
グ１９内側には、前記折曲部３０ｂを収容する折
曲部収容部３１を円周方向に形成して、この収容
部３１に前記折曲部３０ｂを挿入してある。尚、
この実施例のようにリング１９側に前記収容部３
１を形成した場合は、該収容部３１をリング１９
の移動方向に少なくともこの移動幅に亘つて連設
し、折曲部３０ｂ、リング１９が干渉しないよう
にしてあることはいうまでもない。

第９図は他の実施例を示し、雌ねじ体１５の切
欠部１７ａ縁に折曲部収容部３１を形成したもの
である。この実施例では前記雌ねじ体１５とロツ
キングコイル２０の軸方向の相対移動は行われな
いから、前記収容部３１は折曲部３０ｂの径と略
円径で円周方向に溝状に形成したものでよい。

以上の構成により前記各実施例の機能は、雄ね
じ体１４、雌ねじ体１５間のロツク状態時にカラ
ー部１７より作用する大きな外力により前記爪部
３０の起立部３０ａが折り曲げられようとする
が、折曲部３０ｂがリング１９内側に当接して、
この部分で前記起立部３０ａが折り曲げられるの
を支持する。つまり、カラー部１７より作用する
大きな外力を前記折曲部３０ｂでも受け持ち前記
起立部３０ａに作用する外力を軽減し、該起立部
３０ａの折れ曲がりを防止する。

尚、以上の各実施例では折曲部３０ｂの内側に
カラー部１７が位置しているので前記起立部３０
ａのリング１９よりの入力で生じる折れ曲がりも
確実に防止することができる。

第１０図、第１１図は更に他の実施例を示し、
ロツキングコイル２０ａの一端側のみに爪部３３
を形成したものに本発明を適用した場合である。

即ち、第１部材としての雄ねじ体１４に巻回し
たロツキングコイル２０ａの一端部に爪部３３を
形成してあり、第２部材としての雌ねじ体１５の
内側に前記爪部３３に係合する突起部３４を形成
してあり、クリアランスの調整時にはまず前記雌
ねじ体１５を第１０図中、右方向に移動させる方
向に回転する。すると前記突起部３４が前記爪部
３３を押圧してロツキングコイル２０ａを押し開
いて雄ねじ体１４への圧接力を解除し、前記雌ね
じ体１５の回転が可能となつて、更に該雌ねじ体
１５を回転していき該雌ねじ体１５を車体５に装
着したストツパー５ａに当接する。そして、前記
雌ねじ体１５を逆方向に回転すると略１回転した
ところで前記突起部３４が前記爪部３３に逆方向
から当接し前記雌ねじ体１５の回転を制止する。
このときの雌ねじ体１５の逆方向回転によつて得
られる該雌ねじ体１５と前記ストツパー５ａとの
間の間隙が求めるクリアランスとなるように雄ね
じ部１４ａのピツチを設定してある。

このようなクリアランス調整装置にあつても、
ロツキングコイル２０ａのロツク状態時に爪部３
３に大きな外力が作用する場合がある。従つて、
本実施例でも特に第１１図に示すように前記爪部
３３を起立部３３ａ先端部を円周方向に折曲した
折曲部３３ｂを形成すると共に、突起部３４の側
面に前記折曲部３３ｂを挿入する折曲部収容部３
５を形成して、前記爪部３３の折れ曲がりを防止
するようにしてある。

尚、以上説明した各実施例はロツキングコイル
２０，２０ａを雄ねじ体１４に巻回したものを示
したが、これに限らず、図示は省略したがロツキ
ングコイルを雌ねじ体１５のねじ部内側に圧接的
に巻回する一方、該ロツキングコイルの爪部を雄
ねじ体１４に形成した突起部で係止するようにし
たものにあつても本発明を適用できることはいう
までもない。また、単なるロツキングコイルを備
えるナツト、ボルトの回り止め機構にも適用でき
ることはいうまでもない。

以上説明したように本発明の回転制御装置は、
夫々螺着する第１部材、第２部材間の回転をロツ
クするロツキングコイル両端部に設けた爪部を、
該ロツキングコイル端部を該ロツキングコイルの
径方向に一旦起立させた起立部と、該起立部の先
端部を更に円周方向に折曲した折曲部とで形成す
ると共に、該爪部を係止する部材に断面が前記起
立部、折曲部の折曲形状に沿つた折曲部収容部を
形成するようにしたので、前記爪部に作用する押
圧力によつて前記起立部が折れ曲がるのを前記折
曲部で支えることができる。従つて、前記爪部が
これに係止する部材と確実に係合し、簡単な構造
によつて回転制御装置としての機能を半永久的に
保持できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の回転制御装置としてのクリアラ
ンス調整装置を備えたクラツチの構成図、第２図
はクリアランス調整装置の他の従来例を示す構成
図、第３図から第５図は第２図に示したクリアラ
ンス調整装置に使用される部分の斜視図、第６図
は第２図中Ｘ−Ｘ線から切断した断面図、第７図
は本発明の回転制御装置としてのクリアランス調
整装置の要部断面図、第８図は本発明の回転制御
装置に使用されるロツキングコイルの斜視図、第
９図は本発明の他の実施例を示す要部断面図、第
１０図は本発明の他の実施例を示す構成図、第１
１図は第１０図の要部断面図である。 １……クラツチペダル、２……ケーブル、３…
…クラツチ、１４……第１部材（雄ねじ体）、１
４ａ……雄ねじ部、１５……第２部材（雌ねじ
部）、１６……雌ねじ部、２０，２０ａ……ロツ
キングコイル、２１，３０，３３……爪部、３０
ａ，３３ａ……起立部、３０ｂ，３３ｂ……折曲
部、３１，３５……折曲部収容部、Ａ……クリア
ランス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 夫々が螺着結合され、これら両者を相対的に
   回転して軸方向移動を行う第１、第２部材を有
   し、これら第１、第２部材間に、いずれか一方の
   ねじ部の谷部に沿つて圧接的に巻回するロツキン
   グコイルを配設すると共に、該ロツキングコイル
   の端部に爪部を形成し、この爪部を前記ロツキン
   グコイルを巻回した前記第１、第２部材のうち他
   の部材に係止し、常時は前記ロツキングコイルに
   よつて前記第１、第２部材の相対回転をロツクす
   る一方、前記爪部を係止した部材を前記ロツキン
   グコイルの圧接解除方向に回転することによつて
   前記第１、第２部材のロツクを解除してこれら第
   １、第２部材の相対回転を可能にする回転制御装
   置において、前記爪部は前記ロツキングコイル端
   部を該ロツキングコイルの径方向に一旦起立させ
   た起立部と、該起立部の先端部を更に円周方向に
   折曲した折曲部とで形成すると共に、該爪部を係
   止した部材に断面が前記起立部、折曲部の折曲形
   状に沿つた折曲部収容部を形成したことを特徴と
   する回転制御装置。